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電子契約には法的な有効性はある?法律をもとに根拠を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から0日前のものです)
電子契約も書面契約と同様、法的な有効性があります。しかし、有効性を証明するためには、電子署名や電子証明書などの措置が必要なので、正しい知識を押さえることが重要です。本記事では、電子契約の法的有効性や根拠を解説します。

電子契約に法的な有効性はある

電子契約では紙で契約を結ぶ場合と異なり、現物での押印や署名を行うわけではありませんが、利用方法次第で法的な有効性が認められています。つまり、裁判上は電子契約書が証拠になり得るということです。

デジタル庁が発行している「電子契約の有効性について」の資料によると、電子契約の法的有効性を確保するには、電子契約書の成立が真正であることを証明する必要があります。証明がなければ、改ざんのリスクがある電子契約書の信ぴょう性を確保できないためです。

電子契約では、文書作成者やその内容を証明する電子署名と、署名のタイミングを示すタイムスタンプにより、電子文書の成立が真正であることを証明できます。

※参考:デジタル庁「電子契約の有効性について」(2024年10月18日閲覧)

電子契約の法的有効性を理解するうえで必要な基礎知識

電子契約の法的有効性を理解するには、電子署名と電子証明書の仕組みや、真正な成立の推定などの基礎知識を押さえることが重要です。そこで、電子契約の仕組みそのものを振り返りつつ、法的有効性がどのように確立されるかを解説します。

真正な成立の推定

裁判で証拠を提出する際は、証拠の成立性が真正であるかを証明しなければなりません。

たとえば、借用書に債務内容が記載されていたとしても、「本当にその人物が記載したのか」という点が明らかにならなければ、貸したお金は請求できません。

しかし、債務者本人の意思で記載したかを証明するのは難しいため、民事訴訟法 第二百二十八条4項には、契約における真正な成立の推定について次のように記載されています。

私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する
※引用:e-GOV「民事訴訟法」(2024年10月18日閲覧)

電子契約でも同様に、裁判で電子契約書が証拠として認められるには真正な成立の推定が求められます。ただし、書面契約と比較すると、電子契約の場合は電子署名と電子証明書によって証明を行う点に違いがあります。

電子署名

電子署名とは、デジタル上の印章やサインを用いて本人確認を行う方法です。デジタル上の印章やサインといっても単なる画像や写真ではありません。電子契約書へと出力される際は、署名者本人のみが保有する秘密鍵によってデータを暗号化し、一般公開されている公開鍵を使って情報を復号するため、情報の盗聴や改ざんのリスクを防げます。

電子契約では上記のような仕組みが採用されている点から、署名や押印のある紙の書面と同様、真正な成立の推定が確立します。つまり、署名者の特定が可能になるため、法的な有効性を持っていると判断可能です。

電子証明書

電子証明書は、秘密鍵に対して公開鍵が本物かを見極めるためのものです。これにより、書面発行者の本人認証や有効期間などの確認ができます。

一概に電子証明書といっても、発行機関によって信頼性や用途が異なります。そのため、電子契約を行う際は、機関ごとの特徴を理解することも重要です。

電子証明書の発行機関は、民間認証局公的認証局の2種類に分かれます。そのうち実印並みの法的効力を持つのが、公的認証局が発行する電子証明書です。また、公的認証局は、法人向けに商業登記にもとづく電子認証制度を提供しており、代表取締役の登録印と同様の信頼性がある電子証明書を発行できます。

電子証明書の仕組みに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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電子契約の法的有効性が認められる根拠

電子契約の法的有効が認められる根拠に関しては、電子署名法や民法などの法律から読み解けます。各法律の該当する論点を紹介します。

電子署名法 第三条

電子署名法の第三条には、次のような記述があります。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

※引用:e-GOV「電子署名及び認証業務に関する法律」(2024年8月28日閲覧)

上記は、前述した真正な成立の推定と同様の内容です。電子署名および電子証明書が付与された電子契約書は、署名や押印のある紙の書面と同様の効力があることを示しています。

民法 第五百二十二条

民法の第五百二十二条2項には、契約が口頭でも成立する点が記述されています。

第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
※出典:e-GOV「民法」(2024年10月18日閲覧)

そもそも契約書を作成する目的は、証拠を可視化することです。そのため、当事者同士の意思にもとづいて締結されていれば、書面契約や電子契約であるかを問わず有効性を確保できます。

民事訴訟法 第二百三十一条

民事訴訟の証拠品は紙の契約書に限定されているわけではありません。それは民事訴訟法の第二百三十一条に記されています。

第二百三十一条 この節の規定は、図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する。
※引用:e-GOV「https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109/20230606_505AC0000000028">民事訴訟法」(2024年10月18日閲覧)

つまり、電子契約書も民事訴訟法上の準文書として扱われます。電子署名や電子証明書が付与された電子契約書であれば、実際に証拠として提出が可能です。


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法的有効性を理解したうえで電子契約の仕組みを整えよう

電子契約は書面契約と異なり、現物での押印や署名が行われないことから、「法的な有効性がない」と捉えられても仕方がありません。しかし、電子署名や電子証明書を用いて、正しく運用されている電子契約に関しては、法的効力があり、裁判でも証拠品として扱われます。

そのため、訴訟リスクや法トラブルを避けるには、電子契約に対する正しい知識が必要です。電子契約への理解が進めば、電子署名や電子証明書をはじめ、どのような事前準備が必要かがわかります。今回紹介したポイントを参考に、法的有効性を理解したうえで電子契約の仕組みを整えましょう。

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