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書類の電子化とは?メリットやデメリット、実施方法を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から8日前のものです)
書類を電子化することで、紙による文書管理から脱却が可能です。結果、ペーパーレス化が促進され、業務効率化やコスト削減などのメリットが生まれます。本記事では、書類を電子化するメリットや方法、注意点などを解説します。

書類の電子化とは

書類の電子化とは、紙の文書や資料、帳票をデジタルデータに変換することです。

電子化によって紙の書類を極力なくすことで、ペーパーレス化につながります。すると、取引や契約、申請などの作業をデジタル上で完結できるため、業務効率化やコスト削減が可能です。

DXやデジタル化の重要性がますます高まる昨今において、どのような取り組みを実行すべきか迷っている方も多いでしょう。なかでも書類の電子化は、特別な知識不要で導入ハードルも低いため、DXやデジタル化の第一歩として施策を展開できます。

書類を電子化するメリット

書類を電子化すると次のようなメリットが生まれます。

  • 検索性が向上する
  • 組織内で情報を共有しやすくなる
  • コストや保管スペースの削減につながる
  • 書類の紛失を避けられる
  • 業務システムやアプリケーションと連携しやすい
  • 働き方改革の推進につながる

検索性が向上する

書類を電子化する場合は、デジタル上にデータを保管しますが、サーバーやシステム、クラウドサービスなどの種類を問わず、検索性の向上が見込めます

たとえば、ローカル上に保存する場合でも、Windowsのエクスプローラーを利用すればファイルの名称や内容でデータを検索できます。情報管理に長けたシステムやクラウドサービスを導入すると、細かい条件を指定できるため、さらに検索性の向上が可能です。

情報の検索性が高まると作成者以外でも必要なデータを探しやすくなります。また、税務調査で資料の提出を求められた場合でも、必要な情報へと即座にアクセスできるのがメリットです。

組織内で情報を共有しやすくなる

紙で書類を管理する場合に比べ、電子化された書類はスムーズな情報共有が可能です。デジタルデータはメールやチャットで送信できるため、複数人で書類を確認する際のプロセスを簡略化できます。

さらに情報共有を円滑にするには、クラウドサービスを利用するのがおすすめです。クラウドサービスは、サーバーやネットワークを構築せずに済み、ソフトウェアをインストールする必要もありません。

IDやパスワードがあれば、誰でもシステムにアクセスできるため、必要な情報を探しやすくなります。また、システム内でメールやチャットを使ったり、メモやコメントを残したりなど、さまざまなコミュニケーション機能を利用できるのも特徴です。

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コストや保管スペースの削減につながる

書類の電子化によってペーパーレス化が促進されると、コストや保管スペースの削減につながります。

紙の書類を保管する場合、印刷代や印紙代、発送費などのコストがかかります。また、現物の書類を保管するためのスペースを確保しなければなりません。

一方、デジタルデータはインターネット上で送受信できるので、印刷代や発送費が不要です。データを保管するのもデジタル上で完結します。

書類の紛失を避けられる

書類の紛失を避けられるのもメリットの一つです。紙と違ってデジタルデータは現物が存在しないため、そもそも書類をなくすようなことは起こりません。そのため、書類紛失による機密情報の漏えいといったセキュリティリスクを最小限に抑えられます

ただし、保存したファイルやデータを誤って消してしまうことはあるでしょう。この場合は外部に情報が流出する危険性は避けられても、重要なデータが消失する恐れがあります。重要なデータは必ずバックアップを取り、データの消失トラブルを防ぎましょう。

業務システムやアプリケーションと連携しやすい

書類を電子化することで、業務システムやアプリケーションと連携しやすくなります。

書類をすべて紙で管理している場合、業務システムに情報を移行するには、手作業でデータを入力しなければなりません。膨大な量の情報があれば、データ入力だけで相当な手間や時間がかかります。

一方、デジタルデータであれば、システムへの入力は容易です。たとえば、ExcelやCSVでデータをインポートしたり、APIを使ってシステム同士を連携してデータを紐付けたりと、非常に簡易的な作業のみで済みます。さまざまな領域で業務システムやアプリケーションを利用している場合、必要なデータを即座に移行できれば、スムーズな部門間連携につながります。

働き方改革の推進につながる

最後のメリットは、働き方改革の推進につながる点です。

仮にテレワーク制度を導入する際、紙でのやり取りがメインであれば、物理的に距離が離れた従業員同士で情報を交換するのは無理があります。しかし、書類を電子化することで、メールやチャットでデータを送信できます。また、VPN(仮想プライベートネットワーク)を駆使して、遠隔から社内ネットワークにアクセスするのも方法の一つです。

組織内での働き方改革が進むと、従業員の満足度やモチベーションの向上、離職率の低下などの恩恵が生まれます。

書類を電子化するデメリット

書類の電子化にはさまざまなメリットがある反面、次のようなデメリットも存在します。

  • サイバー攻撃などの新たなセキュリティリスクが発生する
  • データを保存するためのストレージが必要
  • データ管理の手間がかかる

サイバー攻撃などの新たなセキュリティリスクが発生する

書類を電子化するうえで注意すべきなのはセキュリティリスクです。紙の場合は、書類紛失による情報漏えいリスクがありますが、デジタルデータでは、次のようなセキュリティリスクが発生します。

  • サイバー攻撃
  • マルウェア感染
  • データの誤送信

自社でサーバーを構築する際は、セキュリティポリシーや要件を明確にしたうえで、構成上に正確に反映させることが大切です。クラウドサービスでは自社でセキュリティをコントロールしにくいため、セキュリティ機能や認証資格の有無、導入実績などを確認し、安全性の高いものを導入しましょう。

データを保存するためのストレージが必要

デジタルデータは物理的な保管スペースが不要な代わりに、ストレージが必要です。ストレージとは、データを保管するためのデジタル上の保管スペースです。ストレージの構築方法は、どのようにデータを保管するかによって異なります。

たとえば、データ保管用のサーバーを導入する場合は、1台あたりの保存容量を確保したり、必要な台数を検討したりする必要があります。サーバーを構築せず、クラウドストレージを利用するなら、容量に応じた料金プランやオプションの検討が必要です。

いずれの場合でも費用がかかるため、適切な予算を設定しましょう。

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データ管理の手間がかかる

書類を電子化する際は、データ管理に手間がかかる点にも注意が必要です。

デジタルデータを保存する際は、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。たとえば、電子取引で使用した電子文書は、紙ではなくデータでの保存が義務付けられています。また、スキャナ保存する際も、データに検索性や真実性を付与する必要があります。

セキュリティリスクを和らげるには、保管するデータの安全性を検証することも大切です。そのため、2段階認証やデータ暗号化、権限設定などの機能に着目し、必要に応じて機器やシステムを導入しましょう。

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書類を電子化する方法

一概に書類の電子化といっても、さまざまな方法があります。現状の業務内容と照らし合わせながら、もっとも適切な方法を探りましょう。

システム上にデータを手入力する

書類を電子化するもっとも基本的な方法は、システムにデータを手入力することです。顧客管理システムに名刺の情報を入力するなど、データを直接打ち込ちます。

データ入力するメリットは、データを取り込むための機器を導入せずに済む点です。導入コストや機器選定の手間を省けます。一方、ヒューマンエラーが発生しやすく、手戻りの工数が増えてしまうのがデメリットです。

社内のスキャナを利用する

社内にあるコピー機や複合機などのスキャナ機能を利用するのも良いでしょう。スキャンしたデータは画像やPDFなどのファイルに変換され、そのまま任意の場所に保存できます。

既存の機器をそのまま利用できるので、すでに従業員が使い方に慣れており、新しい機器を導入するよりも手軽です。また、データ入力に比べて素早く書類を電子化できます。

しかし、たとえ作業効率が良いといっても、膨大な量の書類がある場合は別です。スキャナでは一枚ずつ書類を読み取る必要があるため、量が増えるほど手間がかかります。

スマートフォンやデジタルカメラで撮影する

社内にスキャナがない場合は、スマートフォンやデジタルカメラで補完できます。カメラ機能を使って書類を撮影し、デジタル上にデータを保管する方法です。電子帳簿保存法の2016年の改正により、国税関係の帳簿書類でも、スマートフォンやデジタルカメラで電子化したデータの保存が可能になりました。

普段使用している機器を利用できるため、手軽に始められるのがメリットです。

ただし、一枚ずつ書類を撮影する必要があり、スキャナよりも手間がかかります。また、膨大な量の書類を電子化する際は、端末側の容量不足に陥りやすく、度々データを整理しなければなりません。少量なら良いものの、読み取る書類の数が多い場合は不向きです。

書類スキャンの専門会社にアウトソースする

書類を電子化する際は、専門会社にアウトソースできます。専門会社は数多くのスキャナを取りそろえており、書類の数が多くても迅速に対応が可能です。作業を依頼するたびに費用がかかるものの、従業員が作業する必要がなく、コア業務に注力できるのは大きなメリットだといえるでしょう。

デメリットとしては、安全性の問題があげられます。外部に作業を委託する以上、データが窃取されたり改ざんされたりするリスクは必ず発生します。できるだけ安全にサービスを利用するには、事前の実地見学やヒアリング、セキュリティ体制の確認といった対策が必要です。

OCRサービスを活用する

OCRサービスとは、紙の書類をデジタルデータへと変換するサービスです。スキャナの場合は、書類をPDFや画像などのファイルに変換するだけですが、OCRサービスであれば、書類に記載された文字をデジタル上のテキストデータに変換できます。

そのため、PDFや画像では難しかった、電子化した後の編集が可能です。

たとえば、GoogleのOCRサービスを利用すると、変換したデータがGoogleドキュメントに表示され、そのままテキストの修正やサイズ変更、色調整などを行えます。また、情報がテキストデータとして保存されるため、文書の内容をもとに情報を検索できるのも利点です。

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電子化できる書類と電子化できない書類の違い

見た目が同じような書類でも、電子化できるものとできないものに分かれます。とくに、法律によって要件が定められている、国税関係の帳簿書類を保管する際は注意が必要です。

電子化が必要な書類

電子化する書類は基本的には自由ですが、国税関係の帳簿書類の場合は、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。国税関係の帳簿書類とは、仕訳帳や総勘定元帳などの国税関係帳簿、貸借対照表をはじめとする決算関係書類、見積書や契約書などの取引関係書類が代表的です。

なかでも電子取引によって生じた書類は、データでの保存が義務付けられています。また、「電子帳簿等保存」や「スキャナ保存」などの区分ごとに、保存要件を満たさなければなりません。書類を電子化する際は、電子帳簿保存法の内容をしっかりと確認することが大切です。

電子化できない書類

書類のなかでも公正証書を用いるものは、紙での作成が義務付けられています。そのため、電子化はできません。対象となる書類としては、事業用借地権設定契約書や農地の賃貸借契約書などがあげられます。

また、国税関係の帳簿書類でも、紙で保存しなければならないタイプがあります。棚卸表や決算関係書類はスキャナ保存の対象外なので、紙での保存が必須です。

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書類を電子化する際の流れ

書類を電子化する際の流れは次のとおりです。それぞれの流れに沿って進め方を解説します。

  1. 目的の明確化
  2. 対象となる書類の選別
  3. 解像度やデータ形式の確認
  4. 読み取り機器や保管場所の準備
  5. 書類の電子化
  6. データ調整
  7. データのバックアップ

1.目的の明確化

書類を電子化する際に、まずは明確な目的を決めましょう。目的があいまいなまま電子化を進めると、明確な要件を定義できず、同時に必要なシステムや機器も選定しにくくなります。また、組織全体で方向性を統一できるよう、旗印となる目的が必要です。

目的を設定するには、組織内の課題を特定することから始めます。紙の書類を管理するうえでどのような不具合が発生しているか、従業員がどのような悩みを抱えているか、さまざまな視点から検証しましょう。

2.対象となる書類の選別

続いて、対象となる書類を選別します。書類の電子化といってもすべての書類が対象になるわけではありません。なかには、紙で保管する必要もなくデータとしても不要な処分すべき書類も存在します。組織内に蓄積された書類を、次のように分類しましょう。

  • 紙での保管が必要な書類
  • 電子化が必要な書類
  • 処分しても良い書類

重要度や緊急度をもとに分類すると、書類の要否をスムーズに検証しやすくなります。

3.解像度やデータ形式の確認

PDFや画像などのファイルでデータを保存する際は、適切な解像度を決めることが重要です。

一般的なスキャナでは600dpiの解像度に設定されているケースが少なくありません。しかし、書類を電子化するだけであれば400dpi程度でも十分に綺麗に表現できるため、600dpiの解像度はオーバースペックです。解像度が高いほど読み取りに時間がかかるため、スピード感と品質を意識して解像度を決めましょう。

また、データ入力やOCRサービスを採用する場合は、ExcelやGoogleドキュメントなどにもデータを保存できるため、選択できるデータ形式の幅が広がります。システムにデータを移行する際はExcelやCSV、後から編集する可能性があるならGoogleドキュメントといった形で形式を決めると良いでしょう。

4.読み取り機器や保管場所の準備

読み取り機器や保管場所を準備することも重要です。

読み取り機器としては、スキャナやデジタルカメラ、OCRシステムなどが選択肢にのぼります。機器にこだわらず、データ入力やアウトソーシングを検討するのも一案です。データの保管場所としては、サーバーや業務システム、クラウドサービスなどがあげられます。

いざ書類を電子化するにしても、その場で機器や保管場所を選定するのは難しいものです。そのため、目的や要件に照らし合わせて事前に必要な環境を整備しておきましょう。

5.書類の電子化

事前準備が完了した後は、いよいよ書類の電子化に取り組み始めます。

書類を電子化する際は、データ入力やスキャン以外にも、さまざまな作業が発生します。とくに、書類のファイルからの取り出しやホチキス外しなどは、見逃しやすい作業なので注意が必要です。細かい作業も念頭に置いて、正確な作業プランを立てましょう。

6.データ調整

書類を電子化した後はデータ調整が必要です。たとえば、取り込んだデータの切り抜きや回転、明るさの調整などの作業が対象に含まれます。ファイル名の設定やファイルのフォルダ分け、タグの付与といった作業も必要です。

保存したデータが整理されていない状態では、検索性が低下し、スムーズな情報共有を図れません。また、電子帳簿保存法の要件を満たすためにも検索性を意識することは重要です。

7.データのバックアップ

最後に保存したデータのバックアップを行いましょう。1か所にしかデータが保存されていないと、ヒューマンエラーや不正アクセスなどにより、データが消失する恐れがあります。そのため、データは複数箇所に分散して保存するのが基本です。

バックアップ先としては、サーバーや外部ストレージ(外付けHDDなど)、クラウドなどが考えられます。万が一のことも想定して、デジタルデータと紙の両方を保管するのも一案です。

書類を電子化して紙の管理業務から脱却しよう

デジタル化やDXを推進するには、書類を電子化する考え方が重要です。紙からの脱却を図り、ペーパーレス化が実現すれば、業務効率化やコスト削減といったさまざまなメリットが生まれます。

書類を電子化する際は、文書管理システムを活用するのがおすすめです。文書管理システムには、電子文書の一元管理に加え、情報検索や外部システム連携、権限管理などの幅広い機能が搭載されています。文書管理システムの特徴や機能、選び方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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