オンプレミス型のRPA6選!クラウド型やインストール型との違い
RPAツールには多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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- RPAとは
- オンプレミス型RPAの特徴
- クラウド・インストール・オンプレミスの違い
- オンプレミス型が選ばれる背景
- オンプレミス型RPAのメリット
- 高いカスタマイズ性
- 障害の影響を受けにくく、安定して稼働できる
- オフラインのためセキュリティリスクが低い
- オンプレミス型RPAのデメリット
- 導入にかかる期間やコストが大きい
- 運用・保守の負担が大きい
- システムがブラックボックス化しやすい
- オンプレミス型のRPAがおすすめの企業
- 高度なセキュリティ管理が求められる企業
- システムの独自開発やカスタマイズが多い企業
- インターネット接続が制限されている業務環境の企業
- オンプレミス型のRPAの選び方
- 必要な自動化領域に対応しているか
- 管理・運用体制に無理がないか
- 費用対効果・導入コストは妥当か
- ベンダーのサポート・保守体制は十分か
- おすすめのRPAの機能・料金比較表
- オンプレミス型のRPAツール6選
- Automation Anywhere
- SS&C Blue Prism
- WinActor
- RoboTANGO
- OCEVISTAS
- UiPath StudioX
- 目的や予算に合ったオンプレミス型RPAを選ぼう
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)は、PC上の定型作業をソフトウェアロボットが代行し、業務効率の向上やミスの削減を実現する仕組みです。
RPAの提供形態にはいくつか種類がありますが、とくにセキュリティ・制御性・自社環境への最適化を重視する場合に選ばれるのが「オンプレミス型RPA」です。
オンプレミス型RPAの特徴
オンプレミス型RPAは、自社で構築したサーバーやネットワーク環境の上で稼働させるRPAの形態です。ベンダーが提供するRPAソフトウェアを利用しつつ、環境構築から運用管理までを自社で担います。
この形態の大きな特徴は、自社のルールや業務フローに合わせて柔軟なカスタマイズが可能なこと、またセキュリティやデータ管理をすべて自社内で完結できる点です。
金融、医療、公共機関など、厳格なセキュリティ基準を求められる企業によく選ばれている方式です。
クラウド・インストール・オンプレミスの違い
RPAの導入形態はクラウド型とインストール型、オンプレミス型の3つに分けられます。それぞれの違いは次のとおりです。
| 項目 | クラウド型 | インストール型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|---|
| 導入場所 | ベンダーのサーバー | 社内のパソコン | 社内のサーバー |
| 初期費用 | ◎ | ◯ | △ |
| 運用費用 | ◯ | ◎ | ◯ |
| カスタマイズ性 | △ | ◯ | ◎ |
| セキュリティ | ベンダーに依存 | 自社で管理 | 自社で管理 |
| メンテナンス | ベンダーが実施 | 自社で実施 | 自社で実施 |
| システム連携 | ◯ | △ | ◎ |
| 導入期間 | ◎ | ◎ | △ |
クラウド型
クラウド型は、ベンダー(サービス提供会社)が構築したシステムをインターネット経由で利用する形態です。自社でシステムやインフラを構築する必要がないため初期費用が安く、導入までの期間も短いのが特徴です。
一方で、セキュリティやメンテナンスはベンダーに依存するため、厳重なセキュリティが求められる業界では適さないケースがあります。
インストール型
インストール型は、パソコンにソフトウェアをインストールして利用する方式です。初期費用が比較的安価な上、少人数で利用する場合は運用費用も抑えやすいのが特長です。
一方、複数人で利用する場合には、それぞれのパソコンにインストール用のライセンスが必要になるほか、バージョンアップの際には再度ソフトウェアの購入が必要となる点がデメリットです。
オンプレミス型
オンプレミス型は、システムの稼働やインフラ構築に必要なネットワークやサーバーを自社で構築・運用する方式です。パッケージ自体はベンダーが提供し、利用環境の整備は自社で行います。
そのため、初期費用が高額になりやすく、導入や運用のための工数も多くなります。一方で、カスタマイズ性が高くセキュリティも自社で管理できるため、中堅企業以上など、導入要件の厳しい企業に適しているでしょう。
オンプレミス型が選ばれる背景
オンプレミス型RPAが選ばれる最大の理由は、情報管理を社内に閉じたまま自動化を実現できることにあります。
高度なセキュリティ要件がある企業、外部と通信しない閉域網(オフライン環境)で運用される業務、あるいは独自に構築した社内システムと密接に連携したいケースでは、クラウド型では要件を満たせない場合も多くあります。
また、長年利用してきた基幹システムや社内アプリケーションとの結びつきが強い企業では、オンプレミス型の方が連携しやすい大きなメリットがあります。
オンプレミス型RPAのメリット
オンプレミス型RPAを導入するメリットとして、次のことが挙げられます。
- 高いカスタマイズ性
- 障害の影響を受けにくく、安定して稼働できる
- オフラインのためセキュリティリスクが低い
高いカスタマイズ性
オンプレミス型では、システムの利用環境を自社で構築するため、カスタマイズ性が高いのが魅力です。サーバーの構築時に必要となるハードウェアやソフトウェアも自由に選定・設定できます。
不具合やトラブルが起こった場合の対応手順や修正方法、メンテナンスの作業日程なども自社の都合で決められます。柔軟性が高いため、独自の業務フローや特殊なシステムにも対応可能です。
障害の影響を受けにくく、安定して稼働できる
オンプレミス型RPAでは、社内にサーバーを構築することでネットワークが安定します。インターネット環境やクラウドサービス停止の影響を受けず、安定稼働が可能です。
多くの従業員や顧客を抱える企業にとって、社内システムが停止するのは大きなリスクです。障害リスクを回避できるのは重要なメリットといえるでしょう。
オフラインのためセキュリティリスクが低い
オンプレミス型RPAは社内ネットワーク、つまりオフライン環境で運用するためセキュリティリスクが低いといえます。外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクを遮断できることは、機密情報を多く扱う企業にとって重要といえるでしょう。
オンプレミス型RPAのデメリット
オンプレミス型RPAにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。とくに次の点には十分注意が必要です。
- 導入にかかる期間やコストが大きい
- 運用・保守の負担が大きい
- システムがブラックボックス化しやすい
導入にかかる期間やコストが大きい
オンプレミス型RPAではシステムやインフラといった利用環境をゼロベースから構築しなければなりません。したがって導入までの期間が長くなります。
また、オンプレミス型のツールは「買い切り型」であることが多く、ランニングコストは低いものの、初期投資が高くなる場合が多くあります。オンプレミス型RPAを導入する際は、あらかじめ綿密な予算計画を立てておきましょう。
運用・保守の負担が大きい
オンプレミス型RPAでは、利用環境の構築はもちろん、導入後のシステム運用・保守も自社で行わなければなりません。
たとえば、機能のアップデートや法改正対応、トラブル対応もすべて自社で行う必要があります。効率的にシステムを運用するためにも、専門技術をもった人材が必要です。
システムがブラックボックス化しやすい
ブラックボックス化とは、システムや業務プロセスが複雑化し、内部の構造や動作がわからなくなる現象です。
主に、担当者の異動やノウハウが継承されない場合に発生し、関係者がシステムの仕組みを把握できず、障害時の対応が困難になります。これにより、運用が属人化し、トラブルシューティングや改善が難しくなるリスクがあります。
特に、オンプレミス型RPAは自社で利用環境を構築しなければなりません。そのため、管理が不十分だとブラックボックス化が進行しやすく、システムの仕様や動作原理などへの理解や引き継ぎが必要不可欠といえるでしょう。
オンプレミス型のRPAがおすすめの企業
オンプレミス型のRPAは、自社で環境を構築・管理することが前提となるため、導入に一定のハードルがあります。しかし、自由度やセキュリティ面に優れており、特定の要件を抱える企業には非常に適した選択肢です。オンプレミス型RPAの導入が特に効果的な企業の特徴を紹介します。
高度なセキュリティ管理が求められる企業
金融機関や医療機関、官公庁などは、扱うデータに非常に高い機密性が求められます。こうした企業では、外部ネットワークとの通信を最小限に抑え、内部システムのみで業務を完結させなければなりません。
オンプレミス型RPAであれば、データを外部に出さず、社内環境だけで処理できます。オンプレミス型のRPAなら、情報漏えいのリスクを抑えながら、自動化による業務効率化を実現できるでしょう。
システムの独自開発やカスタマイズが多い企業
自社開発の基幹システムや複雑なワークフローを運用している企業では、RPAにも高い柔軟性が求められます。標準的なクラウド型サービスでは対応しきれない処理や、より細かなカスタマイズが必要となる場合も多くあります。
オンプレミス型RPAであれば、プログラムの制御や連携方法を細かく調整できます。そのため、システム環境に合わせた高度な自動化が可能です。
インターネット接続が制限されている業務環境の企業
工場や研究所など、インターネット接続が制限されている現場では、クラウド型RPAの利用が難しいでしょう。セキュリティ上の理由から外部との通信を制限している企業も該当します。
オンプレミス型RPAは、インターネットに接続しなくても社内ネットワーク内で完結します。オフライン環境でも安定して利用できる点が大きなメリットです。
オンプレミス型のRPAの選び方
オンプレミス型RPAはクラウド型に比べて導入コストや運用負荷が大きいため、事前の選定がとても重要です。オンプレミス型RPAを選ぶ際は、次のポイントを意識しましょう。
- 必要な自動化領域に対応しているか
- 管理・運用体制に無理がないか
- 費用対効果・導入コストは妥当か
- ベンダーのサポート・保守体制は十分か
必要な自動化領域に対応しているか
RPAはどのツールでも同じように見えますが、対応できる自動化領域には大きな違いがあります。
データ入力・集計・帳票処理などの基本的な業務に強いツールもあれば、OCRやAPI連携、データベース処理、基幹システム連携など高度な処理に向いたものもあります。
自社が自動化したい業務を明確にし、そこに対応できるかどうかを必ず確認することが重要です。
管理・運用体制に無理がないか
オンプレミス型は、自社のサーバーで運用するため、社内に一定の管理リソースが必要になります。
サーバー管理、セキュリティパッチの適用、バージョンアップ対応など、日常的な運用作業をどの部署が担当し、どの程度の負荷がかかるか、事前に把握しておく必要があります。
運用体制が不足していると、せっかく導入したRPAが安定稼働せず、効果を発揮できないケースもあります。
費用対効果・導入コストは妥当か
オンプレミス型は、クラウド型よりも初期費用が高額になりやすい傾向があります。
ライセンス費用やサーバー構築費用、運用コストなどを総合的に見て、投資に見合った効果が得られるかどうかを慎重に判断する必要があります。
また、長期利用を前提にした場合のランニングコストやメンテナンス負荷も考慮し、事前に十分な試算を行うことが重要です。
ベンダーのサポート・保守体制は十分か
RPAを利用する従業員全員がITに強いとは限りません。特にオンプレミス型は大規模運用になるケースが多く、業務部門のスタッフが日常的に利用することを想定しておく必要があります。
操作が難しいツールを選択した場合、教育コストが増加し、現場で十分に活用できず自動化が進まない可能性もあるため、UIのわかりやすさや直感的な操作性は非常に重要です。
おすすめのRPAの機能・料金比較表
オンプレミス型RPAは、ツールごとに機能の幅やカスタマイズ性、そして導入コストが大きく異なります。自社に最適な製品を選ぶためには、主要な機能や料金体系を一覧で比較することが重要です。
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※資料数は、BOXILでの掲載状況によって増減する場合があります。
オンプレミス型のRPAツール6選
続いて、オンプレミス型のRPAツールを紹介します。
Automation Anywhere
- 複雑な業務でも要件に合わせてロボットを開発できる
- 外部アプリケーションともシームレスに連携可能
- 柔軟なアクセス権限設定や不正アクセス対策などセキュリティも強固
Automation Anywhereは、アメリカを中心にグローバル展開しているRPAツールです。大規模運用に適しており、複雑な業務でも要件に合わせてロボットを開発可能です。
パソコンで行った操作をアクティビティとして記録できる「レコーディング機能」や、コマンドの視認性や操作性を高める「コマンドツリー」によってさまざまな処理を追加できます。
業界ごとにシステムの仕様を調整でき、外部アプリケーションともシームレスに連携可能です。ほかにも柔軟なアクセス権限管理からパスワード暗号化、不正アクセス防止など高度なセキュリティ機能が搭載されています。
- 大企業の運営と統制を前提に設計されたRPAツール
- ロボットに業務を任せるほど開発や運用がスピーディーになる
- 堅牢なログ管理やPCIDSSへの準拠などセキュリティも強固
Blue Prismは、イギリス発のサーバー型RPAツールです。大企業の運営と統制を前提に設計されており、業務の優先度を決めたり、エラーが出た場合の再実行もロボットが対応したりと、正確かつ細かい設定ができます。
作業手順から実行、記録までデータベースに残り、すべてに認証や権限を付帯可能です。ロボットに業務を任せるほど組み合わせの候補が増え、経験が増えるごとに開発や運用がスピーディーになります。
セキュリティ性も高く、堅牢なログ管理や、国際基準であるPCIDSS(クレジットカードの情報保護)にも準拠しています。イギリスの金融機関で利用されていた実績もあります。
- Windows上でのアプリケーション操作をロボットが学習
- OfficeソフトをはじめERPやOCR、ワークフローにも対応
- 国産ツールなので操作画面やサポートすべてが日本語
WinActorは、NTTグループが運営する純国産のRPAツールです。Windows上でのアプリケーション操作をロボットが学習し、業務を自動化します。プログラミング知識なしで設定できるため、IT部門の経験がなくても利用可能です。
WordやExcel、OutlookといったOfficeソフトはもちろん、ERPやOCR、ワークフローシステムにも対応可能です。Windowsで使えるアプリケーションであれば基本的に何でも対応しています。
また、国産ツールのためマニュアルや操作画面、サポートすべてが日本語なので安心です(英語にも対応)。
- Excelや既存システムへの入力や集計など面倒なパソコン業務を自動化
- 録画によってロボットに業務を覚えさせる仕組みなので簡単に使える
- ひとつのライセンスを複数で共有できる「フローティングライセンス」を採用
RoboTANGO(ロボタンゴ)は、スターティレイズ株式会社が運営するオンプレミス型のRPAツールです。Excelや既存システムへの入力作業やデータ集計、インポート・エクスポートといった「面倒なパソコン業務」を自動化できます。
操作画面も見やすく、録画によってロボットに業務を覚えさせる仕組みなので、誰でも簡単にシステムの設定や運用が可能です。専門的な知識やスキルなしで始められます。
また、ロボタンゴでは、ひとつのライセンスを複数のパソコンで共有できる「フローティングライセンス」を採用しています。オフィスメンバーだけでなく、拠点が離れている従業員間でも利用可能です。
1ライセンス月額65,000円、最低利用期間1か月から利用可能です。3週間の無料トライアルもあります。
OCEVISTAS
- 財務会計や人事給与など社内システムの自動操作を実現できる
- 従業員情報の入力から給与仕分け、決算報告書作成など多種多様な業務を自動化
- 「スモールスタート向け」「スケールアウト向け」のプランを用意
OCEVISTASは、株式会社大崎コンピュータエンヂニアリングが運営するRPAツールです。財務会計や人事給与、経費精算、販売管理など、さまざまな社内システムの自動操作を実現できます。
たとえば、人事給与システムの場合、従業員情報の入力や給与仕分けデータの作成、新規従業員の登録などを自動化可能です。
財務会計システムでは、口座登録や決算報告書の作成、得意先データ登録などを自動化できます。スモールスタートしたい企業向けには年額90万円の「OCEVISTAS mini」を、集中管理やスケールアウトしたい企業向けには年額792万円からの「OCEVISTAS BasicRobo」を提供しています。
UiPath StudioX - Ui path株式会社
- デスクトップ業務やブラウザからのデータ取得などを自動化
- ロボットは業務の実行だけでなく「アイデアの発見」もできる
- 開発・実行・管理・自動化管理の4ツールを使い分けられる
UiPathは、ルーマニア発のソフトウェアベンダー「UiPath社」が運営するオンプレミス型のRPAツールです。デスクトップ業務やブラウザを介したデータ取得などさまざまな操作を自動化。ロボットは業務の実行だけでなく、自動化アイデアの発見も可能です。
UiPathは「Studio(開発)」「Robots(実行)」「Orchestrator(管理)」「Automation Hub(自動化の管理)」の4つのツールに分かれており、各シーンに合わせて利用します。金融や医療、保険、電気通信、製造など多くの業界での導入実績があります。
目的や予算に合ったオンプレミス型RPAを選ぼう
オンプレミス型のRPAは、カスタマイズ性に優れていることや障害時でも安定稼働できること、さらにセキュリティ性も高いといったメリットがあります。そのためシステムに対して柔軟性や安定性を求める企業や、より強固なセキュリティを構築したい企業におすすめです。
オンプレミス型RPAを選ぶ際には、次のポイントに注意するとよいでしょう。
- 必要機能が揃っているか
- どのような業務を自動化できるか
- 本当に費用対効果があるか
- 慣れていない従業員でも使いやすいか
これらのポイントを意識しながら、自社の目的や予算に合ったRPAを選びましょう。今回紹介したツール以外のRPAを比較したい方は、次の記事を参考にしてください。

