在庫管理とは?目的や仕事内容・改善のコツ・手法

在庫管理とは
在庫管理とは、在庫を生産や販売にあわせた最適な状態で供給できるように管理することを指します。在庫管理には定量発注方式、定期発注方式などの方式があります。
Excelで管理している企業もまだあるものの、近年では、クラウド型の在庫管理システムを利用して在庫管理する企業が増加中です。
在庫管理と倉庫管理の違い
在庫管理と倉庫管理の違いは、担当する業務内容や管理する項目です。在庫管理では入荷や出荷にて在庫を管理するのに対し、倉庫管理は倉庫内の在庫数や人員、工数といった在庫以外の部分にも注目して業務を行います。
倉庫内の設備や人員まであわせて管理できるシステムを探している場合は、WMS(倉庫管理システム)の導入がおすすめです。

在庫管理の目的
在庫管理の目的は、在庫切れを防ぎ余剰在庫を減らすことです。在庫の数を適当に保てば、保管にかかるコストの削減に役立つほか、キャッシュフローも改善されるでしょう。
余剰在庫が多ければ多いほど企業の資金繰りに大きな影響を与えます。在庫が足りない場合にも、クオリティの高い製品と素早い対応が求められる現代では、顧客はすぐに競合他社へ流れてしまい、大きな機会損失を招く理由にもなりえます。
このように、資金繰りの悪化を避けて経営の健全化をはかるとともに、機会損失を排除して利益を最大化するマネジメントが必要になるため、在庫管理を適切に行うことが重要です。
こちらの記事では、実際に在庫管理をする方法について紹介しています。在庫管理のやり方や方法を知りたい方はこちらもあわせてご覧ください。

在庫管理のやり方
在庫管理のやり方は、大きく分けると次の5つが挙げられます。
- ロケーション管理
- 入庫管理(荷受けし・検品・検収・入荷処理・棚上げ)
- 出庫管理(ピックアップ・検品・出荷作業)
- 返品管理
- 棚卸(実数確認・期限切れ在庫の処理)
ロケーション管理
ロケーション管理とは、在庫を置く場所を管理することです。簡単に言えば、「この棚にはこの商品」と決めてしまい番号やIDなどで管理し、社内全体に情報を共有することで、どこに何があるのか全社的に理解している状態のことを言います。
ロケーション管理には2種類あり、一つは在庫の置く位置を固定する固定ロケーション、もう一つが在庫の位置を変更するフリーロケーションです。
固定ロケーション
固定ロケーションとは、商品と保管場所が完全に固定されている在庫管理の手法のことを指します。固定ロケーションで管理された商品は、在庫がなくなるとあるはずの保管場所に商品がなくなるため、在庫切れが一目でわかるメリットがあります。
また、固定的に場所が決まっているため、ピッキングミスを防止可能です。その反面、商品の在庫がない間は、保管スペースが空くことで無駄が生まれてしまいます。この固定ロケーションはアナログでもできる方法なので、中小企業に向いている方法といえるでしょう。
フリーロケーション
フリーロケーションは、商品と保管場所が固定されておらず空いてる場所に在庫を置く在庫管理の手法です。つまり、入庫したときに初めて置き場が決まるため、保管場所に無駄な空きがない状態を保てることが利点です。
フリーロケーションには情報の記録・共有が常に求められます。そのためフリーロケーションを採用する場合は倉庫管理バーコードとハンディターミナルによる制御が一般的です。
入庫管理
在庫の入庫管理とは、在庫を新たに入荷してきた際に伝票とともに荷受けし、検品、検収、入荷処理の流れを経て、新たな在庫として登録することです。取引先から入庫した在庫だけでなく、企業内の他拠点から移動になった在庫も管理が必要でしょう。
入庫管理の方法はハンディターミナルによるバーコード読み取りやパソコンへの入力が一般的であり、納品書との照合や出庫する在庫との混合防止が必要です。
出庫管理
在庫の出庫管理とは、在庫の検品、伝票の添付、商品の発送、出庫処理の登録といった一連の作業のことです。入庫管理同様、多拠点へ移動した在庫も管理が必要となります。ただ出荷の検品をするだけでなく、包装を含めた出荷作業のことも。

棚卸
在庫の棚卸しでは、現在ある在庫の数に間違いがないか、品質が損なわれていないかを確認します。モノとしての在庫を持たず、サービスの提供をビジネスモデルとしている企業でも、データセンターを自社にもっている場合にはその確認が必要です。
返品管理
在庫管理では、顧客からの返品、そして発注した材料の返品も管理しなければなりません。返品管理は入庫・出庫をともなう作業で、伝票や商品代金が絡むため、通常の在庫管理とは別の管理方法を行い、混乱が起きないようにすることが得策です。
在庫管理をするメリット
在庫管理によって得られるメリットは数多くあります。効率的に管理でき余計なリソースを割かなくて済むのが全体の傾向です。
- 余剰在庫の縮小
- 欠品の減少
- キャッシュフローの改善
- 人件費の削減
- スペースの節約
- 管理コストの削減
- 生産性の向上
余剰在庫の縮小
在庫管理によって在庫の数を正確に把握することで、余剰在庫が減少するメリットがあります。
管理が不透明な状況では、余計に仕入れてしまったり品切れを引き起こしたりしかねません。管理が徹底されると抱えるべき数量を把握でき、必要最低限の量だけでやりくりできます。
欠品の減少
在庫を可視化すれば、欠品は抑制されます。どのように保管されているのか、いつまでに販売すべきなのかがわからない状況においては、欠品が増えていく一方です。数や種類、保管場所を整理して欠品を減らせるのは大きなメリットです。
キャッシュフローの改善
在庫を減らせばキャッシュ(現金)が増加、ひいては経営の安定につながります。
出荷や販売のされない在庫は現金化されないため、投資や経費の支払いに使用できず融通の効かない資産として扱われます。在庫管理によって余剰在庫を減らせば、減価償却費もかからず、キャッシュとして資産を確保できるでしょう。
人件費の削減
在庫を管理する手間がかからないため、余計な人件費が発生しないメリットが、在庫管理にはあります。
管理されていない在庫を抱えていると、出荷や棚卸しの際に探す手間を求められます。在庫状況を正確に知ることで、余計な人件費や残業代をカットできる点も嬉しいポイントです。
スペースの節約
在庫管理には、余計な在庫を減らしデッドスペースを縮小させる効果もあります。
在庫を置いている場所は、違う用途で利用できず利益を生みだしません。いらない在庫を排除し余剰スペースを確保できれば、場所を他の使いみちに回せます。
管理コストの削減
在庫が少なければ少ないほど、管理にかかるコストも減少します。
在庫は保有しているだけでも、棚卸しや適切な保管といった業務が発生します。しっかり管理がなされれば、在庫を適切な数に抑えられ余計な管理費用もかかりません。
また、スペースや人件費が削られたことにより光熱費の減少にもつながる一面もあり、ただ単に在庫の位置や数を把握するだけにとどまらないメリットを享受できるでしょう。
生産性向上
スペース節約や在庫の過不足がなくなることにより、生産性の向上につながるメリットもあります。管理が徹底されていることで、入庫や出庫にかかる作業時間が短縮できるだけでなく、人的ミスも減らせます。
在庫管理の課題
上述のように、在庫管理の方法自体はシンプルであり「現物と記録を一致させ、必要なときに迅速に移動できる」ようにしておくだけです。しかし、多くの企業が在庫管理に悩みを抱えており、「あるはずのものがない」「記録が信じられない」など現物管理が不十分で過剰な在庫に苦しめられています。
なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。在庫管理の課題について説明します。
管理ルールの不統一
まず在庫管理に関するルールが徹底されていない、もしくは徹底されていても守られていない、ことが考えられます。
たとえば、定められた場所に保管するべき在庫を、別の場所に移動したまま記録しない、入庫・出庫に関する所定の手続きをとっていないなどがあれば、改善する必要があります。
人的ミス
リアルタイムに在庫状況を把握するためシステムを導入していたとしても、それを操作する人間がミスをしていては在庫の整合性は取れません。
在庫が入荷しているのに入庫処理がされていなかったとしたら、せっかくの引き合いがあっても売り逃してしまうかもしれませんし、逆に適切に出庫処理されていなければ、ないはずの在庫が引き当てられてしまうかもしれません。
意識の低さ
こうしたことが起こってしまう原因として、在庫管理の重要さがすべてのスタッフに共有されていない、つまり在庫管理に対する意識の低さが挙げられるでしょう。
一つひとつは細かなことでも、積み重ねれば大きな問題に発展してしまい、結果的に経営基盤が揺るいでしまうことにもなりかねないのです。
在庫管理のコツ
在庫管理のコツは管理のルールを制定し徹底すること、棚卸のスパンを短くすること、システムを導入することがあげられます。
管理ルールの策定と徹底
まずは適切な在庫管理を行っていく意味、重要性をすべてのスタッフと共有し、管理ルールを策定、徹底した実行が必要です。
在庫管理の方法自体はシンプルですが、それを実施していく手順は面倒なものではあります。その一つひとつに効果があることを理解させ、常に啓蒙することが重要でしょう。
棚卸の間隔を短縮
それでも現物と記録の剥離が生じてしまう場合、在庫管理のプロセス自体になんらかの問題があることが考えられます。こうした問題を特定して改善していくためにも、短い間隔で棚卸を行っていくのは有効な手段です。
これによって、原因究明の時間を短縮し、常に改善を目指した対策を行えるようになります。
在庫管理システムの導入
多くの手間と手順が必要となる在庫管理を効率化し、確実なものとしていくためには、在庫管理システムの導入がもっとも有効です。
できれば、小売業の場合は販売管理システムと連携できるもの、製造業の場合はさらに調達管理システムなどと連携できるものが望ましいといえます。
これにより二重入力やチェック漏れなどの人的ミスを最小限にし、ハンディターミナルを活用したバーコードやQRコード管理を行うことによって、より確実な在庫管理を行うことも期待できます。
さらには、在庫総額を含むデータを瞬時に把握可能なため、在庫状況の推移を分析することによって、本来の目的である「適切な在庫量のマネジメント」を実現できるのです。
在庫管理システムの選び方
在庫管理システム導入を検討する場合は、次の点に注意するとよいでしょう。
現場の課題に対応できるか
管理対象となる品々・管理場所などから、現場の課題に対応できる在庫管理システムを選びましょう。食品卸業であれば賞味期限の管理、アパレル業であれば色違いが管理できる、など業種によって在庫管理の課題は異なります。
登録方法
登録方法も重要なポイントです。品数が多ければ、バーコード入力のほうがヒューマンエラーが少なく、おすすめです。
カスタマイズ性
商品が増えてくると、項目を増やす必要が出ることもあります。カスタマイズ性に優れた在庫管理システムであれば、その都度課題に合わせて柔軟にシステムを変えられます。
ただしカスタマイズで追加料金が必要になったり、自身でカスタマイズしなくてはならなかったりするシステムもあるので、確認しておきましょう。
必要な装置
主にオンプレミス型の場合サーバやシステムは、自社で用意する必要があります。クラウド型はとくに必要にならない場合がほとんどですが、登録方法によっては読み込み機器が必要になることもあります。
在庫管理システム以外も検討を
在庫管理は、適切な在庫量を確保して管理コストも削減できるため、入荷や出荷作業が多い倉庫で役立つ手法です。在庫管理をさらに効率的に、ミスなく実行するならば在庫管理システムの導入は欠かせません。
しかし、用途や現場の課題によっては在庫管理システムではなく、倉庫管理システムをはじめとする他のサービスも利用するといいかもしれません。
これらの中には、在庫管理もできるシステムがあるため、導入を検討する際にはあわせてチェックしておくようにしましょう。
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