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電子インボイス採用のPEPPOLって?31カ国で使われる国際規格 - 2021年6月日本向け初版公開

最終更新日:(記事の情報は現在から1189日前のものです)
電子インボイス推進協議会が、日本国内向け電子インボイス(デジタル請求書)仕様を国際規格の「PEPPOL(ペポル)」に準拠させると発表しました。PEPPOLは、元々EU諸国の政府調達プロセスを効率化する目的で策定されたものですが、現在31カ国が導入しています。PEPPOLベースの国内標準仕様は、初版が2021年6月に公開される予定です。

電子インボイスは「PEPPOL」準拠に

会計処理システムなどを手がける企業で構成された業界団体の電子インボイス推進協議会(EIPA:E-Invoice Promotion Association)が2020年12月、国内向け電子インボイス仕様を国際規格の「PEPPOL(ペポル)」に準拠させると発表しました。

電子インボイス推進協議会は2020年7月に発足した組織で、デジタル請求書である「電子インボイス」の標準仕様策定に取り組んでいます。この標準仕様のベースとして、欧州を中心に普及しているPEPPOLを選びました。

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なぜ電子インボイスが必要?

電子インボイス推進協議会が結成された背景には、2019年10月に実施された消費税の税率変更と、2023年10月に導入される予定の「適格請求書等保存方式」があります。

消費税と適格請求書

消費税の税率は、2019年10月にそれまでの8%から10%へ高められました。ただし、食料品など一部商品の税率は8%で据え置かれたため、商品によって税率が異なっています。

請求書を発行する場合、商品やサービスそれぞれにどれだけの税率が適用されるか明記しなければなりません。そうしないと、事業活動の過程で支払った消費税と受け取った消費税を相殺する「仕入れ税額控除」処理が適切に行えないからです。こうした複数税率に対応した請求書は「適格請求書(インボイス)」と呼ばれ、消費税の会計処理で要となります。

日本では、2023年10月に適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入されます。その結果、適格請求書の発行と受領が消費税を適切に処理する際の要件となり、企業を中心に対応を迫られているのです。

統一フォーマットで効率化を

請求書発行や会計処理でのシステム利用が進むなか、書類の仕様差異が原因でデータを適切に処理できないことがあります。インボイス制度でさらに複雑になり、電子化の恩恵を受けられない可能性もあります。そこで、共通で使える電子インボイスの標準仕様を定めようと、電子インボイス推進協議会が生まれました。

フォーマットが統一されれば、企業間のデータ連携がスムーズになり、経理業務の負担が軽減されるでしょう。会計システムが標準仕様に準拠していれば、請求書や領収書の発行、入金や支払いの処理、帳簿への記帳、確定申告に必要な書類の作成などもかなり自動化できます。

電子インボイスが当たり前になると、企業は会計処理を積極的に電子化、オンライン化、クラウド化します。また、2020年10月に改正された電子帳簿保存法の影響で、会計業務のペーパーレス化もいっそう進むはずです。

脱ハンコの流れもあり、行政手続きのデジタル化が一気に進展。日本の事務処理もいよいよ本格的なデジタル時代へ突入します。電子インボイス標準仕様策定は、これを強力に推し進める柱の1つといえます。

日本でも採用されるPEPPOLとは

電子インボイス推進協議会は、国内向けの電子インボイス標準仕様を「PEPPOL(ペポル)」ベースで開発するとしました。

OpenPEPPOLが管理する国際規格

PEPPOLとは、OpenPEPPOLという非営利団体が管理している、電子文書の交換を目的とした国際的な標準規格です。

元々は、EU諸国の政府調達プロセスを効率化する目的で、欧州委員会(EC)を中心として2008年にスタートしたPan-European Public Procurement On-Line(PEPPOL)プロジェクトが策定に取り組んできました。

PEPPOLプロジェクトがPEPPOL仕様を完成させた2012年9月に、作業を引き継ぐ組織としてOpenPEPPOLが発足し、現在に至ります。

PEPPOLで国際取引のチャンスが広がる?

PEPPOLに対応したシステムを使うと、欧州の政府調達や企業間取引で交換する必要のある電子インボイスなどの電子文書を、オンラインでやり取りできます。

電子文書の種類は電子インボイスに限定せず、製品の認定証や仕様書なども含み、これらに電子署名を施して授受する、ということが可能です。政府と民間の取引だけでなく、政府間の取引、もちろん民間同士の取引もカバーします。

出典:OpenPeppol / About OpenPEPPOL

PEPPOLに従った文書の送受信は、Access Points(アクセスポイント)を経由で接続する「PEPPOL eDelivery Network」を使います。送信側も受信側もPEPPOL対応のシステムを使えば、欧州で多くの政府機関や企業とスムーズに取引できるようになり、ビジネスチャンスが広がるのです。

出典:OpenPeppol / PEPPOL eDelivery Network – An Overview

31カ国でネットワークが稼働

PEPPOLは米国やカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどにも導入されているそうです。電子インボイス推進協議会によると、31カ国で295個のPEPPOLネットワークが稼働しています(2020年8月19日時点)。

ただしPEPPOL導入にあたっては、導入する国や地域の法律や商習慣に合わせた調整が必要です。具体的には、採用国の行政機関にPEPPOL Authorities(管理局)を設置し、適切な標準仕様を策定することになります。日本の場合は、電子インボイス推進協議会がPEPPOLベースの日本向け標準仕様を策定するわけです。

国によって使用する電子文書やサービスの種類も異なります。たとえば、オーストラリアは電子インボイスを主軸にしてますが、フランスは電子署名認証サービス、スウェーデンは電子発注と電子カタログもPEPPOLで処理する環境を導入済みです。

各国のスタンスや管理局、アクセスポイントは、OpenPEPPOLのウェブサイトで確認できます。

標準仕様策定までのスケジュール

電子インボイス推進協議会は、2021年6月末に国内向け電子インボイス標準仕様の初版を公開するとしています。それまでの期間、PEPPOLを詳細に分析し、必要な追加要件などを整理するそうです。2022年秋には企業が電子インボイス対応ソフトウェアなどを使用できるようにし、2023年10月のインボイス制度開始に備えます。

おおよそのシステム対応タイムラインは次のとおり。

  • 2020年12月  標準仕様に「PEPPOL」採用を決定
  • 2021年6月末  電子インボイス標準仕様初版公開
  • 2022年秋めど 企業が対応ソフトを使用できる状態に
  • 2023年10月  インボイス制度開始

同会はこうした活動と並行して、標準仕様の管理・運用体制の構築、普及・活用に向けた仕組み作りなどを政府に働きかけていきます。

電子インボイスが普及すれば、請求、支払い、記帳、申告といった業務の効率化が期待できます。さまざまな処理がデジタル化、オンライン化されるため、テレワークや在宅勤務もしやすくなるはずです。さらに、PEPPOL対応ということで国際的な取引にも役立つでしょう。

電子インボイス標準仕様への対応をユーザー企業が意識することはあまりありません。しかし、事業をするうえで間違いなく重要なキーワードになります。電子インボイス推進協議会からの情報発信に注目しましょう。

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