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今こそデジタルマーケへ意識改革を、上場企業の9割「成果向上にデータマネジメントが重要」

最終更新日:(記事の情報は現在から1369日前のものです)
新型コロナ対策でオンライン化が進み、デジタルマーケティング推進への機運が高まりました。イノーバが実施した調査によると、マーケティング成果を向上させるには、収集した情報を利活用するデータマネジメントが重要と、約9割の企業が回答。一方で取り組み状況にはばらつきがあり、課題があるようです。

巣ごもりで明暗くっきり

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で外出自粛や在宅勤務、オンライン学習などが推奨され、消費者や企業の行動パターンが一変しました。人の動きに大きく依存する飲食や旅行といった業界、多くの人が一カ所に集まるオフィスを供給する不動産業界などは、厳しい状況です。

一方、巣ごもり消費で好調な分野もあります。ソニーは、ゲーム機「PlayStation 5(PS5)」と映画「鬼滅の刃」のヒットが好業績につながりました。自転車部品メーカーのシマノは、世界的な3密回避や健康志向の流れで自転車需要が高まり、過去最高益の業績です。

好まれる販売やサービス提供の方法も、オンラインや通信販売、テイクアウトなどへ変わりました。そして、そうした変化に追従できる業態かどうかが、明暗を分けています。

マーケティング活動を取り巻く環境も様変わりしました。製品披露や商談の場である展示会が開催されなくなり、客先へ出向いてアピールする商談もしにくい状況です。コロナ禍では、新規顧客の獲得や売り上げ増加につなげるマーケティングが難しくなりました。

マーケティング活動が受けた影響

COVID-19パンデミックにより、企業のマーケティング活動はどのような影響を受けたでしょうか。

7割以上がマイナス影響

BtoB企業向けマーケティング支援サービスを手がけるイノーバが12月に実施した調査によると、マーケティング活動に支障を来している企業が多いようです。具体的には、7割以上の企業がマイナスの影響を受けたとしています。

影響の度合い 回答率
マイナスの影響を
大きく受けた
45.3%
マイナスの影響が
多少あった
30.2%
プラスの影響を
大きく受けた
3.8%
プラスの影響が
多少あった
15.1%
変わらない 3.8%

マイナス影響の内容は、「展示会やイベントの延期/中止」(36件)、「オンラインを含む、商談数の減少」(27件)、「マーケティング予算の削減、凍結」(15件)、「新商品の販売延期/中止」(10件)という事例が挙がりました。

オンライン活用進む

対策としては、「オンラインセミナーの活用」(38件)、「オンライン商談の導入・強化」(32件)、「ホームページ強化による問い合せ獲得」(30件)、「メールマーケティングの強化」(24件)が多く行われています。

中でも「オンラインセミナーの活用」(23件)の効果が高いと実感されました。対面セミナーより受講者数が増えた、という回答もあったほどです。これに「オンライン商談の導入・強化」(16件)が続き、イノーバは「非対面でのマーケティング活動を強化し一定の効果をあげている」と分析しました。

ただし、「特に効果を感じられる施策はなかった」(13件)という回答も多く、なかでも「リスティング広告」が期待外れだったようです。これについては、広告出稿の急増にともなう、クリック単価上昇とコンバージョンレート低下が影響したと考えられます。

「意識改革」というプラス影響

プラスの影響は、マーケティングに対する意識改革です。

デジタルマーケティングへのシフトが加速したのですが、その背後には、「営業がインサイドセールスを始めた、マーケティング活動で得たデータに関心を抱き始めた」「WEBを手段にしたマーケティングや販路拡大などの幹部層の意識変化」など、デジタルマーケティングを推進しようとする機運の高まりがあります。また、マーケティングのデジタル化に必要な予算獲得が可能になった、という事例も報告されました。

毛色の異なるプラス効果として、展示会や商談に必要な費用が大きく減り、経費削減に寄与した、という回答もあります。

新規顧客獲得もオンラインで

「LINE」対応マーケティングツールを提供するソーシャルデータバンク(SDB)による調査でも、マーケティング活動のオンラインシフトが浮き彫りになりました。

COVID-19パンデミックでマーケティング、特に新規顧客獲得がどんな影響を受けたか尋ねたところ、回答者の7割以上が営業機会の減少を挙げました。

受けた影響 回答率
対面での営業が減った 73.0%
提案機会そのものが減った 69.6%
クライアントとのコミュニケーションが
取りづらくなった
64.0%
提案できる対象(アプローチ先)が
減った
62.0%
イベント出展が減ったことで
商談機会が減った
53.2%

このような状況で顧客獲得に効果的と思われるマーケティング手法は、28.4%が「web広告運用」、15.6%が「オンラインイベント出展」を選び、対面タイプの「テレアポ」(14.2%)と「イベント出展」(12.8%)を上回りました。

SNS活用は、回答項目が細かく分かれていたので分散していますが、「LINE」(10.4%)、「YouTube」(9.6%)、「Twitter」(6.6%)、「Instagram」(4.8%)、「Facebook」(4.0%)といったように、期待する声は少なくありません。

オンライン商談システム市場が急成長

マーケティングのオンライン化が進めば、商談の場もオンラインへ移り、オンライン商談は当たり前になるでしょう。

調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)によると、オンライン商談システム市場が拡大するといいます。

2019年度の国内市場規模は、売上高13億円で、前年度比132.1%増と順調な伸びを示しました。2020年度は、COVID-19パンデミックの後押しで導入が加速され、36億円(同176.9%増)規模と予測しています。

そして、パンデミックが収束しても「ニューノーマルな働き方としてオンラインでの商談はある程度定着する」(ITR)と考えられ、2024年度には135億円規模へ成長するとしました。

ITRオンライン商談システム市場予測 出典:ITR / 2020年度のオンライン商談システム市場は、新型コロナウイルス感染症拡大による需要の急増により、前年度比176.9%増と急成長を予測

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マーケのデータマネジメントが重要に

マーケティングや商談のスタイルが変化するタイミングは、うまく対応すれば好機ですし、対応を見誤れば危機です。今まさに、マーケティングに関わるデータを収集して分析し、マーケティング施策へ活用する「データマネジメント」への取り組みが、重要な局面になってきました。

東京証券取引所(東証)上場企業を対象にデジタルマーケティング支援のアンダーワークスが実施した調査では、マーケティングのデータマネジメントに注目する回答が大勢を占めたのです。

マーケティング成果向上にデータマネジメントがどの程度重要か答えてもらったところ、「非常に重要」が53%、「まあまあ重要」が34%となり、9割弱がデータマネジメントを重視していました。

アンダーワークス / データマネジメントの重要度 出典:アンダーワークス / マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査 2021年版

さらに、実際に取り組んでいるかどうかについては、「取り組んでいる」が45%、「今後一年以内に取り組む予定である」が25%です。上場企業は、7割が何らかの形でマーケティング活動のデータマネジメントを実施、または実施しようとしています。

アンダーワークス / マーケティングデータマネジメント取り組み状況 出典:アンダーワークス / マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査 2021年版

部分的データ連携からの脱却が鍵

上場企業のあいだで注目されているデータマネジメントですが、取り組みのレベルはさまざまです。

データの収集や集約、統合管理、分析、活用といった度合いで分類したところ、8割以上の企業が部分的データ連携のステージから抜け出せていない、という結果になりました。

レベルが低い方から「ステージ0(そもそもマーケティングデータを全く収集できていない)」(5.9%)、「ステージ1(個別データが散在し、全く連携ができていない)」(23.9%)、「ステージ2(部分的にデータを連携させているが、多くは統合管理されていない)」(53.7%)、「ステージ3(多くのデータが統合基盤に集約されているが、あまり利用されていない)」(4.8%)となり、ステージ2(部分連携)とステージ3(多くのデータを統合管理)のあいだに大きな壁が存在します。

アンダーワークスは、ステージ2以下なのか、ステージ3以上なのかが、「データマネジメントの成熟度を測る一つのベンチマーク」としました。

アンダーワークス / マーケティングデータの利活用状況 出典:アンダーワークス / マーケティングデータマネジメント取り組み実態調査 2021年版

上場している大きな企業でも、マーケティングのデータマネジメントはまだ本格導入前のようです。デジタルマーケティングに向かう意識改革が、やっと始まったばかりのところも多いでしょう。

今後、オンライン商談はますます広まります。もっとも、商談へ移る前段階の顧客接点をどうつかむか、それが一番の問題です。非対面のマーケティング活動を展開して存在を知ってもらわなければ、商談へ進めません。

マーケティングのオンライン化は間違いなく重要ですが、オンラインのセミナーや展示会が必ず効果的とはいえないはずです。どういった施策を実施すべきか、どの施策が有効だったかなど、データにもとづいて分析すべきです。そのためにも、マーケティングのデータマネジメントが欠かせません。

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