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電子委任状とは?仕組みや必要性、発行方法

最終更新日:(記事の情報は現在から122日前のものです)
電子委任状とは、契約で名義人以外の人が署名を行う際に用いる委任状を、デジタル上で作成・発行したものです。電子委任状を利用することで、電子契約の際に委任の事実を証明できます。本記事では、電子委任状の仕組みや発行方法などを解説します。

電子委任状とは

電子委任状とは、デジタル上で取り扱われる委任状全般を指す言葉です。ただし、電子委任状には広義と狭義の意味があります。

広義の電子委任状は、WordやGoogleドキュメントなどを使ってデジタル上で作成された委任状です。一方、狭義の電子委任状は、広義の意味に加えて「電子委任状取扱事業者が証明したもの」という意味もあわせ持ちます。

電子委任状取扱事業者とは、安全性や信頼性などの基準をクリアした認定機関です。電子委任状は基本的に誰でも作成できますが、電子委任状取扱事業者に作成を依頼すると、文書の有効性を証明できます。そのため、契約の相手方が有効性を精査する工程を省けるのがメリットです。

電子委任状法によって信頼性が担保される

電子委任状にまつわる法律として、電子委任状法があります。電子委任状の普及促進に必要な指針や認定制度に関して取りまとめた法律です。

電子委任状は、WordやGoogleドキュメントなどのツールがあれば、容易に作成できます。そのため、なりすましによるデータ改ざんリスクが存在します。このようなリスクを抑制するため、電子委任状法では書面を作成する際の有効性やセキュリティに関して一定の基準を設け、電子委任状の信頼性を担保しているのが特徴です。

電子委任状が必要な理由

電子委任状が必要な理由は、近年注目度が高まっている電子署名法との整合性を取るためです。

電子署名法では、電子契約書に電子署名を付与する際は本人であることを証明するよう規定されています。実際に電子署名を行う際は必ずしも本人である必要はなく、委任状があれば名義の異なる人物でも署名が可能です。

しかし、電子契約書と委任状は同一の文書ではなくそれぞれ別に作成されます。そのため、委任の事実を証明するのが難しく、電子署名法に抵触する可能性も考えられます。

一方、電子契約書と形式が同じ電子委任状を利用することで、情報を紐付けやすくなり、委任の事実も証明可能です。手続きにおける矛盾もなくなるため、電子契約を行う際の電子委任状は重要な存在だといえます。

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電子委任状の形式

電子委任状には次のような形式があります。電子委任状を利用する際は、それぞれの違いをよく理解することが重要です。

  • 電子証明書方式
  • 取扱事業者記録ファイル方式
  • 委任者記録ファイル方式

電子証明書方式

電子証明書方式とは、電子委任状取扱事業者が電子証明書に委任の事実を記録する方法です。

電子契約を行う際は、本人が電子署名を行ったこと(本人性)と、作成以降に情報が改ざんされていないこと(非改ざん性)を証明するため、電子証明書を発行します。電子証明書方式では、この電子証明書に本人性と非改ざん性に加え、委任の事実を記録できます。そのため、電子委任状と電子証明書を別々に発行する必要がありません

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取扱事業者記録ファイル方式

取扱事業者記録ファイル方式も電子証明書方式と同様、電子委任状取扱事業者が委任の事実を記録します。ただし、取扱事業者記録ファイル方式の場合は、電子証明書とは別に電子委任状を発行するのが特徴です。また、委任の事実を記録したデータを事業者側で保管できます。

すでに電子証明書を発行済みの場合は、取扱事業者記録ファイル方式を利用すると良いでしょう。

委任者記録ファイル方式

委任者記録ファイル方式とは、電子委任状取扱事業者に委託せず、自社で電子委任状を作成する方法です。外部に委託する手間を省ける一方で、文書の有効性を証明できないデメリットがあります。

また、自社で電子委任状を作成した後、そのデータのみ電子委任状取扱事業者に保管してもらえます。保管したデータは、求めに応じて契約の相手方に提示できるのが特徴です。

電子委任状に記載すべき項目

電子委任状には、次のような項目を記載しなければなりません。あらかじめ必ず確認しておくようにしましょう。

  • 委任者の名称や所在地・代表者名・法人番号など
  • 受任者の氏名や役職・所在地・識別子など
  • 代理権の内容や委任期間

電子委任状を利用する手順

電子委任状は、電子証明書方式や取扱事業者記録ファイル方式などにより、発行方法や作成方法が異なります。それぞれの手順を解説します。

電子証明書方式の場合

電子証明書方式で電子委任状を利用する手順は次のとおりです。

  1. 委任者の代理権を受任者へと授与する
  2. 委任者が電子委任状取扱事業者に対して電子委任状の発行を委託する
  3. 委任の事実を記録された電子証明書を受け取る
  4. 電子署名・電子証明書付きの契約書を相手方に送る

取扱事業者記録ファイル方式の場合

取扱事業者記録ファイル方式で電子委任状を利用する手順は次のとおりです。

  1. 委任者の代理権を受任者へと授与する
  2. 委任者が電子委任状取扱事業者に対して電子委任状の発行を委託する
  3. 発行した電子委任状を電子委任状取扱事業者側で保管する
  4. 契約の相手方が必要に応じて電子委任状の内容を確認する

委任者記録ファイル方式の場合

委任者記録ファイル方式で電子委任状を利用する手順は次のとおりです。

  1. 委任者の代理権を受任者へと授与する
  2. 自社で電子委任状を作成し、必要に応じて電子委任状取扱事業者側に保管を委託する
  3. 契約の相手方が必要に応じて電子委任状の内容を確認する

テンプレートを使って電子委任状を効率良く作成する

自社で電子委任状を作成する場合は、テンプレートを活用するのがおすすめです。テンプレートをもとに書面を作成することで、項目を都度作成したりレイアウトを考えたりする必要がありません。

WordやGoogleドキュメントで利用できる委任状テンプレートは、無料でダウンロードできるものもあるので、活用を検討してみてください。

リスクを踏まえて正しく電子委任状を作成・発行しよう

電子契約で名義人以外の人が電子署名を行う際は、電子委任状の発行が必要です。委任状は紙の文書でも作成できますが、電子契約書の形式に合わせて、電子上の委任状を作成するのがポイントです。

電子契約書と電子委任状を組み合わせることで、有効性が加わり、委任の事実を正確に証明できます。つまり、なりすましによるデータ改ざんリスクを最小限に抑えられます。また、より有効性を意識するなら、できるだけ電子委任状取扱事業者に発行を委託すると良いでしょう。

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