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BDRとは?意味・SDRとの違い | 攻めのインサイドセールスで注目、エンタープライズ戦略手法

最終更新日:(記事の情報は現在から630日前のものです)
BDR(Business Development Representative)とはアウトバウンドを中心に大手企業の新規開拓を担うインサイドセールス。SDRとの違いやSaaS企業で実践が必要な理由、メリットについて紹介しながら、ABMと掛け合わせた具体的な営業戦略について解説します。

BDRとは?攻めのインサイドセールスで注目

BDRとはBusiness Development Representativeの略で、大手企業を中心に新規開拓の役割を担うインサイドセールス組織を指します。近年、SaaS業界を中心に注目を集めており、言葉自体はご存じの方も多いと思います。

インサイドセールスに関する書籍やWebページも多く出はじめ、実際にインサイドセールスを導入している企業ではイベントを行って情報発信をすることも増えてきました。しかし、インサイドセールスに関する情報を集めれば集めるほど、本来の目的や意義がわかりづらくなってきている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、インサイドセールスの役割を「BDR」と「SDR」の2つに分け、BDRの本来の意味と営業戦略の観点からの重要性を紹介していきます。

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BDRの本来の意味

BDR(Business Development Representative)は、新規開拓型のインサイドセールス部隊のことです。自社で設定したターゲット企業に対して電話やメール、DMや手紙なども活用して一から開拓を行います。

したがって、自社のWebサイトの問い合わせフォームからのリードを商談につなげるインバウト対応ではなく、アウトバウンドを主体とした商談創出を行います。

BDR・SDRの目的の違い

BDR・SDRの目的の違い BDR・SDRの目的の違い

同じインサイドセールスでも役割によって呼び方が分かれるBDRとSDR。本質的な目的や役割の違いを理解できるように、手法やターゲットについて比較していきます。

BDR SDR
新規開拓型 反響型
アウトバウンド インバウンド
大手企業中心 中小・中堅企業中心

SDR:インバウンドを中心にSMB領域を開拓

SDR(Sales Development Representative)は、問い合わせやホワイトペーパーなどのオンラインや、展示会・セミナーのようなオフラインで獲得したリードに対してアプローチし、商談創出を行います。

SDRが得るリードはインバウンドが中心。対象はSMB企業(Small to Medium Business、中小企業のこと)が多い傾向にあるのが特徴です。企業から問い合わせやコンテンツのダウンロードを行う“能動的な状態”のため、比較的導入意欲が高く、決裁フローも短いため受注まで時間がかからないというメリットがあります。

一方で、ユーザー数や規模に応じて売上が変動するSaaS企業の場合は、金額としては大きなものになりにくいというデメリットもあります。また、SMB企業は決裁権者が明確でコミュニケーションをとるのに手間がかからないことから、以前取引があった休眠顧客に対してもう一度アプローチして商談を作り出していきます。

BDR:ABM戦略・エンタープライズ開拓

ABM戦略・エンタープライズ開拓のBDR BSR、SDRが担うインサイドセールスの対応範囲(企業規模別)

SDRがSMB領域の攻略をミッションとする一方で、BDRは中堅~エンタープライズ企業の攻略をミッションとしています。

BDRの役割を理解するのに欠かせない概念がABMです。ABMとはAccount Based Marketingの略で、購買履歴や取引実績データをもとに売上が最大化する具体的な企業(アカウント)を明確にし、戦略的にアプローチを行うマーケティング手法です。

インバウンド型のリードジェネレーションは多くの見込み顧客を獲得するのに対して、ABMは個別の顧客にフォーカスした戦略となるため対極的な考え方といえます。

ABM戦略によるターゲット顧客明確化のメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

  • ROIの効果的活用
  • リソースの最適分配
  • 少数顧客に集中
  • PDCAの高速化
  • 営業と連携

BDRはABMの考え方に基づき、自社で定めたターゲット企業との取引を始めることを目指し、アプローチしていきます。したがって、BDRとSDRの違いは戦略的にアプローチする顧客企業の規模であるということになります。

ABMの詳細とは何か、こちらの記事でも解説しています。

ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは?ツールやメリット
ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、顧客企業を明確に定義し、個別にアプローチするマーケティング手法です...
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エンタープライズ戦略が必要な理由

BDRが注目されるようになった背景には、エンタープライズ戦略の重要性が増しているという事情があります。日本の産業構造からわかるエンタープライズ戦略の必要性を、3つの観点から解説します。

(1)日本の産業構造と市場規模

2019年版中小企業白書より、日本の企業比率(規模別) 出典:中小企業庁「2019年版中小企業白書」

中小企業庁が発行した「2019年版中小企業白書」によると、日本の産業構造において、全企業のうちエンタープライズ企業(調査では「大企業」)の占める割合は0.3%、SMB企業が99.7%(同「小規模事業者」「中規模企業」を合算)となっています。また付加価値総額で見てみると、母数が少ないにも関わらずエンタープライズ企業の方が大きいことがわかります。

つまり、営業先としては売上が小さいSMB企業の方が圧倒的に数が多く、企業数を積み上げても売上拡大には時間がかかります。一方で、売上という視点で見たときには、企業数は少ないもののエンタープライズ企業の方が割ける予算も大きくなる可能性が高くなります。

加えて多くのSaaS企業はサブスクリプションモデルを採用しており、顧客の企業規模に応じて売上が大きく変わります。2018年に「SaaS元年」を迎えたSaaS市場は年平均成長率15%超の勢いで急速に拡大、2021年までに約5,800億の市場になると予測されています(※)。大企業も巻き込みながら成長しているのです。

SaaS企業のエンタープライズ戦略が注目されている理由は、数こそ少ないものの付加価値総額は大企業の方が高いこと、SaaS市場が急成長していること、この2点がまず挙げられます。

※出典:富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場 2017年版」

(2)SMBはチャーンレートが高く不安定、頭打ちが見える

SMB開拓には限界が見えてきたことも一因。SMB開拓のみに注力する戦略には、チャーンレート(解約率)の高さ市場の成長可能性の限界というデメリットがあります。

SaaSビジネスの成長曲線。SMBだけだとStage3以降で伸び悩む

SMB企業が対象なら、チャーンレートを3%以内に抑えるのが良いとされていますが、エンタープライズ企業より高く、費用対効果がよくありません。かつ、チャーン抑制のためのカスタマーサクセス部門を立ち上げながら市場の刈り取りを行っていくリソースを確保するのは難しいのが現状です。

加えてインサイドセールスが主流である米国と比較して日本のSMB市場は圧倒的に小さく、ITリテラシーの高いSMB企業を対象とした市場は早期に成熟期に入ってしまいます。そうなると価格を上げて収益確保するか、カスタマーサクセス人員を採用してチャーンレートを下げるかの選択を迫られます。

こういった経緯から、既存の営業組織を利用して新規だけでなく既存顧客に向けた営業戦略を実施することは有効な手法といえます。

SMBからエンタープライズシフトが必要な理由の詳細はこちら。

【特集1】米国SaaS上場企業の95%はエンタープライズがターゲット? SaaS企業がSMBではなくエンタープライズを開拓すべきワケ
2019年4月25日(木)、SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」を運営するスマートキャンプと、これまでに多く...
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(3)エンタープライズは収益性が高く安定している

日本の約10倍の規模がある米国のSaaS市場に目を移すと、エンタープライズ企業を開拓すべき理由がさらに見えてきます。

米ベンチャーキャピタルBlossom Street Venturesの調査によれば、米国で上場しているSaaS企業81社のうち95%にあたる76社がエンタープライズ企業をターゲットとしています。

こういった状況が生まれるのも、SaaS市場においては導入人数によって料金が決まる場合が多く、少ない取引企業からより多くの収益を上げられるということが大きく関係しています。また、エンタープライズ企業は不況時であってもチャーンレートが低く、経営破綻のリスクも少なくなります。

エンタープライズ開拓をしておけば、価格改定の際にもSMBのために低単価に合わせることなく、かつ継続的に利用してもらえるプラン設定も可能です。収益性が高く、安定した売上を期待できるのです。

SMBとエンタープライズの特徴 エンタープライズ企業は、チャーンレートが低く顧客単価が高い

BDRを成功に導くABM戦略のポイント

上述したように、BDRの役割は、戦略的にエンタープライズ開拓を行い、営業収益の最大化をはかることにあります。ここからは、BDRの成果を高めるABM戦略(ターゲティング戦略)について解説します。

LTVの高い顧客セグメント発掘・分析

まずターゲットとする企業を決めなくてはなりません。手に入る企業データのすべてとMAツールSFAツールなどのつながりを活用して、顧客の優先順位をつけます。

ただし、選定基準は自社で重要指標と位置づけているものから検討するようにします。既存の取引企業の中で相性の良い部門や業種、市場での影響度、リピーターになる可能性、利益幅などさまざまな傾向を分析し顧客セグメントを決定します。

組織構造とキーマン情報の取得

ターゲット企業を決めたら顧客企業の組織構造を把握し、組織のキーマン(意思決定者やインフルエンサーなど)を特定する必要があります。

大手企業の場合は組織体制が複雑に入り組み、企業ごとに意思決定のフローやキーマンが異なります。たとえば、事業部ごとに意思決定を行う企業があれば、部門を横断してマーケティングや営業施策を見ているセントラルマーケティング体制を引いている企業もあります。

このような場合、仮に管轄部署の部長だったとしても予算の出所やキーマンが変わってくることがあるため、組織図の把握は非常に重要なポイントです。また一度商談を行っている企業だと、良い関係性を築いている営業担当者が自社内にいるかもしれませんし、顧客の中にターゲット企業のキーマンとつながりのある人がいるかもしれません。最短ルートで意思決定者にたどり着く方法を模索しましょう。

ターゲット顧客に合わせたOne to Oneキャンペーン

効果的なABMは、MAの考え方「最適な情報を最適な方法で最適なタイミングで届ける」と基本的には同じ。対象顧客が抱える課題を解決する価値あるコンテンツを届けることが重要です。

たとえば、アウトバウンド施策を実施する際にはターゲット企業の決算情報やIR情報が参考になります。戦略や組織の動き、事業に対してどのような人材・広告投資を行っているのかといった深い情報まで把握し、最適なメッセージを検討する必要があるためです。

BDRの役割・具体的なアプローチ手法

ABMという営業戦略の中で、BDRがどういった役割を担うのか解説します。

決裁フローをヒアリングし組織図を把握

企業の意思決定フロー 意思決定に強く関わるキーマンは誰?

ABMではキーマンといかに早くつながるかが重要。そのために、ターゲット企業の決済・承認フローを知り、組織図を把握する必要があります。SDRも同様ですが、エンタープライズ企業は決裁フローや承認ステップが長く、他部署が絡むこともあり複雑になります。

結果として商談からのリードタイムが長くなる、フィールドセールスの提案がうまく刺さらないといったことが起きがちなので、「誰にとって有益な情報である必要があるのか」を把握しておかなければなりません。ここをBDRが担います。

関連会社やグループ企業のある既存取引先があれば担当者に連絡をとり、他部門やグループの組織図を描いていくことがポイントです。

大手新規企業へのDM送付・商談創出

大手新規企業へのDMや手紙による商談創出は、ターゲット企業の業界やキーマンの属性に合わせる必要があります。

エンタープライズ企業の決裁ルートの中には部長、役員クラスの承認が必要な場合があります。電話でつないでもらうにも営業電話を断る企業もありますし、メールアドレスを取得するのも一筋縄ではいかないでしょう。そんなときは手紙も有効な手段となります。広告要素の強いDMのようなものではなく、私信として送るのがポイントです。

役員や部長宛てに届いた郵便物は、仕訳される際にも捨てられてしまうことも少なく、「何だろう?」と開封してもらえる可能性も高まります。手紙を送った背景やアポイントのメリットなどを送り先に合わせて記載しましょう。

既存顧客で未契約部門、他商材の商談創出

もしターゲット企業の中に、すでに取引のある顧客企業のグループ企業が含まれている場合は、足がかりがあると言っても良いでしょう。

エンタープライズ企業の場合は従業員数も多く、部署も複数存在します。Horizontal SaaSを複数提供している企業は再度既存取引の担当者にアタックしてクロスセルを狙う、既存取引担当者から別部門の担当者を紹介してもらうなど、同一企業の売上アップを行うこともBDRチームの役割の1つです。

BDR・エンタープライズ開拓におすすめのサービス

BDRが効果的なエンタープライズ開拓を行うためには、綿密なデータ戦略が欠かせません。また現場のリソースが足りなければアプローチのみアウトソーシングするのも一つの選択肢です。

BDRやエンタープライズ開拓に役立つ、ボクシルマガジンおすすめのサービスを紹介します。

BALES

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SaaS企業のセールス戦略はBDRで拡充できる

SaaS企業のセールス戦略は自社サービスのポジション、製品ライフサイクルをもとに決定する必要があるため、成熟期に入ると、継続的な成長に向けて人員や商談量を増やすだけでは限界が来てしまいます。そこで価格改定やカスタマーサクセス部門の立ち上げを行うことが多いものの、日本の産業構造を鑑みるとエンタープライズシフトも重要な戦略となります。

SaaSビジネスの収益安定ポイントとして、売上を見込めるエンタープライズ企業との取引が重要となります。しかし、大手企業を開拓するためには、ビジネス経験の豊富なセールス人材が必要。戦略実行と合わせて、人材獲得や育成、組織の仕組み化も同時に検討しなければエンタープライズ開拓の成功実現は難しいといえます。

そこで重要度が増すのが、エンタープライズの新規開拓を担うBDR部隊。アウトバウンドを主体にターゲット企業へアプローチします。SMB開拓で市場の頭打ちを感じる前に、ターゲット企業の選定や人材戦略も社内で検討しましょう。

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