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ピーターの法則とは?組織内人材の無能化を防ぐ対抗策を紹介

最終更新日:(記事の情報は現在から1409日前のものです)
ピーターの法則とは、組織内で人が能力の限界まで昇進すると無能化してしまうというもので、放っておくと組織の崩壊に繋がります。このような状況を打破するため、ピーターの法則を解説し、対抗策をご紹介いたします。

あなたの所属する組織では「なぜあの人が管理職なんだろう?」という疑問を抱くような社員はいますか?

もしかしたらこれは、ピーターの法則によって、その人が能力の限界まで昇進した結果、無能レベルの人になってしまったというケースかもしれません。

ピーターの法則では、このような状況を放っておくと組織全体が無能の人で占められ、いずれは崩壊に繋がっていくと警告されています。

それでは、ピーターの法則を回避して組織の崩壊を防ぐには、どのような対策を行えばいいのでしょうか。ピーターの法則の概要を解説するとともに、いくつかの対抗策をご紹介していきます。

ピーターの法則とは

ピーターの法則とは、ローレンス・J・ピーターが提唱した、ピラミッド型階層社会における法則であり、以下の点が主な要素となります。

- 能力の限界まで昇進すると人は無能になる
- 人はそれぞれが無能となる地位に落ち着く
- 組織の運営は無能に達していない有能な人によって行われる

ここでいう組織とは、社会学的に階層社会構造を持つ全ての組織が含まれますが、組織を企業に置き換えて考えることもできます。

たとえば、営業成績の突出した優秀な人材を管理職に抜擢したところ、全く機能しなかったというケースがあります。これは営業面で有能な人材が、管理面で能力を発揮できるとは限らないことを意味し、管理スキルを見極めた人事を行わなかったため、無能な管理職が誕生してしまったケースといえるでしょう。

こういったピーターの法則が起こりやすい状況としては、昇進を果たした地位で結果や業績を出さなくとも降格されない「下方硬直的な人事」であること、個人の能力とは別に昇進を果たしてしまう「人事の仕組み」が挙げられます。いずれの場合も、勤続年数に応じてある程度の昇給・昇進が行われる、年功序列の日本型人事が当てはまり、経営と現場を切り離して考える欧米型人事では、ピーターの法則は現れにくいといわれています。

ピーターの法則への対抗策

ピーターの法則に従い、企業内が無能な人で埋め尽くされてしまうのであれば、企業に所属している従業員個人の幸福にとっても、継続した成長を期待する企業にとっても良いことはないと言えるでしょう。

それでは、ピーターの法則を回避する対抗策とは、どのようなものが考えられるのでしょうか。以下に、ローレンス・J・ピーターが自身の著書で提唱している対抗策をご紹介します。

対抗策(1)無能となるレベルへの昇進を防ぐ

企業を構成する従業員個人での対抗策です。

<昇進に対するマイナス思考>
自身が昇進した場合のデメリットを考慮し、現在の地位で満足していると考える。

<無能を自ら演出する>
現在の地位で発揮できている有能性を確保するため、昇進を打診されないよう、自らを演出する。

ピーターの法則によって、無能な管理者が誕生してしまう例はご紹介しましたが、地位が向上するということは、ほとんどの場合、自身が築き上げてきたものとは別のスキルが必要になることを意味します。昇進に必要なスキルを持ち合わせないまま、地位が向上してしまうことがピーターの法則に繋がるのであれば、個人の幸福のために、自身のスキルレベルを見つめ直した判断が重要だともいえます。

対抗策(2)無能レベルになる無理な昇進をやめる

企業側から見たピーターの法則への対抗策です。勤続年数に応じた年功序列での昇進をやめ、業務のマンネリ化を避ける配置転換などを行うことにより、従業員のスキル向上と無能レベルからの脱却を狙います。

これをピーターは教育現場でたとえています。従来では落第していた生徒を進級させることによって階層化されてしまっていましたが、もう一度学ばせることによって進級できるレベルに到達させられる可能性があり、周囲の邪魔にもならないという方法です。

具体的には、一度の結果や業績で昇進を判断するようなことをせず、昇進したポジションで必要となるスキルを身につけているか慎重に判断する、ということがあげられるでしょう。

対抗策(3)無能レベルの状態を抑え、悪化を防ぐ

企業を構成する従業員個人の健康・幸福を維持する対抗策です。現場からの叩き上げで昇進を目指すという意識が強く、企業内でのポジションに到達すること自体が目標となりがちな日本では、無能レベルになってしまうと業績が上がらずに悩んでしまったり、モチベーションを失って無気力になってしまいがちです。こうした無能レベルに達してしまった人は、健康も害しやすく幸福を感じることも少ないといえるでしょう。

このような状態に陥った場合、業績を上げることや昇進を目指すことをやめ、自身のポジションにおいての仕事の素晴らしさ、価値を語ることによって個人の健康と幸福の維持でき、企業にとっての無害化に繋がる、とピーターは提言しています。

対抗策(4)無能化を防ぐ具体策

昇進が必ずしも幸福に繋がるわけではないという意識を持ち、上述した対抗策を講じることによって無能化を防ぐことができれば、有能な人も無能な人も生活の質を向上させることが可能である、とピーターは提言しています。

具体的には以下のようなことがあげられるでしょう。

<昇進によって無能化してしまった人は降格させる>
日本では一度昇進人事が行われると、降格させるのは難しいとされていますが、能力を発揮できないポジションを維持するリスクよりも、能力を発揮できるポジションに降格させるリスクの方が小さいといえます。

<有能な人は能力を発揮しているポジションに固定し、昇給で報いる>
降格人事の場合も同様ですが、ポジションを固定する人事にも対象者のケアは必要です。しかし、昇給で報いる方法であれば、不満も小さくなる可能性があります。

無能化を防ぐには積極的に学習する姿勢と柔軟な意識が必要

ピーターの法則が、ピラミッド型の階層社会を反映した法則であるならば、ピラミッドの頂点に位置する人以外は、全ての人が無能レベルになってしまう可能性を持っています。また、無能レベルになる要因が、ポジションに見合ったスキル不足ということであれば、常に自身を向上させる意欲に満ち、積極的に学習していく姿勢を保ち続ければ、無能化を防ぐことが可能だともいえます。企業側の立場で見れば、こういった意欲のある人材を見抜いて抜擢するために、人事評価を行う側のスキルも求められます。

さまざまな要因により、ピーターの法則に対抗するのは一朝一夕で成し遂げられることではありませんが、働き手である従業員、企業ともに、働き方に対する柔軟性を持つことが、無能化を回避するための最良の方法といえるのではないでしょうか。

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