今さら聞けないオウンドメディアとは?メリット・事例・運用のポイント - マーケティング用語
オウンドメディアとは
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業などが自社で保有している(Owned)情報発信のための媒体(Media)のことを意味します。
広義ではWebサイト、ブログ、SNS、メールマガジンのほか、紙媒体のパンフレットや広報誌なども含まれますが、デジタルマーケティングにおけるオウンドメディアの定義としては「ブログ」や「Webマガジン」のことを指すことが多くなっています。
これらの媒体を活用したオウンドメディアの目的は「ユーザーにとって有益な情報を提供する」ことによって、顧客エンゲージメントを高めることです。したがって、自社製品やサービスのアピールは最小限とされる傾向にあります。
コンテンツマーケティングやインバウンドマーケティングが注目されるなかで、オウンドメディアの重要性はますます高まっており、近年では多くの企業が運用、もしくは運用を検討しているのではないでしょうか。
本記事ではメリットや事例などについて解説をしていきます。
- 「見込み顧客を増やしたい」
- 「安定したリード獲得を目指したい」
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マスマーケティングの限界
まずは、テレビ・雑誌・バナー・リスティング広告など、従来のプッシュ型マスマーケティングが力を失っていることが挙げられます。
この要因には、ユーザーの嗜好が多様化するのにともない以下のような理由が考えられ、バナー広告のクリック率は1%程度にとどまっているのが現実なのです。
- 能動的に情報収集を行うようになっていること
- そのチャネルがインターネットに移行していること
- プッシュ型のマーケティングに辟易していること
広告費用の適正化
このように費用対効果が著しく低下しているにもかかわらず、マスマーケティングには膨大な広告費が必要になる現実は変わっていません。
つまり、企業側から見れば、投資に見合う効果的なマーケティング手法を採用する必要に迫られており、デジタルマーケティングの一部としてオウンドメディアに注目が集まっているのです。
SEOの変化
顧客エンゲージメントを高めるため「ユーザーにとって有益な情報を提供する優秀なコンテンツ」が必須となるオウンドメディアですが、これは近年の検索エンジンが「質の高いコンテンツを評価する」傾向と合致します。
これは、過去に横行したブラックハットSEOなどの対策を施さなくとも、オウンドメディア本来の目的を追求していけば、SEO対策も同時に行えることを意味します。
以下の記事では、SEOについてより詳しく解説しています。
メディア環境の変化
スマートデバイスとSNSが爆発的に普及したことで、ユーザーが能動的に情報収集するだけでなく、お気に入りの情報をシェアできるようになり、質の高いコンテンツや情報が拡散しやすくなりました。
SNSだけをマーケティングに活用しても、ほとんどの企業が効果を得られなかった現実がありますが、オウンドメディアとの併用により、大きな効果を得られることが認識されてきているのです。
オウンドメディアのアドバンテージ
オウンドメディアが注目されている要因に、このような環境の変化、ユーザー意識の変化がありますが、デジタルマーケティングにおけるアドバンテージとしては、以下を挙げられます。
これらでお気付きのように、オウンドメディア単体でコンバージョンからクロージングまでを行えるわけではありません。
つまり、その効果を定量的な計測は難しいといえますが、リードジェネレーションやナーチャリングに大きな役割を果たしているだけでなく、顧客エンゲージメント向上によって、ブランドに対するロイヤリティ(忠誠)を高める役割も果たしているのです。
オウンドメディアとデジタルマーケティング
デジタルマーケティングにおいて重要なポイントとなるオウンドメディアですが、上述したように、マーケティング活動全体で見れば、さまざまな要素とセットで考えるべきものといえます。
トリプルメディア
そのなかでも重要なものが「トリプルメディア」という考え方であり、従来のマーケティング手法を含め、オウンドメディアの効果を最大化し、相乗効果を狙っていこうとするものです。
概念としては上図のようになりますが、それぞれが独立しながらも相互関係を保ち、それぞれの効果を最大限に活かしていこうとするものであることがわかります。
ペイドメディア
従来のマスマーケティングの手法であり、ペイド(広告費)を支払うメディアであることから、ペイドメディア(Paid Media)と呼ばれます。
プッシュ型マーケティングであり、その効果が失われつつあることは解説しましたが、それでも「不特定多数に希求」する効果は不変であり、オウンドメディアへの誘導という意味合いで有効な手段です。
アーンドメディア
アーンド(信用・信頼)を獲得するという意味合いを持ち、それをSNSなどのメディアで拡散してもらうということから、アーンドメディア(Earned Media)と呼ばれています。
オウンドメディアで顧客エンゲージメントを高めていっても、それが一部のユーザーのみに限定されていては大きな利益につながりませんが、アーンドメディアを併用することにより、気付き上げた高い価値を拡散できるようになるのです。
それぞれのアドバンテージと役割
それぞれが相互関係にあるトリプルメディアですが、オウンドメディアには「すぐに大きな効果が期待できず、メディアを育てていく時間が必要」という弱点があり、ペイドメディアには「不特定多数に素早く希求できる」というアドバンテージがあります。
このように、それぞれのアドバンテージがそれぞれの弱点を補い合いながら、コンバージョンからクロージングまでのマーケティングを行っているのです。
形態 | チャネル例 | 役割 | アドバンテージ | |
---|---|---|---|---|
オウンドメディア | 企業自身が管理するチャネル | Webサイト、ブログなど | 見込み顧客の獲得、エンゲージメント向上 | 目的に沿った展開、長期的な展望、コスト削減効果 |
ペイドメディア | 広告費を支払うチャネル | テレビ・雑誌、インターネット広告など | 見込み顧客の創出、オウンドメディアへの誘導 | 目的に沿った展開、即効性・拡張性 |
アーンドメディア | SNS、口コミなど | 要見積り | オウンドメディア、ペイドメディアの成果を拡散 | 高い信頼性・透明性 |
コンテンツマーケティングとの関係
デジタルマーケティングの要として注目されるオウンドメディアですが、その性質からコンテンツマーケティングとの違いに混乱する傾向もあるようです。
コンテンツマーケティングでは、顧客にとって価値ある情報を提供し、信頼関係の構築とエンゲージメントの向上によって、顧客ロイヤルティを高め、リピーター化やファン化を促していくものです。
オウンドメディアは、この施策の一部として機能する場合が多くなっていますが、動画やメール、プレスリリースなど、文字どおりコンテンツに重点を置くのがコンテンツマーケティングの特徴です。
インバウンドマーケティングとの関係
これに対してインバウンドマーケティングでは、プル型のマーケティングを重視するという考え方です。
価値ある情報の提供と顧客ロイヤリティを高めるという点では、コンテンツマーケティングと同様ですが、プッシュ型マーケティングである「ペイドメディア」の比率を下げていく方向であることが異なるといえます。
つまり、コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングでは、それぞれに手法が微妙に異なりますが、目指すべきポイントは同様であり、オウンドメディアはそのどちらでも重要な施策の一部、といえるのです。
インバウンドマーケティングについては、以下の記事を参考にしてください。
オウンドメディアのメリットと運用
それでは、オウンドメディアを企業が運用していくメリット、最適な運用形態などには、どのような要素があるのでしょうか。
広告宣伝費削減
ペイドメディアには「即効性」「拡散性」というマーケティング効果が期待できますが、反面、広告掲載を中断したとたんに効果が失われる傾向があります。
オウンドメディアの場合、サーバーなどを含むWebサイトの運営費用のほかは「良質なコンテンツを作成」するコストのみが必要になります。実はこの部分がいちばん難しいところでもあるのですが、莫大な広告費をかける必要がないため、大きなコスト削減効果が期待できます。
コンテンツの資産化
ユーザーにとって有益で優秀なコンテンツを提供し続けることによって、コンテンツが陳腐化することなく、資産として蓄積されていきます。これによって、従来顧客と同様の疑問や悩みを抱える新規ユーザーの期待に応えなり、息の長い、安定したアクセスが期待できます。
ブランド価値の向上
資産として蓄積されたコンテンツが増加するに従い、ユーザーは「有益な情報を提供してくれる専門性の高い企業」として認識してくれるようになります。
実際、ある企業では、オウンドメディアのコンテンツを30ページ以上閲覧したユーザーの8割が、コンバージョンにつながっているというデータもあり、ブランド価値の確立に大きく貢献していることがわかります。
顧客エンゲージメント構築
こうしたユーザーの認識は、企業と顧客のエンゲージメント(つながり)を高め、結果的にリピーターとして自社のファンとなってくれる可能性が大きくなります。
ロイヤリティ化した顧客は、自身がリピーターとして継続的な顧客となってくれるだけでなく、その価値を拡散することにも大きく貢献してくれるのです。
以下の記事では、エンゲージ・マーケティングについて紹介しています。
オウンドメディア運用事例
現代の企業マーケティングにおいて、このように重要なポイントとなるオウンドメディアですが、すでにこの分野で大きな効果をあげている例が多数存在します。その運用事例をいくつか紹介しておきましょう。
WORKSIGHT|コクヨ
コクヨが運営するオウンドメディア「WORKSIGHT」では、次世代の働き方と働く環境というテーマが貫かれており、世界最先端の働き方やワークスペースとしての職場を紹介しています。
綿密な取材による事例紹介や起業家へのインタビュー記事が豊富な一方、肝心のコクヨ製品のPRはほとんどなされておらず、ブランディングに力を入れていることがわかります。専門雑誌のようなシンプルでスタイリッシュなデザインが印象的ですが、実際、年2回のマガジン発行も行っています
Our Food. Your Questions|McDonald’s
世界的なファーストフードチェーン店である、マクドナルドカナダが運営するオウンドメディアが「Our Food. Your Questions」です。
その企業規模から、都市伝説のようなうわさが多数流布しているマクドナルドですが、こうした疑問から生じた質問に、丁寧に返答することに特化したサイトです。それ以外の要素はまったく存在していないにもかかわらず、40万を超えるPVを実現しており、ページ数も5,000を超えるボリュームになっています。
北欧、暮らしの道具店
「北欧、暮らしの道具店」は、同名の店舗が運営するオウンドメディアですが、ネットショップ連動型での運営を行っています。このため、3万を超えるページ数を誇っていますが、そのうち、ブログが1万以上を占めており、製造メーカーの情報や職人が製品に注ぐ情熱など、顧客エンゲージメントを高める濃い内容のコンテンツが満載です。
およそ7年間、毎日のように更新されており、資産としてのコンテンツが蓄積されたことにより、120万を超えるPVを誇るまでになっています。
オウンドメディアの運用ポイント
数々のメリットや成功事例があり、現代マーケティングに欠かせない存在となっているオウンドメディアですが、そのアドバンテージの一方で、メディアとして育てていくのに長い時間がかかるという一面があります。
最低でも100以上のコンテンツが必要といわれるオウンドメディアですが、実際に運用していくのにポイントとなるのは、どのようなことなのでしょうか。
テーマとキーワード
オウンドメディアでは、ペルソナとして設定した個々の顧客とのエンゲージメントを高めていくものです。つまり、コンテンツ作成にあたっては、ペルソナが自身のオウンドメディアにたどり着きやすくなるキーワードを設定する必要があります。
適切なキーワードに沿ってコンテンツ作成を行うことにより、SEO対策にもつながり、結果的に高い効果を期待できます。
以下の記事では、SEOでのキーワード選定についてより詳しく解説しています。
ユーザーに有益なコンテンツ作成
キーワードを選定したら、コンテンツを作成します。たびたび解説してきたとおり、ここで作成するのは「ユーザーにとって有益な優秀なコンテンツ」です。
これもすでに解説しましたが、ユーザーは専門性の高い情報を提供する企業に対し、高いブランド価値を感じる傾向があり、SEOの観点でも専門性の高い質の高いコンテンツは高い評価を得られやすい傾向があります。
ユーザー視点に立ち、ユーザーが知りたい情報をまんべんなく、的確にわかりやすく提供することを心がけるべきでしょう。
コンテンツ拡散
良質なコンテンツが作成できても、オウンドメディアへの流入や注目が少ない時期には、その効果を感じられないこともあるでしょう。確かにオウンドメディアを育てていくには時間を要しますが、ただ待っているだけでもアクセスは増えていきません。
コンテンツにSNSへのリンクを貼る、自社のSNSアカウントで情報発信するなど、コンテンツ拡散のための手段は惜しむべきではありません。
オウンドメディア運営に役立つCMS
オウンドメディア運営にはその元となるサイトが欠かせませんが、そのサイトを一から構築するのは大変ですよね。
そこで、簡単にオウンドメディアが作成できるおすすめCMSを紹介します。
ferret One(CMS)は、BtoB事業のリード獲得に必要な機能がすべて揃った高機能CMS&コンサルティングサービスです。
専門知識がなくても簡単に業種やターゲットに合わせたデザインでWEBサイトを構築・編集できるうえ、アクセス解析で毎日の状態をチェックできます。キャンペーン管理機能を使えばLPの作成・目標設定・進捗管理も簡単。また、記事コンテンツを拡充できるブログ機能やSNS連携投稿機能で顧客との接点を増やし、自社製品・サービスへの関心向上につなげられます。
dino - 株式会社リボルバー
dinoはオウンドメディア作成に最適化されたCMSです。ソーシャルメディアや外部広告と連携で集客が可能。プロによるコンテンツ提供、ネイティブアド掲載による広告収益、会員限定記事による課金ビジネス、EC連携による物販モデル、優良顧客をリアル店舗へ誘導するO2Oなど、オウンドメディアに必要な記事制作・運用・成長・マネタイズまでをサポートしてくれます。
講談社やHITACHIなど70を超える企業で利用されており、セキュリティ対策や新機能追加のアップデートも自動で行われるため、知識がなくても安心して運用できます。
効果が実感できるまで粘り強く取り組む
事例でも紹介したとおり、オウンドメディアに取り組むことで大きな効果をあげている企業が存在する一方で、効果が確認できずに撤退してしまった企業も少なくありません。
上述したように、オウンドメディアでは最低100以上のコンテンツが必要だともいわれており、専門性の高い良質なコンテンツを配信し続けるのが、簡単なことではないのは想像できるでしょう。
しかし、粘り強く取り組みを続けることによって、オウンドメディアは長期的に大きな利益をもたらします。
マーケティング戦略の一部としてオウンドメディアを捉え、さまざまな活動を最適化していくと同時に、PDCAサイクル化して改善していく努力を続けていくことが、何よりも重要なことだといえるでしょう。
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