今さら聞けない「MECE」とは?ロジカルシンキングの基本的な考え方・コツ・フレームワークを解説

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ビジネスのさまざまな場面でロジカルシンキングの重要性が指摘されて久しいですが、今ではマッキンゼーなどの大手コンサルファーム以外でも、論理的な思考法が当たり前に推奨されています。ロジカルシンキングの基礎となるMECEという考え方について解説します 。
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MECEとは

MECEは「ミッシー」または「ミーシー」と読み、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(漏れなく、ダブりなく)」の略語です。つまり物事を考える際に、正確な答えを導き出すために必要な要素を網羅しつつ、重複しないようにする考え方です。

何かを考える際、とりとめもなく思考を巡らせてしまうことはないでしょうか。こうなると物事を体系立てて考えられず「必要な事実を無視する」「同じカテゴリに属する要素を別々に考えてしまう」などといったミスが起きます。

そこで「MECE」を意識することで、全体的な視点から必要な事実を分類し、問題や課題に対して正しくアプローチできます。

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MECEはなぜ必要なのか

ビジネスは問題解決の連続です。解決すべき問題や課題は、誰にでもすぐ理解できない複雑な構造をしています。一つひとつの要素が複雑に絡み合い、どういったアプローチをすれば解決するか見えづらいものです。

そのような複雑で膨大な課題をMECEに考えることで、「何が本質的な問題なのか?」を整理しながら考えられます。大きな問題でも小さな要素に細分化して考えれば、それだけ正しい解を導ける確率は高まるでしょう。これは問題の構造を捉えやすくなるからです。

MECEの具体例

MECEの具体例を簡単に紹介します。MECEで重要なのは問題の全体像を捉え、いくつかの要素に分類することです。その際にどういった切り口や意味合いで分けるのかをしっかりと考えるのがコツといえるでしょう。

問題や課題を構造化し、より考えやすく見通しやすい小さな要素に切り分けていくためには、それぞれの要素をMECEに考えていくのが基本です。

MECEの例:飲み物の分類

例として、自社の休憩スペースに設置する飲み物について検討しているとしましょう。世の中にたくさんある飲料を、どうすれば漏れもダブりもなくグループ化できるでしょうか。

単純にコーヒーやお茶など思いつくままに要素を並べていく方法もありますが、それだけでは抜けや漏れが生じやすくなります。MECEのコツとしては、まずどういう切り口で飲み物を捉えるのかを考えることです。

たとえばメーカーごとに分類する方法や、容量別に分ける方法が挙げられます。あるいはアルコール飲料とノンアルコール飲料に分ければ、分類がしやすくなります。

パッケージ別にするならば「缶飲料」「ビン飲料」「ペットボトル飲料」などに分類できます。そうして大まかな分類を決めた後に、それぞれのカテゴリごとに品目を挙げていくのがよいでしょう。さらにそのカテゴリの中で「容量別」「メーカー別」に分ければ、さらに漏れがないようになるでしょう。

まずは自分のなかで「これなら漏れがなく分類できる」という切り口を探してみるとよいでしょう。

MECEではない例

反対に、MECEになっていない例にはどういうものがあるでしょうか?

パターンとしては「漏れがあるがダブりはない」「漏れはないがダブりがある」「漏れもダブりも両方ある」の3つの状態が考えられます。

「漏れがあるがダブりはない」パターン

要素同士がダブってはいないものの、明らかに必要な要素が盛り込まれていないパターンです。

たとえば、売上を上げるための具体的な施策を考えるため、顧客を要素分解するとしましょう。売上を、「顧客数」×「顧客1人あたりが1回に使う金額(顧客単価)」と分解したとします。これだけでは、漏れてしまっている要素があることがわかるでしょうか。

1顧客が来る頻度です。それぞれの要素にダブるところはありませんが、施策を考えるうえで重要な顧客の利用頻度が抜けてしまっています。

「漏れはないがダブりがある」パターン

次に、全体の要素に漏れはないが重複、いわゆるダブりが生じているケースです。これはよく考えれば気づくことが多いので、結論を出す前にしっかりと考えるようにしましょう。

たとえば自社商品の提供ターゲットとして「大人向け」「子供向け」「男性向け」「女性向け」「若者向け」「中年向け」「老人向け」と要素を挙げていったとしたら、すべての顧客ターゲットを網羅してはいるものの、お互いにダブりがあることは明らかです。

男性も女性も大人と子供がいるわけですから、この分類のままターゲットを選定してしまうと混乱してしまうことになるでしょう。

「漏れもダブりも両方ある」パターン

最後に、分類に漏れもダブりもある場合です。実は意外に多くのビジネスシーンで、根拠となるデータに漏れやダブりがあるまま結論が出されてしまうので注意が必要です。

たとえば、学生向けの英語教材のターゲットとして「小学生」「中学生」「高校生」「予備校生」「受験生」といったグルーピングをしてしまうと、問題があることがすぐにわかります。

予備校生の多くは受験生ですし、予備校に通う学生の中には現役の中学生や高校生なども含まれる場合があるからです。また「大学生」も学生の範疇に入りますが、完全に候補から抜けてしまっています。要素に漏れもダブりも生じているため、このままの分類では後々問題が生じることになるでしょう。

安易に結論を出す前に一度立ち止まって、前提となる分類がMECEになっているかどうかを確認してみることが重要です。

MECEに考える2つの方法

物事や問題点をMECEに考えるための方法として「トップダウンアプローチ」と「ボトムアップアプローチ」の2つがあります。

トップダウンアプローチ

トップダウンアプローチは、まず物事の全体像を捉え、そこから全体を構成する一つひとつの要素を目的に沿った切り口で分類していく方法です。考えるべき範囲がはっきりと分かっている場合、つまり全体として考えるべき領域が明確に定義できるときに有効となるアプローチといえます。

飲料の例の場合は、飲み物という誰にでも理解できる明確な領域が定まっているため、あとはそこから容量やメーカー別といったように詳細に分類をしてから、そのカテゴリに当てはまる品目を挙げていけばよいことになります。

ボトムアップアプローチ

ボトムアップアプローチでは、まず考えられる事例や要素をひととおり洗いだし、それをグループ化することで全体像を導き出す方法です。どういう分類をすればよいのかが不明瞭な場合などに役立ちます。

たとえば、新商品に対する顧客の反応をカテゴリ分けしていくことで、どういうアプローチをすればどういう結果が得られるのかをグループ化できるでしょう。そうやって営業手法を体系化していくわけです。

あらかじめ適切な分類方法が分からないケースでは有効となりますが、全体像がわからないために要素に抜けや漏れが生じやすくなります。

切り口の考え方5選

MECEに物事を考えるうえで、どういう視点や切り口で分類を考えるかは非常に重要です。MECEのための代表的な5つの切り口について簡単に説明します。

要素分解

これはMECEにおける最も基本的な考え方です。全体像を把握し、それを構成する要素を網羅するように挙げていきます。

その後、分類した要素の合計が全体と一致するように考えます。年齢や性別といった人間の基本的な属性から、マーケティングの4Pや3C分析などといった汎用的なフレームワークもこの考えに基づいています。

4P

4Pとはマーケティングによく使われる要素分解の方法で、ものを売るときにどこに対して施策を行うかというヒントを得るために使われます。4Pはそれぞれ「P」から始まる以下の4単語を指します。

詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

4P(マーケティングミックス)とは | 分析内容と4Cとの違い | ボクシルマガジン
マーケティング・ミックスの4Pである「製品(Product)」「価格(Price)」「流通(Place)」「プロモ...

3C

3Cは事業計画やマーケティング戦略を決定する際に用いられるフレームワークです。これは外部環境(顧客・競合)と内部環境(自社)の両側面から考慮して会社の方針や、製品の売り方を決められます。それぞれ「C」から始まる以下の3単語を指します。

時系列にステップを分ける

時系列やプロセスに従って要素を並べていく方法です。たとえばこの方法に基づいたバリューチェーンという考え方がありますが、これは企業運営において必要な、原材料の調達から顧客に提供するまでの流れを段階的に網羅したものです。

対象概念で考える

「内」と「外」や「長所」と「短所」といった対立軸や「有形」「無形」といった対となる概念によって分類する方法です。

1つの要素に対して、その反対は何を指すかを考えればよいので、比較的利用しやすい考え方といえるでしょう。

因数分解

全体を掛け算などの等式で表す方法です。式を構成するそれぞれの項でMECEに考えるやり方といえるでしょう。

たとえばビジネスの利益は(顧客の数)×(単価)×(リピート)となりますし、インターネットマーケティングの世界でよく言及されるCPC(Cost Per Click)は広告のコストをクリック数で割った値(コスト/クリック数)となります。

CPCについてはこちらから。

CPCとは|意味や仕組み、ポイントを解説:Web広告用語 | ボクシルマガジン
CPCとは、クリック単価を意味するWeb広告用語です。さまざまな要因で変動するCPCは、どのような仕組みで値段が決...

既存のフレームワーク紹介

すでに説明しましたが、すでに確立されている認知度の高い汎用フレームワークを利用してMECEを実現する方法もあります。

マーケティングの4Pやバリューチェーン、あるいはプロダクトライフサイクルや広告宣伝に対する顧客の心理を段階的に説明したAIDMA(アイドマ)などが有名です。

マーケティングの世界では、こういったフレームワークが多数生み出されているので、必要に応じて使い分けられれば、専門分野に詳しくなくても、ある程度MECEに考えられるようになります。

AIDMAの法則についてはこちらで詳しく解説しています。

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また、プロダクトライフサイクルについてはこちらからどうぞ。

プロダクトライフサイクルとは | 各段階のマーケティング戦略 | ボクシルマガジン
企業のマーケティング戦略の基本となる考え方として知られるプロダクトライフサイクル(PLC)理論について説明します。...

MECEの注意点

最後にMECEに考える際の注意点について説明します。

物事を分類するうえで非常に重要かつ便利な方法であるMECEという概念ですが、あらゆることが綺麗に分類できるかといえばそうではありません。

たとえば本を分類するとして、2つあるいは3つのカテゴリに同時に含まれてしまう書籍も少なくありません。漫画とビジネス書は一見明確に分けられるかもしれませんが、ビジネス書で扱う内容を漫画として描いているものもありますし、いわゆる歴史ミステリーのように歴史モノでもあり推理小説でもあるといった分野の本も存在します。

このような類のものは、分類する切り口によって属するカテゴリが変わってきてしまうでしょう。境界が曖昧なものは、分類する人の主観や思い込みの影響を強く受けてしまうので注意が必要です。

また、あまりにも広すぎる範囲をグルーピングしなければならないとすると、一つひとつの要素をピックアップして分類するには膨大な時間がかかってしまいます。その場合は「どの部分(要素)をより重視するか?」を事前に決めておくことをおすすめします。場合によっては、全体に影響を及ぼさない要素は無視することも必要です。

MECEに考えるというのはあくまでも手段でしかありません。「何のために分類をするのか?」という目的を忘れないようにしましょう。

MECEに考える習慣をつけよう

「抜けや漏れ」をなくして考えるMECEについて、基本的な説明から事例まで一通り説明してきました。あなたがビジネスパーソンならば、ぜひ身に着けておきたい考え方です。

私たちはつい物事を思いつくままに考えてしまいがちですが、このように体系的に考え抜くことによって、これまで思いつきもしなかった発想や結論が出てくることもあるでしょう。本記事を参考に、自分のビジネスでロジカルシンキングを実践してみましょう。

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