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金種表とは?ひな形付きで書き方を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から36日前のものです)
金種表とは、小口現金を決まった金額に揃えたり、現金残高の確認や過不足の金額を知るために、紙幣や硬貨の種類別に記入ができる表のことです。手金庫による小口現金管理や、銀行窓口で預金を引き出す際によく使用します。「金種表」の概要を紹介し、金種表の主な記載事項について詳しく解説します。また、すぐに使える「金種表」のひな形も用意しました。

金種表とは

金種表(きんしゅひょう)とは、現金の残高を正確で素早く確認するために、金種別(お札や硬貨の種類ごと)で数量と合計額を書き込む表です。少額の現金の出入りが多い状況で、小口現金を管理する際に金額の把握が手早く正確にできるため役立ちます。

金種表の体裁は簡易な表でしかないため、Web上にあるテンプレートをダウンロードして活用するか、現場の状況に合わせて表計算ソフトを使えば簡単に作成できます。

小口現金で行う業務上の取引

小口の現金で行う業務上の取引とは下記のような状況です。

  • 定期配達される飲料・新聞雑誌・薬代
  • フロアマットや衛生消耗品の交換代
  • 出張旅費や宿泊費、交際費の支給・精算
  • 事務用品や清掃用品、消耗品などの購入
  • 商品販売による少額の売上

現金で精算する入出金では取引ごとに総額のチェックはせず、その日の終わりに伝票(売上・仕入れ・現金出納など)を起票し、仕訳帳に転記します。そして、月の終わりにも合計額をチェックして総勘定元帳へと転記します。

なお、小口現金管理は少額といっても現金を扱うことや、最終的に決算書類と連動して業績にも影響するため、厳格に管理するために下記のような点に注意しなければなりません。

  • 日々の管理で現金出納帳を使う
  • 小口現金の管理者は数名に絞る
  • 小型金庫で独立させて管理する
  • 締め日を設けて残高を合わせる

日々の管理で現金出納帳を使う

少額の現金を置いておき、その場で現金精算する場合には「現金出納帳」を用いて日々の取引内容を管理する必要があります。ただし、現金出納帳に記載された金額はあくまでも帳簿上の残高にすぎず、帳簿と現金残高が同じかどうかを実際に現金を数えて調べなければなりません。

帳簿残高と実際の現金残高とを照合し、正しい帳簿記帳や現金の入出金が行われているかを照合します。会計帳簿に影響する日々の取引は正確さが最も肝心です。

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小口現金の管理者は数名に絞る

小口現金の管理者は数名に絞るべきです。現金の出し入れ作業や現金出納帳への起票、終業時の整合確認作業など、人為的ミスが起こりやすい箇所がいくつかあり、ミスがあれば原因を探しつつ帳簿に起票する手間がかかります。

管理者は「几帳面で責任感が強い」といった観点から人選し、管理者を少数に絞ってミスが起こりづらく原因が見つけやすいような環境作りも大切です。

小型金庫で独立させて管理する

小口現金を責任者からその都度手渡しでもらい、取引後におつりを返していると、責任者個人のお金と混同して勘違いや間違いが起こりやすくなります。

事業上の会計は、事業に関するお金を他とは切り離して管理するのが基本です。そのため、個人のお金が混ざる可能性を排除するためにも、小口現金専用の手金庫で独立させて管理しましょう。

締め日を設けて残高を合わせる

月末の締め日には、金種表で小口現金の残高を確認したあとに「現金出納帳」の月末残高と「手金庫」に今ある現金が一致するかを確認します。

両者が一致しなければ、ミスの原因探しと帳簿への起票作業が必要になるため、その日その日の締め作業を正確で確実に行って、翌日に備えましょう。

金種表が必要なタイミング

金種表が必要なタイミングは小口現金の管理時です。金種表がなくても小口現金の管理はできますが、やみくもに集計するよりも金種表にお札や硬貨の数量が決められている方が、現金の金額を確認する際や超過金の回収および不足金の補充などを早く正確に行えます。

しかも、小口現金は必ず日締めで作業して、その日の取引と残金額の整合を確認しなければなりません。現金の集計はルーティン化された方法があるほうが早くて正確に行えます。

そのほかの金種表の利用シーンとしては、銀行で預金を引き出す際にお札や硬貨の枚数を指定するなら、銀行窓口で金種表を記入して窓口担当者へ指示する方法が一般的です。

金種表の保存期間

金種表には、作成義務や保存期間に法的な縛りはとくにありません。ただし、現金取引があったときに現金の出し入れを記録する「現金出納帳」や「売上帳」「仕入帳」には、法的に下記の保存期間が決められているため、取扱には注意しなければなりません。

  • 法人:各事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間
  • 個人:青色申告も白色申告も原則7年間(5年間の書類もあり)

金種表の書き方

手金庫に関わる金種表の利用は、おおむね下記の2つのパターンです。

手金庫に一定金額の現金を用意する

営業前に毎日決まった金額にしておくために、お札や硬貨の枚数を金種表に書いて指定します。

金種表を見ながらお札や硬貨の枚数を揃えて、いつも決まった金額を手金庫に入れる。もしくは、すでに入金済みの現金を、金種表を見ながら過不足ないかチェックします。

手金庫の現金がいくら増減したか確認する

営業後には、その日の取引によって手金庫の現金がどれほど増減したのかを、金種表を見ながら確認します。不足分は補充し超過分は回収していつもの金額に合わせ、伝票(売上・仕入れ・現金出納など)を起票し仕訳帳に転記します。

たとえば、次のような金種表を書いて手金庫に貼っておけば常に確認ができて便利です。金種表に書くのは、真ん中の枚数と右の金種ごとの小計および最下部の合計です。

金額 枚数 小計
10,000円 1枚 10,000円
5,000円 3枚 15,000円
1,000円 8枚 8,000円
500円 6枚 3,000円
100円 13枚 1,300円
50円 4枚 200円
10円 12枚 120円
5円 4枚 20円
1円 10枚 10円
合計 37,650円

なお、日締めのときに手金庫の現金と帳簿の金額に差異が生じている場合には、不足分を誰かのポケットマネーから補填するのではなく、原因を探すことと同時に下記のような適切な会計処理が必要です。

(1)日締めの段階で原因が不明の場合
 (借方)現金過不足 4,900円 (貸方)現金 4,900円

(2)翌日に原因が判明した場合
 (借方)新聞図書費 4,900円 (貸方)現金過不足 4,900円

(3)決算まで原因が判明しなかった場合
 (借方)雑損失 4,900円 (貸方)現金過不足 4,900円

ちなみに、金種表は現金の合計額を計算して当初の設定額からいくらの増減があるのかを知るためのものですが、マイクロソフトのExcel関数(INTやMODなど)を使えば、設定金額に対してどの金種を何枚補充・回収すれば設定どおりになるかが瞬時に正確にわかります。また、Google スプレッドシートに準拠した関数でもExcelと同様にできるため、業務の効率化やミスの軽減のために挑戦してみてもよいでしょう。

金種表のひな形(テンプレート)

金種表のひな形としてこちらにテンプレートを用意しました。金種表を作成する方はぜひダンロードしてください。

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