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新型コロナ対策が人材確保の分かれ目、企業選びの材料に - ニューノーマルの採用活動

最終更新日:(記事の情報は現在から1333日前のものです)
テレワーク、Web会議、オンライン面接。“ニューノーマル”の働き方は、働く人の価値観に変化をもたらし、企業選びの新たな基準に「新型コロナ対策」が加わりました。勤め先企業の対応に不満があったり、在宅勤務で通勤に疑問を抱いたりして、転職意向を強めた人が増えています。一方で人材難は続くと思われ、採用活動の課題は山積しています。この状況で人材を確保するにはどうしたらよいでしょうか。

新型コロナが変える「働き方」の価値観

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックは、一向に収束する気配がありません。各国の経済に影を落とし、店舗の閉店、中小企業の苦境、大手企業の赤字決算など、具体的な悪影響が現れ始めています。

また、日本航空(JAL)ANAホールディングスエイチ・アイ・エス(HIS)などは新卒採用活動を中止。もちろん、従業員の解雇に踏み切った企業もあるでしょう。一方、思わぬ需要増加を享受している分野では、人材不足を訴える声も聞こえます。こうした需要に応えようと、余剰人員を人手不足の職場へ紹介する出向マッチングサービスも登場しました。

COVID-19は、テレワークによる在宅勤務を広めて働き方を変化させただけでなく、オンライン面接と遠隔オンボーディングの広まりなど、人材確保や人材育成の方法も変えていきます。

太陽グラントソントンが世界29カ国で5月から6月にかけて実施した調査によると、中堅・中小企業がCOVID-19対策で実施、計画した施策でもっとも多かったものは、「在宅勤務、リモート勤務、フレックス勤務の実施」(52.9%)でした。さらに、「業務フローの変更」(45.3%)、「オペレーション業務の削減または閉鎖および休止」(29.2%)、「従業員の人員削減、給料削減、従業員のレイオフ、無給休暇の実施」(29.1%)など、働き方に大きく影響した施策も目立ちました。

働く人の意識はどう変わった?

企業のこうした変化は、働く人の意識にも変化をもたらします。

エン・ジャパンが転職情報サイト「ミドルの転職」で35歳以上の利用者に転職する意向の有無を尋ねたところ、「真剣に考えている」人が72%、「漠然と考えている」が25%と、転職情報サイトのユーザーらしくほぼ全員が転職を検討していました。興味深いのは、転職移行の変化に新型コロナウイルスの流行を受けて「転職意向が強まった」と答えた人が39%いたことです。

エン・ジャパン新型コロナによる転職意向調査グラフ 出典:エン・ジャパン / ミドル世代の「転職意向」実態調査 ー『ミドルの転職』ユーザーアンケートー

同様の傾向は、マイナビの調査でも見られます。過去約1年のあいだに転職した人(2019年6月以降に転職活動を開始し、2020年5月までに転職が完了した人)800名のうち、3割弱に相当する230名が新型コロナウイルス禍で転職活動を再開したそうです。これに対し、転職活動していない人は570名いました。

再び転職活動を始めた230名に勤務先の新型コロナウイルス対策への満足度を質問したところ、24.3%が「あまり満足していない」、15.7%が「まったく満足していない」という結果でした。転職活動していない人の回答は、「あまり満足していない」が18.6%、「まったく満足していない」が4.7%と、大きな差が開いています。

マイナビ調査、現職企業の新型コロナウイルス対策満足度 出典:マイナビ / 「新型コロナウイルスが転職市場に及ぼす影響」を発表

このことから、新型コロナウイルスに関わる企業の対応が、従業員への満足度や転職意向を大きく左右していると考えられます。

動機も採用活動も大きく変化

エン・ジャパンは、新型コロナウイルス流行で転職意向を強めた人に、その理由を答えてもらっています。

在宅勤務きっかけで転職決意、その理由

転職意向が強まった人は、たとえば「働き方、働く場所、そして収入面において、働く上での優先順位が変わった」とコメントしました。テレワークで通勤の必要がなくなり「時間をかけて通勤すること自体に疑問を持つようになった」人や、「コロナ禍で今後を考えるきっかけができ、転職する決心がついた」人もいます。時間に対する価値観を在宅勤務で変えた人が多いようです。

ほかには、「コロナ禍で人材募集している企業は良い企業と思える」「緊急事態下の状況にあっても事業が持続可能な企業とそうでない企業が選別されたように思われ、前者への転職希望がより高まった」という意見もありました。こうした非常事態への姿勢が、企業選びの一基準とされるようです。

「3密回避」が広めたオンライン面接は定番に

このように、COVID-19をきっかけに転職を考える人も存在するので、人材不足に悩んでいる企業は採用活動を強化するチャンスなのかもしれません。ただし、対人の接触や3密状態を避ける必要のある状況なので、積極的に候補者と面談することは困難でしょう。そこで、オンライン面接です。

以前紹介した調査レポートによると、日本でもオンライン面接を実施する企業が増えました。一部オンライン移行した事例を含めると、オンライン面接の実施率は9割弱に上ります。また、マイナビの調査では、転職活動経験者の39.9%がオンライン面接をしたことがあり、その80.1%が2020年3月以降に経験していました。つまり、COVID-19パンデミックが日本にオンライン面接を広めた、ということです。

最近では、パナソニックが採用活動をほぼ全面的にオンライン化する、と発表しました。面談や適性検査などの採用プロセスを「可能な限りオンラインに切り替えて実施」するとしており、これに追従する企業が増えるのではないでしょうか。

コロナ対策が人材確保の要に

COVID-19拡大を防ぐには、他者との直接接触を避け、さまざまな作業をオンライン化、リモート化しなければなりません。オンライン面接の普及も感染防止策の一環といえます。そして、今当たり前のように処理している業務について、新型コロナウイルス対策の観点で見直すと、意図しない省力化や効率向上につながる可能性もあります。

そこで、以前から必要性は認識されていたものの、なかなか具体的な進捗の見られなかった事業継続計画(BCP)策定やデジタルトランスフォーメーション(DX)について、新しい視点で考えてみましょう。

ウィズコロナ、アフターコロナの時代、従業員を大切にする柔軟な対応こそが、人材獲得の要となりそうです。

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