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タイムスタンプとは?電子帳簿保存法での利用シーンや発行時の注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から67日前のものです)
タイムスタンプは、電子契約を行ううえで欠かせない仕組みです。電子データにタイムスタンプを付与することで、非改ざん性を証明でき、取引の安全性や信頼性を確保できます。本記事では、タイムスタンプの仕組みや役割、発行方法などを解説します。

タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、刻印された時点で電子データが存在していた事実を証明できる技術です。

紙文書の場合、署名や押印によって法的効力を付与できます。しかし、電子データは容易に内容を改ざんできるため、安全性や信頼性を確保するのが難しい傾向があります。ただし、特定の時点における電子データの存在を証明できれば、仮に内容が改ざんされても作成日時が一致しないため、改ざんの有無が即座に把握できます。

つまり、タイムスタンプの付与により電子データに非改ざん性が備わるということです。また、第三者機関がタイムスタンプを発行することで、客観的な存在証明を与えられます。そのため、安全性や信頼性が懸念される電子契約において、タイムスタンプは不可欠な存在だといえるでしょう。

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの利用シーン

タイムスタンプの利活用に関しては、電子帳簿保存法で要件が示されています。電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿書類のデータ保存に関する要件をまとめた法律です。

電子帳簿保存法においてタイムスタンプは、電子取引データ保存とスキャナ保存を行う際に用いられます。それぞれの利用方法を理解して、正しい場面でタイムスタンプを活用しましょう。

電子取引データ保存の場合

電子帳簿保存法における電子取引データ保存では、デジタル上で行う取引の書類に関する保存要件がまとめられています。

電子取引データを保存する際は、データの真実性(データの訂正・削除が行われていないことの証明)を確保しなければなりません。真実性を確保するには、訂正や削除の事実を確認できる、あるいは訂正・削除が不可能なシステムを利用することで解決できますが、タイムスタンプを用いた方法もあります。

たとえば、取引先がタイムスタンプを付与した電子データを受領すると、真実性が確保されます。また、受領した電子データに自社でタイムスタンプを付与する場合も同様です。タイムスタンプによって真実性を確保できるのは、データが改ざんされていない事実を客観的に証明できるためです。

スキャナ保存の場合

スキャナ保存も電子取引データ保存のケースと同様、電子帳簿保存法によってタイムスタンプの要件が定められています。電子帳簿保存法におけるスキャナ保存とは、税務関係の帳簿書類をスキャン(デジタルカメラやスマートフォンの撮影も可)してデータ保存する際のルールです。

タイムスタンプの要件は重要書類と一般書類で異なります。重要書類の場合、データ受領後に署名したうえで、3営業日以内にタイムスタンプを付与しなければなりません。一般書類はスキャン時にタイムスタンプを付与するか、受領後3営業日以内に付与するかを選べます。

タイムスタンプを発行する方法

タイムスタンプを発行するには、第三者機関である「時刻認証業務認定事業者(TSA:Time-Stamping Authority)」に依頼します。タイムスタンプを付与する書類をTSAに発送すると、日付情報とハッシュ値が記述されたタイムスタンプトークンが発行される仕組みです。

ハッシュ値とは、独自のアルゴリズムを用いて生成されたランダムデータを指します。アルゴリズムには不可逆性の一方向関数が採用されているため、ハッシュ値からデータを復号できない、性質が異なる複数のデータを作成できないといった特徴があります。そのため、日付情報とハッシュ値を同時に付与することで、データに非改ざん性が備わる仕組みです。

TSAに関しては、総務省のホームページで情報が公開されています。

タイムスタンプ発行に要する費用

タイムスタンプトークンを発行するには、TSAが提供するタイムスタンプ発行サービスを利用する必要があります。セイコータイムスタンプサービスMINDタイムスタンプサービスなどが代表的です。

タイムスタンプ発行サービスの料金は、従量課金制と定額制の種類があります。従量課金制の場合、タイムスタンプ1回の発行にあたり10円程度の料金が相場です。定額制では1か月といった単位で料金が区切られており、10~300万円程度と料金に幅があります。

タイムスタンプを発行するなら電子契約システムがおすすめ

タイムスタンプを発行する場合は、電子契約システムの導入がおすすめです。

電子契約システムとは、インターネット上で押印や署名を行って契約を締結できるツールです。電子契約システムを利用する場合でもタイムスタンプ発行サービスの料金は発生しますが、証憑収集オプションを採用している製品の場合、タイムスタンプが自動的に付与されます。自身でタイムスタンプ発行サービスに申し込む必要がないので、手間の削減につながります。

また、電子署名や電子証明書など、本人性を確保できる機能を搭載しているのも特徴です。電子契約を結ぶ場合は、非改ざん性と同時に本人性を確保しなければなりません。一つのシステムで両方を同時に確保できるのが、電子契約システムのメリットです。

電子契約システムの特徴や主な機能、おすすめ製品などは、こちらの記事で詳しく解説しています。

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タイムスタンプの正しい知識を押さえよう

電子契約を行う際、電子データにタイムスタンプを付与することで非改ざん性を確保できます。反対にタイムスタンプがなければ、データの真正を証明できないため、裁判の証拠として認められない可能性があります。契約時の法トラブルのリスクを回避するには、タイムスタンプの仕組みを理解したうえで導入を検討することが大切です。

ただし、タイムスタンプを付与するには、ある程度の費用がかかります。タイムスタンプ発行サービスの利用料や電子契約システムの導入費用などが発生するためです。そのため、現状の業務フローや社内体制を見直すとともに、コスト的な観点も踏まえて導入可否を検討しましょう。

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