人事SaaS「jinjer」がenigma payとAPI連携、人事給与のシステム接続進む
ネオキャリアは2019年11月13日、人事向けSaaS「jinjer(ジンジャー)」と、給与前払いサービス「enigma pay」のAPI連携を開始した。jinjer上の従業員データをenigma payへ自動連携でき、給与支払い業務の負荷を軽減する。
人手不足が続く中、従業員の確保は経営を圧迫する課題となっている。とくに非正社員が多い飲食業界は深刻だ。帝国データバンクが2019年4月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、非正規社員が「不足」していると回答した飲食企業は78.6%にのぼる。
人材確保手段の一つとして職場環境整備ニーズが高まっており、とりわけ、福利厚生の充実が注目されている。給与前払い制度もその一つ。勤怠実績に基づく給与を給料日を待たず受け取れるもので、貯蓄の少ない若年層からのニーズが高い。5月には伊藤忠商事も事業参入を発表、大手も注目している。
enigma payは、企業と従業員の間に入り、従業員からの申請を受けて企業へ振り込みを依頼、口座入金までを自動で行う。給与前払いを行うためには、従業員データや勤怠情報との照合、給与計算、支払総額の厳密な管理などを行わなくてはならず業務負荷が高い。これを、各勤怠管理システムおよび給与計算システムと連携し、可能にしている。
同じく11月13日、Donutsは「ジョブカン勤怠管理」と、給与即日払いサービス「Payme(ペイミー)」とのAPI連携を発表。これまでは勤怠データをCSVで出力したうえでPaymeへ取り込む必要があったが、API連携により、データ取り込みと前払い可能金額の計算をワンクリックで実施できるようになった。
これら人事領域で展開するサービスは「HRテック」と総称され、急激に成長している。SaaS市場で活発なバリューチェーン拡大もとりわけHR領域で活況だ。たとえば労務管理システムの「SmartHR」は、採用管理や給与計算、勤怠管理、人事評価管理の各サービスとAPI連携し、周辺領域をカバーしている。
総務省がまとめた「平成30年版通信利用動向調査」では、クラウドの利用企業の割合は6割近くにのぼる(2018年、n=2,119)。具体的に利用サービスの内訳をみると、「給与、財務会計、人事」(31.8%)は前年から 5.3 ポイント上昇と増加幅が大きい。1社あたりの利用サービス数が増えれば、当然、データをスムーズに接続できた方が便利。システム連携の動きは続きそうだ。