RPAとExcelマクロ、VBAの違いは?できることや活用方法

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エクセルの課題
エクセルはビジネスの管理に欠かせない便利なツールです。情報の整理や集計はもちろん、請求書といった資料の作成など幅広い業務に活用できます。
エクセルは応用範囲が広いためさまざまな目的で使用される便利なツールですが、次のような課題もあります。
- 同時編集できない
- ファイルやバージョン管理が煩雑になる
- ヒューマンエラーが発生しやすい
同時編集できない
基本的にエクセルは複数人による同時編集ができません。一人ずつしか作業できないため作業効率が悪くなりやすく、1つの資料を作成するまでに時間がかかります。
とくに複数の担当者にフィードバックをもらわなければならない作業の場合、回覧板のように一人ずつ順番にチェックしてもらわなければならず、膨大な時間を要します。
ファイルやバージョン管理が煩雑になる
エクセルは最新版の管理が煩雑になりがちです。たとえば2名以上でファイルを利用する場合、利用者の数だけエクセルファイルが生成されます。そのため、AさんとBさんとCさん、どのファイルを更新すればよいかわからなくなることも少なくありません。
ヒューマンエラーが発生しやすい
エクセルの強みは関数を使った自動処理です。しかし元のデータを入力したり、関数を指定したりと、データの処理には人の手を要します。そのためデータ入力や確認においてはミスが発生してしまいやすく、ミスをなくす業務は担当者のストレスになりがちです。
これらの課題によって、エクセルに限界を感じている方は少なくありません。エクセル業務に課題を感じている場合、RPAの導入を検討してみてください。
RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、ソフトウェアロボットを活用した業務の自動化を指します。RPAを活用すれば、問い合わせメールをExcelへ自動で転記したり、営業管理ツールからデータを抽出して自動でレポート作成したりできます。次章ではRPAでどのようなことが実現できるのか、代表的な使い方について見ておきましょう。

RPAで実現できること
RPAで実現できることは、次の2つがあります。
- RPAを活用したエクセルの転記
- 定型業務の自動化
RPAを活用したエクセルの転記
EPAを利用すれば、「エクセルA」から「エクセルB」への転記業務をロボットに自動で入力させられます。RPAはパソコン上で行われる処理をルール化し、再現するシステムです。たとえば、「エクセルAを開きC列の情報をコピーし、エクセルBのD列に転記する」といった作業を学習させれば、ロボットが自動で処理してくれます。もちろん、条件を指定して必要なデータのみの抽出も可能です。
情報の転記業務はミスが発生しやすいだけでなく、担当者の負担になりやすい業務です。RPAを導入すれば、エクセルで行っていた転記業務をロボットにおまかせできます。
定型業務の自動化
RPAを活用すればエクセルだけでなく、パソコン上で行われるあらゆる業務を自動化できます。とくに作業内容が決まっている定型業務はRPAの得意分野です。
たとえば、さまざまなシステムからデータを抽出してレポートを作成したり、見積書や納品を作成したり、マニュアル化できる業務であれば自動化できます。
RPAのメリット
RPAを導入するメリットは次の3つです。
- ルーティン業務を自動化できる
- 現場レベルで設計・開発が可能
- 正確性を保てる
ルーティン業務を自動化できる
RPAの導入により、ルールが決まっているルーティン作業を自動化できます。
RPAはルール化された定型作業を実行するのが得意です。ルーティン作業をシナリオとして設定しておけば、ロボットが設定した手順どおりに作業を行ってくれます。また、RPAは24時間365日稼働が可能なため、人間が行うよりも大量の作業を圧倒的な高スピードで処理できます。
RPAでルーティン業務を自動化することにより、結果として作業工数の削減や現場の人手不足の解消、人件費の削減といった多くの効果が得られるでしょう。RPAで工数を削減できれば、社員はコア業務に集中できる環境が整います。生産性のアップや社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。
現場レベルで設計・開発が可能
複雑な処理が必要な場合はコーディングが必要になりますが、単純な入力作業の自動化をするだけなら、プログラミングスキルやコーディング不要でRPAツールの利用が可能です。簡易型のツールを使用すれば、エンジニアがいなくても現場レベルでロボットの開発、設計や変更が可能になります。UIのシンプルな使いやすいものを選べば導入や運用もしやすいでしょう。
また、システムを構築するのとは異なり、RPAなら現場の要望に合わせて変更などもすぐに行えます。コストや工数の削減、現場レベルでのスピーディーな対応が可能です。
正確性を保てる
ルーティン作業を人間が行う場合、注意していてもケアレスミスや入力ミスが起こることはあるでしょう。単純作業を黙々と続けていると集中力が切れてしまい、ミスを誘発しやすくなるものです。
しかし、RPAを導入すれば、ロボットが設定したルールに忠実に作業を行ってくれるため正確性を維持できます。
人間が行う作業でミスをなくすことは難しいものですが、ロボットが作業を代行すればミスを起こすことはありません。RPAを導入すれば、ヒューマンエラーによる損失を防止する対策としても有効です。
RPAとExcelマクロ、VBAの違い
RPA、Excelマクロ、VBAには次のような違いがあります。どのシステムも業務の自動化に役立つものの、使用する難易度と活用できる業務の幅が微妙に異なるため注意しましょう。なお、RPAとAIの違いについてはこちらの記事で紹介しています。
RPA | Excelマクロ | VBA | |
---|---|---|---|
自動化の対象 | パソコンによる操作全般 | Excel | 各種Office製品、Web操作、メール送信 |
連携するアプリ | パソコンのアプリ、Webサイトのアプリ | Excel | Officeのアプリ、Webブラウザ |
プログラミングの知識 | なくても可 | なくても可 | VBAに関する知識が必要 |
OCRやAIの活用 | 可能 | 不可 | 不可 |
Excelマクロとは
Excelマクロとは、Excel上で稼働する複数の動作をまとめて呼び出せる機能を指します。Excelに標準実装されているため無料で使用でき、追加費用は発生しません。関数では難しい高度な作業にも対応できるのがマクロの特徴です。Excelに用意されている「マクロの記録」を利用すればプログラミングができなくても利用できます。
RPAとExcelマクロの違い
ExcelマクロはExcel上でのみ動作するのに対し、RPAはさまざまなアプリやWebサイトと連携可能です。
Excelは「マクロの記録」機能を使用すれば非エンジニアであっても直感的に自動化可能です。RPAもプログラミングの知識がなくても操作できるように作られているため、ITリテラシーが低い方でも使いやすいでしょう。また、クラウド型のRPAならパソコンの性能に依存しないため、Excelマクロでは難しい高負荷の作業にも対応できます。
VBAとは
VBAとは、「Visual Basic for Applications」の略称で、MicrosoftのOffice製品にて動作するプログラミング言語を指す言葉です。WordやExcel、Access、PowerPointなどを活用した自動化に用いられるプログラミング言語で、計算やデータ検索・外部ファイルの作成・ウェブサイトからのダウンロードなどさまざまな作業を自動化できます。
とくに、Excelで動作する場合はExcel VBAと呼ばれ、マクロや関数より広範な業務を効率化できるとして注目されています。
RPAとVBAの違い
VBAはOffice製品やWebブラウザが自動化の対象です。RPAはそれらに加え、パソコンやWebサイトのアプリまで自動化できます。
また、RPAは非エンジニアが使用することを想定して作られているため誰でも使いやすいのが特徴です。VBAは、プログラミング言語の利用を前提に作られているため、使用難易度は高めです。RPAの方が活用しやすい傾向にあるものの、Office製品だけで完結する場合はVBAを使用した方が効率的なケースも考えられます。
RPAとExcelマクロ、VBAの利用シーン
RPAをExcelマクロ、VBAはともに人間の判断が必要ない定型的な業務を自動化する際に活用できる手段です。ただし、自動化したい範囲やプログラミング知識の有無、動作のパターンなどによっても選ぶべき手段は異なります。
RPAを活用すべき場面
RPAは、自動化できる範囲がもっとも広く、プログラミング知識がなくても活用できます。とくにExcelマクロやVBAがカバーできないアプリケーションとの連携が必要な場合は、RPAを活用すべきです。
また、作業を予約すればパソコンの前に人間がいなくても実行可能です。深夜や土日祝日のように人間が作業していない時間帯での稼働に向いています。
その他処理するデータ量が膨大な場合、ExcelマクロやVBAでは対応しきれない場合もあります。そのため、扱うデータが多く、複雑な処理を要する場合もRPAを活用するとよいでしょう。
Excelマクロを活用すべき場面
Excelマクロは、パソコンに負荷のあまりかからない作業をする際に使うべき手段です。「マクロの記録」機能であれば非エンジニアでも自動化できるので、どの部門でも気軽に活用できます。カバーできる業務領域は限られていますが、データ集計やグラフ作成、印刷などであれば十分にExcelマクロで対応できるでしょう。
手軽に使える手段ではあるものの、動作範囲がExcelに限られておりWebサイトやアプリをまたいだ処理は不可能です。また、複雑な処理は「マクロの記録」機能だけだと表現できない可能性があります。
VBAを活用すべき場面
VBAは、Exelマクロでは自動化できず、RPAを使用するほどでもない定型作業に適しています。具体的には、数千件程度までのデータ処理、条件分岐階層が少なめの工程、Webサイトのクローリング、メール送信などが考えられます。
ただし、前提としてVBAを使える従業員がサポートしてくれる環境が必要です。動作できる範囲もOffice製品と特定のWebブラウザに限定されるため注意しましょう。
RPAとExcelマクロ、VBAを組み合わせる
RPAとExcelマクロ、VBAは活用すべき場面が異なるので、状況に合わせて組み合わせながら自動化しましょう。また、Office製品にはPower AutomateというRPAツールもあり、ExcelやVBAの代わりに利用するのもおすすめです。
たとえば、販売管理システムからデータを出力してExcelに転記するまでの工程をRPAで行い、Excelからレポートを作成する作業はExcelマクロで行うパターンが考えられます。他にもRPAやExcelマクロ、VBAを組み合わせることにより単体では難しい自動化も可能となるでしょう。
RPAは現場のスキルにあわせて導入しよう
RPA、Excelマクロ、VBAのなかでもRPAはもっとも汎用的に自動化ができます。また、VBAのようにプログラミング知識は必ずしも必要とはしません。RPAは現場が利用できてこそ効果を発揮します。そのため、RPAの導入では、利用者のスキルに合わせてツールを選ぶことが大切です。
RPAについて具体的にどのようなサービスが存在するのか知りたい、ツールを比較したいといった場合は次の記事もあわせて確認しましょう。

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