電子契約における後文の書き方とは?書面契約との違いや例文
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契約書の後文とは
契約書における後文とは、書面の最後の箇所に記載する文章です。当事者同士の氏名や住所、捺印、契約締結日、契約書の保管方法などを明記します。
書面契約の一般的な後文の書き方は次のとおりです。
2024年11月10日
甲:住所・会社名・氏名
乙:住所・会社名・氏名
後文は契約書の種類にかかわらず共通事項です。そのため、テンプレートを作成することで契約書作成の手間を抑えられます。
後文の構成要素
後文は、次の5つの要素によって成り立っています。
- 契約が成立したことを示す文言
- 契約締結方法
- 契約書の作成枚数
- 契約締結日
- 契約の当事者同士の住所・会社名・氏名
「本契約の成立を証するため」の記載が、契約成立を示す文言にあたります。その後に続く、「署名捺印のうえ」が契約締結方法、「本書二通を作成して各自一通を保有する」が契約書の作成枚数です。
後文が必要な理由
契約書に記載される後文は、契約後のトラブルを防ぐため、あるいはスムーズに契約締結を進めるためのものです。後文があることで契約締結の合意がなされたことを証明できるほか、契約締結日が明確になります。
そのため、テンプレートを用いて契約書を作成する場合でも、契約ごとに異なる契約締結日や当事者同士の情報などに誤りがないか、入念にチェックすることが大切です。
書面契約と電子契約の後文の違い
書面契約と電子契約では、契約書の作り方や書き方が異なるため、後文の表現方法にも違いがあります。両者の違いを押さえたうえで、契約書作成時のミスを減らしましょう。
「本書」や「書面」などの文言
書面契約の際に用いられる「本書」や「書面」といった文言は、電子契約で使用するには適切とはいえません。電子契約では、紙ではなく電子媒体に情報を記載・記録するためです。
「本書・書面」といった文言を使う場合、電子契約であれば「電磁的記録・電磁的措置」などに置き換えると良いでしょう。たとえば、書面契約で「書面での事前承認なしに」と記載するところを、電子契約では、「双方の当事者で合意を得た電磁的記録による承諾なしに」といった表記を用います。
写しに関する文言
書面契約では、後文に契約書の作成枚数や保有枚数を明記します。しかし、電子契約では、紙のような物理的な契約書がないことから、契約書の写しを「一通・二通」と数えることはできません。
電子契約の場合、最初に作成したデータを原本、紙で印刷したものを写しとして扱うのが一般的です。そのため、電子契約の後文を記載する際は、原本と写しが別々に存在することを明記します。
署名や押印に関する文言
物理的な印鑑を用いて署名する書面契約と異なり、電子契約では電子署名で契約を結びます。そのため、署名や押印に関する文言も、書面契約と電子契約では異なります。
書面契約では「記名押印」の文言を用いる一方で、電子契約では「電子署名を施す・電子署名の措置」と記載するのが基本です。仮に電子契約で「記名押印」と記載すると、「書面契約書がないので契約は無効」といった形で相手方から主張される可能性も考えられます。
契約後のトラブルをなくすためにも、書面契約と電子契約のそれぞれの書き方を理解することが重要です。
契約締結日に関する文言
書面契約では、契約書の後文に必ず契約締結日を記載します。
電子契約の場合、発行日や契約締結日を公的に証明できるタイムスタンプを用いるケースも珍しくありません。そのため、後文に記載する契約締結日が不要とする考え方と、タイムスタンプとは別に契約締結日を記載すべきという考え方があります。
どちらの考え方を採用するかは企業次第です。ただし、一般的にはタイムスタンプを付与したうえで、契約締結日を記載する方法が主流なので、二つ目の考え方を採用するほうがトラブルは少ないといえます。
電子契約における後文の例文
電子契約書を作成する際の後文の例文を紹介します。電子契約システム上で締結する場合と、書面契約・電子契約を併用する場合でやや文言が異なるため、状況に応じて使い分けましょう。
電子契約システム上で締結する場合
契約の当事者同士が電子契約システムを利用している場合、次のような後文を記載するのが一般的です。
電子契約システムとは、オンライン上で電子契約書の作成や管理、契約締結を行えるツールです。メールやSMSで本人認証や契約書の送付を行えるほか、電子署名やタイムスタンプなどの機能も搭載されています。
書面契約と電子契約を併用する場合
社内規定やコンプライアンスなどにより、契約相手が電子契約を結べない場合、契約相手は紙の契約書を、自社では電子契約書をそれぞれ保管するのが一般的です。書面契約と電子契約を併用する際は、次のような後文を記載すると良いでしょう。
電子契約における後文の正しい書き方を理解しよう
書面契約と電子契約では、契約書の後文の書き方に違いがあります。現物の紙を保管しない電子契約は、「書面」「一通」「記名押印」といった書面契約特有の文言を用いないのが一般的です。
電子契約に適合しない文言を使用した場合、契約の無効化や不成立などのトラブルに発展する恐れがあります。そのため、書面契約と電子契約の後文の違いを理解したうえで、手段に応じて適切に契約書を作成しましょう。
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