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月次決算とは - 管理会計用語 | メリット、意思決定を自動化

最終更新日:(記事の情報は現在から696日前のものです)
「月次決算」とは、月末に当月までの売上状況をチェックし、予想との乖離や今後の計画、経営を管理していくための素材となる財務状況の確認を行う決算です。本記事では、管理会計用語として知っておくべき月次決算を行う経営上のメリットや、クラウドERPを導入し、月次決算を適切に自動化・高速化する方法を解説。

月次決算とは

「月次決算」とは、簡単に言うと1か月ごとに行う決算業務のことです。毎月会計を締めたのち、年次決算とほぼ同じ処理を行います。締め日は翌月5~10日が理想とされています。

会計処理は損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を作成し、外部の利害関係者へ会社の状況を伝える「財務会計」と経営の意思決定において重要となる会社の状況を数値で把握し、正確に分析する「管理会計」に分けられます。月次決算は、後者の管理会計に分類されます。

年次決算は会社法で定められているため、必ず行われます。年次決算は株主・投資家などに財務報告を行うためのものでもあります。その一方で、月次決算は義務として定められてはいません。

しかし、月次決算は多くのメリットがあることから多くの企業が導入しています。

ユニクロの事例に学ぶ「月次決算」の重要性

柳井正社長が率いるユニクロは、超大企業でありながら、月次決算を翌月の5営業日までの提出を実現しています。もともと半月遅れで提出していましたが、全社的に協力体制を作り上げ、柳井社長みずからが音頭を取り、月次決算の導入に踏み切りました。

ユニクロの会計を担当していた公認会計士の安本 隆晴氏によれば、柳井社長はなんと20年以上前の時点で、この月次決算の必要性に気づいていたといわれています。ユニクロが日本を代表する企業になった点を考えると、月次決算がいかに重要かトップが把握していた好例といえるでしょう。

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月次決算のメリット

月次決算を行う管理会計上のメリットは次のとおりです。

  • 経営状況をリアルタイムに把握できる
  • 余裕を持って節税対策できる
  • 予算との乖離が把握しやすくなる
  • 金融機関からの心証を高められる

経営状況をリアルタイムに把握できる

月次決算を行うメリットの一つが、経営状況をリアルタイムに把握できる点です。

通常、年次決算は設定した年度末が終わってから会計を確定します。そのため、リアルタイムに年度途中の売上情報が経営陣に伝わることはありません。一方で、月次決算は月に一度作成するため、スピード感を持って財務状況をチェックできます。

月次決算は、経理部門が経営陣に報告するための資料にもなるため、現在の状況が把握しやすくなります。課題や施策を考えるうえでも効果的な方法といえるでしょう。

余裕を持って節税対策ができる

月次決算により、売上の推移がわかるようになるので、あらかじめ税金の対策を打てるのもメリットの一つです。

月次決算を適切に行えば年次決算の数値も高い精度で行えるため、税金を予測しやすくなり、余裕を持って節税対策ができます。年次決算時に駆け込みで節税対策をするのではなく、確実かつゆとりをもった節税対策が可能になります。

予算との乖離が把握しやすくなる

経営状況をリアルタイムに把握できるようになれば、当初の予算と実績を月次で迅速に比較でき、達成度や今後の改善に活かせるようになります。意思決定のスピード感を早め、適切な判断がしやすくなります。

金融機関からの心証を高められる

金融機関から好印象を持ってもらえるのも重要なポイントです。

金融機関は、企業に融資をする際に安全性・収益性・成長性にくわえ、返済能力があるかを判断基準としてみている。月次決算の資料をみれば、融資先の最新の状況がわかるため、金融機関にとっては融資のリスクを抑えられます。リスクが少ないとなれば、融資を受けやすくなるでしょう。

月次決算を行うデメリット

コストがかかる

月次決算を行うにあたっては、時間・人員などのコストが発生します。記帳・財務諸表の作成などに時間がかかるうえ、作業に人員を割くことになります。

会計事務所に依頼する方法もありますが、その分だけ巡回のコストが発生し、顧問料が割高になります。メリットもあるとはいえ、コストの増加は見逃せないデメリットといえるでしょう。

ヒューマンエラーがおきやすい

人力での作業が増えれば増えるほど、ヒューマンエラーが起きる点も課題といえるでしょう。毎月決算を行うと、それだけに入力する手間暇も増え、間違いが起きやすくなります。ITツールのサポートが必要不可欠です。

決算のタイミング

年次決算

会社法で定められているため、企業は年に一度年次決算を行い、財務報告を行わなくてはなりません。決算のスケジュールは企業によって異なるものの、年次決算は必ず行うものと覚えておきましょう。

四半期決算

金融商品取引法では、投資家保護のために上場企業に四半期ごとの業績開示を義務付けています。そのため上場企業では四半期決算が行われ、その情報をIRとして投資家に提供しています。

月次決算

月次決算を行う会社はそれぞれですが、会社の営業状況を把握しやすくなるため、導入する企業が増えつつあります。PDCAを高速で回したい・リアルタイムで状況を把握したい・月次決算に耐えうるリソースがある企業は導入のメリットがあるといえるでしょう。

日次決算

日次決算は一部の企業しか実施してませんが、ソフトバンク、ユニクロなどのスピード感の早い経営を行っている優良企業の中には導入しているケースもあります。日次決算は手間がかかる半面、ほぼリアルタイムで会社の状態を定量的に把握できるので迅速に経営PDCAを回す際には役立ちます。

月次決算のやり方

基本的には月次決算の手続きは年次決算と同様です。月次決算の典型的な流れは次のとおりです。

  1. 残高確認
  2. 月次棚卸
  3. 仮勘定の整理
  4. 経過勘定の計上
  5. 減価償却費などの計上
  6. 月次試算表の作成
  7. 立替金の精算は早めに

残高確認

現金・預金の実際残高と帳簿残高を照らし合わせて、差異がないかを確認します。

月末に現金の出納が多くなると差異が発生しやすく、理由の解明が困難になる場合もあるので注意が必要です。通帳の記帳に手間がかかる場合は、オンラインバンキングの利用も検討しましょう。

月次棚卸

在庫金額を確定させるために、棚卸作業を実施します。

ただし実地棚卸には手間がかかることが多いため、棚卸の状況によっては月次決算のスピードが著しく遅くなるケースも考えられます。この場合は、スピード重視して無理に棚卸せずに、帳簿上の在庫金額で試算表を作成するとよいでしょう。

仮勘定の整理

仮勘定の内容を精査して、正しい勘定科目に振り替えます。

仮勘定のままでも試算表は作成できますが、費用の内訳に関して不透明な要素が大きくなりがちです。経営状態を反映した試算表ができない可能性もあるため、勘定科目の振り替えはできる限り行うようにしましょう。

経過勘定の計上

次に経過勘定を計上します。

発生主義にもとづいて帳簿を作成している場合、経過勘定を正しく計上しないと月次の損益を正確に分析しづらくなります。ただし月次決算すると決めていれば、前もって準備しやすくなるメリットもあります。

減価償却費ほかの計上

減価償却費・貸倒引当金などの期末確定費用について、年間費用を見積もったうえでの計上します。その他、賞与・固定資産税も1月あたりにかかる費用を算出して月次決算に反映します。

月次試算表の作成

すべての勘定科目の計上、整理が終了すれば月次試算表の作成を実施します。基本的な手続きは年次決算と同じやり方です。月次決算を行ったからには、月次業績報告・経営上の意思決定などどのように活用するかも考えておきましょう。

立替金の精算は早めに

月次決算の手続き自体とは直接関係ありませんが、正確かつ迅速に月次決算を実施するために、立替金は早めに精算しましょう。

月次決算のあとで立替金が見つかると、月次決算を修正しなければなりません。また、修正前の試算表に基づいた経営上の意思決定は判断が誤っていた可能性も高まります。立替金の多い職場の場合は、注意しましょう。

月次決算をスムーズに行うポイント

役割・スケジュールを明確にする

あらかじめ役割やスケジュールを決めておけば、決算ごとに慌てることなく取り組めます。リマインダーを設定しておくのもよいでしょう。

ITツールを導入する

ITツールを導入すれば、人力だった月次決算の業務を自動化できます。

ITツールのなかには会計システム・請求書発行システムなどと連携できるものも多く、連携できれば一貫しての処理が可能です。データをいちいち変換していると手間がかかるので、ITツール導入の際はすでに自社で使っているツールと連携できるかもよく確認しておきましょう。

月次決算の導入、企業の管理会計を支援する「クラウドERP freee」

業務の自動化を支援するITツールとして注目されているのが、初期コストが安く手軽に導入でき、給与計算業務や経費精算業務といったサービスとも連携ができるfreeeの「クラウドERP freee」です。

「クラウドERP freee」は、スタートアップから上場済みの中堅企業まで導入実績があります。また、同社の提供するクラウド会計ソフトfreeeと人事労務freeeをあわせて利用することで、会計と人事労務領域のデータを一元管理し、業務を効率化できます。

クラウドERP freeeのサービス領域 クラウドERP freeeのサービス領域

通常、請求書の作成・入金管理・消込や経費精算、証憑管理といった業務は別々に行われてきたが、データの入力が一回だけで済む(シングルインプット)ため、これらの手間を削減可能になります。

取り込まれたデータから、売上・費用レポートや資金繰りレポートを自動で作成できる点も大きなメリットです。また、クラウドERP freeeは内部の機能としてAPI連携が提供されており、銀行やクレジットカード口座と連携した自動データ取得も行えます。さらに、部門管理やタグ付けによって、支店毎や部門毎の最新の数字をいつでも確認できます。

「クラウドERP freee」導入で月次決算を高速化した事例

パソナグループのパソナテキーラは、クラウドERP freeeを導入して経営判断のスピードアップを実現した企業のひとつです。

パソナテキーラが手がけているコンサルタント登録型派遣の事業は、月ごとの数字が流動的なため、月ごとに試算表を作って経営戦略を変化させていく必要がありました。クラウドERP freee導入以前は手入力で計算した試算表を作っていましたが、実際の数字と大きく乖離があり作成に2週間ほどの時間がかかっていました。

クラウドERP freeeを導入したことで、ヒューマンエラーをなくし、会計処理が迅速に。正確な試算表作成ができるようになり、作成スピードも向上しました。

クラウドERP freeeは、これまで同社が提供してきた会計ソフト freee、人事労務 freeeから成り、会計や人事労務管理といったバックオフィス業務を一気通貫でつなげられるようになったのも大きなメリットとなりました。

詳しい機能や価格、サポート面を知りたい方はこちら

クラウドERP freee - フリー株式会社

  • 各種ソフトの連携によりバックオフィス業務を効率化
  • 管理業務を一元化し社内情報を全社で共有
  • 業務効率化、内部統制、意思決定の迅速化を実現

クラウドERP freeeは、バックオフィス業務と情報管理を一元化するクラウド型のERPシステムです。クラウド会計ソフトfreeeと人事労務freeeをあわせて利用することで、会計と人事労務領域のデータを一元管理できます。スタートアップから上場済みの中堅企業、大手企業まで、さまざまな企業の管理業務を効率化します。

会計領域では、業務と会計を分断させないシングルインプットと各種会計ソフトとの連携により、業務を効率化。経理部門だけではなく、全社で経理・会計の情報を共有できます。

人事労務領域では、勤怠管理や給与計算、年末調整といった基本的機能に加え、入退社手続き、法律に準拠した方法でのマイナンバー管理など、人事労務管理に幅広く対応。従業員情報を管理し、アクセス管理や権限管理、異常な動きの検知、監査ログといった上場企業の内部統制にも対応。

クラウド型の利点を活かし、業務の効率化と内部統制を進めながら、リアルタイムで経営情報を把握し、迅速な意思決定を行えます。

クラウド型のERPシステムのため、リアルタイムのレポートによる経営情報の把握や、業務のペーパーレス化を行えます。

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