[PR] 成長し続けるHorizontal SaaS市場の捉え方と戦略的なアプローチとは - SCTX2019特集
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Horizontal SaaSは膨大な市場をいかに攻略すべきか?
Horizontal SaaSとは、グループウェアやマーケティングオートメーションなどの、特定の部門や機能に特化したソフトウェアサービスのことで、SaaS市場全体の中でも成長が特に著しい分野といえる。
企業の生産性を向上させるために、さまざまな場面で応用可能なこのHorizontal SaaSは、従来のオンプレミス商品では考えられなかった業務範囲をカバーできるサービスも続々登場している。
しかし成長が著しい一方で、業界や業種を選ばないHorizontal SaaSゆえの「膨大な市場をいかにして攻略していくのか?」という問題が、多くのSaaS提供企業を悩ませているのが現状だ。業界によってSaaSを使いこなすためのリテラシーや、リード獲得方法に違いがあるため、効果的な営業手法にも違いが出てくるからだ。
顧客の業界・業種によって効果的なアプローチは何なのか、そもそもどういった基準でターゲットを選定すべきなのだろうか、という課題がある。
これらの問いに答えるべく、Horizontal SaaSをけん引するSmartHRと、企業間のリスク保証型請求代行サービス「NP掛け払い」を手がけるネットプロテクションズのマーケティング担当者が、「業種」「従業員規模」「エリア」の3つの切り口から、パネルディスカッション形式で市場に対する捉え方やサービス展開に関する考え方を述べた。
リテラシーの高いIT業種を中心に、サービスの価値を理解しやすい業種にアプローチ
市場を業種で切り分けて考えるのはごく一般的なアプローチといえるが、Horizontal SaaSのサービス提供を考えるうえで、具体的にどの業種をターゲットにすべきなのだろうか。
SmartHRとネットプロテクションズ両社に共通するターゲット業種としては、まずITや情報サービス企業が挙げられる。
SmartHRのクライアントは34%がITや情報サービス企業であり、ネットプロテクションズの「NP掛け払い」も、そもそもBtoC向けの「NP後払い」決済サービスを法人向けにしたもので、ターゲット業種の24%はIT技術を日常的に利用しているEC企業である。
IT業種は新しい技術やシステムに興味・関心をもちやすい業種であり、また同じ情報を扱う企業だけあって、提供されるサービスの価値を理解しやすい傾向がある。そのため、リリース段階からITや情報サービス業をターゲットにすることにより、市場にサービスを広めるきっかけにすることができ、導入事例として他の業種にも紹介が可能になる。
岡本:IT業種は新しいサービスが出たときに興味や関心をもってもらいやすい特徴があります。この方々に興味をもってもらってご導入いただいたことで、サービスが認知されはじめました。
次に、多くの従業員を雇い、店舗間・拠点間で頻繁に情報のやりとりをする必要がある飲食・小売業もターゲットとして注目すべき分野といえる。SmartHRが戦略的にアプローチしたのがこの領域で、情報伝達を効率化できるHorizontal SaaSが価値を提供しやすい業種といえるだろう。
岡本:SmartHRというプロダクトがどういう企業に対してバリューが出るかといえば、たくさんの従業員を雇用しているケースです。また、拠点が分かれていて、紙でのやりとりが頻繁に発生する業種がSmartHRを導入することで、不便さを一気に解消できます。
このように、ターゲット業種の視点からHorizontal SaaSの提供できる価値を理解し、導入確度の高いところからアプローチすることが重要といえる。まず自社のサービスの価値を理解してもらいやすい業種に導入してもらい、フィードバックをもらって他の業種にも広げていく。展示会やセミナーを利用するのも有効のようだ。
ただし、業界によってリテラシーも変われば効率的なリード獲得や営業のやり方も変わってくるため、事前にしっかりと狙いを定めて、十分なリサーチのうえで戦略的なマーケティング施策を考える必要がある。
エンタープライズ市場は積極的に開拓すべきか?
昨今、SaaS企業全体のトレンドとして注目されているのが、エンタープライズ企業への開拓である。Blossom Street Venturesの調査によると、米国では上場しているSaaS企業のうち、約94%がエンタープライズ企業をターゲットとしているそうだ。
日本のHorizontal SaaS企業が従業員規模を軸にターゲット選定するうえでも「エンタープライズ市場を開拓すべきか?」という問いは、今後ますます重要な命題となることは間違いないだろう。
しかし、現状では必ずしもエンタープライズ向けの開拓を優先的に行っているわけではなく、売り上げや取扱高などを考慮したうえでターゲットを選定する傾向があるようだ。
たとえば、ネットプロテクションズの「NP掛け払い」の場合、たとえベンチャー企業でも債権の流通量が多ければ、大手企業よりも取扱高が大きくなるケースもあるため、単純に従業員規模で開拓先を決めるという発想にはなりづらい。SmartHRの場合も、エンタープライズ向けに開拓しているわけではなく、広告などを利用することで徐々に大手企業からの取引依頼が増えている状況だ。
岡本:プロダクト自体が中小企業向けのサービスとしてスタートとした事情があり、そこからPDCAを回すなかで、さまざまな規模の企業に利用されるようになってきました。最近ではテレビCMの出稿などによる認知拡大の結果、大手企業からの引き合いも増えています。
ただし、相手がエンタープライズだから、あるいは高い取扱高が見込めるからなどの理由だけではなく、提供するサービスならではのリスクも考慮してターゲットを決める必要もある。
三雲:「NP掛け払い」は、リスク保証型の決済サービスという性質上、どうしても「未払い率」を考慮しなければなりません。市場開拓するうえでも「未払い率」の点からみて、きちんと取りにいけるところかどうかを確認しながらやっています。
両社ともエンタープライズ市場の開拓を軽視しているわけではなく、あくまでも高い売り上げに結びつく企業かどうか、安定的にサービスを提供できるかなど、さまざまな事情を考慮して判断している印象を受ける。単純に従業員規模で切り分けるのではなく、自社のビジネスモデルに応じた独自の選別基準をもっているようだ。
訪問とオンラインセールスの併用でエリアにこだわらずに広くカバーできる
3つの目の切り口「エリア」に関してだが、最も注目すべきなのは訪問営業とオンラインセールスの併用である。
拠点は東京や大阪などの大都市でも、地方企業に対してインターネットを使ったオンラインセールスの手法で成功している企業が増えており、Horizontal SaaS企業も例外ではない。
SmartHRやネットプロテクションズも、東京や大阪、京都などに拠点をもっているが、オンラインセールスを利用して地方の企業にも積極的に働きかけを行っている。
岡本:現在は東京と大阪がメイン市場で、基本的にマーケットの大きさで市場を選んでいます。営業も関東と関西のエリアで分けており、東京を中心に営業担当が電車で行ける範囲は直接訪問し、それ以外はオンラインセールスにしています。
オンラインセールスと聞くと、これから導入を考えている企業は、やはり「フィールドセールスとのクロージング率の違い」が気になるところだろう。特にエンタープライズの場合は、なかなかオンラインセールスが難しいケースが多いといわれているが、そのあたりはどうなのだろうか?
岡本:エンタープライズは訪問が基本です。地方の場合でもオンラインセールスは利用せずに担当者が出張することもあります。逆に東京でも従業員規模に合わせてオンラインセールスをするケースもあります。
長谷川:訪問営業とオンラインセールスの使い分けに関しては、大体SmartHRさんと同じで、大きな会社さんや高い取扱量が見込めそうな会社さんは、場所にこだわらず訪問しています。
やはり両社とも、事業規模の大きいところは訪問営業を基本としているようだ。場所のみで判断するのではなく、取引の見込み度合いやもちろん、相手企業の価値観に沿うようにするのも重要であろう。セールス手法の選択は慎重にしなくてはならない。
業界構造やビジネスモデル、オペレーションが似ているかどうかで市場を捉える
最後に、「業種」「従業員規模」「エリア」それぞれの切り口で、今後の事業展開を予定しているのか、各担当者に聞いたところ、両社ともに業界の規模というよりは、市場における影響力やこれまでのオペレーションの類似性を軸に考えていたのが印象的だった。
長谷川:弊社の場合、決済サービスという性質上、業種でいえば基本的にどこにも入れる可能性があります。膨大な市場があるので「次にどこの市場を狙おうか?」というのは迷っている段階です。ただ、業界の構造として小規模で大量の店舗×卸が多い業界は、販売時に一定のリスクが発生するため、サービスがはまりやすいと考えています。
岡本:業界でいうと、飲食・小売などを中心に強化していく予定です。最近では宿泊業などでも大手企業さんの導入事例が増えています。従業員規模でいえば、宿泊業界も従業員をたくさん雇用されている企業が多いため、(これまでのオペレーションが)はまるかなと思っています。
中小企業は、エンタープライズと比較すると売り上げ計画が立てやすい。その反面、エンタープライズはリードタイムが長い場合が多く計画は立てにくいが、一社あたりのインパクトが大きい。SmartHRはその適切なバランスを取りつつ事業計画を策定している。
単純に事業規模で考えるのではなく、業界全体の構造やそれまでのオペレーションなどを考慮し、展開しやすいところを狙っていくことが重要であることがわかる。
リスクを考慮しつつ戦略的に市場を選定する
現状では業種全体の構造やビジネスモデル、そしてオペレーションが似ているかどうかで市場が展開されているようだ。従業員規模が大きいところは重要だが、取扱高やそこに自社サービスを展開するうえでのリスクをしっかりと考慮して戦略的に市場を選定する必要がある。
また、エリアに関しても、東京など市場が大きいエリアはフィールドセールスに力を入れつつ、地方などはオンラインセールスと併用するなどの工夫が必要だろう。ただし、ロケーションでのみ判断するのではなく、取引額の見込みや相手先企業の価値観なども考慮することが重要だ。
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