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電子契約における原本とは?必要性や保管方法

最終更新日:(記事の情報は現在から1日前のものです)
電子契約に原本とは、最初に作成して保管した契約書などのデジタルデータを指します。書面契約と同じく原本性を確保する必要がありますが、印刷や押印などのプロセスを簡略化できるメリットがあります。本記事では、電子契約における原本の特徴や運用方法を解説します。

電子契約における原本とは

電子契約の原本は、書面をコピーして作成するので内容が変わりません。そのため、どのデータが原本に該当するのかがわかりにくい難点があります。電子契約の原本性を理解するには、次のポイントを押さえることが重要です。

  • 契約書には5つの区分がある
  • 電子契約では文書を区分する必要がない
  • 本人性・非改ざん性のあるデータが電子契約における原本

契約書には5つの区分がある

そもそも契約書のような書類には、次のような区分があります。

区分 定義
原本 文書を作成する際に最初に作る文書 -
謄本 原本を一字一句コピーした、全内容の写しが記載されている文書 戸籍謄本や不動産登記簿謄本
抄本 原本の一部の内容のみを写し取った文書 戸籍の個人事項証明書
正本 権限を持つ人物が作成した謄本。原本と同様の法的効力を持つ。 公証権限を持つ裁判所書記官が発行する判決書
副本 正本の内容をそのまま写し取った文書 -

原本とは、5つに区分される書類のうちの一つで、オリジナルの文書そのものを指します。謄本や抄本よりも先に作成するため、「謄本や抄本はあるが原本は存在しない」ということはあり得ません。

ただし、原本は一つのみとは限らず複数存在するケースもあります。たとえば、契約の当事者と相手方がそれぞれ1通ずつ原本を保有する場合が代表的です。複数の原本が存在するからといって、一方が謄本になるようなことはありません。

電子契約では文書を区分する必要がない

電子契約では区分する必要がありません。あえて区分するのであれば、サーバー上に保存したオリジナルの電子契約書が原本、それをダウンロードやコピーしたものが謄本や抄本にあたります。

電子契約では、文書にデジタル署名やタイムスタンプを付与することで、契約者双方が合意したとみなされ、あわせて原本性も担保されます。

本人性・非改ざん性のあるデータが電子契約における原本

電子契約では文書を区分する必要はありませんが、文書の本人性と非改ざん性を証明する必要がある点には注意が必要です。その文書が間違いなく本人によって作成されたものであり、作成後に情報が改変されていないことを証明する必要があります。

この本人性と非改ざん性を証明できる仕組みが、デジタル署名とタイムスタンプです。電子文書にデジタル署名を付与する際は、暗号化技術を用いて文書の真正性を明らかにします。また、タイムスタンプを付与することで、その時刻や変更履歴の有無を証明できます。このような仕組みにより、本人性と非改ざん性が証明されたデータが電子契約における原本です。

デジタル署名やタイムスタンプに関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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電子契約と書面契約における原本の違い

法律の規定上、複数企業での取引では契約書の原本性が重視されます。そのため、書面契約で原本を保管するには、印刷や押印、収入印紙の貼り付け、発送などのさまざまなプロセスが発生します。

一方、電子契約では、データをコピーするだけで原本と同一のファイルを作成可能です。ペーパーレスでの運用が可能なので、上記の印刷や押印などのプロセスがほとんど不要になります。業務効率の向上やコスト削減以外に、検索性の向上やコンプライアンス強化につながるのもメリットです。

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電子契約で原本が必要になるケース

電子契約における原本は、裁判所や税務当局に資料を提出する際に必要です。それぞれのケースで原本がどのように利用されるか具体例を紹介します。

裁判所への提出

裁判で証拠の取り調べを行う際は、原本提出が命じられることがある旨が民事訴訟法にて定められています。

電子契約では文書を区分する必要がないものの、原本をコピーした謄本や抄本にあたるデータが存在することもあります。そのため、裁判では「どのデータが原本にあたるのか」「原本をどのように提出するのか」が問われるでしょう。実際のケースでは、原本となる電子ファイルを印刷して提出するのが一般的です。

税務当局への提出

取引に関する証明資料として、税務当局に原本を提出することもあります。原本を提出する必要があるのは、税務調査を受ける際です。

税務調査で電子契約関連の原本を提出する際は、電子帳簿保存法の要件を満たさなければなりません。たとえば、電子取引で発生した書類に関しては、すべて電子データとしての保存が義務付けられています。電子帳簿保存法の内容や要件に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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電子契約で原本を紙の書面にする必要はあるのか

原本といっても電子契約の場合は、紙の文書に出力する必要はありません。原本性が確保されていれば、サーバーやクラウドサービスなどに保存されたデータでも原本として扱われます。

ただし、事業用借地権設定契約書や農地の賃貸借契約書など、公正証書での作成が義務付けられている場合は、紙の文書で原本を作成・保管する必要があります。

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書面契約や電子契約の種類にかかわらず、企業間での取引を行う際は契約書の原本性を確保しなければなりません。ただし、原本の区分けや保存に関しては書面契約と電子契約で大きな違いがあります。本記事で紹介した内容を参考に適切な原本管理を行いましょう。

電子契約で原本を適切に管理するには、電子契約システムを利用するのがおすすめです。電子契約システムには、デジタル署名やタイムスタンプといった真正性を証明できる機能のほか、書面作成や一元管理などの機能も搭載されています。詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。

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