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HRMOS(ハーモス)|採用管理ツールによって複雑な採用業務の一元化・見える化・高度化を実現-株式会社ビズリーチ

最終更新日:(記事の情報は現在から1699日前のものです)
「SaaS業界レポート2016-2017」のインタビュー(全15本)の第2弾として株式会社ビズリーチさんのHRMOSの人材管理について迫りました。 【SaaSレポートインタビュー第2弾】

古野 了大(右)
ビズリーチ事業本部 HRMOS採用管理事業部 事業部長 兼 サービス開発本部 本部長
神戸大学工学部卒業後、大手教育関連企業にて、新規事業開発やデジタル領域の教育サービス開発に携わる。2015年にビズリーチ入社。現在は、戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)採用管理の事業責任者、即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」等のサービス開発責任者を務める。

現王園 浩士 (左)
ビズリーチ事業本部 HRMOS採用管理事業部 事業企画部 兼 サービス開発本部
東京大学農学部卒業後、インド最大のIT企業でブリッジエンジニアとして大手重工企業のPLMや、運送会社のビッグデータプロジェクト等に携わる。2015年7月にビズリーチへ入社。求人検索エンジン「スタンバイ」の立ち上げに携わり、ディレクション、アプリマーケティング、データ収集・分析などを幅広く担当。現在は戦略人事クラウド「HRMOS(ハーモス)」のBtoBマーケティングに従事。

営業やマーケティングでは当たり前の数値管理を採用においても徹底すべき

―――――これまで貴社では「ビズリーチ」や「キャリト」、「スタンバイ」などの就職・転職サイトを展開されてきましたが、2016年6月にはクラウドサービスとして「HRMOS採用管理」をリリースされました。クラウドサービスへと大きく舵を切られた背景はいかがでしょうか?

弊社では2009年からダイレクト・リクルーティングサービスを提供し、創業サービスの「ビズリーチ」は6,100社を超えるお客様にサービスをご利用いただいています。また、当社自身の採用でもリファラルが約40%、これにデータベースなどを活用した採用の約30%を加えて約70%がダイレクト・リクルーティングです。こういった採用活動を通じて見えてきたことは、採用とは非常に営業に近いもので徹底的な数値管理が重要だということです。

営業やマーケティングでは当たり前のようにチャネルごとの数値や目標に対するパイプラインの状況などを可視化・分析しています。一方で、採用はExcelでアナログに管理されていて中々数字で分析できていない企業が多くあります。営業やマーケティングのように数値管理を簡単にできるツールが必要だと感じていました。

国内では労働生産人口も減少していて人材の獲得競争はより激しくなっています。そのような状況で優秀な人材を獲得していくためには、数値を分析して適切に施策を打ち出していくことが求められます。これを実現するツールが「HRMOS採用管理」です。

現場の担当者でも直感的に使える採用管理ツール

―――――優秀な人材の獲得という意味ではダイレクト・リクルーティングの中でもリファラル採用の重要性が高まっています。リファラル採用の支援という観点で「HRMOS採用管理」にはどのような機能がありますか?

「HRMOS採用管理」には採用の母集団形成をご支援する機能があります。画像や動画を活用した魅力的な求人ページを誰でも簡単に作成することが可能で、この求人ページを社員自らSNSなどを通じて知人や友人に対して発信することができ、また社員に対してその発信を促す機能もありますので、これがリファラル採用の強化に繋がっていきます。

―――――求人ページを誰でも作成できるという発想は例えば「スタンバイ」でも共通でありますよね。また、SaaS業界においては情報システム部門ではなく現場の方が中心となって導入するというトレンドもあり、いかに現場の人にとって使いやすいツールに仕上げるかが求められています。「HRMOS採用管理」ではどのような工夫をされていますか?

従来の求人ページは作成するためにWEBサイト制作の専門的な知識が必要で、外部に作成してもらうことが必要なケースがあります。またしっかりとした採用ページを作成しようとすると数十万円から数百万円といった費用がかかることもあります。

「HRMOS採用管理」では現場の担当者の方でも直感的に使うことができるCMS(Contents Management System)を実装していて、例えば画像をドラッグ&ドロップで差し込むことができ、またブログを書いているかのようにコンテンツを作成することができます。

また人材獲得競争の激化を背景として、採用においても営業やマーケティングのようにPDCAを回して、より応募率を高めるために例えばタイトルや画像、コンテンツを随時変化させていくことが求められています。「HRMOS採用管理」であればこのようなニーズを満たすことができますが、外部に求人ページの制作などをお願いしていると、時間とリソースがかかってしまいます。エンジニアに依頼しなくても担当者の方が簡単にすぐ変更できるという点は大きな価値だと思っています。

【出所】株式会社ビズリーチ提供

複雑な採用業務の一元化による圧倒的な業務効率化

―――――求人ページの作成業務が圧倒的に効率化されますね。他の採用プロセスにおける効率化についてはいかがでしょうか?

採用担当者は管理しなければならない求人媒体、エージェント、そして候補者が多いのでとても忙しくしています。例えば複数の媒体で複数のエージェントから候補者を紹介された場合、まず採用チーム内で共有するためにExcelやスプレッドシートに転記し、それから面接のフローに進むと一人一人に対してステータス管理を行い、その都度メールを返信していかなければなりません。

採用担当者が抱えている1つ1つのタスクは細かいのですがとても重要で、面接の日程調整など、間違えることのできないタスクがとても多くあります。それが複数のツールにまたがってきますので、100人の応募があれば応募者を管理するだけで手一杯になってしまいます。これらのタスクを直感的に一元管理できツールを弊社としても必要としていましたし、これを実現したものが「HRMOS採用管理」です。

「HRMOS採用管理」は、エージェントから紹介された候補者情報は自動で取り込むことができますし、その先の日程調整やステータス管理も「HRMOS採用管理」上で簡単に行えます。また、面接担当者やエージェント専用の画面もありますので、すべてが「HRMOS採用管理」だけで完結し、データも1つのプラットフォームに蓄積していきます。そのデータを基に数値管理や施策検討を行うことが可能です 。

【出所】株式会社ビズリーチ提供

―――――間違えることのできないタスクが多く、それが複数のツールにまたがってしまっている状況を一元化することには非常に大きな価値がありますね。実際にどの程度の効率化に繋がるのでしょうか?

オペレーション業務が4分の1まで効率化された利用企業の事例があります。その企業は、効率化したことでできた時間で候補者を口説くことや、応募者数を増やす採用マーケティング業務、エージェントにフィードバックすることで候補者の質を向上させるための業務に割くことができ、結果として応募者数を10倍に増加させることに成功しました。応募者数が増えると採用の質も上がりますので、実際の採用した人数も増加したとのお声を頂きました。業務効率化によって採用を強くするための業務に集中する時間が生まれますので、このあたりが大きな価値だと思っています。

データの見える化による業務の効率化と高度化

―――――採用担当者の重要なミッションとして今あげていただいた通りエージェントにフィードバックすることで候補者の質を向上させることがありますが、このあたりは「HRMOS採用管理」の特徴であるデータの見える化が活きてくるポイントでしょうか?

そうですね、「HRMOS採用管理」ではそれぞれの求人媒体やエージェントのパフォーマンスがすぐにわかります。マーケティングでは当たり前ですが、経路別・職種別に書類通過率や内定率といったデータが見える化されています。

そうすると職種別に強いエージェントもわかってきます。事例としてもありましたが、特定の職種に強いエージェントが分かっていれば、その職種で採用を行う際に強いエージェントにピンポイントで依頼するということが可能になります。

このように特定の職種に強いエージェントや全体的にパフォーマンスの高いエージェントを優先的に活用することで、書類選考率や内定率を引き上げることができれば業務も効率化されますし、その結果として採用人数が実際に2倍になったという声もいただいています。

―――――データの見える化によっても業務効率化が実現されるということですね。経路別のパフォーマンスデータの他に、どのようなデータを見える化しているのでしょうか?

例えば面接官の評価傾向を見える化しています。実は面接官によって良い評価をつけがちな人や、逆に候補者を落としがちな人など傾向があります。このような傾向を可視化することで、面接官の傾向にあわせたフィードバックが可能になります。

【出所】株式会社ビズリーチ提供

―――――面接官の評価傾向の見える化は、定性的な部分でもできるのでしょうか?

面接時の定性コメントをクラウド上に残すことができます。紙や口頭のフィードバックでは、共有が難しいことがあります。「HRMOS採用管理」では定性コメントを書き込みやすいので、面接官のフィードバックコメントの量が3倍になった企業もありました。このような定性コメントが蓄積されることで、面接官の定性的な評価傾向を見える化することは可能です。

―――――新卒採用の方が応募者数は増えますのでより多くの面接官が必要となり、担当する面接官によって結果も大きく変わってきそうですが、「HRMOS採用管理」は中途採用がメインでしょうか?

「HRMOS採用管理」は中途採用でのご利用を想定しておりましたが、3割ほどのお客様は新卒採用でもご利用いただいています。新卒採用でも複数の求人媒体を利用しているお客様は多いので一元管理のニーズは強いですし、「HRMOS採用管理」で採用業務をすべてシステム化している企業様にとっては、新卒採用だけが紙でオペレーションをしていると抵抗感もあり、新卒採用でもご利用いただくきっかけとなっています。これからは、新卒採用でも使いやすいように改善していく予定です。

―――――「HRMOS採用管理」が便利だからこそ新卒採用でも利用されるようになったということですね。

そうですね、採用管理システムは人事担当者や面接官にも利用されるものですので、マニュアルを見なければわからないシステムですと中々浸透しません。「HRMOS採用管理」では直感的に操作できるUI/UXを考えながら開発していますので、現場の面接官にとって使いやすいツールになっています。だからこそ、新卒採用でも利用したいという声をいただけるのだと思います。

母集団形成から採用の決定までをシームレスに連携

―――――SaaS業界ではAPI連携がトレンドになっていますが、貴社ではどのような連携を進めているのでしょうか?

弊社では母集団形成の部分から実際に採用が決定するまで一連の流れで効果検証をご支援したいと思っています。まずは自社サービスの「ビズリーチ」や「キャリトレ」と自動連携しています。

―――――母集団形成の部分では他社の求人媒体は貴社の「ビズリーチ」や「キャリトレ」と競合してしまいますが、他社との連携も進めていくのでしょうか?

今後の構想としては他社媒体との連携も考えていきたいです。現時点でもダウンロードしていただいたCSVファイルを取り込んで連携することは可能です。

―――――エージェントとの連携といった観点では、例えば人材紹介会社向け管理システムなど、連携している部分はありますか?

エージェントとの連携については既存システムとの連携という形ではなく、HRMOS上で即時にエージェント用のアカウントを発行してご利用いただけるようにしています。エージェントの方々からのおすすめで「HRMOS採用管理」を導入したというお客様もいらっしゃいます。

―――――求人媒体、エージェントとお話を伺いましたが、一方で面接官といった観点でも日程調整のためにスケジュール機能やグループウェア機能との連携が求められるように思いますがいかがでしょうか?

採用プロセスの中でも日程調整はとても時間がかかり大きな課題になっています。候補者と面接官から複数の日程が提示され、しかもそれが日々変化する中で調整していく必要がありますのでどうしても時間がかかるのです。この課題に対してどのようなことができるか、ヒアリングをしながら今まさに企画・開発している段階です。

人工知能によって人が仕事を通じて輝ける世界を実現

―――――SaaS業界では人工知能活用がトレンドになっており、「HRMOS採用管理」でも人工知能で企業経営を変えるというコンセプトを掲げていますが、どのように人工知能を活用しているのでしょうか?

現時点では人工知能を活用した機能は限られているのですが、書類選考の評価予測AIを提供しています。書類選考を機械学習によって評価判定のお手伝いをするような機能です。もちろん精度は向上させていかなければならないので、データの蓄積と改善には日々取り組んでいます。

HRMOSの構想としては、採用管理システムや勤怠管理システム、人事評価システムなどの中心に人事データベースを置いています。今後は、採用だけでなく実際に採用した後どのように活躍し、どのような評価を受けているのかを1つのデータベースに蓄積し、データを活用することでその人自身が輝ける適材適所への配置や人材活用ができるようになると思っています。

【出所】株式会社ビズリーチ提供

その人が取り組みたいことに対して実際にパフォーマンスを出せているのか、またパフォーマンスを出せていないのであればどこに配置するのがベストなのか。その人にとっての最適な環境を提案・実現し、人が活躍することで会社が輝く。このようなビジョンを掲げています。

―――――人事評価システム、勤怠管理システムをリリースしていく予定ということですが、人工知能を活用することで採用管理はどのように高度化されるのでしょうか?

人事評価で言えば、例えばどのような経歴で、面接時にどのような評価を受けて採用した人材が入社後にどのように評価されるか分析することで、採用時にどのような候補者が自社で活躍しやすいのか、その人のポテンシャルをより精度高く予測することができるようになると思っています。

また、勤怠管理については生産性に関して同様の分析・評価ができるようになると思います。生産性を費やした時間に対するアウトプットの量と考えると、この分母にあたる部分はまさに勤怠管理によって取得できる勤務時間のデータになります。

例えばAさんはいつも定時に退社しているけど大きな成果を出しているなど、生産性の高さを見える化できるようになるでしょう。ライフスタイルが多様化している今の時代では、ライフイベントなどを背景として長時間働くことはできないけれどしっかりと成果を出しているような人を可視化していくことも重要ですし、取り組んでいこうと思っています。

―――――人工知能活用の前提となるビッグデータの収集に関しては、どちらかというと範囲軸で広げていく動きが中心ですが、貴社の場合は採用から始まってその人がどのように活躍していくかというように時間軸で広げていく動きだと感じました。人工知能の研究・開発はどのように進めているのでしょうか?

弊社ではAI室を設置して、人工知能や機械学習のスペシャリストがR&D含めて開発に取り組んでいます。そしてAI室は「ビズリーチ」や「スタンバイ」、そして「HRMOS」などサービスを横断していますので、他のサービスで培ったノウハウはさらに別のサービスに活かしていくといったことが可能です。

「オペレーション人事」から「戦略人事」へ

―――――求人媒体から人事評価まで一貫してAI活用に取り組むことにシナジーがあるということですね。最後に「HRMOS採用管理」によって実現したい世界観について改めて教えてください。

これからの人事部門はオペレーション業務から解放されて戦略的な人事を実行するためにすべきことを考える部分に時間を使うべきです。「戦略人事」というコンセプトも掲げていますが、人事部門は経営者のパートナーとしてどのような戦略を描き、その戦略を遂行するためにどのような人と組織が必要なのか、こういった戦略的な人事を支援するサービスを目指しています。そのために、まずは採用管理の領域で戦略的な採用を実現するサービスを開発していきます。

―――――確かに人事部門は経営者のパートナーであるべきだと思います。組織は戦略に従うという言葉はありますが、やはり人が一番重要ですよね。

まさに企業の競争力の源泉は人ですので、優秀な人材を採用し、しっかりと評価して、さらにその先の従業員満足度を高めるところまで踏み込んで、その人たちがこの会社で輝きたいと思えるように支援していくことが今後の人事のあり方だと思っていて、HRMOSではそれが実現できると信じています。

SaaS業界レポート著者の視点

営業やマーケティングのように売上に直結する領域では多くの企業でROI(Return on Investment)の管理が徹底されているものの、採用のように費用として計上される領域では疎かにされがちです。しかし、企業の成長の要は間違いなく人財であり、この人財の採用力を高めていくためには採用領域においてもROIの管理は徹底すべきで、HRMOSは人工知能を活用することでROIの最大化を実現しようとしています。

人工知能の活用はSaaS業界において大きなトレンドになっていますが、HRMOSの面白さは人財の採用から採用後の質・量的なパフォーマンスの測定(今後実装予定の評価管理や勤怠管理機能による測定)まで行うことで、どのような理由で採用した人が1年後、2年後、数年後にどのような評価を受けたのかといった「時間軸」のあるビッグデータを蓄積していこうとしている点です。

ビッグデータは「点」で捉えがちですがこのように「線」で捉えなおすことで、ベンダーとしての優位性構築、そしてユーザーにとっての付加価値向上に繋がっていきます。人工知能というバズワードに踊らされずに、最終的に実現したい世界から逆算で「線」で捉えたビッグデータを蓄積していくことが求められています。

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著者紹介:阿部 慎平 (あべしんぺい)新卒でデロイトトーマツコンサルティングに入社後、大手企業の事業ポートフォリオ戦略、成長戦略、新規事業戦略、海外事業戦略、ベンチャー企業買収戦略など戦略プロジェクトに従事。 より主体的に事業に取り組みたいという思いから2017年3月にスマートキャンプに参画。現在はSaaS業界レポートや事業企画・営業、新規事業立ち上げを推進。
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