ネットで補助金申請「jGrants」、検索から手続きまで一貫 都のテレワーク促進助成金も対応
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オンライン申請できる「テレワーク促進助成金」募集開始
東京都などで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の緊急事態宣言が延長されました。ただし、1年前に比べテレワークによる在宅勤務を実施する企業が少なくなったのか、平日は通勤ラッシュが生じているようです。
そのため東京都は、都内企業にテレワークを定着させようと、必要経費を支援する「テレワーク促進助成金」を設定しました。テレワーク環境整備に使う機器やソフトウェアの導入費用を助成するもので、5月10日に申請受付が始まっています。
これまでだと、こうした助成金の申請では大量にある手書き書類の提出や書類への押印が求められ、多くの手間がかかるものでした。ところが今回のテレワーク促進助成金は、オンライン申請システム「jGrants(Jグランツ)」で申請作業を済ませることができるのです。
jGrantsは汎用的な補助金オンライン申請システム
jGrantsは、公的な補助金の申請処理などをオンライン化するためのシステムで、経済産業省が運営しています。
補助金検索も申請も、一つのシステムで完結
jGrantsの目的は、省庁や自治体の補助金受付業務と、企業などの補助金申請作業の両方を省力化することです。2019年12月に「jGrants1.0」として提供開始され、現在は2021年1月にリリースされた改良版の「jGrants2.0」が運用されています。
さまざまな補助金の手続きに対応可能な汎用システムで、補助金の公募から交付、実績報告や支払い手続きまでの処理を電子化できるよう設計されました。つまり、自治体などは補助金ごとに独自のシステムを新規開発せず、jGrantsを操作することで各補助金用の電子申請システムを構築できるのです。
補助金を申請する企業も、各種行政サービス用共通アカウントの「gBizID(GビズID)」でjGrantsにログインすることで、面倒だった申請手続きをすべてオンライン処理できます。jGrantsサイトでは補助金検索ページも用意されていて、利用可能な補助金があるかどうか一目で確認可能です。
なお、jGrants1.0は、これまでに100以上の補助金の申請処理で活用された実績があるといいます。1月から提供されているjGrants2.0も、4月時点で9府省庁と20自治体が活用を予定していました。
jGrantsに対応する補助金は、これからどんどん増えていくはずです。
jGrantsにはメリットがたくさん
企業にとっては、jGrantsで補助金を申請すると多くのメリットが得られます。
まず、国や自治体の多種多様な補助金が1カ所に掲載されるため、情報収集が容易になります。多数ある補助金をキーワードで検索したり、対象の業種や企業規模、地域などの条件で絞り込めたりして、利用可能な補助金が見つけやすいでしょう。
申請手続きは、24時間365日どこからでも行えます。紙の書類で申請しようとすると押印のためにオフィスへの出勤が必要になりますが、それも不要です。書類を自治体の窓口へ持参したり、郵送したりする必要もありません。時間と経費の削減にもつながります。
申請者の情報は、GビズIDで一括管理されています。そのため、企業の基本情報などを入力する作業は最初の1回だけです。あとは、申請をするたびに自動入力されるので、手続きの負担が軽減され、間違いも防げます。
また、申請済みの補助金に関する情報は、管理用の「マイページ」で確認できます。処理がどこまで進んでいるかなどが把握できるので便利です。
省庁や自治体にも恩恵
jGrantsは、補助金を提供する省庁や自治体にも多くのメリットをもたらします。
実施する補助事業の設定をjGrants上で行えば、補助金の存在を広く知らせると同時に、募集手続きを始められます。手続きフローや申請項目、申請フォームなども自由に設定できて、対象とする補助金に適した申請システムの提供が可能です。
すべての手続きが電子化され、紙の書類を受領して管理する作業や、デジタル化する作業から解放されます。審査処理の自動化も可能なので、受付から補助金給付までの期間を短縮できます。
そのうえ、外部システムとの連携機能も搭載する計画もあり、将来より高度で利便性の高い申請受付サービスが作れる見通しです。
行政手続きDX加速の第一歩
コロナ対策で対人との接触機会を減らす必要がある今、jGrantsのようなオンライン申請システムは極めて有効な感染対策になります。また、政府が進めている各種申請作業の電子化という方向にも合致しています。
政府がjGrantsのような汎用システムを開発し、それを多くの省庁と自治体が利用すれば、重複システム開発の無駄も減ります。システム開発や運用に関する負担が軽減されるので、行政手続きのDXが加速しそうです。
jGrantsは補助金向けですが、今後ほかの手続き用に同様のシステムが提供されれば、オンライン申請可能な手続きの種類も一気に増えるでしょう。たとえば、COVID-19ワクチン接種予約システムのようなものが、迅速に立ち上げられます。
企業としては、行政手続きが全面的にオンライン化される将来を見据え、まずGビズIDを取得してjGrantsを利用開始してはどうでしょうか。