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流動資産とは - 固定資産や繰越資産とあわせて解説

最終更新日時:
記事の情報は2021-12-24時点のものです。
流動資産とは、営業で発生した資産のうち1年以内に換金可能な資産を指し、たとえば取り寄せた製品や仕入れた部品が該当します。本記事では、流動資産の詳細や固定資産、繰越資産との違いについて解説します。

賃借対照表を読めれば、自社の状況を把握だけでなく、取引先を見極めるときや自身が独立するときにも役立ちます。しかし、経理の担当者でもないと流動資産をはじめとした会計の用語は理解しづらいものです。

本記事では「流動資産」「固定資産」「繰越資産」の中から流動資産について解説します。

流動資産とは

流動資産とは、営業で発生した資産のうち1年以内に換金可能な資産を指します。たとえば、販売に向けて取り寄せた商品や加工するために仕入れた部品など、1年のうちに販売が完了し現金として回収できるものが対象です。反対に1年以上かかる場合は固定資産として扱われます。

流動資産の確保は企業を継続するうえで重要なポイントです。固定資産や繰越資産をいくら保有しても、現金化して人件費や仕入費用が支払えなければ倒産を免れません。支払いの原資となる流動資産の多寡は会社が安全に経営できるかの重要な要素です。

流動資産一覧

具体的には次のような資産が流動資産として扱われます。

【現金系】

  • 現金
  • 小口現金
  • 普通預金
  • 当座預金
  • 定期預金

【売上債権系】

  • 受取手形
  • 売掛金(▲貸倒引当金)

【有価証券系】

  • 有価証券

【棚卸資産系】

  • 商品
  • 製品
  • 半製品
  • 仕掛品
  • 原材料
  • 貯蔵品

【その他】

  • 短期貸付金(▲貸倒引当金)
  • 前渡金
  • 立替金
  • 仮払金
  • 仮払消費税等
  • 未収入金
  • 未払消費税等
  • 前払費用
  • 未収収益
  • 繰延税金資産

貸倒引当金とは

流動資産の中には貸倒引当金という項目があります。貸倒引当金とは、債権が貸し倒れたときに備えて、あらかじめ貸し倒れた前提で資産から帳簿上減らしておく資産のことを指します

たとえば、売掛金が1億円あったとしても、この1億円のすべてが回収できるとは限りません。このうち何パーセントかは取引先の倒産、業績不振などにより回収できなくなる可能性があります。こうした事態を想定して、会計ではあらかじめ貸し倒れるかもしれない分を資産から差し引きます。

1億円のうち2%が貸し倒れる可能性があるなら、貸倒引当金は1億円×2%=200万円となり、売掛金は1億円―200万円=9800万円と評価します。

流動資産の種類

流動資産は「当座資産」「棚卸資産」「その他流動資産」の3種類にさらに分けられます。

当座資産

当座資産には現金、預金、売掛金、受取手形、有価証券などが挙げられます。流動資産の中でも、とくに現金化しやすい資産です。

現金化してすぐに支払いに利用できるかを基準にしているので、有価証券であっても長期保有を前提としたり大量保有していたりして、すぐに換金できない有価証券は当座資金に含まれません。

棚卸資産

棚卸資産とは、倉庫に残っている資産を指します。「棚卸資産を売れば現金へ変えられる」特徴があり、在庫をもつビジネスではかならず発生する資産です。当座資産よりは現金化しづらいため、不良在庫として販売できないケースをはじめ注意する点が多くなります。

その他流動資産

その他流動資産とは、当座資産と棚卸資産のどちらにも分類されない資産です。例として短期貸付金(1年以内の返済を条件とししお金を貸す)や未収金(本業以外で発生したもの)、前渡金、前払費用、仮払金、立替金などが挙げられます。

流動資産に含まれているので流動性は高いと思いがちですが、実際には債権回収ができなかったり、現金化まで期間が延びたりするので、額面どおりの資産価値があるとは限りません。


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流動比率とは-経営の安全性を示す指標

流動比率とは、流動資産と流動負債を用いて計算される比率で、支払い能力を判断するのに用いられます。流動比率の求め方は次の数式のとおりです。

流動比率(%)=流動資産 ÷ 流動負債 × 100

たとえば、流動資産が10億円に対して、流動負債が8億円の場合は、10億円÷8億円=125%が流動比率となります。逆に流動資産が8億円に対して、流動負債が10億円だとすると、流動比率は、8億円÷10億円=80%となります。

流動負債とは

流動負債とは、おおよそ1年以内に支払いが発生する債務のことを指し、貸借対照表の負債の部の流動資産の部門に記録されています

流動負債の具体例としては、買掛金、支払手形、短期借入金、未払金、未払い費用、前受金、預り金などが挙げられます。

流動比率の評価方法

流動比率から支払い能力を判断できます。流動比率が高ければ支払い能力が高く、流動比率が低ければ支払い能力も低いといえます。流動比率は、余裕資金を表すので与信管理で重要な指標です。

一般的には、理想的な流動比率は200%です。ただ、中小企業においては150%程度が現実的な数値でしょう。流動比率が100%を切ると、今後1年に支払うべきお金よりも手持ちのお金が少ないことになるので注意が必要です。ただし流動比率が高くても、不良在庫が含まれていたり回収できない債権が含まれていたりすると、資金繰りに困窮する場合があります。

流動比率を高めるためには

流動比率を高めるためには、流動資産を増やすこと、流動負債を減らすことの2つのアプローチ方法があります。

流動資産を増やす方法としては、無駄な固定資産を売却して現金化する方法、固定資産投資への投資を減らす方法が考えられます。

ちなみにこのような戦略は「資産の流動性を高める」とよばれます流動負債を減らす方法としては、短期借入金を長期借入金にできるだけ借り換えること、利益が出たら短期借入金を返済することなどが考えられます。

流動比率の目安

流動比率を高めるのが経営においての原則です。適正な流動比率は業種によって異なりますが、一般的に120%程度であれば短期の資金繰りで困ることはないといわれています。

一方で流動比率が100%未満になると、短期的な資産に対して、短期的な負債が上回るので、短期的な資金繰りに困る可能性が高くなり、資金調達をするなど早期の資金繰り改善が求められます。

流動比率が高ければよいのか?

流動比率が300%、400%となっている企業はもちろん存在し、流動比率が高いほどいざというときに安全です。ただし、流動比率が高すぎるのは別の意味で問題があります。

企業は事業に投資して、その事業の中から利益を得て、その利益をまた事業に投資をするサイクルを繰り返します。流動比率が極端に高い場合は、事業投資に前向きではない、この先の事業展開が見えていない企業の可能性も考えられます。よって、中長期的にはいまの収益事業は儲からなくなってきて業績不振になるかもしれない、新しい事業の柱が育っていない可能性があります。

また、流動比率が高い上場企業も別の観点から問題があります。上場企業は事業で収益を上げて株主に分配する必要があります。しかし、流動比率が高いのは、手元の流動資産が過剰なので、本来的にこれは株主に分配した方がよいのではないかという問題が発生するのです。

より手堅く評価するのであれば「当座比率」

流動比率に基づいて企業の安全性を評価するのには一つ問題があります。流動資産はおおむね1年以内に換金できる資産といっても、実際に換金できる保証はないことです。

たとえば、棚卸資産の中に実際に販売できない不良在庫が含まれているかもしれませんし、仕掛品は製造中なので実際には換金できません。

このようなことを考慮すると流動比率で財務的な安全性を評価すると、安全なように見えて安全ではないといったケースも考えられます。より手堅く企業の安全性を評価するためには流動比率ではなく当座比率という指標を使用します。

当座比率は次の式で算定します。

当座比率=当座資産÷流動負債×100(%)

当座資産とは現金預金、有価証券、受取手形、売掛金の合計のことを指します。流動資産の中でも換金可能性が高い資産を元に流動負債との比率を出しているので、流動比率よりも必ず数値は低くなりますが、信頼性は高くなります。

その他の流動資産に関する指標

その他にも流動資産に関する経営指標はいくつか存在します。

たとえば、流動資産回転率は売上÷流動資産で求める指標で、手元の現金や在庫などでどれだけ効率的に売上を生み出しているのかを指します。業種によって流動資産回転率は大きく異なりますが1.5回転~3.5回転程度になるのが一般的です。

固定資産と繰越資産

資産のうち残りの固定資産、繰越資産を説明します。

固定資産とは

固定資産とは1年経過しても現金化できない資産を指します。非流動資産と呼ばれることもあります。固定資産はさらに「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」に分類できます。いわゆる土地や建物、設備や特許権、子会社の株式などが固定資産に該当します。

種類 特徴
有形固定資産 形のある固定資産。土地、ビル、生産工場、機械などの設備が該当
無形固定資産 形はないが収益にかかわる資産。例としては特許権、営業権などが該当
投資その他の資産 長期的に保有する「株」などが該当。たとえば子会社へ出資するときに用いる

繰越資産とは

繰越資産には、利用も販売もできない資産が分類されます。支出時に「費用」として計上するべきものでも、一部のものは「効果が長期的に得られる」として繰越資産としての計上が認められています。支出した費用の中で、その効果が1年以上に及ぶものと定義できます。

たとえば、開業費や創立費、社債発行費、開発費が該当します。会計上の繰越資産と税務上の繰越資産は、同じでも償却(費用として計上すること)の方法が異なります。会計上では好きな時に償却できますが、税務上においては、税法上の償却期間に合わせて償却が必要です。

ビジネスパーソンとして賃借対照表を読む

業務に直接かかわらずとも、賃借対照表を読み解けるようになると経営的視点で会社を見られます。この記事も参考にしながら、基本的な読み方を身に付けましょう。

企業は現預金がなくなり支払いできなくなれば倒産してしまうので、流動資産は企業の安全性を測るうえで重要な要素の1つです。貸借対照表の左上側に記載されており、具体的には現金・預金・製品・仕掛品・売掛金などが流動資産に該当します。

一般的には流動資産を流動負債で割った流動比率という指標で企業の安全性を測ります。

目安として120%を超えているのが望ましいですが、流動比率の高すぎる企業は事業投資が不十分な可能性もあるので中長期的には業績が下がる可能性もあります。

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