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契約書管理にAI-OCRを活用するメリットは?導入時のポイントや事例

最終更新日:(記事の情報は現在から3日前のものです)
AI-OCRとは、書類や帳票を自動的に読み取って、デジタルデータへと変換する技術です。AI-OCRは、従来のOCRよりも高精度で読み取れるのが強みです。本記事では、契約書管理にAI-OCRを活用するメリットや導入時のポイントを解説します。

AI-OCRとは

そもそもOCRは、手書きの書類やFAXで受信した帳票を、デジタルデータに変換する技術や製品を指します。スキャナやデジタルカメラなどで書類や帳票を取り込み、スムーズに文字情報を抽出できるメリットがありますが、認識精度の低さに課題を抱えていました。

その点、OCRにAI技術を組み込んだAI-OCRを活用すれば、認識精度を高められます。AIには、データの傾向や分類を独自に学び取る機械学習や、テキストの内容を正確に読み取る自然言語処理の技術が採用されているためです。そのため、いままで読み取るのが難しかった手書きのテキストや画像でも、高精度で認識を行えます。

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契約書管理にAI-OCRを活用するメリット

契約書管理にAI-OCRを活用するメリットは次のとおりです。

  • データ入力業務の効率化につながる
  • データベースとしての検索性が高まる
  • ヒューマンエラーを最小限に抑えられる
  • 外部システムと連携して業務最適化を図れる
  • ペーパーレス化やDX化のきっかけが生まれる

データ入力業務の効率化につながる

契約書管理にAI-OCRを活用する一つ目のメリットは、データ入力時の効率化が可能な点です。

AI-OCRを活用せずに契約書をデジタル化する場合、一つひとつの情報を手入力でデータへと落とし込む必要があります。また、デジタルデータへと変換したあと、入力内容を細かくチェックする手間がかかるのも難点です。

一方、AI-OCRを活用すると1枚の契約書につき数秒~十数秒ほどでデータ化が完了します。AI-OCRを利用する場合でも目視によるチェックは不可欠ですが、手作業でデータを入力する場合に比べ、確認作業時間を少なく抑えられるのがメリットです。

データベースとしての検索性が高まる

紙の契約書に比べ、デジタルデータは検索性に優れる特徴を持ちます。

AI-OCRは全文検索機能を搭載した製品が少なくありません。全文検索では、文書に含まれているすべての文字を対象に検索を行えるため、単語やキーワードを指定するだけで、スムーズに必要な情報へとアクセスできます。

膨大な量の情報をデータベースに格納する際は、いかに短時間で目的のデータを探せるかが重要です。データベースとしての検索性が高まることで、契約書管理における業務効率化や生産性向上に寄与します。

ヒューマンエラーを最小限に抑えられる

ヒューマンエラーを抑制できるのもメリットの一つです。

手作業でデータ入力を行う際は、どれだけ注意していても入力ミスや確認漏れが発生します。ヒューマンエラーが多発する状態では、確認や修正に大きな手間がかかります。

一方、AI-OCRは従来のOCRよりも認識率が高く、なおかつ機械学習によって利用するたびに精度が高まる仕組みです。読み取り時にエラーが起きる可能性もありますが、目視確認の手間を最小限に抑え、手戻りのリスクを未然に防止できます。

外部システムと連携して業務最適化を図れる

AI-OCRの多くは外部システムとの連携が可能です。

たとえば、契約書管理システムと連携すれば、OCRによって取り込んだデータをシステム内で一元的に管理できます。ほかにも、文書管理システムと連携すると取引先名や金額などの項目を自動で取得可能です。

対象となる部門や部署を指定し、関連する業務システムと連携することで、業務最適化につながります。連携可能な外部システムは製品ごとに異なるため、あらかじめ入念に確認することが大切です。

ペーパーレス化やDX化のきっかけが生まれる

従来、紙で保管していた契約書をAI-OCRでデジタル化すれば、ペーパーレス化やDX化のきっかけが生まれます。デジタルデータはクラウド上にも保管できるため、サーバーのスケールダウンやスケールインにも波及が可能です。

また、紙からデジタルへと転換を図ると、書類の保管スペースに悩まされずに済みます。余分なスペースが生まれることでオフィス縮小へとつながるため、社内レイアウトを大幅に見直すことにもつながるでしょう。

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契約書管理にAI-OCRを活用する際の注意点

AI-OCRにはさまざまなメリットがある一方で、次のような点には注意が必要です。特定の製品やサービスを導入する前に必要な対策を立てておきましょう。

  • 100%の認識率には至らない
  • 読み取りにくい形式がある
  • セキュリティリスクが高まる可能性がある

100%の認識率には至らない

機械学習によって徐々に精度が高まるAI-OCRですが、確実にミスなく情報を認識できるわけではありません。AI技術が飛躍的に進展した2024年現時点でも、高性能なAI-OCRの認識率は最大99%程度です。

そのため、AI技術に過信しすぎず、情報の読み取り後は必ず人の手で目視チェックを行うことが重要です。AIと人間が互いに補完し合うという意識のもと、AI-OCRを活用すると良いでしょう。

読み取りにくい形式がある

精度の高さが魅力のAI-OCRにも、読み取りにくい書類の形式が存在します。

たとえば、人によって特性が大きく異なる手書きのテキストは、認識エラーが発生しやすい傾向にあります。また、現在では対応可能な製品も出はじめていますが、縦書きのテキストもAI-OCRの苦手分野です。

一方で、定型化された書類は高精度で読み取れます。そのため、AI-OCRを活用する際は、得意分野のみに特化させるという対策が欠かせません。

セキュリティリスクが高まる可能性がある

AI-OCRの利用する製品によってはセキュリティリスクが高まる可能性があります。とくに、近年のインシデントリスクが十分に適用されていない製品や、セキュリティがベンダーに依存しがちなクラウドサービスを利用する際には、注意が必要です。

契約書には顧客や取引先の名称、住所、連絡先などの重要な情報が数多く記載されています。外部に情報が流出すると、信用問題や損害賠償請求にも発展しかねません。AI-OCRを導入する際は、セキュリティ対策や実績などを確認して安全性の高い製品を選びましょう。

AI-OCRで適切な契約書管理を行うためのポイント

AI-OCRにはメリットとともに注意点も存在するため、導入・運用時のポイントを押さえることが大切です。AI-OCRで契約書管理を行う際のポイントに絞り込み、要点を解説します。

目的に合わせて適切なタイプの製品を選ぶ

AI-OCRは主に3つのタイプに分かれており、それぞれ特徴が異なります。下表の内容を参考に、目的に合わせて適切なタイプの製品を選ぶことが重要です。

タイプ 特徴
汎用×定型フォーマット型 汎用的かつ定型化された書類を読み取るのが得意なAI-OCR。認識精度の高さに特徴がある。フォーマットを定義するのに時間や手間がかかりやすい。
汎用×非定型フォーマット型 汎用的ではあるが、フォーマットが非定型な書類を読み取るのが得意なAI-OCR。非定型なのでフォーマットを定義せずに済むが、AIにフォーマットを学習させる必要がある。
業務特化×非定型フォーマット型 特定の業務に特化した非定型なフォーマットの書類を読み取るのが得意なAI-OCR。AIの学習時間を抑えられ、データの意味付けにも対応。別の業務に応用しにくいのが難点。

たとえば、すでに契約書のフォーマットが決まっている場合は、「汎用×定型フォーマット型」を採用するのがおすすめです。一方、さまざまな形式の契約書を扱っているなら、「汎用×非定型フォーマット型」が向いています。

データの構造化やタグ付けにより情報を整理する

AI-OCRで契約書管理を行う際は、データの構造化やタグ付けの機能を活用すると良いでしょう。構造化やタグ付けによりデータを整理できるため、視認性や検索性が向上します。

データを構造化するには、フォルダやサブフォルダごとにファイルを格納するのが効果的です。また、製品によっては、簡易的な操作のみでファイルごとにタグを付与できるものもあります。

識字率やセキュリティなどの比較ポイントを明確にする

AI-OCRにはさまざまな製品があるため、要件に沿って比較ポイントを明らかにすることが大切です。比較ポイントは企業によって異なりますが、次のような要素が一例としてあげられます。

  • 料金
  • 認識精度
  • 対応可能な書類形式
  • 付加機能(データ一元管理や外部システム連携など)
  • 操作性
  • セキュリティ
  • サポート体制

可能であれば比較検討段階でトライアルやデモを利用すると良いでしょう。期間中であれば無料で標準機能を利用できるため、機能性や操作性を検証する際に役立ちます。

契約書管理でAI-OCRを活用した事例

総合不動産会社の東京建物株式会社は、契約書管理で積極的にAI-OCRを活用している企業の一つです。

同社はいままで、年間3,000枚の契約書と9,000枚の請求書をすべて紙ベースで管理していました。すべて人の手でデータ入力やデータ整理の処理をしなければならず、繁忙期には担当者の業務負担過多が大きな課題でした。

そこでAI-OCRの導入を決意します。結果、従来約300件の契約書を処理するのに5~6時間の作業時間を要していたところを、30分にまで短縮することに成功しています。業務時間削減効果は92%と、AI-OCRの導入によって大きな効果を実感できた事例だといえるでしょう。

出典:DX Suite「約92%の業務時間削減に成功。「DX Suite はもう1人の社員のような存在」」(2024年10月15日閲覧)

AI-OCRを活用して契約書管理の最適化を図ろう

AI-OCRは、従来のOCRよりも高精度な文書の読み取りが可能です。また、AIの強みを活かした、データの分類や文書の要約などの機能を備えた製品も少なくありません。そのため、契約書管理における業務効率化や生産成向上が期待できます。

ただし、認識精度を高めるためには、ある程度の学習期間が必要です。また、認識精度は100%には達しないため、人による確認作業が求められる点にも注意すべきでしょう。いくつか注意すべきポイントもありますが、導入するメリットも数多く存在するため、社内の課題を解消できるか、じっくりと検討してみてください。

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