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RPAとAIの違いは?RPA×AIの連携による自動化の未来とは

最終更新日:(記事の情報は現在から25日前のものです)
RPA (Robotic Process Automation)とAI(人工知能)の定義や働きの違いをわかりやすく解説します。RPA×AIの連携による進化する自動化の未来に備えましょう。

RPAとは

RPAとは、ロボティックプロセスオートメーション、英語の「Robotic Process Automation」を略した言葉です。具体的には、ソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化、あるいはソフトウェアロボット自体のことです。

RPAは人間があらかじめ設定したルールに沿って、データの入力やファイルの分類などをしてくれるため、業務改善や働き方改革につながります。定型業務を削減できるほか、人間にしかできない業務に専念できるため従業員のモチベーション向上に貢献します。

RPAとは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください。

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RPAのメリット

RPAの強みは、指示した内容に対しては精度を保って稼働する点、AIソフトウェアと比べて調整が簡単にできる点です。

人間が設定したルールに沿って疲れを感じることなく動くため、集中力の欠如によるケアレスミスがありません。また、ルールを人間が設定する比較的シンプルなシステムなので、運用コストを抑えられます。

RPAのデメリット

反対にRPAの弱みは、ルールを人間が設定しなければならない点、エラーが発生した際に都度修正が必要な点です。

RPAに任せた場合のフローを点検し、業務によってロボットを最適化する必要もあります。また、Excelやメールの仕様変更によりエラーが起きる際は、RPAが再稼働できるよう調整しなければなりません。

AIとは

AIとは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能のことです。AIは、人の知覚や知性を人工的に再現するテクノロジーやソフトウェアを意味します。

具体的には、AIはビッグデータにもとづいたアルゴリズムを介して、コンピューターが自律的に判断するシステムです。ディープラーニングと呼ばれる仕組みを使えば画像認識や音声認識、言語処理をこなせるので、より人間に近い正確な判断が可能です。

AIは単体のアプリケーションとしてではなく、なんらかのシステムやデバイスのなかに組み込まれて活用されています。RPAのなかにもAIを組み込んで、さらに柔軟に、より多くの業務を自動化させる取り組みも行われています。

AIのメリット

AIソフトウェアの長所は、人間による判断も含め自動化できる点です。

AIはデータからルールとなるアルゴリズムを生成するため、人間が暗黙知として判断していた場合であっても、自律的に考え処理してくれます。人間が画像から文字を読むような作業であっても、AIであれば画像認識技術で対応可能です。

AIのデメリット

AIの短所は、処理精度がシステムやデータ量に依存する点です。

AIは人間がケアレスミスをするように、判断ミスをするケースがあります。そのため、AI機能に判断を任せきりにするのではなく、場合によっては人間によるダブルチェックの必要があります。

また、ソフトウェアに組み込まれたAIは、ほとんどがブラックボックスなので、アルゴリズムの調整が困難である点には注意が必要です。

RPAとAIの違い

RPAとAIの働きの違いは、人間が設定したルールに従って動くか、システムがデータを分析して独自に判断して動作するかにあります。

RPAは人間が設定したルールに沿って動く

RPAでは自動化したい業務をパソコンの画面操作を通してソフトウェアに記録・設定し、設定された一定のルールにもとづいて再現します。たとえば、指定された部分のメールのテキストをExcelにコピー&ペーストするといった作業です。

こうした特徴の一方、AIが搭載された自律的に判断してくれるRPAもリリースされているので、RPAとAIの差は狭まってきているともいえるでしょう。

AIはシステムが分析して判断する

AIは人間が判断するように、アルゴリズムがデータを適宜分析しながら自律的に判断して動作します。

AIソフトウェアは、蓄積されたデータをもとにアルゴリズムが解析を行い、自律的に判断しながら業務を自動化するものです。例をあげれば、メールの文面を大量に分析したデータをふまえて、優先度の高いメールをお知らせしてくれるものがあります。

またAIは、自己学習機能を備えているので、業務を積み重ねるにつれて、処理精度を高めるメリットがあります。

RPAとIoTの違い

IoTはInternet of Thingsの略で、モノのインターネットと訳されます。

簡単にいうと、身の回りにあるさまざまモノに通信機能を持たせてインターネットに接続するシステムのことです。たとえば、エアコンやテレビをインターネットとつなげて外出中に操作するといった例があります。

IoTはRPA同様、AIとの連携による発展が可能です。IoTデバイスが集めた多様なデータを、AIによって分析・分類・抽出することで、メンテナンスや異常検知から、消費者の行動にもとづいたマーケティングまで多くの分野への活用が期待できます。

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RPAとbotとの違い

botは人間の行動や発言を真似してユーザーと対話するチャットボットのことです。ユーザーと対話する点・人間の行動をシュミレートする点で異なるといえるでしょう。

RPAのAIとの連携による進化

RPAは、人間が定めた作業フローにもとづいて業務を自動化するものから、AIと連携して非定型業務まで自動化できるように進化しています。これによりRPAは、対応できる自動化レベルにより、3つのクラスに分類されています。自動運転のレベルを想像してもらえばわかりやすいかもしれません。

  • クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
  • クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
  • クラス3:CA(Cognitive Automation)

クラス1:RPA(Robotic Process Automation)

これまで説明してきた従来型のRPAのことで、情報取得や入力作業、検証作業など、定型業務のみの自動化に対応しています。

クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)

EPAはEnhanced Process Automationの略で、AIと連携してデータを解析し、ある程度の非定型業務が自動化されます。自然言語解析や画像解析、音声解析、マシン・ラーニングの技術が搭載され、非構造化データの読み取りや知識ベースの活用もできます。

既存の画像をもとに新たな画像をカテゴリ分けする機能、顧客の購買傾向を分析する機能などが可能です。

クラス3:CA(Cognitive Automation)

CAはCognitive Automationの略で、より高度なAIと連携してロボット自身が判断するため、ほとんどの業務プロセスを自動化できる未来のRPAです。ディープラーニングや自然言語処理が搭載され、プロセスの分析や改善、意思決定までをみずから行います。

たとえばCAが実現すると、顧客対応データをもとに自動対応するか、コールセンターに代わるか、資料を送付するかを自動で判断し実行します。また、読み取ったデータを加味し、多様な選択肢あるいは今までにない選択肢の提案も可能です。AIによるデータ分析を迅速に経営戦略に活かすことも可能になるのです。

RPAとAIを組み合わせるメリット

RPAは、従来「定型業務を自動的に繰り返す」といった活用方法が中心でした。

定型業務の自動化により、ルーチン作業の手間を削減できるものの、作業のフローが明確でない業務やイレギュラーが発生する非定型業務では、完全に自動化できない点が課題でした。つまり、「データ検索」や「データ入力」のようなイレギュラーのないルーチン作業しかRPAで自動化できず、限定的な作業範囲にしか対応できないといった点がデメリットになります。

しかし、RPAとAIを組み合わせたクラス2の EPAやクラス3のCAであれば、非定型業務の一部や、意思決定や判断を伴う作業でも対応が可能です。たとえば、商品の売り上げ予測のようなデータ収集や分析も、RPAとAIを組み合わせることで自動化が可能になり、業務効率や生産性アップを実現できます。

RPA×AIの活用例

現在のRPAのAIとの連携フェーズは、クラス2のEPAが進行している状況です。では実際に、RPA×AIを組み合わせて作業を自動化した事例には、どのような活用方法があるのか解説します。

RPAとAI-OCRの連携

AI-OCR(またはAI OCR)とは、AIの機械学習やディープラーニングによって、手書き文字の認識率を高めたOCRのことです。日本では、紙の書類が主だった自治体や中小企業に導入され、ペーパーレス化や業務のデジタル化に寄与しています。

RPAとAI-OCRを組み合わせることで、これまで目視で行っていた書類の転記作業が自動化できます。人がAI-OCRのハイライトされた誤変換候補を再確認する必要はありますが、RPAとAI-OCRの連携により業務時間を大幅に短縮できる事例です。

ほかにも、コンタクトセンターではAIの音声認識で、顧客との通話内容をデータ(テキスト)に変換し、RPAでデータ登録を自動化するといった使い方による業務効率化が注目を集めています。

こちらの記事では、AI-OCRについてさらに詳しく解説しています。

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様式の異なった書類の処理

RPAにAI機能を組み込んで、レイアウトの異なるPDFやWordファイルなど様式の異なった書類に対しても、自動処理を可能にしたサービスも現れています。

自然言語処理による自動化

RPAとAIの自然言語処理を組み合わせることで、チャットボットやカスタマーサポートの切り替え・記録・サジェストなどをシームレスに実現できます。これにより顧客・従業員エクスペリエンスの向上が期待できます。

メールや案件の優先度分類

RPAに組み込まれたAIがメールや案件の内容を自動分類して、優先度により振り分けたり、フラグを立てたりして対応レベルを整理します。これにもとづきRPAは、パーソナライズされた自動返信メールや対応進捗メールを適宜送信して、顧客満足度を高めます。

データの優先度判断と登録自動化

Web検索データの取得~データベースへの登録をRPAによって自動化する際、どの検索データを優先的にデータベースに登録するかをAIで判断します。

これまでであれば、クローリングのアプリケーションを開発し、クロールしたデータが格納されるデータベースを構築します。さらに業務プロセスの変更が発生すれば、アプリケーションのソースコードを修正するといったシステム対応の負荷がかかりました。しかし、RPAによる実装ではロボットの定義を修正するだけで修正が可能となります。

RPAが注目される背景と影響

日本でRPAが必要とされる背景には、超高齢社会に伴う人材不足、そしてRPAの改善による利便性の向上があります。

超高齢社会による人材不足

超高齢社会とは、65歳以上の人が人口の21%を超えている社会のことです。日本の65歳以上人口は3,589万人となり、すでに28.4%を占めている状況です(2019年10月1日時点)。

また、超高齢社会とあわせて生産年齢人口が減少しており、人材不足の問題が浮上しています。これにより、今まで人間の手で行われてきた事務作業を、RPAに代替させて効率化しようとする動きが出てきているのです。

RPAの登場で業務自動化・効率化に対する期待が高まるなか、大企業のみならず中小企業、政府自治体に至るまでこの取り組みは加速し、メリットを享受しながら運用を続けています。

※出典:総務省「人口推計」令和元年10月1日「 令和2年版高齢社会白書(全体版)

RPAツールの改善

RPAツールの機能が向上してきたことで、多くの場面においてRPAを導入できるようになりました。また、機能面が便利になっただけでなく、クラウドでのサービス提供が広がってきた点も普及に一役買っているでしょう。

現状は、大企業で盛んに導入されているRPAツールですが、今後は中小企業も含め幅広い企業にて導入されるようになるのでしょう。

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RPAで定型業務の効率化と自動化を

RPA(Robotic Process Automation)について、基本的な知識やAIとの違いを解説しました。両者には、人間が設定したルールに従い、単純作業を正確にこなせるRPAと、システムがデータを分析して独自に判断し、複雑な処理が可能なAIといった違いがあります。これらを組み合わせることで、人間が対応している単純作業を含む諸々の業務効率化が見込めます。今後RPAは、AIとさらに密接に連携して進化することが予想されるでしょう。

業務の効率化と自動化を実現してくれるRPAの導入メリットや、RPA×AIの活用例を参考にして、RPA導入を検討してみてください。


こちらの記事では、RPAの導入事例を紹介しています。RPA導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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