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ファイルサーバー移行方法まとめ!目的・注意点も紹介

最終更新日:(記事の情報は現在から234日前のものです)
本記事ではファイルサーバーの移行の目的や方法、そして実際にデータを移行する際に注意しなくてはいけないポイントについて解説します。自社でファイルサーバーの移行をする必要があるデータ管理者はぜひご一読ください。

企業にとって重要なデータを動かすことになるファイルサーバーへの移行は、管理者にとってとくに神経質にならざるを得ない業務の一つといえるでしょう。

ファイルサーバーの利用は企業にとって業務の効率化や自動化のために欠かすことのできないものなので、必要に応じて安全かつ確実な移行が求められます。万が一にもデータの紛失が起こらないように、事前にしっかりとした計画の策定も必要です。

そこで、ファイルサーバーの移行について、目的から実際の移行の際に気を付けるべきポイントについて説明します。

1.ファイルサーバー移行の目的

ファイルサーバーへの移行を行う前に、まず「何のために移行するのか?」あるいは「なぜ移行しなければならないのか?」について検討が必要です。つまり理由や目的を明らかにします。

多くの企業にとってファイルサーバー移行の理由はさまざまですが、大枠では次のような理由が挙げられます。

環境の変化

現代ではネットワーク技術が向上し、通信スピードも高速化しています。そのため企業の保有する膨大なデータの保管場所を移動するといった、サーバー環境の移行は以前ほど大きな問題とはならなくなりました。

さらに、いわゆるクラウドコンピューティングの台頭によって、業務上必要となる各種データを、どこにいてもスタッフが安全に手に入れられる環境が整えられるようになりました。それに伴って、多くの企業がクラウドを利用して業務データをやり取りできる環境の構築を進めています。

セキュリティと利便性向上のため

Windows Serverのセキュリティ強化や機能の向上が実現したため、サーバーを構築する際の利便性や実際に運用する際の安全性が高まっていることも理由の一つです。

たとえばWindows Server 2012 R2は、一昔前のWindows Server 2008と比較すると、ファイルサーバーとしての機能が圧倒的に充実しています。また、これまである程度の経験と知識が必要だった初期設定も、通常のGUI(※)で行えるようになるといった、細かい部分でユーザーの利便性が向上しているのです。そうした背景から、より便利な環境に移行するニーズも高まっています。

※GUIとはGUIとは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの略で、マウス操作のような直感的な操作を可能にするものです。アイコンをクリックするとソフトウェアが起動する、といったものがGUIにあたります。

契約期限切れに伴うもの

単純にこれまで使っていたハードウェアの保守契約の期限が切れたといった理由で、ファイルサーバー全体の移行を行う企業もあります。

ほとんどの新規サーバーは古い世代のOSと組み合わせて動作させることが困難です。コンピュータ自体を最新のOSに移行するタイミングで、ファイルサーバーも新しいものに移行する方が効率的だと考える企業も多いのです。

2.ファイルサーバー移行方法

それでは具体的なファールサーバーの移行方法について簡単に説明します。実際の移行にあたっては「サーバーの提供企業のサービスを利用する方法」と、「みずからサーバーを移行する方法」の2つがあります。

ベンダーが提供するサービスを利用する

OSを新規にインストールする場合に、提供企業がそれに伴う移行作業をすべて請け負ってくれる場合があります。既存サーバーからのデータや各種アプリケーションの移行を一手に引き受けてくれる、パッケージを提供しているベンダーもあり、手間を掛けず安全にサーバー移行ができます。

ただし当然ながら、自前で移行作業をするよりもコストがかかってしまいますし、企業によっては自社で移行した方が時間的にも早く済む場合もあるでしょう。費用対効果をしっかりと考えたうえで、そういったサービスを利用するかどうかを判断する必要があります。

ファイルサーバーのサービスについて詳しく知りたい方はこちらの記事も参照ください。

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自社で移行する

ファイルサーバーの移行を自社のシステム管理者や自分自身で行う方法です。「サーバーの移行」と聞くと難しく感じてしまうかもれませんが、システムに関するある程度の知識があればけっして難しくはありません。

事実、基幹システムの運用に関してあまりコストをかけられない中小企業のほとんどは、管理者がサーバーやOSの移行から、各種アプリや基幹データの移行まで一手に引き受けているのが現状です。自社のスタッフがすべての作業を行うことになるので、内部で細かな調整をする必要が出てきたり突然の仕様変更があったりしても、柔軟に対応できるでしょう。

ただし、経験の少ない管理者が担当した場合、正確性や時間的な面で問題が生じることも起こり得ます。こちらも諸々の費用対効果を考えて冷静に判断する必要があります。

3.ファイルサーバー移行の流れ

ファイルサーバー移行には、データの破損や消失などのリスクを伴います。サーバー移行の流れを理解して、適切な手順で実施しましょう。

ファイルサーバー移行を行う主な流れや手順は、次のとおりです。

  1. 状況確認
  2. 移行要件の洗い出し
  3. 移行先サーバーの決定・導入
  4. 移行方法・スケジュールの検討
  5. 移行テストの実施
  6. 新サーバーへの移行

1.状況確認

はじめに、現在使用しているファイルサーバーの状況を確認し、データを整理します。

保存しているデータの容量やファイル数などを把握し、移行する量やファイルを明確にします。ファイルの中には何年も更新されていないもの、使用されていないものがあることも多いため、不要なデータは削除するか、アーカイブストレージへの保存を検討しましょう。また、フォルダ構成やアクセス権の把握や見直しも行っておくとよいでしょう。

現状のデータを整理して移行するデータを決定したら、移転中のデータ消失や破損に備えてバックアップを取っておくことも必要です。

2.移行要件の洗い出し

次に、移行先のサーバーで必要となるスペックや機能など、必要な要件を洗い出します。

現在のデータ容量やファイル数から、移行先のサーバーに必要なストレージ容量を検討します。このときには、現状のデータを活用することだけでなく、今後の運用で必要となるメモリサイズ・CPUなどのスペックや拡張性、セキュリティについても確認しましょう。

3.移行先サーバーの決定・導入

必要な要件を洗い出したら、移行先サーバーを決定し導入します。

サーバーを選定する際には、データの移行方法や価格・容量・スペックなどを確認し、費用対効果を考慮しながら適したサービスを検討しましょう。単に価格の低さだけでなく、操作性や使いやすさも重要です。

また、データの重要度に応じて、暗号化や権限設定など、データの安全性を確保するためのセキュリティ対策やバックアップなどの要素も確認が必要です。

4.移行方法・スケジュールの検討

移行先のサーバーが決定したら、移行方法や移行時期などのスケジュールを検討します。

ファイルサーバーの移行中にはデータへアクセスできなくなる場合があるため、あらかじめ転送時間を見積もり、適切にスケジュールの計画を立てておきましょう。業務の作業に影響が出ないように、移行作業は休日や夜間に行うとよいでしょう。

ただし、データ量が多い場合は複数に分けて段階的に移行した方がよいケースもあります。まとめて移行するのか、段階的に行うのかを踏まえてスケジュールを立てておきます。データの量が多い場合は、移行に時間がかかるため、必要なデータから移行できるように、優先順位を決めることも重要です。

5.移行テストの実施

移行スケジュールが決定したら、移行準備に入ります。

ツールを使用してデータを転送し、移行テストやリハーサルを行い、エラーの発生がないかを確認します。アプリケーションやシステムの動作確認も行い、エラーが発生する場合は、本番でスムーズに移行できるよう改善を図りましょう。また、作業時間を把握し、想定どおりの時間で行えるのかを確認してスケジュールの見直しを行いましょう。

6.新サーバーへの移行

移行テストを行ったら、実際に新サーバーへの移行を行います。移行中にはデータへアクセスできなくなる場合があるため、利用者へ通知を行っておくとよいでしょう。移行完了後には動作確認を行い、ファイルの消失がないかや文字化けせず利用できるかなどの検証を行います。

動作確認で問題ないと確認できたら、新サーバーへの移行完了となります。移行後のフォルダやファイルにアクセス権の再設定を実施し、社内へアナウンスを行いましょう。データへのアクセス方法に変更がある場合も、社内への通知やマニュアルの整備を行うことも必要です。

4.ファイルサーバー移行の際の注意点は?

実際にファイルサーバーを移行する際に気を付けるべきポイントについて、いくつか挙げてみます。慎重さが求められる作業なので気を付けるべき点は多くありますが、中でも次の点は少なくとも注意しておく必要があるでしょう。

確実にバックアップを取る

データのバックアップを取ることは基幹データに限らず、データを移行するうえで行う必要がある基本事項といえます。とくに日常業務に必須となるデータは、業務を停止させないためにバックアップデータの移動が必要になるでしょう。移動の際に、トラブルなく確実にデータの移行できるように工夫をする必要があります。

バックアップ方法についてはこちらの記事で詳しく説明しています。

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コピーするファイルの順番を決めておく

企業の扱うデータ量は膨大です。一度にデータを移すのではなく、しっかりと順番を決めて確実に移行させる必要があります。移行するデータの優先順位を明確にしておきましょう。

扱うデータの中には、すぐに「業務に必要で重要度の高いデータ」と更新頻度が低く「利用時期の決まっていない重要度の低いデータ」があるはずです。前者は事前に移行する日時の計画を立てておき、定めた時間に確実に移行させる必要があります。後者は日常業務に必要としないデータのため、時間のあるときに段階的に移行しても問題はないでしょう。

通信速度に気を付けながら時間を決める

データの移行の際には、転送速度に留意する必要があります。サーバーに過度の負荷をかけながらデータを移動するのはトラブルの元になる一方、複数のファイルを移動できる余力があるにもかかわらず、一つひとつのファイルをコピーしているのは時間のムダです。

場合によっては、同時に複数のファイルを移行させた方が効率的なこともあるので、サーバーにかかる負荷を考慮しながら移行する時間にかける時間を決める必要があります。

安全かつ確実にデータを移行するためにまずは現状確認を

ファイルサーバーの移行について、目的やデータの移行方法、気を付けるべきポイントについて説明してきました。

抱えるデータ量や管理者のスキルに鑑みて、専門家に依頼するのか、あるいは自社で移行するのかを冷静に判断する必要があります。そして自分達で移行を行う場合は、事前にしっかりと計画を立てましょう。優先順位の高いものから確実に移動させる方法を考えなければいけません。安全かつ効率的なデータの移行を心がけてください。

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