営業代行契約書とは?ひな形付きで記載事項を解説
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営業代行契約書とは
ほとんどの営業代行は、依頼したときの一度限りではなく委託期間を更新しながら継続的に行われます。しかし、取引のたびに契約書を取り交わすのは手間も時間もかかるため、条件面が同じで期間だけ更新するような場合には非合理的です。
そこで、業務委託契約のなかでも同条件で更新するような取引に共通する部分を「基本契約書」とし、依頼ごとに変動するような部分は、依頼内容や状況に合わせて「個別契約書」で補完する方法をとります。
その区分の一例は下記です。基本契約で挙げた項目が案件によっては個別契約書で記載されることもあります。なお、基本契約のなかで「個別契約の存在」と「両契約で内容が重複する場合に優先する契約」を定めておくとよいでしょう。
| 基本契約書 | 個別契約書 |
|---|---|
| 契約期間/契約更新・解除/損害賠償 | 報酬形態/経費の取り扱い/報告方法/秘密保持 |
営業代行契約書を締結するタイミング
営業代行契約書は、営業活動の開始前に締結を済ませることが基本です。契約書を取り交わさずに業務を始めてしまうと、トラブル発生時に責任の所在があいまいになり、後々の交渉が難航する恐れがあります。
契約書は、業務範囲や報酬体系などの重要事項を明文化するためのものです。営業代行会社との打ち合わせを経て、業務内容や報酬などの条件に合意した段階で、速やかに契約を結ぶのが望ましいといえます。
契約締結が遅れると、期待する成果が得られなかった場合でも請求が発生するといった、予期せぬ問題につながる可能性があります。
営業代行契約書の種類
営業代行の業務委託契約でどの種類を使うかは報酬形態によって変わるため、成果と報酬のルールによって使い分けます。
業務委託契約
営業代行を委託する場合には、業務委託契約を締結するのが一般的です。
たとえば、物品販売の営業代行では製品の製造元(メーカー)や製造元に近い大手販売会社が本来なら自社で行う販売業務を、販売業務に特化した外部企業に委託するような場合です。
請負契約
請負契約とは「注文者がある仕事の完成を依頼し、請負者が仕事を完成させた場合に請負者へ報酬が支払われる」という契約です。
完成に重きを置いた契約で、完成がきっかけで報酬が発生する性質があるため、注文住宅やシステム開発および自動車修理や散髪やクリーニングなど、完成の形や区切りがあるような契約で使用します。
なお、2020年4月1日施行の民法改正において、民法第634条は「請負人が既にした一部分の給付により注文者が利益を受けるならその部分の仕事は完成とみなす。この場合に請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求できる」とあります。
つまり、完成が報酬発生条件だった請負も、一部の完成で報酬が請求できるように変化しています。
準委任契約
準委任契約の目的は仕事の完成ではなく「委任者が委任した事務処理行為を受任者が遂行することに対して報酬が支払われる」という契約です。
完成ではなく行為そのものを目的としています。そして、準委任契約は報酬の発生基準によって下記の2種類に分かれます。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
| 履行割合型(民法648条第2項) | 仕事の遂行にかかった工数や作業時間に応じて、仕事が完了した時点で報酬が発生 |
| 成果完成型(民法648条の2第1項) | 仕事の履行によって得られる成果に応じて、成果の引き渡し時に報酬が発生 |
営業代行契約書の主な記載事項
営業代行契約書に記載される主な項目の目的や内容について解説します。
- 業務委託契約の種類
- 業務内容
- 報酬形態
- 経費の取り扱い
- 契約期間
- 契約更新・解除
- 報告方法
- 秘密保持
- 損害賠償
業務委託契約の種類
営業代行の業務委託契約では、報酬形態によって「成果報酬型」「固定報酬型」「複合報酬型」の3種類に分かれます。
成果報酬型
成果報酬型とは、成約数や売上に応じた報酬を受け取る契約です。つまり、売上がなければ報酬は得られません。このように、成果によって報酬が発生する場合は「請負契約」を選びます。
固定報酬型
固定報酬型とは、営業活動に要した時間・日数・年月などの期間に応じて報酬を受け取る契約です。つまり、成約の有無は報酬の発生に関係しません。このように、時間単位で報酬が発生する場合は「準委任契約」を選びます。
複合報酬型
複合報酬型とは、時間単位で発生する報酬に加えて、成約件数に応じた成果報酬(インセンティブ)を受け取る契約です。この場合にも「準委任契約」を選びます。
営業代行では、営業活動だけでも時間と労働力と経費が多大にかかるため、労働時間や生産性に見合った報酬形態を検討し、それに応じた契約形態を選ぶことが大切です。
業務内容
営業活動の方法は、次のような条件によって変化します。
- 扱う商品の種類や状態
- 販売相手が個人か法人か
- 商品の価格帯
- 営業活動する地域
- 販売方法(Web・訪問販売・店舗接客)
- 営業活動開始から成約までにかかる時間
- 使用する販売ツール
- 人件費・賃料・光熱費などの販売経費
この業務内容を元に他の条件設定や仕様が決まるため、委託者が求める成果や必要な業務について詳細に設定して記載しましょう。
報酬形態
成果に対する報酬額を定めます。振込の場合は手数料負担まで決めておきましょう。
- 成果・時間などの報酬の発生条件
- 報酬金額(もしくは割合)
- 支払い期日
- 支払い方法
経費の取り扱い
営業活動では、下記のような費用が発生します。発生が想定される経費を洗い出して、誰がどの分をどれだけ負担するかを詳細に記載しましょう。
- 交通費
- 郵送費
- 電話代
- インターネット費用
- 販売ツール代
- 賃料
- 光熱費
受託者の経費負担割合が大きい場合には、売上や成約件数に対する成果報酬割合(インセンティブ)を大きく設定することがよくあります。このように、委託者と受託者の経費負担の切り分けは報酬額に影響するため、経費負担の範囲・割合・金額などが明確にわかるように記載しましょう。
営業活動でかかった費用は、決算書作成や確定申告時に経費計上するため、使途や領収書がなければ、勘定科目が判断できず適正な税務処理ができません。したがって、経費の申請や領収書の保管についても双方で共通するルールを決めておくとよいでしょう。
契約期間
契約期間に加え、営業活動の勤怠管理方法や申請ルールなどもあわせて記載しておきましょう。
なお、基本契約と個別契約に分けた場合は基本契約の契約期間を個別契約よりも長く設定することが多いですが、契約の終期が揃うように設定すると管理しやすいです。
たとえば、基本契約は1年単位・個別契約は6か月単位などのようにするとよいでしょう。
契約更新・解除
契約期間満了に伴う更新や、期間途中での解除条件などについて記載します。また、契約期間内に最低成約件数に満たない場合は、契約途中であっても委託者が通知すれば相当期間後に契約を解除できるといった、途中解約条件を含める場合があります。
報告方法
営業代行の業務委託契約では、業務遂行に関する裁量は実際に営業活動をする受託者側に重きを置く傾向がありますが、業務を委託して報酬を支払う委託者側に何ら報告もなく勝手に振る舞うことは許されません。
そこで、受託者が業務報告で知りたい内容や報告周期および報告手段を決めておけば、営業活動や成果の進捗を知るとともに、受託者の怠慢を抑制できます。
報告手段は、携帯端末やパソコンで使えるグループウェアやチャットサービスなどを利用して、リアルタイムに進捗管理ができるようにするとよいでしょう。
秘密保持
業務委託では、委託者の内部情報や製品の特許技術および顧客情報などの秘密情報を外部に流説させないために、情報の取り扱いに関するルールを決めます。
営業活動では、委託者から顧客リストを借りて営業活動を行うことはよくありますが、個人情の漏えいがあれば社会的信用を失うだけでなく、売上の減少や会社の存続にまで影響します。秘密保持については、業務委託前の企業間の打ち合わせ段階で秘密保持契約(NDA)を締結しておけばさらに安心でしょう。
損害賠償
顧客情報の漏えいはもちろん、双方の怠慢や落ち度によって相手方に損害を与えてしまうことがあります。その際に相手が被った損害を金銭で補填する規定があれば、損害を未然に防ぐ抑止力にもなります。
営業代行契約書の注意点
営業代行契約書を作成・締結する際は、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。内容が曖昧なままだと、思わぬトラブルや損失につながる可能性があるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。
契約内容の曖昧さを避ける
契約書には、業務の範囲や対応エリア、対象商材などを具体的に記載しましょう。あいまいな表現では、双方の認識にズレが生じるリスクがあります。
契約内容が不明確なまま業務を始めてしまうと、「想定外の業務を依頼された」「成果に対する評価基準が不一致だった」といったトラブルに発展する可能性があります。
成果の定義と評価基準を明確にする
成果報酬型の契約を結ぶ際は、成果と見なす行為の定義と、成果をどのように評価するのかを明記することが大切です。
定義が曖昧な場合、成果に対して報酬が支払われない、あるいは想定以上の報酬請求を受けるなどの問題が発生し、双方に不信感が残る結果となりかねません。
報酬と経費の区分を明記する
報酬と経費は混同しやすいため、契約書内で明確に区分して記載する必要があります。たとえば交通費や資料作成費など、報酬に含まれるか否かを事前に確認することが大切です。
取り扱いが不明確なままでは、後から追加請求が発生したり、支払いをめぐってトラブルになったりするリスクがあります。なお、業務委託における経費は、委託を受ける側が負担するのが一般的です。
契約終了後の対応を定めておく
契約終了後の対応についても、あらかじめルールを定めておくことが望ましいです。営業資料の返却、営業情報の扱い、再契約の可否などを契約書に盛り込んでおきましょう。
取り決めがないと、情報の持ち出しや勝手な営業継続などが発生し、信頼関係の破綻や損害の発生につながるおそれがあります。
違反時の責任範囲を明示する
契約違反が起きた場合の対応や損害賠償の責任範囲についても、事前に明記することが必要です。特に、秘密保持や競業避止義務などに関する条項は慎重に取り扱いましょう。
万が一、契約違反が発生しても、責任の所在や賠償額が曖昧だと解決までに時間がかかり、大きな負担となります。
営業代行契約書のひな形(テンプレート)
BOXILでは、営業代行契約を検討している場合に利用できるテンプレートを用意しています。契約書を作成する際にはぜひ利用してください。
なお、業界特有のルールや所属団体の方針および業法の改正などに対応するために、適宜リーガルチェックを受け、最新の状態が維持できるようメンテナンスしておきましょう。
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