XaaS(as a Service)とは?「AからZまで全種類存在する説」を検証してみた
よく聞く「aaS(~as a Service)」とは
最近は「SaaS」や「PaaS」といった「~aaS」という表現で、さまざまなクラウドサービスを表す場合が多いことは、もはや常識になりつつあります。
「aaS」は「~as a Service」の略語で、日本語に直訳すると「サービスとして」という意味です。
「aaS(~as a Service)」は「XaaS」と記載されることも多く、人によってはこちらの表現を多用していることもあります。つまり「“X” as a Service」という意味であり、読み方は「ザース」。この「“X”」は数学でだれもがよく使った未知の値を表す「x」のことです。
そこで気になるのが「aaS」って一体どれだけあるの?という疑問。
まずは上記で紹介した「S」「P」「X」の3つがあることは説明しましたが、はたして「A」から「Z」まですべてあるのか。可能な限り調べて検証してみました。
また動画にもまとめていますので、こちらも合わせてご覧ください。
目次を閉じる
"X"aaS、はたしてA〜Zまであるのか
それでは、"X"aaSがすべてあるのかをAから順に解説していきます。
AaaS
- Analytics as a Service
クラウドで提供される解析・統計サービス - Authentication as a Service
Gemalto社のサービスの名称
AaaSからすでになじみのないものばかりですね。
BaaS
- Backend as a Service
モバイルアプリケーションを効率的に開発できる環境の提供 - Backup as a Service
データベースのバックアップをするサービス - Blockchain as a Service
ブロックチェーン技術を提供するサービス
最近話題のブロックチェーン技術がありますね。
CaaS
- Communication as a Service
テレビ会議やWEB会議などコミュニケーションに関するサービスの提供 - Crimeware as a Service
インターネットの攻撃代行サービスの提供 - Container as a Service
Docker社が提供するサービス
DaaS
- Desktop as a service
デスクトップ仮想化サービスのこと - Data as a service
各種データの正確性の検証により高品質なデータを確保するサービス
DaaSについては記事の下部で詳しく解説しています。
EaaS
- Exploits as a Service
セキュリティ攻撃ツールによるサイバー攻撃を指す - Everything as a service
「aaS」や「XaaS」を「Everything as a service」として総称するもの
XaaSかEaaSはお好みで使いましょう。
FaaS
- Framework as a Service
SaaSとPaaSの中間的サービス - Fraud as a Service
インターネット上における犯罪に必要なサービスの提供 - Function as a Service
開発者はプログラミングに専念できるようになるサービス
GaaS
- Gaming as a Service
クラウド上でゲームサーバーをホスティングし、ゲームをストリーミング配信するサービス - GPU as a Service
GPUを提供するサービス - Gyms as a Service
企業が従業員などにジムを安価でメンテナンスフリーで提供するサービス
HaaS
- Hardware as a Service
ストレージなどのハードウェア資源の提供サービス
IaaSの前はこう呼ばれていたなんて説もありました。
IaaS
- Infrastructure as a Service
ネットワークのインフラを提供するサービス
JaaS
なんと、JaaSはありませんでした。説立証ならず…。
as a Serviceの形ではありませんが、「Java Authentication and Authorization Service」というものならあるようです。
KaaS
- Knowledge as a Service
日立が研究を進める実務から取得される大量のデータを高付加価値データ(知識)に変換し提供するサービス
さすが日立ですね。
LaaS
- Location as a Service
プライバシー保護された物理的な位置情報を簡単なAPIを介して提供する場所データ配信モデル - Logging as a Service
ログファイルを集中的に取り込み収集するサービス
読者のみなさまも疲れてくるころだと思います。
MaaS
- Monitoring as a Service
クラウド内のサービスやアプリケーションの監視機能の導入を容易にするサービス
折り返し地点です。
NaaS
- Network as a Service
ネットワーク構築やサーバ・クライアントの設定から設置までをサポートするサービス
LaaSからNaaSまではWikipedi◯で必死に検索して出てきました。NaaSについては記事の下部で詳しく解説します。
OaaS
- Operation as a Service
NTTによると、ネットワーク設備の効率的な運用を実現するオペレーション機能の一部をサービス事業者に提供するサービス - Optimization as a Service
NOKIA社のサービスのこと
NTTもすごいですね。
PaaS
- Platform as a service
アプリケーションを動かすためのプラットフォーム機能を提供するさービス
これも比較的身近です。こちらも記事の下部で詳しく解説しています。
QaaS
- Quality as a Service
ソフトウェア検証サービス
会社名にしている日本企業もありました。
RaaS
- Recovery as a Service
クラウドアプリケーションを災害時に復旧するサービス - Ransomware as a Service
ランサムウェアを提供するサービス
世間を賑わせたランサムウェアを作成者が提供するようです。恐ろしいですね。
SaaS
- Software as a Service
インストール型パッケージとしてユーザーに提供されていたソフトウェアをインターネットを介して提供するサービス
一番認知度は高いのではないでしょうか。記事の下部で詳しく解説していきます。
TaaS
- Tool as a Service
九州先端科学技術研究所によると、開発者の手元にてインストールし利用していた各種ツールを、インストールなしで手軽にかつ低コストで利用可能とするもののようです - Testing as a Service
ソフトウェア検証サービス - Token as a Service
仮想通貨の1種
UaaS
- Umbraco as a Service
CMSサービス
Understanding as a Serviceというのもあるようです。
VaaS
- Video as a Service
ビデオ会議等の提供サービス - Visibility as a Service
データセンターのビジビリティをサービスとして提供するサービス
WaaS
- Windows as a Service
すべてのデバイスにいつでも最適なWindowsを提供するサービス - Workplace as a Service
NECが提供する製品群に適用される「UNIVERGE」のコンセプトで、コミュニケーションを核としたオフィスのICT基盤を提供するサービス
XaaS
- X as a Service
冒頭で説明した「as a Service」の総称
XaaSについては記事の下部で詳しく解説します。
YaaS
- hYbris as a Service
SAP Hybrisが提唱するマイクロサービス
もはや頭文字でもないですね。
ZaaS
- Zangyo as a Service
サービス残業
ネタだと思ったら本当にありました。日本発の言葉のようです。
A〜Z一覧
"X"aaS | 正式表記 | 概要 |
---|---|---|
AaaS | Analytics as a Service | 解析・統計サービス |
BaaS | Blockchain as a Service | ブロックチェーン技術提供サービス |
CaaS | Communication as a Service | ビデオ会議やWEB会議などコミュニケーションに関するサービス |
DaaS | Desktop as a Service | デスクトップ仮想化サービス |
EaaS | Exploits as a Service | セキュリティ攻撃ツールによるサイバー攻撃 |
FaaS | Framework as a Service | SaaSとPaaSの中間的サービス |
GaaS | Gaming as a Service | クラウド上でゲームサーバーをホスティングし、ゲームをストリーミング配信するサービス |
HaaS | Hardware as a Service | ストレージなどのハードウェア資源の提供サービス |
IaaS | Infrastructure as a Service | ネットワークのインフラ(Infrastructure)を提供する形態 |
JaaS | なし | なし |
LaaS | Location as a Service | 位置情報の活用を中心とするサービス |
MaaS | Monitoring as a Service | 監視機能導入を容易にするサービス |
NaaS | Network as a Service | 遠隔地を結ぶネットワークの構築やそのための機器の設置サービスなど |
OaaS | Operation as a Service | オペレーション機能の一部を提供するサービス |
PaaS | Platform as a Service | アプリケーションの稼働基盤であるプラットフォームの提供サービス |
QaaS | Quality as a Service | ソフトウェア検証サービス |
RaaS | Recovery as a Service | 各種データのリカバリーサービス |
SaaS | Software as a Service | アプリケーションソフトウェアをインターネットを介して提供するサービス |
TaaS | Tool as a Service | 開発ツールの提供サービス |
UaaS | Umbraco as a Service | CMS提供サービス |
VaaS | Video as a Service | ビデオ会議等の提供サービス |
WaaS | Windows as a Service | サービスとしてのWindows |
XaaS | X as a Service | aaSの総称 |
YaaS | hYbris as a Service | SAP Hybrisが提唱するマイクロサービス |
ZaaS | Zangyo as a Service | サービス残業 |
Jがないのが悔やまれますね。
"X"aaSの代表例を詳しく解説
おふざけはこれくらいにして、数ある「aaS(~as a Service)」の表現で使われるサービスのなかで、特に頻繁に使われる代表的な用語の解説をしていきます。
そもそもXaaSとは
「aaS(~as a Service)」は「XaaS」と記載されることも多く、人によってはこちらの表現を多用していることもあります。つまり「“X” as a Service」という意味であり、読み方は「ザース」となります。
当然、この「“X”」は未知の値のことであり、上述の「SaaS」「PaaS」「IaaS」あるいは「HaaS」といったように、それが指し示す範囲によって複数のアルファベットが該当します。
上述のように、XaaSは情報処理のためのコンピューティング技術をインターネットを通じたサービスとして提供することや、そういったサービスの総称として用いられることが一般的です。
簡単にいえば、インターネット回線を使って提供されるさまざまなITサービスを指し示すものだと思えばよいでしょう。
Everything as a Serviceと表記する場合も
この「aaS」や「XaaS」を「Everything as a service」と表現する場合もあります。これは特にコンピューター処理に必要な、あらゆるソフトウェアやそのコンポーネントをネットワーク経由ですべて提供する場合に使われます。
ちなみに、これらのクラウドサービスのうちのいずれかを指す場合は「Anything as a Service」となります。
SaaS・PaaS・IaaS
まず、本記事でも何度も登場している「PaaS」「SaaS」「IaaS」それぞれの意味と違いについてです。これらについては以下の記事でも詳細に説明しているので、ぜひご覧ください。
PaaS
PaaSは「Platform as a Service」の意味であり「パース」と読みます。
その名のとおり、アプリケーションを動かすためのプラットフォームの機能をサービスとして提供し、ユーザーが独自にサービスを開発できるようにしたものです。
プラットフォームとは、コンピュータ上で利用可能なさまざまなアプリケーションを実行するための基礎にあたる部分を指します。
アプリケーションの多くは、それを提供するためのサーバやネットワーク、そしてアプリケーション自体を実行するための環境が必要となります。
これらを総称して「(アプリケーション開発)プラットフォーム」と呼んでおり、 PaaSはそういった開発環境をユーザーに提供するサービスということになります。
一般的には、PaaSの提供企業がプラットフォームを大規模データセンターなどに準備し、顧客であるユーザー企業がその上にサービスを開発することになります。これによってユーザー企業は、比較的低コストで安全にシステム開発を行えるわけです。
SaaS
SaaSは「Software as a Service」の意味であり「サース」や「サーズ」と読みます。
私たちにとって、もっとも身近なクラウドサービスの形態であり、これまでインストール型パッケージとしてユーザーに提供されていたソフトウェアをインターネットを介して提供することをいいます。
近年、さまざまな分野の「クラウド型」のソフトウェアが提供されていますが、この「クラウド型」と呼ばれるアプリケーションがSaaSによって提供されていることになります。
たとえば、クラウド型として有名な「freee」や「MFクラウド会計」といった会計ソフトや、GoogleドキュメントなどがSaaSの範疇に含まれます。
IaaS
IaaSは「Infrastructure as a Service」の意味であり「イァース」と読みます。これは文字通り、ユーザーに対してネットワークの「インフラ(Infrastructure)」を提供する形態です。
主にクラウド上で仮想サーバーや、ネットワークの土台を提供するのが一般的で、ユーザーはネットワークの基点となるサーバー群やそれらを用いたネットワークそのものの利用を受けることになります。
ちなみに、いわゆる「ホスティングサービス」との違いがわからない人も多いかもしれませんが、実際には両者の違いはほとんどありません。
ただし、IaaSはサービスとしてユーザーに提供されているものですから、ハードウェアの構成やOS・ストレージの容量などはユーザー側が自由にカスタマイズできることが多いです。
DaaS
DaaS(Desktop as a Service)とは「ダース」と読み、クライアントのデスクトップ環境を提供するサービスのことをいいます。いわゆる「デスクトップの仮想化」と呼ばれるもので、ユーザークライアントに対してパソコンなどのデスクトップ環境をクラウドサーバーから提供する形態です。
ユーザーはネットワークからデスクトップ環境を呼び出して利用でき、アイコンやフォルダといったGUIもクラウドから呼び出せます。
モニターとキーボードなど必要最低限の機器があればよく、手元にデータも残らないため、セキュリティの観点から注目されているサービスです。
DaaSの詳しい解説については、以下の記事をご覧ください。
BaaS
BaaS(Backend as a service)とは、モバイルアプリサービスの運用に必要となるサーバ機能を提供するクラウドサービスを意味します。モバイル向け機器の提供をしていることから「mBaaS(Mobile Backend as a Service)」と呼称されることもあります。
BaaSを用いることによって、アプリ自体をモバイル端末で動作させられるだけではなく、外部からのアクセスによっても、アプリの運用が可能になります。
既存アプリにBaaSのバックエンド機能を付け加えたい場合や、簡単に高機能なモバイルアプリを提供したい場合に重宝します。
NaaS
NaaS (Network as a service)とは「ナース」と読み、主に企業の各事業所間を結ぶためのネットワークの構築や、サーバ・クライアントの設定から設置までをサポートするサービスを指します。
専門業者がネットワークインフラを整えてくれるため、専門技術者のいない企業でも高度なネットワーク環境を構築可能になります。
EaaS
EaaS(Exploit Pack as a Service)とは、サイバーテロ(サイバー攻撃)に関して用いられる用語であり、主に「エクスプロイトコード」と呼ばれる検査用コードをホスティングすることで、攻撃ツールをオンラインサービスとして提供してしまうこといいます。
他の用語と毛色が違っているのは、EaaSがSaaSと掛けて付けられた造語だからです。
この存在によって比較的容易にサイバー攻撃を行えるようになり、実際EaaSを利用したサイバーテロは世界各地で多数確認されるようになっています。
ちなみに、上述のEaaS(Everything as a Service)と混同しやすいので注意しましょう。
まだまだあるぞ!〇〇aaS一覧
実はこの"X"aaS、A〜Zだけでなく頭に2文字以上つくパターンもあるのです。もはやなんでもアリですね。もはや発音もわかりません。
- APaaS(Application PaaS):アプリケーション構築の基盤となるサービス
- BAaaS(Business Applications as a Service):ビジネスアプリケーション提供サービス
- BAaaS(Business Analytics as a Service):ビジネス分析サービス
- BIaaS(Business Intelligence as a Service):BIサービス
- BioaaS(Biometrics as a Service):生体認証サービス
- CoDaaS(Content Delivery as a Service):コンテンツ配信サービス
- DBaaS(Database as a Service):データベース提供サービス
- DRaaS(Disaster Recovery as a Service):災害復旧サービス
- eHaaS(eHealth as aService):健康データの提供サービス
- IDaaS(Identity as a Service): アイデンティティ管理
- ITaaS(IT as a Service):ITサービスの提供
- MBaaS(Mobile backend as a Service):モバイルアプリでの利用に特化したBaaS
- SecaaS(Security as a Service):セキュリティ関連サービス
- SMaaS(Security Management as a Service):セキュリティ管理サービス
- STaaS(Storage as a Service):ストレージ
- TEaaS(Test environment as a service):テスト環境を利用可能なサービス
調べてみましたがまだまだありそうです。
"X"aaS、結局言った者勝ち
"X"aaSについて、すべて覚えられたでしょうか。しかし覚えたところできっと役に立ちません。
「なんだよこれ」と思うようなものもたくさんあったと思いますが、結局は言った者勝ちということですね。
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