コピー完了

記事TOP

経産省がeラーニングポータル「マナビDX」開設、デジタル人材不足の打ち手となるか

最終更新日:(記事の情報は現在から947日前のものです)
日本企業では、人材不足がDX推進の足を引っ張っています。それにもかかわらず、人材の確保や育成に熱心でない企業が少なくありません。そんななか、経済産業省がDX人材育成を支援するため、ポータルサイト「マナビDX」を開設しました。

DX人材不足が目立つ日本

デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性は、以前から強調されています。ただし、DXの進捗は芳しくありません。遅れの要因はいくつも考えられますが、情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2021」(※1)によると、日本企業ではDX人材不足が目立っていました。

同様の要因は、総務省が公表した「令和3年版情報通信白書」の「企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題」(※2)でも指摘されています。

日本と米国、ドイツでそれぞれDXの課題を尋ねたところ、日本では「人材不足」を選んだ回答が53.1%もあり、ほかの課題を大きく上回る「ダントツの1位」でした。米国とドイツも人材不足を挙げる声は多いものの、米国は27.2%、ドイツは31.7%で、突出した課題ではありません。日本の人材不足が目立っています。

出典:総務省 / 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

※1 IPA『DX白書2021』,https://www.ipa.go.jp/files/000093705.pdf

※2 総務省『企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題』,https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n1200000.pdf

人材確保は急務

DX推進は大企業だけの問題でなく、中小企業のDXも待ったなしです。手をこまねいている余裕などないので、人材確保を急がなければなりません。

転職市場で人気高まるDX人材

IT人材紹介サービス「Geekly」を手がけるギークリー(※3)の調査によると、非IT業種の中小規模でDX人材のニーズが高まっています。

Geeklyを介して内定するエンジニアの数は増え続けていて、特に社内SEの内定数が増加しました。そして、従業員数100名前後の企業で内定数が4倍に増加するなど、大手企業以外でもDX化ニーズの上昇がみられたそうです。

出典:ギークリー / DX化のニーズが中小企業でも加速し、IT採用はさらに加熱

また、面談者の職種に占めるエンジニアの割合は、2022年2月が64%で、前年同月の57%から増えました。こうしたことから、ギークリーは「企業のDX化やシステム開発の内製化のニーズは引き続き高くなっている」と分析しています。

出典:ギークリー / DX化のニーズが中小企業でも加速し、IT採用はさらに加熱

※3 ギークリー『DX化のニーズが中小企業でも加速し、IT採用はさらに加熱』,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000039818.html

日本は人材の確保や育成に熱心でない?

DXを必要とするのは、IT企業に限られません。しかも、DXは単なる業務のデジタル化でなく、業務プロセスや組織の構造、他社との取引などにもメスを入れる大改革です。そのため、現場を知ったうえでICTに精通した人材が鍵を握っています。社内DX人材が重要とされ、「リスキリング」が注目されるのは、こうした理由があるからです。

ところが、令和3年版情報通信白書によると、日本企業は人材の確保や育成に熱心でないようです。

「不足しているデジタル人材の確保・育成に向けて各企業がどのように取り組んでいるか」との質問に、18.5%が「特に何も行っていない」と回答しました。ちなみに、米国は1.6%、ドイツは4.6%です。これについて、総務省は「社内の現有戦力で乗り切ろうとしている傾向がうかがえる」としました。

「社内・社外研修の充実」は47.3%で高い一方(米国は41.1%、ドイツは34.9%)、「資格取得の推奨・補助」は29.9%で、米国の36.1%、ドイツの46.9%よりかなり低く、ちぐはぐな印象を受けます。「デジタル人材の新規採用」も28.1%と米国およびドイツに比べ低く、積極的ではありません。

出典:総務省 / 企業活動におけるデジタル・トランスフォーメーションの現状と課題

経産省の「マナビDX」とは

こうした状況を打開する対策の1つとして、経済産業省(経産省)と情報処理推進機構(IPA)がICT技術習得の支援サイト「マナビDX(デラックス)」を開設しました。

出典:経済産業省 / マナビDX

DX学習講座を多数紹介

マナビDXは、デジタル人材の育成を推進するため、さまざまなデジタルスキルの学習手段を紹介するポータルサイトです(※4)。経産省は「デジタル人材育成プラットフォーム」と呼んでいて、DXの初歩から実践的な技術までをカバーしています。DX人材を目指す人の独学にも、DX人材を育成したい企業の社内研修にも活用できるでしょう。

具体的には、DXにつながる技術を学べる多種多様な学習講座を紹介しています。DX初心者でも、「デジタル入門/基礎講座」なら気軽に始められそう。しかも、ここで紹介されている講座はほとんどが無償です。

さらに深く、細かく学びたければ「デジタル実践講座」へ進みましょう。こちらは多くが有償講座ですが、受講料の支援が受けられるものもあります。支援対象の講座は、「受講料の支援のある講座」にまとめられています。

紹介されている講座は、「AI」「クラウド」「IoT」「セキュリティ」といった技術的なカテゴリや、「プロジェクトマネジメント」「経営戦略」「企業と法務」のようなカテゴリで絞り込めます。ここから、自分の目的に合った講座を探すとよいでしょう。

※4 経済産業省『デジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」を開設しました!』,https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220329002/20220329002.html

全体像は「DXリテラシー標準」で把握

さらに、DXの全体像をつかむには、マナビDXに掲載されている「DXリテラシー標準」が役立ちます。

「すべての社会人が身につけるべきデジタルスキル」を整理した内容なので、人事部門の教育担当者などは目を通しておいた方が良い資料でしょう。

出典:経済産業省 / デジタル人材育成プラットフォーム「マナビDX」を開設しました!

コンテンツ充実拡充に期待

なお、マナビDXは現在まだα版で、掲載する講座を公募して順次増やしていくそうです。さらに、実際の環境で現場研修を希望する人と、そうした現場を提供する中小企業をマッチングさせる研修プログラムも実施する予定もあります。

今後、DXに取り組む人にとって、有益な情報源の一つになるかもしれません。

リスキリングとは?DX人材育成で注目、実施のポイント
学び直し、再教育を意味する「リスキリング(reskilling)」。DX人材育成における考え方として注目度が高まり...
詳細を見る
アフターコロナの人材不足をどう解消するか DXとシニア人材を上手に活用するコツ
高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業機会確保が努力義務として追加されまし...
詳細を見る
DXどう進める?人材確保の現在地点 日米でリーダー像に大差
世界全体の対DX支出額は2025年に2兆8,000億ドルと予想され、速いペースで拡大していきます。ただし、DX推進...
詳細を見る
新選び方ガイド:eラーニング(システム)導入ガイド.pdf
eラーニング(システム)
選び方ガイド
この記事が良かったら、いいね!をしてください!最新情報をお届けします!
貴社のサービスを
BOXIL SaaSに掲載しませんか?
累計掲載実績1,200社超
BOXIL会員数200,000人超
※ 2024年3月時点
eラーニング(システム)の最近更新された記事
オンライン研修ツール比較10選 - 3つのタイプと選定ポイント | 導入メリット
パッケージ型eラーニングおすすめ16選!プラットフォーム型との違いや導入メリット
【2024年】eラーニングシステム(LMS)比較!比較表と選び方解説
eラーニングシステムの費用相場と料金比較・おすすめソフト
大企業向け「eラーニングシステム」おすすめ7選!選定ポイントと導入のメリット
PR
オンライン研修サービス「Schoo for Business」 主体的な学びの場を従業員に
“巻き込み”が経営改革を成功に導く - チェンジマネジメント視点がプラス要因に
PR
[PR]業務の属人化を防ぎ、知識・スキルを平準化! 動画共有で実現する新しい社員教育のカタチ
異動の挨拶メールへの返信内容は?書き方のポイント・構成・マナー・例文を解説
セキュリティ教育とは?組織が実施するべきポイント・必要性