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社内ポータルサイトとは?導入メリットや作り方・おすすめツール比較

最終更新日:(記事の情報は現在から254日前のものです)
社内の情報を一か所で管理できる社内ポータル。社内ポータルの機能や導入メリット、活用されなくなってしまう理由などを紹介し、似た機能を持つ社内SNSやグループウェアなどとの違いを解説します。

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ポータルサイトとは

ポータルとは、元来、「玄関」や「入口」を意味する言葉です。ITの分野では、インターネット上で情報やサービスへのアクセスを提供する「入口」となるWebサイトを指します。

そして、インターネット上でさまざまなWebサイトへのリンクやサービスが提供されているサイトを、ポータルサイトと呼びます。ポータルサイトは、ユーザーが目的の情報へ素早くアクセスできるよう、カテゴリ分けされたリンク集やキーワード検索機能を備えているのが特徴です。

代表的なポータルサイトとしては、Yahoo! JAPANが挙げられます。

Yahoo! JAPANのトップページには、ニュースや天気情報などさまざまな情報が掲載されており、まさに「情報の窓口」となるようなサイトといえます。

社内ポータルサイトとは

一般的なポータルサイトに対して、従業員向けに作られたポータルサイトが「社内ポータルサイト」です。主な違いは次のとおりです。

種類 情報の公開範囲 主な用途 機能
社内ポータルサイト 社員のみ 情報の一元管理 ビジネス向け機能が豊富
一般的なポータルサイト 不特定多数 情報の検索 検索機能のみ

このように、社内ポータルと一般的なポータルサイトの大きな違いは、「情報を閲覧できるユーザー」と「使用できる機能」にあります。

一般的なポータルサイトは、情報検索を目的に使用されます。

一方、社内ポータルサイトは、業務効率化を目的に導入されるツールです。そのため、一般的なポータルサイトにはない機能が搭載されています。

社内ポータルサイトの主な機能

社内ポータルサイトに搭載されている代表的な機能は、次の5つです。

  • スケジュール管理
  • レポート機能
  • コミュニケーションツール・メッセージ
  • プロジェクト管理・ワークフロー
  • 掲示板

スケジュール管理機能

社内ポータルのスケジュール管理機能では、タスクの期日や会議の日時などをカレンダー形式で管理できます。

登録した予定は共有できるので、チーム内でスケジュールを簡単に調整・共有できるようになります。やるべきタスクの見落としや、チーム内の情報の共有不足といった問題を解決可能です。

レポート機能

社内ポータルのレポート機能を使えば、外出先でもスマートフォンを通じてリアルタイムで現場の状況を職場と共有可能です。何か問題が起きたときでも迅速に対処できるようになります。

また、データを入力すれば自動でグラフ化・分析してくれる機能もあるため、手間を省きながらより内容の充実した日報や報告書を書けるようになります。

プロジェクト管理・ワークフロー機能

社内ポータルの機能の一つであるプロジェクト管理を利用すれば、プロジェクトの目標や進捗状況・スケジュールをも包括的に共有可能です。

「誰が何を担当していて、どのような状況にあるのかがわからない」といった状態が大幅に改善され、さまざまな項目が可視化されるので、チーム内でプロジェクトを進めやすくなります。

コミュニケーションツール機能

社内ポータルには、SNSやチャット機能などのコミュニケーションツールも含まれています。

メールのように堅苦しく形式ばったものとは異なり、リアルタイムにフランクなやり取りができるため、社内のコミュニケーションを活性化させやすいのが特徴です。

ムダな会議を削減できるうえに、情報がより容易に共有できるため、業務効率アップにもつながります。

掲示板機能

掲示板機能を利用すれば、共有すべき情報を素早く社員へ周知できます。

また、「部署をまたぐような連絡」「対面でのコミュニケーション」「質問が難しい場合」といったシチュエーションでも、掲示板機能を使うことで疑問やノウハウを共有できる点もメリットです。

類似ツールやサービスとの違い

社内ポータルサイトは、社内の情報共有やコミュニケーションを促進するツールとして活用されますが、類似のツールやサービスとは目的や機能に違いがあります。

次に、類似ツールやサービスとの違いをそれぞれ紹介します。

社内SNSとの違い

社内SNSは、従業員間のコミュニケーションを主な目的としたツールです。プロフィール機能やタイムライン、グループ機能などを通じて、従業員同士が情報を共有し、つながりを強化できます。

一方、社内ポータルサイトもコミュニケーション機能を備えていますが、それだけでなく業務に必要な情報やツールへのアクセスを集約することで、業務効率の向上を重視しています。

社内SNSとは異なり、社内ポータルサイトは情報共有とコミュニケーションの両方を包含しつつ、業務効率化により重点を置いているのが特徴です。

グループウェアとの違い

グループウェアは、チームやプロジェクトの協働をサポートするためのツールです。

主な機能として、スケジュール管理、タスク管理、ファイル共有、掲示板などがあり、チームメンバー間のコミュニケーションと情報共有を促進します。グループウェアは、比較的小規模なチームやプロジェクトにおける利用に適しています。

一方、社内ポータルサイトは、グループウェアの機能を包含しつつ、より広範な情報やサービスへのアクセスを提供するツールです。

また、社内ポータルサイトは電子決裁や各種申請フォーム、従業員向けサービスなど、業務に直結する機能も提供しており、業務プロセスの効率化を図ります。

社内ポータルサイトとグループウェアは、ともに協働をサポートするツールですが、社内ポータルサイトは、より大規模な組織における情報共有と業務効率化に適しているのが特徴です。

社内掲示板との違い

社内掲示板は、従業員間の情報交換や意見交換のための場として機能します。電子的な掲示板として、会社からのお知らせや各部門からの連絡事項などが掲載され、従業員はコメントを通じて意見を交わせます。

このように、社内掲示板は比較的シンプルな機能で構成され、情報共有とコミュニケーションに特化しているツールです。

一方、社内ポータルサイトは、社内掲示板の機能を包含しつつ、より多岐にわたる情報やサービスを提供することで、利便性向上を目的としているツールです。

たとえば、社内の各システムへのシングルサインオンや、業務マニュアル、FAQ、従業員向けサービスなどを集約し、ワンストップでアクセスできます。

社内イントラネットとの違い

社内イントラネットは、企業や組織内で構築される私設のネットワークインフラを指します。インターネットから独立したネットワーク環境で、セキュリティを確保しつつ、情報共有やコミュニケーションのための基盤として機能する環境です。

社内イントラネットは、ファイルサーバーや各種システム、データベースなどを連携させ、業務に必要な情報を共有するための基盤といえます。

これに対して、社内ポータルサイトは社内イントラネット上で運用される一つのサービスといった立ち位置にあるツールです。

社内ポータルサイトが必要とされる背景

従来は、社内イントラネットに業務情報やドキュメント・ファイルなどがまとめられていました。しかし、近年では社内ポータルを活用するケースが増えています。

主な背景として、次のような理由が挙げられます。

働き方が多様化してきた

近年、コロナ禍を機に働き方の多様化が進み、ニーズにあわせた柔軟な労働環境の提供が求められるようになりました。リモートワークやフレックスタイム制の導入など、従業員が場所や時間にとらわれずに働ける環境が整備されつつあります。

このような状況下では、社内コミュニケーションや情報共有の方法も柔軟に対応しなくてはなりません。

社内ポータルサイトは場所を問わずアクセス可能であるため、多様な働き方を支援するツールとして注目されています。

管理すべき情報が増えている

IT化が進んだ現代では企業や組織の扱う情報量が年々増加しており、効率的な情報管理が重要な課題です。

このような背景があり、情報をまとめて管理しスムーズに共有できる社内ポータルサイトが求められています。

社内ポータルサイトは、散在する情報を一元的に管理し、従業員がスムーズに必要な情報にアクセスできる環境を提供しています。これにより、情報の重複や不一致を防ぎ、業務の効率化が可能です。

また、社内ポータルサイトは情報のセキュリティ管理に役立つのも特徴です。アクセス権限の設定により、機密情報の漏えいリスクの軽減にもつながります。

社内ポータルを導入するメリット

社内ポータルを活用することで、さまざまな業務を効率化できます。とくに次の7つは、社内ポータルを導入する大きなメリットです。

  • 社内情報を管理しやすい
  • 情報共有の手間が省け、スムーズになる
  • リモートワークの生産性向上に役立つ
  • ペーパーレス化の推進に貢献する
  • 社内のコミュニケーションが活性化する
  • 社内からの問い合わせが減る
  • ワークフローが定着する

社内情報を管理しやすい

社内ポータルを導入することで、従来バラバラだったアプリを一か所にまとめられるので、職場での情報共有がよりスムーズに行えるようになります。

それまでは別々に管理されていた「掲示・プロジェクト管理・ファイル」などを社内ポータルに集めることで、必要な情報へ簡単にアクセスできるようになります。

また、情報の更新や削除も一か所で行えるため、情報管理の手間を大幅に削減可能です。情報の一元管理により、情報の重複や不一致を防ぎ、業務の効率化を図れます。

情報共有の手間が省け、スムーズになる

必要な情報を社内ポータルに集約することで、社内やチーム内での情報共有のスピードが格段に向上するのもメリットです。

従業員は社内ポータルにアクセスするだけで、必要な情報を入手できるため、メールでの情報共有や資料の配布などの手間が不要になります。

また、社内ポータルでは、部門を越えた情報共有も容易に行えるため、組織全体の連携も促進可能です。

リモートワークの生産性向上に役立つ

社内ポータルは、リモートワークの生産性向上にも役立ちます。リモートワーク環境下でも、社内ポータルを通じて必要な情報にアクセスできるため、業務の継続性を確保できます。

また、社内ポータルを通じて、コミュニケーションツールやオンライン会議システムなどを提供することで、リモートワーク時の社内コミュニケーションも円滑に行えます。

ペーパーレス化の推進に貢献する

社内ポータルによって、ペーパーレス化の推進に貢献する点もメリットの一つです。各種申請フォームや承認ワークフローを社内ポータルに組み込むことで、紙の書類を削減できます。

また、電子データでの情報共有が促進されるため、紙の資料の印刷や配布の必要性も減ります。

社内のコミュニケーションが活性化する

社内ポータルを上手に活用できれば、社内コミュニケーションの活性化も可能です。社内ポータルに掲示板機能やコメント機能を設けることで、従業員間の情報交換や意見交換が促進されます。

また、会社からのお知らせやトピックスを社内ポータルに掲載することで、社内の情報共有が円滑になり、一体感の醸成につながります。

社内からの問い合わせが減る

社内ポータルを導入することで、社内からの問い合わせを減らせるのもメリットです。従業員が必要な情報をみずから検索・入手できるようになるため、他部署への問い合わせや確認の必要性が減ります。

また、FAQやマニュアルを社内ポータルに掲載することで、従業員の自己解決を促せます。社内ポータルによって問い合わせ対応の負荷が軽減され、業務の効率化が可能です。

ワークフローが定着する

社内ポータルにワークフロー機能を組み込むことで、業務プロセスの標準化と定着化を促進できます。申請や承認のプロセスを社内ポータル上で行うことで、手順の統一化と可視化が実現します。

また、ワークフローの進捗状況を追跡できるため、業務の滞留や遅延を防ぐことも可能です。ワークフローの定着により、業務の効率化と品質向上を図れます。

社内ポータルサイトの作り方

社内ポータルサイトを構築する方法はいくつかあるため、要件や予算、リソースにあわせて最適な方法を選択しましょう。

次に、社内ポータルサイトの主な作り方を紹介します。

パッケージや既存サービスを活用する

社内ポータルサイトの構築には、市販のパッケージや既存のサービスを活用する方法があります。

これらのソリューションは、一般的な機能や設計があらかじめ用意されているため、短期間でのポータルサイト構築が可能です。また、導入コストも比較的抑えられます。

ただし、要件に完全に合致しない場合があるため、カスタマイズの範囲や費用については事前に確認が必要です。

フルスクラッチで開発する

要件に完全に適合した社内ポータルサイトを構築するには、フルスクラッチでの開発が有効です。

業務フローや情報構造にあわせたサイト設計が可能であり、高い柔軟性と拡張性が確保できます。

ただし、開発には一定の時間と費用がかかるため、長期的な視点でのコスト対効果の検討が欠かせません。また、開発体制や運用・保守体制の整備も考える必要があります。

ツールを使って自作する

社内ポータルサイトの構築には、CMSやポータル構築ツールを使って自作する方法もあります。

これらのツールを活用することで、プログラミングの知識がなくても、比較的容易にサイトを構築可能です。ツールによっては、テンプレートやプラグインが提供されているため、必要な機能を迅速に実装できます。

ただし、ツールの選定をする際には要件にあったツールを選び、長期的な運用・保守の観点からも評価することが重要です。

社内ポータル導入に失敗する理由

社内ポータルには多くの機能があり、上手に活用することでさまざまなメリットをもたらしてくれます。

しかし、このようなメリットを期待して社内ポータルを導入したものの、十分な活用がしきれずに導入失敗に陥ってしまうケースも少なくありません。

次に、社内ポータルが活用されない原因について解説します。

習慣化されない

社内ポータルが従業員に浸透せず、日常的に利用されない場合、導入の効果を発揮できません。社内ポータルを習慣化するためには、トップダウンでの利用促進と、従業員への教育・サポートが重要です。

社内ポータルの利用を業務プロセスに組み込み、定期的な利用が促せる施策を実施することで、習慣化を図れます。

必要な情報を見つけられない

社内ポータルに情報が集約されていても、従業員が必要な情報を見つけられなければ、活用されません。情報の整理・分類を適切に行い、検索機能を充実させることが重要です。

また、よく使われる情報へのアクセスを容易にするため、トップページのレイアウトや導線の最適化も欠かさずに意識しましょう。

情報が更新されない

社内ポータルの情報が古くなると、利用意欲が低下します。「ポータルを確認しても必要な情報が得られない」「ポータルを確認しなくても必要な情報は聞けばよい」といった状態が続くと、従業員は社内ポータルを利用する理由が無くなってしまいます。

そのため、情報の鮮度を保つためには、定期的な更新と、更新プロセスの確立が不可欠です。各部門の情報更新責任者を明確にし、更新頻度や手順を定めることで、情報の鮮度を維持できます。また、更新状況のモニタリングと、更新の促進も重要な要素です。

コンテンツの投稿に手間が発生する

社内ポータルへのコンテンツ投稿に手間がかかると、情報の更新が滞ってしまいます。投稿プロセスを簡素化し、従業員の負担を軽減することが重要です。

投稿フォームの最適化や、投稿テンプレートの用意、ワークフローの自動化といった工夫をすることで、投稿の手間を減らせます。

何を投稿すればよいのかわからない

従業員が社内ポータルに何を投稿すべきかわからない場合も、情報の更新が進みません。投稿すべきコンテンツのガイドラインを作成し、従業員に周知しましょう。

投稿事例の共有や優れた投稿の表彰なども、投稿意欲を高める効果的な施策です。

使い方がわからない

社内ポータルの使い方がわからないと、従業員は利用を避けてしまいます。そのため、ただ導入するだけではなく、使い方の周知や継続的なサポートが欠かせません。

マニュアルやFAQの整備、オンラインでのトレーニング、ヘルプデスクの設置などを行うことで、従業員の利用をサポートできます。また、社内ポータルの使い方を浸透させるためには、リーダーによる率先利用も効果的です。

社内ポータルサイトを導入すべきケースの例

社内ポータルサイトは、情報共有やコミュニケーションの効率化に役立つツールですが、すべての企業に適しているわけではありません。

次に、社内ポータルサイトを導入すべきケースの例について説明します。

企業規模や業務の特性、働き方の変化などを考慮し、社内ポータルサイトの導入が効果的と判断される場合は、積極的に導入を検討しましょう。

従業員数が多い

従業員数が多い企業では、情報共有やコミュニケーションの効率化が重要な課題になりがちです。

社内ポータルサイトを導入することで、全従業員に対して一斉に情報を発信したり、違う部署とのコミュニケーションを促したりできます。

また、問い合わせ対応の負担を軽減し、業務の効率化を図ることにもつながります。

同じ問い合わせが頻繁にある

社内の問い合わせ対応に時間を取られている企業では、社内ポータルサイトの導入が有効です。

よくある質問や問い合わせへの回答をFAQとして社内ポータルサイトに掲載することで、従業員の自己解決を促せます。

また、問い合わせ対応の手順やフローを社内ポータルサイトで共有することで、対応の標準化と効率化も図れます。

従業員間でのナレッジやスキルに差がある

従業員間でナレッジやスキルの差が大きい企業では、社内ポータルサイトを活用した情報共有が効果的です。

ベテラン従業員の知見やノウハウを社内ポータルサイトで共有することで、経験の浅い従業員のスキルアップを支援可能です。

また、部門を越えた情報共有により、従業員間の相互理解と協力の促進にもつながります。

テレワークを導入している

テレワークを導入している企業では、社内ポータルサイトが重要なコミュニケーションツールとして機能します。

社内ポータルサイトを通じて、リモートワーク中の従業員とのコミュニケーションを円滑に実施可能です。

また、テレワークに必要な情報やツールへのアクセスを社内ポータルサイトで提供することで、リモートワークの生産性向上にもつながります。

社内ポータル導入時の流れ

社内ポータルを導入する際には、明確な目的をもち、要件にあった導入形式を選択することが重要です。また、導入後の運用や活用方法についても十分に検討する必要があります。

次に、社内ポータル導入時の一般的な流れについて説明します。

ステップ1. 社内ポータルの導入目的を決める

まずは社内ポータルの導入目的を明確にしましょう。情報共有の効率化、コミュニケーションの活性化、業務の生産性向上など、社内ポータルに求める役割を具体的に定義します。

ただし、導入目的によっては、社内ポータルよりも社内SNSや社内掲示板が適している場合もあるので、ツールの選定は慎重に行う必要があります。

種類 主な目的
社内ポータル 情報の一元管理
グループウェア 業務効率化
社内SNS コミュニケーションの効率化
社内掲示板 情報共有

ステップ2. 要件にあった導入形式を選ぶ

社内ポータルの導入形式は大きく分けて、「既存サービスを利用する場合」「自作する場合」の2つです。求める要件や予算、リソースにあった導入形式を選択しましょう。

また、セキュリティ面での要求事項や、既存システムとの連携の必要性なども考慮して、最適な導入形式を決定します。

最近ではパッケージ化された既存サービスのほとんどがSaaS型で提供されており、使いやすく安価なサービスも増えてきました。

そのためどうしてもオーダーメイドで自作したいといった特別な理由がなければ、SaaS型の利用がおすすめです。

ステップ3. 機能要件と非機能要件を定義する

次に、社内ポータルに必要な機能要件と非機能要件を明確にしましょう。

機能要件には、ニュース配信、掲示板、ドキュメント管理、ワークフロー、スケジュール管理などが含まれます。一方、非機能要件は、セキュリティ、パフォーマンス、ユーザビリティなどが挙げられます。

こうした要件定義は、実際に使う従業員の意見を取り入れながら、段階的に行うことが重要です。

ステップ4. 社内ポータルを設計・構築する

要件定義にもとづいて、社内ポータルの設計と構築を行いましょう。情報アーキテクチャの設計、ユーザーインターフェースのデザイン、機能の実装、データ移行などが、このステップにおける主な作業内容です。

構築段階では、従業員も巻き込んだテストを実施し、ユーザビリティの向上と不具合の早期発見に努めましょう。

ステップ5. 運用体制を整備する

社内ポータルの導入が完了したら、運用体制を整備しましょう。体制を整備するだけでなく利用推進チームを設け、利用推進の責任者まで決められると、より効率よく運用できます。

既存業務に慣れている社員にとって、新しいツールは負担になることがあります。どれだけ便利なツールでも、使い慣れるまでのフォローアップがなければ、浸透しません。

そのため、利用推進チームと責任者を決め、困ったときの相談フローを整えておくことが大切です。

利用推進チームはコンテンツの更新プロセスや問い合わせ対応の手順、システムの保守・管理方法などを定義し、実際に運用をする従業員や関係者に周知しましょう。

ステップ6. 効果測定と改善を行う

社内ポータルを導入したら、導入効果を定期的に測定し、改善につなげましょう。アクセス解析や従業員満足度調査などを通じて、社内ポータルの利用状況や課題を把握します。

改善が必要な点は優先順位を付けて対策を実施し、PDCAサイクルを回しながら、社内ポータルの価値を高めていきましょう。

社内ポータルサイトの導入・活用を成功させるポイント

社内ポータルサイト導入時の流れを踏まえて、社内ポータルを構築する際には次のポイントに注意しましょう。

  • 課題を明確にする
  • 使いやすくわかりやすいデザインにする
  • 検索性を高める
  • セキュリティ対策をする
  • 社内ポータルサイトは一つにまとめる
  • 投稿方法やルールを浸透させる

課題を明確にする

社内ポータルを構築する際には、構築後にどのような課題を解決するのか明確する必要があります。

社内ポータルサイトは、社内情報の共有をサポートし、業務における課題解決につなげるツールです。しかし、運用目的が不明確な状態で導入すれば、社内のニーズに応えられず効果的な運用ができません。

そのため、「情報周知の効率化」「ナレッジの整理や共有」など、どのような課題解決のために誰が使うのかといった目的を明確にしておきましょう。

目的を明確にすることで、構築のためにどのような機能が必要かもわかるようになります。これにより業務効率が向上し、ポータルサイトの運用効果を最大化できます。

使いやすくわかりやすいデザインにする

社内ポータルサイトの使いやすさやわかりやすさは、利用率と満足度に直結する要素です。使いにくいデザインのポータルサイトでは、従業員は必要な情報にたどり着くことが難しく、結果として社内ポータルサイトを活用しなくなってしまうかもしれません。

使いやすくわかりやすいデザインを実現するためには、次の点に留意しましょう。

意識すべきポイント 詳細
シンプルで直感的な導線設計 メニュー構成を簡潔にし、従業員が目的の情報へすぐアクセスできるように。
読みやすいレイアウトとフォント 適切な余白とフォントサイズを使用し、情報の可読性を高める。
一貫性のあるデザイン サイト全体で一貫したデザインを採用し、利用者の抵抗感や学習コストを減らす。
レスポンシブデザイン パソコン、タブレット、スマートフォンなど、さまざまなデバイスでも同じ操作感で対応できるように。
アクセシビリティへの配慮 色覚多様性や視覚障害に配慮し、すべての従業員が快適に利用できるように。

たとえば、よく使われる機能へのアクセスをトップページに配置したり、アイコンやビジュアル要素を活用したりすることで、直感的な操作性を実現できます。また、ユーザビリティテストを実施し、実際の利用者の意見を取り入れながらデザインを改善することも重要です。

検索性を高める

社内ポータルは毎日の業務で利用するため、情報の検索性を高めることも欠かせません。必要な情報へ誰もがアクセス可能な状態にするためには、使いやすさや見やすいといった要素に加え、高い検索性が求められます。

社内ポータルを導入しても、探している情報がどこにあるのかすぐにわからなかったり、検索をしてもスムーズに情報が見つからなかったりすると、活用されずに定着しないまま終わってしまうかもしれません。

検索性を高めれば業務効率がアップするだけでなく、迅速に問題解決が可能になり、社内ポータルの利用率を上げることにもつながります。カテゴリを整理するといった工夫をして、誰もが手軽に情報を見つけられるようにしましょう。

セキュリティ対策をする

社内ポータルの導入には、情報漏えいを防ぐためのセキュリティ対策も重要です。社内ポータルには個人情報や顧客情報、社外秘など、さまざまな情報が蓄積されています。

そのため、ポータルサイトの構築には、セキュリティレベルの高いサービスを選ぶだけでなく、利用する際にもセキュリティ対策を行いましょう。たとえば、アクセス制限やファイルに閲覧制限をかけたり、閲覧履歴を残したりといった方法で安全に情報共有が可能になります。

また、社員のセキュリティ意識を高めることも必要です。ヒューマンエラーによる情報漏えいを防止するためにも、テレワークで自宅からアクセスする際には、業務で使用するパソコンを他人と共有しないといった注意喚起を行いましょう。

社内ポータルサイトは一つにまとめる

社内ポータルサイトを一つにまとめることは、利便性と情報管理の効率化において非常に重要です。

たとえば、営業部門、人事部門、経理部門などが別々のポータルサイトをもっていると、従業員は目的の情報を得るために複数のサイトを行き来しなければならず、時間と手間がかかります。また、同じ情報が複数のサイトに重複して存在することで、情報の不整合が生じるリスクもあります。

大前提として、社内ポータルサイトは情報の一元管理と業務効率化を目的として作られるものであり、ポータルサイトが複数あると本末転倒です。

こうしたリスクを避けるためにも、社内ポータルサイトは一つのプラットフォームに統合しましょう。

投稿方法やルールを浸透させる

社内ポータルサイトの情報は、従業員がみずから投稿することで充実していきます。しかし、投稿方法やルールが周知されていないと、情報の質や量が低下してしまう恐れもあります。

投稿方法やルールを浸透させるためには、次のような取り組みが効果的です。

取り組みの例 詳細
マニュアルの作成と配布 投稿方法や注意点がまとめられているマニュアルを作成し、全従業員に配布する。
研修の実施 新入社員研修や定期的な社内研修で、社内ポータルサイトの使い方と投稿ルールについて説明する。
投稿事例の共有 優れた投稿事例を社内で共有し、他の従業員の参考になるようにする。
投稿の奨励と表彰 積極的に投稿した従業員を表彰したり、インセンティブを設けたりして、投稿を奨励する。
投稿内容のモニタリング 不適切な投稿がないかをモニタリングし、問題がある場合は速やかに対処する。

たとえば、投稿ルールとして、「個人攻撃や差別的な内容を含まない」「機密情報を投稿しない」「著作権を侵害しない」などを定め、全従業員に周知徹底しましょう。

また、投稿マニュアルには、文章の書き方、画像の選び方、タグの付け方など、具体的なTipsを盛り込むことで、従業員が適切な情報を投稿しやすくなります。

おすすめのSaaS型社内ポータルサイト7選

次に、SaaS型でおすすめの社内ポータルを紹介します。

社内ポータルは、セキュリティ対策を重視して選びましょう。とくに個人情報や顧客情報、社外秘なども扱う社内ポータルサイトを構築する場合は、ISO27001(情報セキュリティマネジメント)を取得しているサービスがおすすめです。

ツール名 主目的 英語対応 ISO27001の取得
Garoon グループウェア
OnePortal Modern 社内ポータルサイト -
Yappli UNITE 社内アプリ - -
WORKSTORY 社内SNS
Teams 社内SNS
kintone グループウェア
定額制Web社内報 情報共有 - -

Garoon - サイボウズ株式会社

Garoon
Garoon
BOXIL SaaS AWARD 	Winter 2024 Good Service
ボクシルSaaSのデータを元に表示しています
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Garoon(ガルーン)は、10人から数万人規模まで対応できるサイボウズのグループウェアです。スケジュールやワークフロー、ポータルなど情報共有に必要な機能を備えているほか、多言語とタイムゾーンなどグローバル対応機能も備えています。

ドラッグ&ドロップでポータル画面をカスタマイズでき、社内手続き一覧表示したり、他システムで管理するグラフを表示したりできます。自然な目線移動で操作できるよう配慮された画面設計、クラウド版やパッケージ版への対応で、大規模組織での豊富な導入実績が特徴です。

OnePortal Modern - SBテクノロジー株式会社

OnePortal Modernは、SharePoint Online上の社内ポータルサイトの視認性、デザイン性などを向上するクラウドサービスです。情報をカテゴリごとにまとめられるタブ型表示機能や、文書検索機能などの独自のWebパーツを、SharePoint Onlineの標準機能に追加して利用できます。

Microsoft Teams上でポータルサイトを閲覧でき、モバイルからのアクセスや、最新情報のTeams 通知による配信も可能です。アクセス解析データにもとづく改善も行え、ポータルサイトへのアクセス数を2倍増加させた事例があります。

※出典:SBテクノロジー「OnePortal Modern | SBテクノロジー (SBT)」(2024年7月31日閲覧)

Yappli UNITE - 株式会社ヤプリ

Yappli UNITEは、組織エンゲージメントの向上に役立つアプリを制作できるサービスです。社内連絡や部活紹介、社内外セミナーの動画といった教育コンテンツなどの社内情報を集約し共有できる社内アプリを作成できます。

アンケートへの回答やコンテンツの閲覧など、アプリ内の行動をもとにインセンティブを付与できるので、利用の促進もサポートしてくれます。アクティブ率やクリック数などのアプリ内行動の分析に加え、エンゲージメントスコアの分析もノーコードで可能です。

WORKSTORY - 株式会社ワークスメディア

WORKSTORY
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WORKSTORYは、エンゲージメント向上に特化した社内SNSツールです。タイムラインや動画による社内向けメッセージ、部活といったコミュニティの活動報告などを集約し、社内の活性化をサポートしてくれます。

社内連絡やタイムラインは多言語に自動翻訳できるほか、アンケート機能により、社内の意見もスムーズに集められます。新人マニュアルといった資料も集約管理でき、利用状況は全体や個人別に数字で確認可能です。

kintone - サイボウズ株式会社

kintone

kintoneは、サイボウズが手がけるクラウドサービスです。「コミュニケーションツール」「業務システム」の両機能を兼ね備えていることがkintone最大の特徴です。

業務にあわせて、タスク管理や案件管理のためのシステムを「アプリ」として簡単に作成できます。タスクや案件ごとにコミュニケーションを取れるため、後からやり取りの情報を探し出す時間も削減可能です。

また、社外や取引先のメンバーを「ゲストユーザー」として招待することで、kintoneでやり取りできる「ゲストスペース機能」もあります。そのため、メールや別のコミュニケーションツールを併用する必要が無くなり、情報を一元化可能です。

Microsoft Teams - 日本マイクロソフト株式会社

Microsoft Teams
Microsoft Teams
BOXIL SaaS AWARD 	Winter 2024 Good Service
ボクシルSaaSのデータを元に表示しています
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Microsoft Teamsは、Microsoft 365に含まれているサービスで、チャット・Web会議・通話・ファイル共有機能を統合したコラボレーションツールです。Microsoft Teamsは、Microsoft 365を導入していれば、追加費用なしで利用できます。

主な特徴として挙げられるのは、グループチャットからビデオ会議へ即座に切り替えが可能な点です。さらにファイルを共有して、Word・PowerPoint・ExcelなどのOfficeアプリで、共同編集をリアルタイムでも行えます。

定額制WEB社内報 - 株式会社エンカウント

定額制Web社内報は、定額制で更新し放題のWeb社内報サービスです。おまかせの管理システムにより、CMSに詳しくない方でも簡単に運用できます。また、指定のサーバー運用を行うためセキュリティ面も安心です。スマートフォン、タブレットなどいつでも閲覧可能です。


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【管理部門の担当者必見!】企業内の連絡をスムーズにするために不可欠なグループウェア。代表的な機能や種類、各システム...
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おすすめの社内ポータルサイト4選(自作向け)

社内ポータルを自作したい方には、次の4つのサービスがおすすめです。

サービス名 特徴
WordPress テンプレートが豊富なオープンソースソフトウェア
SharePoint Microsoftの関連サービス
Google サイト Googleの関連サービス
Knowledge ビジネスユースに適したオープンソースソフトウェア

WordPress

WordPress
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WordPressは、ブログ用のCMSとして圧倒的な世界シェアを誇り、完成度の高さから愛用者の多いオープンソースCMSです。ソースコードが無償のほか、無料で利用できるプラグインも多いことから、導入コストを抑えられます。

無料テンプレートだけで12,000種類以上もあり、有料テンプレートも追加で購入できます。

※出典:WordPress「WordPress テーマ | WordPress.org」(2024年4月11日閲覧)

SharePoint

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SharePointは、Microsoftが提供しているイントラネットサービスです。ファイルやコンテンツの共有を目的に作られたサービスのため、情報共有を活発に行いたい場合に向いています。

また目的ごとにテンプレートも用意されているため、社内ポータルをはじめて自作する方も安心して利用できます。

Google サイト

Google サイトは、Googleが提供しているサイト構築サービスです。ユーザーインターフェースは、Webサイトに近いためWebサイトのような社内ポータルを作成したい方に向いています。

またノーコードで社内ポータルを構築できるため、プログラミングに詳しくない方でも作成可能です。

Knowledge

Knowledgeは、完全無料のオープンソース(OSS)情報共有サービスです。Markdown記法に対応しており、添付ファイルの中身までも検索可能です。メール・デスクトップ・Slackなどに通知して情報の見逃しを防ぎます。

社内ポータルで生産性を向上させるために

社内ポータルは毎日使う以上、見た目や使い勝手は重要です。従業員が満足する社内ポータルを作成し、日々の業務を少しでも効率化しましょう。

とはいえ、情報をしっかり管理しないと「古いままで役に立たない」「更新する人がいない」といった状態になりかねないため、管理者を立て、ルールを決めた運用が必要です。

誰でも気軽に情報を投稿できるように、心理的障壁を取るような仕組みも考えておきましょう。

BOXILとは

BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。

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※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査

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