大企業向け給与計算ソフトおすすめ比較11選と選定基準 ランキング1位は給与奉行クラウド
給与計算ソフトには多くの種類があり「どれを選べばいいか」迷いますよね。後から知ったサービスの方が適していることもよくあります。導入の失敗を避けるためにも、まずは各サービスの資料をBOXILでまとめて用意しましょう。
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中小企業におすすめの給与計算ソフトについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
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- 【比較表】大企業に適した給与計算ソフトのタイプと選び方
- ERP型
- クラウド給与型
- 大企業が抱える給与計算業務の課題と解決策
- 複雑な給与制度・多様な雇用形態への対応が追いつかない
- 勤怠、人事、会計とのデータ連携が分断され、二重入力が発生する
- 給与情報の扱いが属人化し、監査や内部統制に耐えられない
- 法改正対応が都度手作業になり、更新漏れ・計算ミスのリスクが高い
- 年末調整・社会保険手続きが紙とExcelに依存し、毎年業務が逼迫する
- 大企業が給与計算ソフトを導入する際の比較ポイント
- クラウド型、インストール型、オンプレミス型のどれを選ぶか
- 連携可能な製品の豊富さ
- セキュリティ機能
- カスタマイズ性と拡張性
- サポート体制
- 給与計算ソフトの大企業シェア1位は「給与奉行クラウド」
- 大企業が導入する給与計算ソフトの費用相場は年間12万円
- 【ERP型】大企業におすすめの給与計算ソフト比較6選
- 奉行V ERPクラウド
- COMPANY 給与計算システム
- POSITIVE(POSITIVE on CLOUDiS)
- PROACTIVE
- 給与計算システム EXPLANNER/Ax
- GrowOne 給与SX
- 【クラウド給与型】大企業におすすめの給与計算ソフト比較5選
- マネーフォワード クラウド給与
- 給与奉行クラウド
- freee人事労務
- PCAクラウド 給与
- 弥生給与 Next
- 大企業が給与計算ソフトを導入するメリット
- 業務効率の向上
- コスト削減
- 法令遵守の強化
- データ管理とセキュリティの向上
- 大企業の給与システム移行の注意点
- 要件定義を丁寧に行う
- 移行スケジュールは繁忙期を避け、余裕を持って設計する
- 大企業に適した給与計算ソフトの選定に関してよくある質問
- クラウド型とオンプレミス型はどちらが大企業に向いていますか?
- 複雑な給与制度に対応できるかどうかは、どう見極めればよいですか?
- 大企業向けの給与計算ソフトは比較して検討しよう
- BOXILとは
【比較表】大企業に適した給与計算ソフトのタイプと選び方

大企業において給与計算ソフトを導入する場合、「どのようにソフトを導入するか」によって選ぶべきソフトが分かれます。大企業が給与計算ソフトを導入する状況としては、「基幹刷新として全体を入れ替える」パターンと 「給与だけ先に改善する」 パターンの2つが一般的です。
人事、給与、勤怠、会計などをまとめて統合したい場合は、制度の複雑性や内部統制まで一貫して管理できるERP型が最適です。一方、現行給与ソフトの老朽化や運用負荷の高まりが導入のきっかけであり、「まずは給与だけを改善したい」という場合は、短期間で導入でき、勤怠や労務と柔軟に連携できるクラウド給与型が適しています。
| タイプ | 特徴 | 適している企業・状況 |
|---|---|---|
| ERP型 |
・人事、給与、勤怠、会計を統合する大企業向け基盤システム ・カスタマイズ性が高く、複雑な給与制度に強い ・導入はプロジェクト形式(数カ月〜) |
・勤怠や人事、会計も基幹刷新としてまとめてリプレイスしたい企業 ・給与単体の改善では完結しない企業 ・多拠点、複数法人、制度が複雑で内部統制が厳しい企業 |
| クラウド給与型 |
・給与計算を中心に、必要に応じて勤怠や労務、会計などと連携できるクラウド ・システム変更・バージョンアップが自動で運用負荷が低い ・標準化された給与計算が強みだが、カスタマイズ性は低い |
・まず給与をクラウド化して業務効率化を図りたい企業 ・給与制度が比較的シンプルで、複数グループの統合を必要としない企業 ・給与担当者の作業負荷やリスクをすぐに減らしたい企業 |
ERP型
ERP型は、人事や給与、勤怠、会計などバックオフィスの中核業務を一体化して管理する、大企業向けの基盤システムです。複数拠点や複雑な手当体系、制度変更に強く、内部統制や監査を見据えた高度な権限管理を備えています。
導入パターンとしては、人事・給与・勤怠をまとめてリプレイスする形が一般的ですが、まず給与のみERP化し、その後段階的に周辺領域を統合するケースもあります。給与だけでは解決しない課題を抱えている、または人事データを全社で活用したい企業に最適な選択肢です。
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|---|---|---|---|---|---|---|
| 奉行V ERPクラウド | COMPANY 給与計算システム | POSITIVE | PROACTIVE | 給与計算システム EXPLANNER/Ax | GrowOne 給与SX | |
| 導入形態 | クラウド | クラウド | クラウド、オンプレミス | クラウド、オンプレミス | クラウド、オンプレミス | クラウド、オンプレミス |
| ERP基盤 | 人事労務、勤怠、在庫、販売、申告、債務、債権、会計、請求書など | 人事、勤怠、タレントマネジメント、雇用手続管理、ID管理 | 人事、勤怠、就業、ワークフロー | 会計、勤怠、人事、販売、経費 | 販売、債権、債務、会計、人事 | 生産、販売、人事、モバイル給与 |
| 海外給与計算 | ● | ● | ー | ー | ー | ー |
| Web給与明細 | ● | ● | ● | ● | ー | ● |
| 年末調整 | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| マイナンバー管理 | ● | ● | ● | ● | ● | ー |
| 電子申請連携 | ー | e-Gov、e-Tax、eLTAx | e-Tax、eLTAX、マイナポータル | e-Gov | ー | ー |
| 監査ログ | ● | ー | ● | ● | ● | ー |
| セキュリティ(機能) | シングルサインオン、IP制限、多要素認証 ※クラウド版 | ー | シングルサインオン | シングルサインオン、IP制限、多要素認証 ※システム連携 | シングルサインオン | 多要素認証 |
| セキュリティ(認証) | SOC1 Type2、SOC2 Type2 | ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27701、プライバシーマーク | ー | プライバシーマーク | プライバシーマーク | プライバシーマーク |
| API連携 | ● | ● | ● | ● | ー | ● |
| 外部連携サービス(勤怠) | ー | ー | ー | ー |
・KING OF TIME ・勤革時(きんかくじ) |
ー |
| 外部連携サービス(人事労務) | ー | ー | ー | SmartHR | ー |
・カオナビ ・SmartHR |
| 外部連携サービス(その他) |
・kintone ・CELF ・楽々Framework3など |
ー | ー |
・Gluegent Gate ・BtoBプラットフォーム請求書 ・駅すぱあとなど |
S-PAYCIAL with 電子給与明細 | PSD 労働社会保険 |
| 費用 | ー | ー | ー | ー | ー | ー |
※「ー」は要問い合わせ
それぞれのサービスの詳しい紹介は下記からご確認ください。
▼ERP型の給与計算ソフトを詳しく見る
クラウド給与型
クラウド給与型は、給与計算業務の効率化を中心に据えたクラウドサービスです。短期間で導入でき、勤怠・労務手続きとの連携も容易です。
現行システムの老朽化や給与担当者の工数増加が導入のきっかけとなることが多く、「まず給与だけ改善したい」企業に適しています。給与基盤をクラウド化した後、必要に応じて勤怠や労務機能を追加しながら段階的に改善していく運用も可能です。
ただし、多法人管理や制度が複雑な大企業では限界もあるため、あくまで給与業務の最適化を目的とした導入パターンに向いています。
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|---|---|---|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド給与 | 給与奉行クラウド | freee人事労務 | PCAクラウド給与 | 弥生給与 Next | |
| 導入形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| シリーズ製品 | 勤怠、経費、会計、社会保険、年末調整、マイナンバー管理、契約など | 基幹システム、会計、債務管理、労務、年末調整、申告など | 会計、申告、経費、勤怠、マイナンバー管理、請求書、工数管理など | 会計、労務、財務、人事管理、法定調書など | 会計、請求書、販売管理など |
| Web給与明細 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 年末調整 | ※シリーズ製品で可能 | ● | ● | ● | ● |
| マイナンバー管理 | ※シリーズ製品で可能 | ● | ● | ● | ● |
| 電子申請連携 | ※シリーズ製品で可能 | e-Gov、マイナポータル | e-Gov、マイナポータル | e-Gov、マイナポータル | e-Gov、マイナポータル |
| 監査ログ | ● | ● | ● | ● | ● |
| セキュリティ(機能) | シングルサインオン、多要素認証 | シングルサインオン、独自ID | シングルサインオン、多要素認証、IPアドレス制限 | シングルサインオン、多要素認証 | シングルサインオン、多要素認証、IPアドレス制限 |
| セキュリティ(認証) | ISO/IEC 27001、SOC1 Type1、SOC1 Type2 | ISO/IEC 27017、ISO/IEC 27018、SOC1 Type2、SOC2 Type2 | SOC1 Type1、SOC1 Type2 | ISO/IEC 27001、ISO/IEC 27017、SOC1 Type2、SOC2 Type2 | ISO/IEC 27001、プライバシーマーク |
| API連携 | ● | ● | ● | ● | ● |
| 外部連携サービス(勤怠) |
・Touch On Time ・CLOUZA ・ジョブカン勤怠管理 ・KING OF TIME ・HRMOS勤怠など |
・CLOUZA ・HRMOS勤怠 ・勤労の獅子 ・KING OF TIME ・Touch On Time ・HRMOS勤怠 ・CC-BizMate ・ShiftMAXなど |
・Touch On Time ・HRMOS勤怠 ・KING OF TIME ・レコル ・Team Spirit勤怠 ・キンコンなど |
・ジョブカン勤怠管理 ・オフィスステーション有休管理 |
・CLOUZA ・KING OF TIMEなど |
| 外部連携サービス(人事労務) |
・カオナビ ・SmartHR労務管理など |
・HRBrain ・カオナビ ・サイレコ ・BizWork+ |
・カオナビ ・SmartHR ・オフィスステーション 労務 ・HRBrainなど |
・SmartHR労務管理 ・タレントパレット ・HRBrain ・PSD労働社会保険 ・オフィスステーション 労務など |
ー |
| 外部連携サービス(その他) | Paymeなど |
・年調ヘルパー ・らくらく通勤費など |
・Slack ・Yoom ・kintone ・Bill One ・バクラク債権・債務管理 ・UPSIDER ・Airシフトなど |
・kintone ・オフィスステーション 給与明細 ・オフィスステーション 年末調整など |
ー |
| 費用 | ー | 月額固定5,500円〜 | 初期費用0円、月額要問い合わせ | 月額固定13,860円〜 | 初期費用0円、月額固定750円〜 |
※「ー」は要問い合わせ
それぞれのサービスの詳しい紹介は下記からご確認ください。
▼クラウド給与型の給与計算ソフトを詳しく見る
このあとは大企業ならではの給与計算業務の課題を解消するための重要な機能や、製品ごとの比較ポイントを詳しく解説していきます。各社のサービス資料と照らし合わせながら確認してみましょう。
大企業が抱える給与計算業務の課題と解決策
大企業の給与計算業務には、下記のような課題があります。
- 複雑な給与制度・多様な雇用形態への対応が追いつかない
- 勤怠、人事、会計とのデータ連携が分断され、二重入力が発生する
- 給与情報の扱いが属人化し、監査や内部統制に耐えられない
- 法改正対応が都度手作業になり、更新漏れ・計算ミスのリスクが高い
- 年末調整・社会保険手続きが紙とExcelに依存し、毎年業務が逼迫する
複雑な給与制度・多様な雇用形態への対応が追いつかない
大企業では拠点や雇用形態ごとに給与体系が異なるケースも多く、制度変更があるたびにExcel補正や独自運用が積み重なります。こうした制度の複雑化によって、担当者の負荷とミスのリスクは急激に高まります。複雑な給与制度による人的ミスの課題を解消するには、下記のような機能をもつ給与計算ソフトが必要です。
- 給与体系や手当計算式を柔軟に設定できる仕組み
- 雇用区分ごとに異なるルールを標準で管理できるマスタ構造
- 制度変更時も設定追加だけで対応できるカスタマイズ性
こうしたカスタマイズ性についてはERP型の給与計算ソフトで充実していることが多く、給与体系や制度が複雑な企業に最適です。
勤怠、人事、会計とのデータ連携が分断され、二重入力が発生する
異動情報や勤怠実績が複数システムに分散していると、手作業の転記・照合作業が増え、毎月の締め処理が逼迫します。データ不整合は誤支給につながるため、早期に解消すべき問題です。改善には、下記のような「連携を前提にした機能」が不可欠です。
- 勤怠・人事データの自動連携(手作業のCSV連携ではなくAPI連携が望ましい)
- 異動や組織変更が給与に反映される仕組み
- 給与仕訳データを会計に自動連携する機能
ERP型の給与計算ソフトであれば、各モジュール間でデータ連携されることが前提のため連携に関する課題は解消できます。
またクラウド給与型であっても、シリーズ製品が豊富で連携性が高い製品や、外部システム連携が充実している製品があります。たとえばマネーフォワード 給与や給与奉行クラウドは、同一シリーズ間での連携はもちろん、勤怠管理システムや人事労務システムなど外部のさまざまな製品と連携可能です。
給与情報の扱いが属人化し、監査や内部統制に耐えられない
給与計算は高度な個人情報を扱うため、属人的なExcel運用や権限が曖昧なシステムでは、誤支給時の原因特定や監査対応が成立しません。大企業では「誰が何を変更したか」を確実に追える仕組みが求められます。具体的には、下記の機能が備わった給与計算ソフトを選ぶとよいでしょう。
- 担当者ごとに細かく権限を制御できる仕組み
- 操作履歴を自動記録する監査ログ機能
- マイナンバーなど機微情報のアクセス管理
法改正対応が都度手作業になり、更新漏れ・計算ミスのリスクが高い
税制や社会保険の改定は毎年発生し、手作業で更新する運用では漏れや誤適用が避けられません。現行システムが自動更新に対応していない場合、担当者がExcelや独自ロジックを手作業で修正する必要があり、更新漏れや誤った適用条件による計算ミスが起きやすくなります。
この課題に対しては、法改正を給与ソフト側で確実に反映できる仕組みが不可欠です。クラウド給与型であれば、税率・保険料率の変更や控除判定ロジックが自動アップデートされるため、企業側の設定作業を最小限に抑えられます。
一方、ERP型でもベンダー側で対応されますが、制度や機能をカスタマイズしている場合は、自社固有の手当計算や控除ルールの整合性を確認する最終検証が必要になる場合があります。
年末調整・社会保険手続きが紙とExcelに依存し、毎年業務が逼迫する
年末調整や社会保険の算定・月変は、紙やExcelで運用すると確認作業が集中し、担当者の負荷が急増します。申告内容の不備や判定ミスも発生しやすく、締め作業に影響を及ぼします。これらの業務負荷を減らすには、下記の機能を備えた給与計算ソフトの導入が適しています。
- 年末調整のWeb入力(紙の配布・回収を削減)
- 社会保険の自動判定(算定・月変対象者を自動抽出)
- 電子申請への対応(e-Gov・マイナポータル連携)
多くのソフトでは年末調整・社会保険の機能を備えますが、電子申請への対応はシステムによって搭載可否が分かれやすいです。
クラウド給与型のソフトはe-Gov・マイナポータルのいずれも対応しているケースが多く、ERP型のソフトは製品によって「e-Govのみ」「e-Gov、e-Tax、eLTAx」など連携先が異なります。連携可否を公開していない製品も多いため、資料請求または問い合わせで確認することがおすすめです。
大企業が給与計算ソフトを導入する際の比較ポイント
大企業は自社のニーズに最適な給与計算ソフトを選ぶことで、給与計算業務の効率化と正確性の向上が実現できます。大企業が給与計算ソフトを選定する際のポイントについて解説します。
クラウド型、インストール型、オンプレミス型のどれを選ぶか
給与計算ソフトは、クラウド型とインストール型、オンプレミス型の3種類に大きく分かります。それぞれにメリット・デメリットが異なるため、要件を整理したうえでどの導入形態にするか判断しましょう。
| 種類 | 概要 | 特徴 |
|---|---|---|
| クラウド型 | インターネット上でログインして利用するタイプ | 導入コストが低く、法改正やバージョンアップ対応が自動で行われるが、カスタマイズ性に限界があり自社独自制度には対応しにくい場合もある |
| インストール型 | パソコンにソフトをインストールして利用するタイプ | インターネット接続なしでも利用でき動作が軽いが、複数担当者や拠点での共有運用が難しく、更新作業が手動で煩雑 |
| オンプレミス型 | 自社サーバーにシステムを構築して利用するタイプ | 制度や業務フローに応じて柔軟なカスタマイズができるが、初期導入や保守にかかるコストと負担が大きい |
近年ではインストール型の製品は減少しており、クラウド型の製品が増えています。また、「ERP=オンプレミス」ではなく、ERPでもクラウド型であったり、クラウド型とオンプレミス型から選べたりできる製品も多くありす。
自社に必要なシステム要件とともに、それぞれのタイプの給与計算ソフトの初期導入費用、運用コストやメンテナンス費用、アップデート費用などを比較して、総合的なコストパフォーマンスを評価しましょう。長期的に見て、投資に見合った効果が得られるかどうかを検討することが重要です。
連携可能な製品の豊富さ
給与計算ソフトの選定では、単体の機能に加えて「連携可能な製品の豊富さ」も重要な比較ポイントです。たとえば、同一シリーズ内に会計、経費精算、勤怠、労務、契約管理などが揃っていれば、情報の一元管理や操作の共通化が進み、業務効率が大きく向上します。また、他社製品との連携性が高いソフトであれば、既存の業務システムを生かしながら段階的な導入が可能です。
さらにERP型であっても、統合される領域は製品によって異なります。人事、給与、会計、勤怠など自社に必要な業務基盤が揃っているかを事前に見極めることで統合効果を最大化できるでしょう。連携のしやすさは将来的な拡張性にも直結するため、見落とさずに検討すべき視点です。
セキュリティ機能
給与データは非常に機密性の高い情報です。従業員の個人情報や給与額などが含まれるため、不正アクセスや情報漏えいを防ぐためのセキュリティ機能が充実していることが不可欠です。
データの暗号化、アクセス権限の細かな設定、監査ログの管理など、セキュリティ面での機能をしっかりと確認しましょう。給与計算ソフトが、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)認証を取得していれば、一定のセキュリティ基準を満たしていると考えられます。
カスタマイズ性と拡張性
大企業の給与計算には、企業ごとの独自の要件や複雑なルールがあることが多いため、カスタマイズ性も重要です。自社のニーズに合わせて柔軟に設定や変更ができるソフトウェアかどうか確認しましょう。
また、企業の成長に伴い、従業員数が増加した場合でも対応できる拡張性の高いシステムを選定することが必要です。新しい支店の追加や海外拠点の統合などにも迅速に対応できるシステムを選びましょう。
カスタマイズ性はERP型の給与計算ソフトが優れており、グループ法人ごとに給与形態が異なる場合や制度が複雑な企業に適しています。
サポート体制
給与計算ソフトの導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。トラブルが発生した際に迅速に対応してくれるサポートがあるか、トレーニングや教育プログラムが充実しているかを確認しましょう。
大企業では、ソフトウェアの利用者が多いため、包括的なサポート体制が求められます。24時間対応のヘルプデスクや、定期的なトレーニングサポートの提供などがあると安心です。
給与計算ソフトの大企業シェア1位は「給与奉行クラウド」
BOXILでは給与計算ソフトの導入に携わった1,627人へ、導入した給与計算ソフトに関するアンケート※1を実施しました。
そのうち従業員数1,000人以上の企業でシェアがもっとも多かったのは、給与奉行クラウドで13.93%でした。次いでマネーフォワード クラウド給与が13.48%、COMPANY 給与計算システムが9.66%、freee人事労務が8.99%、PCAクラウド 給与が7.19%と続きます。
| No. | 製品名 | シェア率 |
|---|---|---|
| 1 | 給与奉行クラウド | 13.93% |
| 2 | マネーフォワード クラウド給与 | 13.48% |
| 3 | COMPANY 給与計算システム | 9.66% |
| 4 | freee人事労務 | 8.99% |
| 5 | PCAクラウド 給与 | 7.19% |
ランキング結果を見ると、給与計算だけではなくバックオフィス全体を効率化するにあたって、システム連携の選択肢の多さが評価されていると考えられます。
給与奉行クラウドとマネーフォワード クラウド給与はいずれもシリーズ製品が豊富で、かつ外部連携可能なサービスも豊富です。COMPANY 給与計算システムは人事労務領域のERP基盤として優れ、勤怠やタレントマネジメント、雇用手続きなどを一元管理できます。
※1:調査概要 インターネット調査にて給与計算ソフトの導入に携わった全国20〜60代の1,500人へ実施。本調査の期間は2025年8月6日~8日。本アンケート結果は小数点以下任意の桁を四捨五入しており、合計が100%にならない場合がある
大企業が導入する給与計算ソフトの費用相場は年間12万円
BOXILは、給与計算ソフトの導入に携わった1,498人へ「実際にかかった初期費用と年間費用」のアンケート※を実施しました。
そのうち従業員数1,000名以上の企業では、初期費用の相場が約100,000円、年間費用の相場が120,000円となりました(いずれも中央値)。年間費用を月額換算すると、月額約10,000円がかかる計算です。
※調査概要 インターネット調査にて給与計算ソフトの導入に携わった1,498人へ実施。本調査の期間は2025年8月8日~20日。本アンケート結果は小数点以下任意の桁を四捨五入しており、合計が100%にならない場合がある
給与計算ソフトの口コミ数・満足度ランキングについては、こちらもご参考ください。

【ERP型】大企業におすすめの給与計算ソフト比較6選
ERP型の給与計算ソフトを紹介します。勤怠や人事、会計も基幹刷新としてまとめてリプレイスしたい企業や、給与計算を皮切りにゆくゆくはシステム統合を目指す大企業に適しています。
奉行V ERPクラウド - 株式会社オービックビジネスコンサルタント
- グローバル企業やグループ企業向けに提供されているSaaS型ERP
- 標準機能で、IFRS対応や海外子会社の会計対応、グループ経営管理などに対応
- 給与管理をはじめ、明細書発行や年末調整申告、人事管理といった人事労務領域に幅広く対応
奉行V ERPクラウドは、大企業向けに提供されているSaaS型ERPです。日本の商習慣に沿った高品質なデータ処理で、財務会計・人事労務・販売・在庫管理など企業の基幹業務を網羅します。海外給与計算にも対応し、グローバル企業やグループ企業にも適したシステムです。
奉行V ERPクラウドで対応可能な領域は下記です。
- 財務会計・管理会計
- 個別原価管理
- 建設業会計
- 債権管理
- 固定資産管理
- 販売管理
- 仕入・在庫管理
- 総務・人事管理
- 給与計算
- 勤怠管理
- 労務手続き
- 地方税・法人税申告など
奉行V ERPクラウドの導入事例(従業員数10,000名〜)
三菱地所グループ(従業員数10,000名〜)では、各社が異なる会計システムを運用していたため、制度変更対応の負荷が大きく、決算早期化が進まないことが課題でした。また、グループ経営を推進するために、全社で共通のIT基盤を整備する必要がありました。
そこで標準機能で高いパフォーマンスを発揮するERPとして「奉行V ERP」を採用し、クラウドERPを基盤に再構築。導入後は移行作業が想定以上にスムーズに進み、短期間で多くのグループ会社が利用を開始。その結果、会計基盤が統一され、制度変更対応の負担が軽減し、決算処理の迅速化や業務の高度化が実現しました。さらに、人材活用やガバナンス強化にもつながり、グループ全体の運営がより効率的になったといいます。
※出典:奉行V ERPクラウド導入事例「三菱地所株式会社様」(2025年12月12日閲覧)
COMPANY 給与計算システム - 株式会社Works Human Intelligence
- 大企業の複雑な給与計算制度に標準対応
- 元データの管理から給与計算、チェック処理をシンプルに管理
- e-Govやe-Taxに対応
COMPANY 給与計算システムは、大企業向けに提供されているクラウド型給与計算ソフトです。大企業の複雑な給与計算制度や多様な福利厚生制度に対応しています。e-Gov電子申請サイトとのAPI連携を実現しており、社会保険に関わる各種届出の電子申請から進捗管理、公文書ダウンロード、e-TaxやeLTAXまでサポートします。
COMPANY 給与計算システムで対応可能な領域は下記です。
- 人事
- 勤怠
- タレントマネジメント
- 雇用手続管理
- ID管理
COMPANY 給与計算システムの導入事例(従業員数4,385名)
株式会社オートバックスセブンは、グループ約4,000名の人事・給与・勤怠管理において、人事情報・給与・勤怠が別々のシステムで管理され、子会社ごとに勤怠管理方法が異なり手作業が多いなど、データの一元管理や分析が非効率で人事戦略推進の妨げとなっていました。
そのため、グループ横断で人事データを統合できる基幹システム構築を目的に、「COMPANY 人事・給与」「COMPANY Web Service」「COMPANY 就労・プロジェクト管理」 を導入しました。導入後は、各社・店舗の勤怠が可視化され、勤怠管理の効率化が進むとともに、グループ全体の人事管理基盤が整い戦略的な人事施策の基盤構築に寄与しています。
※出典:導入事例「オートバックスセブン 約4千名の人事・給与・勤怠を一元管理」(2025年12月12日閲覧)
POSITIVE(POSITIVE on CLOUDiS)
- 圧倒的な高速給与計算処理を実現
- 大規模運用にも対応するシステム性能
- 複雑な給与体系もノンカスタマイズで対応
圧倒的なパフォーマンス性能を意識して開発されたPOSITIVEは、4万名の給与計算を10分以内で行う※スピードを備えた給与計算システムです。
社内で給与の制度や運用が異なる場合でもマルチカンパニー機能を有しているので、一つのシステムのみで対応できます。英語や中国語にも対応しているため、グローバル展開も可能です。作業スピードの大幅な短縮を重視する企業に適したシステムです。
POSITIVEで対応可能な領域は下記です。
- 就業管理
- 給与管理
- 人事管理
- タレントマネジメント
- 従業員向けWebサービス
※出典:電通総研 人事ソリューションサイト「機能」(2025年12月12日閲覧)
POSITIVEの導入事例(従業員数20,000名〜)
京王電鉄を中心に運輸、流通、不動産などの約5つの事業グループで構成される京王グループでは、人事給与業務の標準化とコスト削減が課題となっていました。特にグループ各社が個別にシステムを運用していたため、業務効率化が進まず、アドオン開発の増加による負荷も問題となっていました。
このため、グループ全体で共通利用でき、業務標準化と柔軟な拡張性を両立できる基盤として、電通総研の人事システム 「POSITIVE」 を導入しました。導入後はシステム共通化により人事給与業務が統一。また、給与計算対象1,000人以上の大規模業務にも対応し、トータルコストを約20%削減する効果が確認されています。
※出典:電通総研 人事ソリューションサイト「京王電鉄株式会社」(2025年12月12日閲覧)
PROACTIVE
- 給与業務全般の包括的なサポートとペーパーレス化
- 法制度対応と電子申請による効率化
- シミュレーション機能とナビゲーションによる業務支援
PROACTIVEは、SCSKが提供する、AIネイティブなERPをコアとするデジタルオファリングサービスです。企業の経営課題やさらにその先の社会課題の解決を視野に入れ、SCSKが培ってきた知見とAIの知性を融合させています。業務特化型・業界特化型の製品を通じて、高度な経営判断と業務効率化・自動化をワンストップで実現します。
PROACTIVEで対応可能な領域は下記です。
- 会計
- 人事給与
- 販売管理
- 生産管理
PROACTIVEの導入事例(従業員数2,000名〜)
株式会社オギノ(従業員数2,000名〜)は、ホールディングカンパニー設立に伴い、グループ全体の人事・給与処理を統合できるシステム基盤の必要性と、自社開発の給与システムでは法改正への迅速な対応が困難であったことが課題でした。そのため、システム改修負担のないクラウド型人事・給与システムとして「ProActive for SaaS 人事・給与」を採用。
導入後は、法改正対応が自動化されコストが不要になり、旧システムでは手作業だった業務の自動化で人的ミスが減少しました。給与チェック時間が約10時間短縮され、給与業務全体でも2営業日分の期間短縮が実現しています。
※出典:導入事例「株式会社オギノ」(2025年12月12日閲覧)
給与計算システム EXPLANNER/Ax - NECネクサソリューションズ株式会社
給与計算システム EXPLANNER/Axは、「ERPシステム EXPLANNER/Ax」の給与計算ソフトです。カスタマイズ不要で個社固有の計算式に対応でき、給与形態ごとに演算を組み込んだ計算式も設定可能です。
個人情報は基本情報だけでなく、支給控除額や社会保険なども自由な項目で管理できます。給与単独での導入のほか、人事システム EXPLANNER/Axとセットでの導入にも対応し、勤怠管理システム勤革時 EXPLANNER/Kや人事給与などの周辺サービスとの連携にも対応しています。
EXPLANNER/Axで対応可能な領域は下記です。
- 販売管理
- 債権管理
- 債務管理
- 会計管理
- 人事管理
給与計算システム EXPLANNER/Axの導入事例(従業員数500名〜)
共和産業株式会社(従業員数500名〜)は従来、生産管理、販売、調達、会計、人事給与が統合されておらず、各部署が独自に部品表・部品コードを管理していたため、データ重複や入力ミスが多発し、業務負荷と確認作業が増えていました。また、月次決算データの作成に時間がかかり、経営状況の把握・意思決定にも遅れが生じていました。
この課題を解消し経営判断の迅速化を図るため、NECネクサソリューションズの基幹業務パッケージ EXPLANNERを導入しました。導入後は、部品表・コードの全社統一による業務の標準化、得意先発注データの自動取り込みによる入力工数削減、月次決算処理時間の大幅な短縮が実現し、在庫精度向上や意思決定の迅速化に寄与しています。
※出典:「導入事例」(2025年12月12日閲覧)
GrowOne 給与SX
- 柔軟な計算式設定と多様な給与形態への対応
- 計算ミス防止と処理漏れを防ぐ各種チェック機能
- 複数法人管理と関連システムとの連携
GrowOne 人事SX・GrowOne 給与SXは、株式会社ニッセイコムが提供する人事給与システムで、多様化する現代の働き方や企業の給与計算ニーズに柔軟に対応します。入社から退職までの人事情報を一元管理し、企業が求められる多様な給与計算のニーズに柔軟に対応。会社独自の人事情報管理や多様な支給形態の給与計算に対応し、複数法人管理も可能です。専門領域のHR SaaSと連携することで業務効率化を促進し、人事戦略を実現します。
GrowOneで対応可能な領域は下記です。
- 生産管理
- 販売管理
- 人事管理
- 給与計算
- モバイル給与
GrowOne 給与SXの導入事例(従業員数1,000名〜)
日東ベスト株式会社(従業員数1,000名〜)は、2001年導入のクライアントサーバ型で長年使い続けてきたほぼオーダーメイドの人事・給与システムを運用していましたが、継続的なカスタマイズが必要で運用コストが高いことが課題でした。また、サーバ保守満了に伴うクラウド移行を機に、業務効率化や運用負荷軽減の必要性が高まり、既存システムの見直しを決断しました。
導入にあたっては、標準機能で多くの要件を満たし保守性が高い人事・給与パッケージとして、GrowOne 人事SX/給与SXを採用。導入後は、操作性と処理速度が向上し、給与明細の電子化により毎月の作業時間が大幅に短縮されるなど、業務負荷の軽減と効率化が実現しました。
※出典:人事・総務部門向けシステム GrowOne 人事SX・GrowOne 給与SX「日東ベスト株式会社様」(2025年12月12日閲覧)
【クラウド給与型】大企業におすすめの給与計算ソフト比較5選
クラウド給与型の給与計算ソフトを紹介します。まず給与計算を効率化したい大企業や、現在のシステムが業務フローに合わず、給与計算ソフトのみリプレイスしたい大企業に適しています。
マネーフォワード クラウド給与 - 株式会社マネーフォワード
- 支給項目と控除項目における前月との差分比較が可能
- 保険料や所得税を自動で計算
- Web上で給与・賞与明細を発行
マネーフォワード クラウド給与は、直感的に操作しやすい利用者インターフェースを重視して開発された給与計算ソフトです。事業者と従業員それぞれに、わずか5項目だけの設定で使用を開始できます。
また、月給制に加えて日給制や時給制にも対応しており、専門家でも満足して使える仕様です。短期間での導入・運用開始を求める企業や、ニーズに応じた柔軟な設定を重視する企業に適しています。
マネーフォワード クラウド給与の口コミ
給与奉行クラウド - 株式会社オービックビジネスコンサルタント
- 必要な業務に限定して部分的にデジタル化できる
- 自動バックアップ機能でデータを保護
- 専門家によるデータ参照や直接処理も可能
給与奉行クラウドは、給与計算から社会保険・年末調整までの給与業務をデジタル化できるクラウド型給与計算システムです。
企業ごとに異なる給与体系や、複雑な手当に対応しており、精度の高い自動計算を実現。また給与計算に必要な情報が常に最新の状態にアップデートされるため、計算結果のチェックや検算も効率よく行えます。
給与奉行クラウドの口コミ
- 残業時間・残業代、社会保険料の計算間違いを防止
- 上位プランは勤怠管理や人事管理も可能
- サポートは電話やメール、チャットと充実
freee人事労務は、労務の人的なミスをゼロにすることを掲げたクラウド給与計算ソフトです。勤怠管理や給与計算から年末調整、入退社手続きなどの業務まで一括サポート。保険料率・税率を自動で反映し、手続きを自動化します。社会保険料の計算間違いや未払いが防げ、Webで給与の振込も可能なので、業務時間とミスを減らします。
freee人事労務の口コミ
- 各種帳票のExcel出力など幅広くデータ活用が可能
- バックアップやリカバリ機能で安心サポート
- 豊富な計算式項目で、支給・控除項目の計算を自動化
PCAクラウド 給与は、サービス開始から15年以上にわたり、25,000法人以上※に導入されているクラウド給与計算ソフトです。給与計算や賞与計算、月額変更届の作成、年末調整など、給与計算に必要なさまざまな処理をスムーズに行えます。
複雑な給与計算にも対応しており、豊富な計算式項目で支給・控除項目の自動計算が可能です。また、パートタイマーにも対応した有給付与計算機能も備えています。
※出典:ピー・シー・エー「PCAクラウド | 製品情報 | ピー・シー・エー株式会社」(2025年12月12日閲覧)
- 勤怠情報入力で支給額や控除額を自動で計算
- 法改正も自動対応で安心
- 従業員情報をクラウドで一元管理
弥生給与 Nextは、給与明細書の作成から発行、年末調整までを行えるクラウド給与計算ソフトです。画面に表示される「やることリスト」に従って業務を進めることで、給与計算や年末調整業務の経験が少ない担当者でも、スムーズに作業を進められる設計です。
プランによっては労務管理機能もカバーでき、バックオフィスの効率化に適したシステムです。
大企業が給与計算ソフトを導入するメリット
大企業が給与計算ソフトを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。大企業向け給与計算ソフトのメリットについて説明します。
業務効率の向上
大企業向け給与計算ソフトでは、大企業に特有の多様な給与体系や複数の事業所に対応した柔軟な設定が可能です。自動化されたシステムは、従業員の出勤データや残業時間、控除項目などの情報を一元管理し、迅速かつ正確に給与を計算します。データ入力や計算ミスが減少し、業務のスピードと正確性が向上します。
また、従業員数の増加や組織変更に伴う給与計算の複雑化にもスムーズに対応可能です。新たな従業員の情報を迅速に追加し、システムに統合することが容易にできます。
コスト削減
給与計算ソフトを導入することで、コスト削減も期待できます。初期導入費用やライセンス費用はかかるものの、長期的には人件費や手作業によるミスの修正コストの削減が期待できます。
また、給与計算ソフトは、給与計算に関する最新の法令や規制に自動的に対応する機能を持っているため、大企業の法令遵守のための追加コストがかかりません。法令違反による罰金や追加の手続き費用などのリスクも軽減されます。
法令遵守の強化
給与計算には、労働基準法や税法などの法令を遵守する必要があります。給与計算ソフトは、法令にもとづいて自動的に計算を行うため、大企業の法令遵守が容易になります。多くの従業員の所得税や社会保険料の計算、各種手当や控除の適用など、複雑な計算も法令に則って正確に処理可能です。
さらに、法令や規制が変更された場合でも、ソフトウェアのアップデートを行うことで、最新の法令に対応可能です。大企業にとって複雑な法令対応の手間が省け、法令違反のリスクを最小限に抑えられるメリットがあります。
データ管理とセキュリティの向上
給与計算ソフトは、従業員の給与に関するデータを一元管理可能です。これにより、データの管理が効率化され、必要な情報を迅速に検索・取得できます。大企業の部門別の給与支出や時間外労働のコストを可視化し、経費削減のための具体的な対策を講じたり、適正な労務管理や効果的な人事戦略に役立てたりできるでしょう。
また、データのバックアップ機能やセキュリティ機能も充実しているため、データの漏えいや紛失のリスクも低減可能です。大企業の人事給与の情報セキュリティが強化され、安心して給与計算業務を行えるようになります。
大企業の給与システム移行の注意点
実際に給与システムを移行する際に気をつけるべき点を2つ紹介します。
要件定義を丁寧に行う
製品をカスタマイズする際は特に、要件定義に力を入れましょう。給与制度の複雑さを正しく要件定義できていないと、移行後に手当の誤計算や控除処理の不整合が発生します。
特に交替勤務や複数拠点で制度が異なる場合、例外条件や対象者の分類ルールを曖昧にすると再現できません。属人的に運用されていたExcelマクロや暫定処理も形式知化し、仕様として言語化することが極めて重要です。設計段階での詰めが甘いと、本番稼働後のリカバリに膨大な工数がかかります。
移行スケジュールは繁忙期を避け、余裕を持って設計する
システム移行は年度末や期末を避けて実施しましょう。多くの大企業では年末調整、賞与、昇給といった繁忙期が業務の山場です。このタイミングに移行を重ねると、現行運用と新システムの検証作業が並行し、現場の負担が限界に達します。
制度確認・データ整備・テスト計算など、やるべきことは多岐にわたるため、余裕のないスケジュールでは本質的な確認作業が後回しになります。ベストな移行時期は給与業務の平常運転時期を選ぶことです。
大企業に適した給与計算ソフトの選定に関してよくある質問
最後に、給与計算ソフトの選定でよくある質問を取り上げます。
クラウド型とオンプレミス型はどちらが大企業に向いていますか?
近年ではクラウド型でも大企業対応が進んでおり、セキュリティ・機能面でも選択肢が増えています。特に法改正対応や保守の自動化、テレワーク対応を重視するならクラウドが有力です。一方で、制度が複雑でカスタマイズが多い企業や、システム構成を細かく統制したい場合はオンプレミス型が適するケースもあります。自社のIT方針や拠点構成、内部統制要件をふまえて選ぶことが重要です。
複雑な給与制度に対応できるかどうかは、どう見極めればよいですか?
拠点別の手当、雇用区分ごとの計算式、出向・兼務者の処理などを、Excelや外付けで補わずにシステム内で再現できるかがポイントです。設定項目の自由度、給与体系数の上限、支給・控除項目のロジック設定の柔軟性などを、ベンダーから具体例付きで提示してもらうことで、制度再現力を客観的に確認できます。
大企業向けの給与計算ソフトは比較して検討しよう
大企業向けの給与計算ソフトのうち最適なサービスを選ぶには、ニーズや予算に合わせて、複数のシステムを比較検討することが大切です。下のボタンからはBOXILが厳選したサービスの資料を無料でダウンロードできます。ぜひサービス選定の参考にしてください。
本記事で紹介しきれなかった給与計算ソフトについては下の記事にて解説しています。より多くのサービスから検討したい方はあわせてチェックしてください。
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