MA導入はなぜ失敗するのか?注意点と成功への手順を徹底解説 | 注目ツールも紹介

MAツール導入はなぜ失敗するのか
個人を特定してマーケティング活動を行うツール、ソフトウェアのことであるMA(マーケティングオートメーション)ツールは、従来手作業で行っていた複雑で大量の作業を自動化し、リード(見込み顧客)の管理やOne to Oneマーケティング、効率的なリードナーチャリング(顧客の育成)を実現させるため、日本でも大きな注目を集めています。
しかし、MAツールを導入したものの効果的に使えず、結果的にメールの一斉配信にしか活用していないというケースも多く、その多くが成功しているとはいえない状況です。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
次の記事では、MAツールについてより詳しく解説しています。

MAツールに抱く幻想
まず、多くの企業が「MAツール=マーケティングを自動化してくれるツール」という幻想を抱いたまま、十分な準備をせずに導入を行っているという現実があるでしょう。
MAツールはメールやセミナー開催のお知らせなどを自動化し、配信する機能を持っていますが、配信のための文章やコンテンツ作成には人的リソースが必要となります。
MAツールがどのような機能を持っていて何を自動化し、何を達成できるのか、理解する必要があるといえます。
MAツール運用設計とは
MAツールもソフトウェアである以上、どんなに多彩な機能を持っていても、「運用=使い方」によって効果に大きな違いがでてきます。
たとえば、オウンドメディアから資料ダウンロードを行った顧客と、セミナーに来場した顧客ではどちらが製品・サービスへの興味度合いが高いのか。
このような見極めを行ったうえで、MAツールを細かく設定・設計していくのが運用設計であり、効果的な運営を行っていくための必須条件となります。
MAツール運用設計に必要な知識
それでは、MAツールの運用設計を行っていくのに必要な知識とはなんでしょう。
ひとつめは、営業の知識です。
MAツールを設計したり操作したりできても、最終的な成約にいたるまでの営業の知識がなければ、そこにいたる過程がどうあるべきかを判断できません。
ふたつめは、マーケティングの知識です。
獲得したリードを育成していくためには、顧客の属性や傾向を分析し、それに適したマーケティング施策を実践していく必要があり、マーケティング全般に関する知識が必須だといえます。
最後に、これらの知識を持ったうえで、ソフトウェアであるMAツールを操るテクノロジーの知識が必要となってくるでしょう。
MAツール運用失敗例
上述したように、多くの企業がMAツールに「全自動化という幻想」を抱き、十分な設計を行わず、人的リソースを投入していないことが失敗の要因となっているといえます。
これらが要因となり、具体的な失敗となってしまった例をいくつか紹介しましょう。
目的と目標が明確でない
MAツール導入失敗にありがちな例は、何のためにMAツールを導入し、どのような目標を達成するのかが明確になっていないケースです。
この場合、導入すること自体が目的となってしまっていることが多く、当然定量的な数値目標も立てられていないため、効果を確認して改善していくというPDCAサイクル自体が成り立ちません。
それ以前に効果があったのか、なかったのかの判断も難しいでしょう。
リードの数が少ない
アメリカで発展してきたMAツールは、獲得したリードを効率よくリードナーチャリングすることを目的としています。
このため、ツールによってはリードジェネレーション(見込み顧客獲得)を得意としていないものも多く、導入時のリードが少ない場合は、その効果を発揮できません。
状況によっては、MAツール導入よりも新規リード獲得を優先すべきでしょう。

コンテンツ作成ができていない
リードナーチャリングは、顧客の興味度合いに応じた適切なメール配信を行い、オウンドメディアなどへ誘導することなどを目的として行われます。
そのため、メールの内容も自社製品・サービスに限らない有用な情報を含むことが望まれ、誘導先に資料も用意しなければならないなど、結果的に大量のコンテンツ作成を行う必要がでてきます。
必要な人的リソースが割り当てられていないと、リードナーチャリングが中途半端のまま終わってしまいます。
メール配信後のアクションができていない
メール配信やコンテンツ作成は追いついていても、それだけで手一杯になってしまうケースもあります。
つまり、配信後のアクションが何も行われておらず、育成後の顧客フォローがないために成約につながらないというパターンです。
これではメールの内容の改善はおろか、現状分析や効果測定もままなりません。
Webサイトの作り込みが不十分
MAツールで顧客をWebサイトまで誘導しても、サイト構造が悪くコンテンツが探しにくい、そもそもコンテンツが少ないなど、作り込みが不十分なケースです。
興味度合いが高まった状態で訪れてみたWebサイトがこのような状態だった場合、どのように感じるでしょうか?
少なくとも、それ以上に興味度合いが高まることはないでしょう。
スコアリングがうまく機能しない
ある基準をもとに顧客行動に点数を付け、一定以上になるとホットリード(興味度合いの高い顧客)と判断するのがスコアリング機能です。
MAツールの得意分野でもあり、積極的に活用したいところですが、運用設計でもっとも注意しなければならないポイントでもあり、長期にわたる運用と分析に裏打ちされたノウハウが必要となる機能です。
たとえば、調査目的でWebサイトを頻繁に訪れるだけの顧客と、たまにしか訪れていないが資料ダウンロードする顧客を比べれば、どちらがホットなのかは明らかですが、設定・設計によってはどちらもホットリードと判断されてしまいます。
MAツールのスコアリングを鵜呑みにし、顧客を営業に引き渡した結果、全滅だったなどということが起こってしまうケースです。

担当者が不明確、マーケターがいない
「MAツール=マーケティング」の全自動化という思考で導入を行うと、人的リソースがいらなくなると考えがちなのかもしれません。
失敗している企業の多くで、マーケターを専任にするどころか明確な担当者がおかれておらず、営業が片手間にMAツールを操作している場合も見受けられます。
このようなケースでは、上述した失敗例すべてが起こる可能性すらあるでしょう。
短期間での成果を求められる
MAツールの導入コストはけっして安いものではありませんし、十分な準備とリソースの投入を必要とします。
またナーチャリングが目的であるMAツールの性格上、目に見える効果が出るのにそれなりの期間も要します。
これらが理解されず、成果が見られないとして放棄してしまうケースも見受けられます。
MAツール導入・運用時のポイント
ここまでMAツール導入が失敗してしまう要因、それに起因する失敗例などを解説してきました。
それでは、MAツールを効果的に活用し、成功へ導くためにはどうしたらよいのでしょうか。
目的と目標を整理し明確にする
まずはどのような目的を持ってMAツールを導入し、どの機能を使ってどのようなマーケティングを行いたいのかを整理し、明確にする必要があるでしょう。
そして、それによってどのような効果を得たいのか、目標も具体的な数値として明確にしてく必要があります。
これによって、「何をどのように行ったら、どのくらいの効果が得られたか」がわかるようになり、効果測定と改善を行いやすくなります。
自社にマッチしたツールを選定する
次に、自社の状況にマッチした機能を持つツールを選定することが重要です。
たとえば、リード数が少ないのであれば、オウンドメディアに対応してリードジェネレーションに適したもの、十分なリード数が確保できていれば、リード管理機能が豊富なツールが候補になるでしょう。
もちろん、実践したいマーケティング機能が充実しているツールであることも検討項目のひとつであり、運用していくうえで有用なサポートが得られるということも材料となります。
人的リソースの確保
さまざまな失敗例のなかで、MAツールを効果的に活用するには人的リソースが非常に重要であることがおわかりだと思います。
すべてに精通するマーケターが社内に存在すれば、そういった人材を専任として割り当てることも可能かもしれませんが、そうでない場合は、担当者をアシストしていく仕組みを構築していく必要があります。
運用前の設計を入念に行う
スコアリングの設定・設計をはじめ、あらかじめ考えられるパターンやケースを洗い出し、運用前にMAツールの設計を入念に行う必要があるでしょう。
そのためには、対象となる製品やサービスをあらゆる角度から分析したうえで、ペルソナも明確にしておく必要があります。
常にPDCAサイクルを回して改善
すでに解説したように、MAツールは長期にわたる運用と分析に裏打ちされたノウハウが必要であり、そのためには実践した施策がどのような効果をもたらしたのかを分析し、常に改善につなげていくPDCAサイクルを回すことが重要になります。
PDCAサイクルしスコアリングの精度を上げられ、より自動化が進んだMAツールを活用することによって、担当者が本来のマーケティング施策考案に注力できるようにもなるのです。
注目MAツール8選(BtoB)
これからMAツールを導入するにあたって検討すべき、注目サービスを厳選して紹介します。いずれもBtoB向けのサービスです。
注目のMAツール(BtoB)サービス資料まとめ

BtoB向けMAツールの各サービス資料を厳選。無料でダウンロード可能です。顧客情報のスコアリングやキャンペーン施策、効果測定などさまざまな目的で導入されるMAツールの比較にお役立てください。サービス比較はこちら
Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot) - 株式会社セールスフォース・ジャパン
Account Engagement(旧 Pardot)は、salesforceが提供するクラウドベースのBtoBビジネス向けMAツールです。
ランディングページ作成機能、メルマガ作成・配信機能、Web上の行動データの追跡機能などを通じてマーケティング活動の投資対効果の最大化を実現し、CRM/
SFAソリューションであるSales Cloudと連携し、スピーディな営業活動も支援します。
また、マーケティング活動の一つひとつをキャンペーンとして管理することによって、ランディングページやメルマガの効果を測定、簡易かつ高度なレポーティング機能によって可視化し、マーケティング活動の投資対効果の最大化を実現します。
Adobe Marketo Engage - アドビ株式会社
- あらゆる面において「最適」な顧客体験を構築
- マーケティング活動を計画・測定・最適化
- 全世界で5,000社以上の導入実績
Adobe Marketo Engageは、全世界で5,000社以上(※)の顧客導入実績を誇るMAツールです。コーディングなどのITスキルは不要で、誰でも最適なマーケティング施策の設計・実行が可能です。1つのカレンダーで一元的にマーケティング活動を計画・調整・共有できるので、マーケティングROIの測定・算定が容易になり、より効果のある活動だけに注力しやすい体制を構築できます。業種・業界や企業規模を問わず利用でき、日本だけで1,800人以上(※)のユーザー、世界でみるとさらに多くのユーザーが日々交流をしています。
(※ アドビ「Adobe Marketo Engage」2022年1月確認)
SATORI - SATORI株式会社
SATORIは、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指し、集客、クロスチャネル、データ分析の面で優れるDMP内蔵のマーケティングオートメーションです。
リードジェネレーションに強く、メールアドレス無しの匿名訪問者も正確に把握可能なほか、外部のデータも活用することで、新たなリード創出の手段を提供しています。
メールマガジンのほかにもディスプレイ広告、自社Webサイトのパーソナライズやチャットを通した顧客接点の確保はもちろん、商談化・成約・アップセルなどの売上・粗利指標までマーケティング活動の効果測定が可能です。
BowNow by Cloud CIRCUS - クラウドサーカス株式会社
- 簡単設定で利用開始できる
- 顧客の育成からアプローチまで実施できる体制を整備
- 無料でスタートし、必要な機能を後から追加できる
BowNow by Cloud CIRCUSは、顧客を増やすためのさまざまな機能がそろっているSaaSツール群です。複雑な設定をしなくてもスタートできるシンプル設計のため、サイトにアクセスした顧客の情報を収集し、ABMテンプレートで簡単に見込みをランク分け。見込度に合わせて、今すぐアプローチすべきか、育成していく顧客であるかを可視化します。各部門が同じ定義でリストアップされた情報を共有でき、メール配信やコンテンツ作成など顧客の優先順位に応じたフォローを実現可能です。無料で利用開始でき、試してみてから自社に必要な機能のみを追加、課金できるので、運用コストを抑えられます。
ホットプロファイル - 株式会社ハンモック
- あらゆる顧客情報をデータベース化して一元管理
- 継続して接点を持ち潜在顧客を見込み顧客に育成
- 企業や顧客最適なタイミングで自動アプローチ
ホットプロファイルは、名刺管理と営業支援で、売上を向上させるマーケティングオートメーションツールです。顧客ステータスや施策の実行状況を一面画面で可視化し、戦術から施策の実行・分析までを支援します。
顧客の行動に応じたメール送信により、顧客と継続して接点を持ち、潜在顧客を見込み顧客に育成できます。企業や顧客ごとに自社への「興味の度合い」を自動で数値化し、自社に興味を持つ企業や購買意欲の高い顧客を発見します。営業活動の生産性向上のために優先順位をつけて営業フォローできるのもポイントです。
Campaign Studio(キャンペーンスタジオ) - アクイアジャパン合同会社
- 柔軟性が高いオープンソース
- シンプルで直感的に操作できるデザイン
- マーケティングを一括管理できるガバナンス
Campaign Studioは、グローバルに活用されているMAツールです。オープンソースのため拡張性が高く、さまざまなツールとAPI連携できるのが特徴。また統一されたダッシュボードで施策を管理でき、複数部署にまたがったABM(アカウント・ベースド・マーケティング)にも対応しています。シンプルなデザインで動作もスピーディー。マーケティングにかかる時間の節約と効率化をサポートします。
OPTIO - ログリー株式会社
- リードに合わせて動画やポップアップを配信
- 来訪者の行動データや企業データを可視化
- コンテンツ制作や配信設定が誰でも簡単に
OPTIO(オプティオ)は、サイト来訪者と企業の双方向型コミュニケーションにてリードを生み出すBtoB向けのMAツールです。クイズや診断ツールのように来訪者がサイトでアクションするコンテンツを配信して、離脱防止およびリード生成に貢献します。
従来の画像や動画によるポップアップ、サービス資料、ホワイトペーパー、漫画といったコンテンツも設定可能です。動画やPDFを用意すれば簡単に配信を設定できるため、MAツールの導入がはじめてでも利用に差し支えないでしょう。
マーケティングオートメーション MAJIN - 株式会社ジーニー
MAJINは、広告や顧客、外部データなどの多様なデータを取得・統合・分析・可視化し、検討ステージの異なる見込み顧客それぞれに対し、最適なコミュニケーションを実現するMAツールです。
メールに限らず、Web広告、ブラウザプッシュ通知など、見込み顧客の状態に合わせてコミュニケーション方法を変更することで、データに基づいたマーケティング施策をワンストップで展開できます。
また、One to Oneマーケティングを実現するための機能を充実させ、行動が多様化した顧客への適切なコミュニケーションに貢献しています。
MAツール導入は強い目的意識を持つことが重要
登場して間もないといえるMAツールだけに、うまく活用できていない企業がある一方で、最大限の導入効果を発揮している企業も存在しますが、その最大の違いはMAツール導入にどれだけ強い目的意識を持っていたかということでしょう。
これまで解説してきたように、MAツールはマーケティング業務の一部を自動化するものではありますが、けっしてすべてのマーケティングを自動化するものではありません。
そこには常に人間の力が介在し、得られた情報を分析することによって新たな方法論を推察、実践していく行動力が求められるのです。
必要な知識を持つ人材を専任する、といったことは必要ですが、それ以前にMAツールを活用して目的を達成するという強い意志が使いこなすために最も重要なことだといえるでしょう。
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