オンプレミス型のERP10選 - クラウドとの違い | メリットやデメリット、適した企業
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- ERPとは
- ERPにおけるオンプレミス型とクラウド型の違い
- 利用開始までの期間
- 料金体系やコスト
- カスタマイズ性
- 自社メンテナンス
- セキュリティ
- オンプレミス型のERPが適している企業
- 既存の社内システムとの連携が必要な企業
- 従業員数の多い企業
- 独自のフローやルールが多い企業
- 長期利用を考えている企業
- 強固なセキュリティを必要とする企業
- オンプレミス型のERP10選
- Microsoft Dynamics 365 Business Central
- Biz∫(ビズインテグラル)
- GRANDIT
- SAP Business One
- Plaza-i
- InfiniOne ERP - FutureOne株式会社
- Galileopt DX
- Infor SyteLine
- EXPLANNERシリーズ
- MA-EYES
- オンプレミス型のERPのメリット
- オンプレミス型のERPのデメリット
- オンプレミス型のERPで会社を全体最適
ERPとは
ERPとは、「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」の頭文字をとった用語で、「基幹システム」や「総合基幹業務システム」を意味します。財務会計をはじめ販売、生産、営業、労務、人事給与など企業にとって重要な業務を包括的に管理可能です。ERPでは、ヒト・カネ・モノといった企業が保有する大切な資源を最適化するために、あらゆる情報を統合的に管理できます。
ERPは大きく「オンプレミス型」と「クラウド型」に分類され、どちらを選ぶかで得られるメリットや注意点が異なります。
ERPにおけるオンプレミス型とクラウド型の違い
一般的に、オンプレミス型は大企業に、クラウド型は中小企業から中堅企業、一部の大企業に適しています。ERPにおけるオンプレミス型とクラウド型の違いについてまとめたので、まずは次の表をご覧ください。
比較項目 | オンプレミス型 | クラウド型 |
---|---|---|
利用開始までの期間 | 数か月〜1年程度 | 1か月〜数か月程度 |
料金体系やコスト | 買い切り型が基本。初期費用は高いがランニングコストは安い | 月額費用制が基本。初期費用は安いがランニングコストは高い |
カスタマイズ性 | 自社で利用環境を構築できるため柔軟性が高い | 利用環境がベンダー依存なので柔軟性は比較的低い |
自社メンテナンス | 導入後のメンテナンスは自社で行う | 自社メンテナンスが不要 |
セキュリティ | クローズドな環境で利用するため安全性が高い | ベンダーの企業努力により安全性は高いがオンプレミスと比べると低い |
利用開始までの期間
オンプレミス型ERPでは、システムを使うにあたって必要なインフラ環境を自社で構築する必要があります。テストやリリースも自社対応が必要です。したがって利用開始までは数か月〜1年程度がかかります。一方のクラウド型ERPは、ベンダーが利用環境を整備するため、1か月〜数か月程度で利用を始められます。
料金体系やコスト
オンプレミス型とクラウド型では、料金体系も大きく異なります。まずライセンス費用では、オンプレミス型は買い切り、クラウド型は月額制のケースが多いです。オンプレミス型は一度でライセンスを買い切るため初期費用が高い分、ランニングコストは安くなります。一方のクラウド型は、初期費用は安くなるものの月額費用がかかり続ける仕組みです。
カスタマイズ性
システムの利用環境を自社で構築できるため、カスタマイズ性はオンプレミス型の方が高いです。オンプレミス型のERPでは独自の業務フローや目的にフィットしたシステムを作れます。
一方クラウド型は、システムの汎用性は高いものの、利用環境の構築がベンダーに委ねられるため、カスタマイズ性はオンプレミスと比べると低いです。ただし多くのクラウド型でもAPI連携やプラグインによりカスタマイズが可能なものも多くあります。高度なカスタマイズが必要でなければ、クラウド型の方が導入が簡単で運用の手間が省けるメリットがあります。
自社メンテナンス
オンプレミス型ERPは、自前で利用環境を構築するため、導入後のメンテナンスも自社で行う必要があります。バージョンアップや障害時の対応も自社対応が必要です。一方のクラウド型は、ベンダーが保守運用を行うため、基本的にメンテナンスの手間はありません。
セキュリティ
セキュリティ面はオンプレミス型の方が安心です。理由としてクローズドなネットワークで利用することがあげられます。サーバーやソフトウェアを敷地内に設置するうえ、自社の基準に沿った要件で対策内容を決められるため、オープンなクラウド型と比べて安全性が高いです。
ただし、オンプレミスに比べ物理的な管理が難しい場合もありますが、クラウド型も強力なセキュリティ対策が施されているものがあります。
オンプレミス型のERPが適している企業
オンプレミス型のERPが適している企業の特徴として次のものがあげられます。
- 既存の社内システムとの連携が必要な企業
- 従業員数の多い企業
- 独自のフローやルールが多い企業
- 長期利用を考えている企業
- 強固なセキュリティを必要とする企業
既存の社内システムとの連携が必要な企業
オンプレミス型ERPはカスタマイズ性が高いため、すでに運用している社内システムとの連携も容易です。クラウド型にも連携機能はありますが、企業独自のシステムやレガシーシステムとの連携は難しいケースが多いです。「ERP導入にあたっては社内システムとの連携が必要不可欠」と考える企業には、オンプレミス型がおすすめといえます。
従業員数の多い企業
クラウド型の場合、「ユーザー〇〇人以上で△△円追加」といった従量課金制が多いです。その点オンプレミス型は、ユーザー数に関係なく料金は一定であることが多いため、従業員数の多い企業にはおすすめといえます。
独自のフローやルールが多い企業
独自のフローやルールが多いと、それだけシステムにカスタマイズ性が求められます。クラウド型の場合、ベンダーが用意した仕様や環境に自社が合わせなければなりません。その点オンプレミス型は柔軟性が高いため、独自のフローやルールが多くてもシステムに反映できます。
長期利用を考えている企業
ERPの長期利用を考えている企業はオンプレミス型がおすすめです。オンプレミス型ERPは基本的には買い切り型なので、月額でのシステム利用料は発生しません。初期費用は高いものの、ランニングコストはサーバーの管理費がかかる程度です。長期的に見るとクラウド型よりもコストパフォーマンスに優れています。
強固なセキュリティを必要とする企業
オンプレミス型ERPは、社内にサーバーやネットワーク環境を構築するためセキュリティ性が高いです。そのため金融機関や医療機関といった強固なセキュリティを必要とする企業に適しています。クラウド型の場合はセキュリティ対策がベンダーに委ねられますが、オンプレミス型では、自社の技術やノウハウ次第でセキュリティをより強固にできます。
オンプレミス型のERP10選
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Microsoft Dynamics 365 Business Central - 株式会社パシフィックビジネスコンサルティング
- Microsoft社が提供する中小企業向けの総合型ERPソリューション
- 複数拠点の業務を横断的に管理できる「2層モデル」を採用している
- TeamsやPower BI、AppsなどMicrosoftサービスとの連携が充実
Microsoft Dynamics 365 Business Centralは、Microsoft社が運営する中小企業向けの総合型ERPソリューションです。世界40,000社以上※が導入しており、会計から販売、生産、プロジェクト管理、マーケティング管理など幅広い業務に対応しています。システムでは「2層ERPモデル」と呼ばれる形式を採用。本社を拠点に、各地に分散した現地法人を横断的にデータ分析できたり、業務を標準化しやすかったりします。
インボイス制度や電子帳簿保存法にもデフォルトで対応。Microsoft側が法令改正にもスピーディーに対応し、必要に応じて機能の追加やアップデートを行ってくれるため、企業は安心してビジネスに集中できます。Microsoft製品との連携機能も充実しており、Teamsでの通話やPower BIでの分析、Appsでのカスタムアプリ作成などシームレスな連携が可能です。
※出典:Microsoft「Dynamics 365 Business Central」(2024年9月19日閲覧)
Biz∫(ビズインテグラル) - 株式会社NTTデータ・ビズインテグラル
- オンプレミスと近い環境で利用できる「パブリッククラウド型」を採用
- ERPの主要機能をはじめワークフローやコミュニケーションツールも利用可能
- 料金体系はサブスクリプション型なので初期費用を抑えられる
Biz∫(ビズインテグラル)は、株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが運営するERPです。オンプレミスと近い環境で利用できるパブリッククラウド型の「Biz∫ Optima(オプティマ)」を提供。ERPの主要機能をはじめワークフローやコミュニケーションツール、ナレッジ集約などの機能も利用できます。
同システムではライセンス費用なしのサブスクリプション型を採用。クラウド型と同じような月額費用制とすることで初期費用を抑えられるうえ、費用は経費として計上可能です。従来のオンプレミス型のようにゼロベースからインフラを構築する必要がありません。環境やセットアップに時間を使わずに済むため、導入工数も大幅に削減できます。
GRANDIT
- 「ERPを、もっと進化させる」をコンセプトとしたERPシステム
- パートナー企業の技術を取り入れる「コンソーシアム」の仕組みを採用
- 誰もが使いやすく先進的なシステムの構築・運営ができる
GRANDITは、「ERPを、もっと進化させる」をコンセプトとする新たな仕組みのERPシステムです。自社だけでなく、パートナー企業のノウハウを活かしてシステムを構築する「コンソーシアム」の仕組みを採用しています。技術やマーケットニーズ、顧客からの直接の要望などをシステムに反映させることで、多くのユーザーにとって使いやすい、先進的なシステムの構築・運営が可能です。
導入形態は「サブスクリプション型」と「オンプレミス型」を提供。オンプレミス型では新規ライセンスやバージョンアップライセンスを購入することで、自社資産としてラインセンスを保有できます。
- 主要機能のほか案件やプロジェクト、サービス管理もできるERPパッケージ
- クラウドとオンプレミス両方で「スピード」「ローコスト」「フレキシビリティ」を実現
- 食品の需給予測や製造のサプライチェーンなど業界に特化した機能も充実
SAP Business Oneは、会計から財務、販売、在庫、顧客管理、分析まで幅広い業務に対応する、中小企業向けのERPパッケージです。案件やプロジェクト、サービス管理といったサポート機能も搭載しており、細かな進捗監視や分析ができます。
導入形態は「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類を提供。いずれも、短期間でシステムを構築する「スピード」、開発・運用コストを抑える「ローコスト」、ビジネスの環境変化に対応する「フレキシビリティ」を意識しています。業種に特化した機能も充実している同システム。たとえば、食品業界向けの需給予測や、製造業や商社向けのサプライチェーン管理などの機能を利用できます。
- 長年蓄積された豊富なノウハウを凝縮したERPパッケージ
- 複合業態や特殊業態、グローバル企業におすすめのシステム
- 1つのデータベース、1つのソースコードによるスマートな管理
Plaza-iは、株式会社ビジネス・アソシエイツが提供するグローバル企業向けのERPパッケージです。1987年※より業務アプリケーション・パッケージの開発を続けてきた同社。企業の業務効率化を実現するための豊富なノウハウが凝縮されたERPです。主に複合業態(複数の業態が混在する企業)や特殊業態、グローバル企業向けに開発されています。
主要機能をはじめプロジェクト管理や為替予約、自動仕訳など多くの機能を搭載。1つのデータベース、1つのソースコードで管理するため、データ重複や二重入力のないスマートな管理を実現可能です。システムは「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つを提供。どちらを選択しても、ニーズに合わせて最適なサーバー環境を用意してくれます。
※出典:ビジネス・アソシエイツ「Plaza-i | 製品情報 | 株式会社ビジネスアソシエイツ」(2024年9月19日閲覧)
InfiniOne ERP - FutureOne株式会社
- ERPの標準機能を備えながら変更しやすいアーキテクチャを採用
- 利用企業の強みや独自フローを活かしたシステム構築ができる
- オンプレミス型では既存の社内システムとの連携もしやすい
InfiniOne ERPは、株式会社FutureOneが提供する「変化対応型」のERPパッケージです。会計から生産、販売、在庫管理などERPとしての標準機能を搭載しながらも、変更しやすいアーキテクチャ(構造や設計)を採用。SFAや文書管理、BIツール、ECサイト、ハンディ端末などとも連携できます。利用企業の強みや独自フローを活かしたシステム構築が可能です。
食品製造から卸売、商社、建設、住宅設備など業界別の機能も充実しています。オンプレミス型も提供しており、システム環境を敷地内やデータセンター内のサーバーに構築。オフライン環境で利用できるうえ、同じネットワーク内で利用する社内システムとの連携もしやすいです。
- 「財務大将」や「販売大将」などベンダー運営の外部システムをシームレスに連携
- 多数のシステムを1つのサーバーに集約することで運用負担を大幅に軽減できる
- ワークフローやアクセス権限管理など内部統制を強化できる機能も充実
Galileopt DXは、株式会社ミロク情報サービスが運営する「DX促進」に役立つERPです。ERPのプラットフォーム上に、「財務大将」や「販売大将」など同社が運営する業務システムを連携することで、企業のDXを促進できます。複数システムの統合的な管理によってリアルタイムでデータを閲覧、集計可能です。従来異なるサーバーで運用していたシステムを1つのサーバーにまとめることで運用の負担やコストを大幅に削減できます。
ほかにも、ワークフローやアクセス権限管理、ログ管理など内部統制を強化できる機能も充実。関連サービス「MJS DX Workflow」の導入すれば、申請や承認業務をスマートフォン上で行えます。
Infor SyteLine
- 調達から生産販売、納品、アフターサービスなど「製造業」に特化したERP
- 製造業における迅速なオペレーションとサプライチェーン管理を実現できる
- 99.99%の在庫精度、98%の納期厳守率、従業員の作業効率30%向上※の実績
Infor SyteLineは、クラウド型とオンプレミス型から選択できる「製造業」に特化したERPです。調達から生産販売、製造、納品、アフターサービスなど製造業にとって必要なプロセスを最適化できます。受注生産や繰り返し生産、受注組立、個別受注生産などにも対応しており、製造業における迅速なオペレーションとサプライチェーン管理を実現可能です。
製造の中でも「自動車」「航空宇宙・防衛」「産業用製造業」など特定分野に特化した機能も搭載しています。同システムを導入した結果、99.99%の在庫精度、98%の納期厳守率を実現。従業員の作業効率は30%向上※したデータもあります。
※出典:infor「Infor SyteLine | 産業用製造業向けクラウド ERP | インフォア」(2024年9月19日閲覧)
- 6つの基本機能を組み合わせて企業の経営力と生産性向上を図れるERP
- フローをシンプルかつ平準化することで業務の属人化を防ぐ
- クラウドとオンプレミス双方で高い操作性と規模に応じたスケーラビリティを実現
EXPLANNER/Axは、日本電気株式会社(NEC)が運営するERPシステムです。会計、販売、給与、人事、債務、債権の6つの基本機能を軸に、これらを組み合わせて企業の経営力と生産性向上を図ります。たとえば、会計と販売の重点的な連携によって、無駄な生産を避けて在庫をコントロールしたり、顧客との接点機会を増やすことで売上拡大にシフトしたりといった使い方が可能です。フローをシンプルかつ平準化することで業務の属人化を防ぎます。
50年間で30,000本を超える※実績をもつ同システム。「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類を提供していますが、どちらも高い操作性と規模に応じたスケーラビリティを実現しています。
※出典:NEC「ERPシステム:EXPLANNER/Ax - NEC Corporation」(2024年9月19日閲覧)
- SaaS型が主軸だが自社でサーバー構築できる「一括型」も用意
- カスタマイズ性が高くユーザー数が増えても固定料金で利用できる
- グループウェアやSFA、人材派遣管理といった機能も充実
MA-EYESは、株式会社ビーブレイクシステムズが提供するERPシステムです。SaaS型(クラウド型)が主軸ですが、ベンダーが用意または自社でサーバーを構築する「一括型」も提供。SaaS型と違って料金が一定かつ、ユーザー数が増えても固定料金で利用できます。
ERPの基本機能をはじめグループウェアやSFA、人材派遣管理といった機能も充実。業務フローに合わせて機能を自由にカスタマイズ可能です。利用人数の多い企業や独自の業務プロセスの多い企業におすすめといえます。
オンプレミス型のERPのメリット
オンプレミス型ERPには次のようなメリットがあります。
- 業務フローに合わせて柔軟にカスタマイズできる
- データの自社管理によってセキュリティ性を高められる
- 安定したパフォーマンスを発揮できる
- 長期的なコスト削減につながる
- 昔のシステムとも連携できる
オンプレミス型ERPでは自社で利用環境を構築できるため、業務フローに合わせてシステムをカスタマイズ可能です。たとえば既存システムを連携させたり、特定の業種に特化した機能を実装させたりといった使い方もできます。
自社のサーバー内にデータを保管するためセキュリティのリスクも低減可能です。自社でサーバーやネットワークを用意するため外部環境に左右されにくく、パフォーマンスが安定しやすいのもメリットといえます。
初期費用は高いものの、クラウド型のように月額費用は発生しないため、長期利用だとコストは安く済みます。また、開発ノウハウがあればレガシーなシステムとも連携可能です。
オンプレミス型のERPのデメリット
オンプレミス型ERPにはメリットが多い反面デメリットもあります。とくに次の5つには注意しましょう。
- 初期費用が高い
- 保守運用の負担が大きい
- 拡張時には追加開発が必要
- 災害リスクへの対応
- 法改正への対応
オンプレミス型ERPの導入でネックになるのが初期費用です。基本的に買い切り型なので、ライセンス費用で100万円から高いもので1,000万円以上かかるケースも。ベンダーによる導入支援や社内教育を行う場合、追加で費用がかかります。導入後の保守運用も自前で行わなければなりません。
システムを拡張したい場合は、その都度追加開発が必要なので、開発者の負担も大きくなります。また、万が一の災害や法改正にも自社対応が必要です。
オンプレミス型のERPで会社を全体最適
オンプレミス型のERPは、初期費用や運用負荷が高いものの、柔軟なカスタマイズと強固なセキュリティ構築に強みのある点が魅力です。長期的な利用や独自の業務プロセスをもつ企業にとっては、導入を検討する価値のある選択肢といえるでしょう。
ERPを選ぶ際には、必要な機能が揃っているか、他システムと連携させやすいか、運用コストに見合っているかなどを踏まえて検討しましょう。あわせて各サービスの口コミも見ておくのがおすすめです。