小規模店舗や個人事業向け顧客管理システム比較！

顧客管理ソフト（CRM）とは

顧客管理ソフトとは、顧客情報を集約し一元管理できるソフトやツールのことです。年齢や性別、住所といった基本情報のほかにも、商品の購入履歴やWebサイトでの行動履歴といった情報を蓄積・分析が行えます。

CRMは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客関係管理」を意味する言葉です。顧客管理ソフトと同じく、顧客管理の一元化や、顧客満足度の向上を図るための分析・対応を行うためのツールを指す言葉として使われます。

一人でさまざまな業務をこなす必要がある個人事業主にとって、生産性や業務効率のアップに欠かせないツールです。

顧客管理ソフト（CRM）の必要性

顧客管理ソフト（CRM）は、個人事業主にこそ必要なものです。個人事業主は、関連業務をすべて自分1人だけでこなすため、顧客管理といっても簡単な情報の管理にとどまっているケースが多く見られます。

しかし今後事業の成長や継続を図るには、顧客管理をしっかりと行い、顧客それぞれのニーズに合わせた対応で販路拡大や新規顧客の開拓を行う必要があるでしょう。顧客管理ソフト（CRM）では顧客の基本的な情報管理はもちろん、購入履歴や問い合わせの内容、来店履歴といった豊富な情報の蓄積・分析が可能です。

そのため、これらの情報をもとに、顧客ごとのニーズに合った対応ができます。またスケジュール管理や納品管理といった幅広い機能が搭載されており、組織規模にかかわらず業務効率を向上できます。業務効率が向上すれば、顧客対応にあてる時間も増えるため、さらに契約や売上アップにつなげやすくなるでしょう。

顧客管理ソフトの主な機能

顧客管理ソフトの機能は主に顧客の一元管理機能、業務の効率化機能、情報の分析・レポート機能にわけられます。それぞれ詳しく紹介します。

顧客の一元管理機能

顧客の氏名や住所、年齢といった基本的な情報から商品の購入履歴やメールでのやりとり、商談の内容といったデータを統合し、これを一目でまとめて把握できます。これらの情報は、ほかのシステムからインポートもできるためデータ統合も効率的に行えます。

個人事業主はこれらの情報をもとに顧客との関係性を深められ、顧客が求めるサービスや商品を先んじて提案できるようになるでしょう。

業務の効率化機能

顧客管理ツールには、ステータス管理やワークフロー、スケジュール管理機能などがあり、業務が効率化できます。ステータス管理では営業活動がどこまで進んだかを、タグを使って一目で把握でき、優先すべき案件の整理ができます。

またワークフローでは受注から発注までの流れを可視化させ、次に行うべき業務が一目で把握可能です。これらをスケジュール管理と組み合わせて行うことで、効率よく業務ができ、対応漏れもなくせるでしょう。

情報の分析・レポート機能

顧客管理ソフトでは、蓄積した情報を分析し、これを自動でレポート作成できる機能があります。ステータス別の見込み客の割合や失注率、どのタイミングで失注しやすいかといった情報が可視化されるため、売上が伸び悩む原因や、今後改善すべきポイントの洗い出しに活用できるでしょう。

また顧客の購入履歴や過去の行動履歴といった顧客情報の分析もできるため、自社のターゲット層のニーズといったマーケティングに活用できる情報も抽出可能です。

個人事業主における顧客管理の課題

個人事業主は関連するすべての業務を一人で行っているため、それにあたって顧客管理にまつわる課題が発生することもあります。

普段の業務で解決すべき課題はどれか、確認してみましょう。

顧客情報が分散している

Excel（エクセル）や紙ベースで情報の入力や管理をしていると、情報の分散が大きな課題です。顧客情報をチャネル別に管理したり、顧客の基本情報とは別に商談内容のメモを保存・保管したりと、それぞれの情報が別々のファイルに保存されているケースが多くあります。

しかしこの状態では、たとえば顧客から商談の問い合わせがあった際に、商談内容のメモをすぐに見つけられず、失礼な対応をする可能性があるでしょう。また情報の分析を行う際にも、それぞれのファイルから必要な情報を抽出・整形する手間がかかり非常に面倒です。

集計や書類作成に手間がかかる

関連するデータの集計や書類作成に手間がかかる点も課題といえます。顧客ごとの案件の売上といった情報の集計は、Excelや紙ベースで行う場合、データ入力や集計を手入力で行う必要があり手間がかかります。

また見積書や請求書といった書類作成を行う際にも、案件ごとにデータを転記、集計して作成しなければなりません。一つひとつの作業には、そこまで時間がかからなかったとしても、これが積み重なることで、コア業務を圧迫する負担になります。

もし今はまだ負担に感じていない場合でも、今後事業の成長により顧客数や案件数が増加すれば、大きな負担になる可能性は高いでしょう。将来的なことも考え、今から対策を行うことも重要です。

画一的な対応による顧客離れ

個人事業主は顧客管理や顧客対応にまでしっかり手が回らず、画一的な対応で顧客離れを引き起こすケースもあります。前述したように、個人事業主はコア業務以外の業務もみずから行うため、顧客管理や顧客対応に使う時間はあまりありません。

またそもそも営業のノウハウをもっていないケースも多く、まったく同じ内容のメールを一斉配信したり、売れ筋の商品・サービスばかり提案したりと、対応が画一的になりがちです。しかしm顧客の求めているものからはずれた情報や商品ばかり提供されれば、信頼を失い顧客離れにつながりかねません。

本来営業を行うには、顧客の求めるニーズを理解し、的確な商品・サービスを的確なタイミングで提案する必要があります。しかしほかの業務を行っていることもあり、なかなかニーズの分析や、ニーズに合わせた提案をできていないのが現状です。

ヒューマンエラーが発生しやすい

手入力やデータの転記などを行っていると、ヒューマンエラーが発生しやすい点も課題の1つです。データ集計や分析で数字や計算式に間違いがあれば、見当違いな結果が出て間違った改善案につながりかねません。

また見積書や請求書のような取引先に提出する書類に間違いがあれば、取引先からの信頼を失う危険性もあるでしょう。個人事業主の場合は、ダブルチェックも難しいため、どうしてもある程度のミスが発生しかねません。

個人事業主の課題を顧客管理システムで解決できる理由

個人事業主には、情報の分散や集計・書類作成の手間といった課題はありますが、顧客管理ソフトを導入することで、これらの課題を解決できます。

顧客管理の課題が解決できる理由を、顧客管理ソフトの機能や詳細とともに説明します。

情報を一か所にまとめられる

CRMを導入すれば顧客情報の一元管理が可能になり、顧客の氏名・住所などの基本情報や購入履歴など、バラバラに管理していた複数の情報を一つのツールで簡単に確認可能です。

たとえば、問い合わせで顧客情報の確認が必要になった際、一か所に情報がまとまっていれば検索機能を使って必要な情報をすぐに見つけられます。電話応対のときにはスムーズな対応が可能になり、顧客に好印象を与えることにもつながります。

またデータを分析する際も、必要なデータを抽出する手間がなく、データがひとつにまとまっているため、多角的な視点から分析が可能です。

業務効率の向上

顧客管理ソフトを導入すると、幅広い業務を効率化できるようになります。顧客管理ソフトではデータを入力すると自動で計算や転記がされるため、作業者の負担を軽減可能です。

また見積書や請求書にはテンプレート機能があり、締日や発行日、入金期日がそれぞれ設定できるほか、データを転記して自動作成もできます。そのほか、スケジュール管理機能やステータス管理機能など、業務をスムーズに進めるための機能も豊富に備わっているため、大幅に業務効率を向上できるでしょう。

ニーズにあった顧客対応による売上・顧客満足度の向上

顧客管理ソフトを導入すると、顧客それぞれにあった対応ができるようになるため、売上や顧客満足度の向上につながります。顧客管理ソフトには、メールの一括配信やステップメールの送信、キャンペーン管理といった機能があります。

見込み顧客を性別や年齢、過去の行動履歴など属性ごとに分類し、メールを配信できる機能です。顧客の属性や好みに合わせてメールの内容を作成し配信できるため、顧客が本当に求めている商品の情報や、有益な情報を届けられるようになります。

また前述したように、顧客管理ソフトを導入すると、書類作成やデータ集計といったノンコア業務を効率化できます。ノンコア業務にかかる時間が減れば顧客対応にも注力しやすくなるため、より丁寧な接客が可能です。

これによりメールの開封率向上や、売上のアップ、顧客満足度の向上などのよい効果が期待できるでしょう。

管理ミスの防止

顧客管理システムを導入すれば、情報の入力・更新作業もしやすくなり、ミスが起こるリスクを最小限に抑えられます。1度データを入力すれば、システムが自動で集計やデータの分析、見積書といった書類作成を行ってくれます。

手入力の回数が減れば、ミスをする可能性も減るため、顧客から信頼を失う危険性もなくなるでしょう。また顧客管理システムには、入金期日や書類の発行日を設定し、日にちが近づくと通知をしてくれる機能もあります。これにより書類の発行や入金の忘れがなくなるため、さらに堅実な運営・管理ができるようになります。

個人事業主が顧客管理ソフトを導入する際の注意点

個人事業主が顧客管理ソフトを導入する際には、成果を実感するまで時間がかかる点に注意が必要です。顧客管理ソフトを導入する目的の1つとして、営業活動の改善が挙げられますが、これは顧客データの分析によって課題を洗い出すことで初めて実施できます。

しかし正確な分析を行うには十分なデータ量の蓄積が必要であり、データが蓄積されるまでには時間がかかるでしょう。また分析結果をもとに改善案を実施し、結果を検証してさらに改善案を出すといったPDCAサイクルを継続的に回す必要があるため、実際に改善効果が出るまでにも時間がかかります。

そのため、結果が出ないからといってすぐに使用をやめず、長い目で見て運用や体制の改善を継続的に行いましょう。

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CRMの機能、メリット・デメリットについてはこちらでも解説しています。

小規模事業者や個人事業主のCRM導入成功事例

小規模事業者や個人事業主で顧客管理ソフトを導入している企業の例を、業務改善例とともに紹介します。

株式会社グローアップマーケティング

セミナー事業やマーケティングのアドバイスなどを行っているグローアップマーケティングは、顧客管理システムの導入で、顧客ベースの情報管理を実現しました。グローアップマーケティングでは、セミナーの参加者一覧共有や入金管理などをGoogleスプレッドシートで、外部スタッフと共有しながら行っていました。

しかし顧客の数が増加したことで入力処理が追いつかなくなり、顧客管理システムを導入。これにより、帳票類の手続きやデータ更新、情報検索が手軽にできるようになりました。しかし商品ベースで情報の管理をしていたところ、商品数と複数商品の購入が増加したことで、対応が難しくなりました。

そこで別の顧客管理システムへの切り替えを実施。顧客管理ベースによる情報管理を実現し、一画面で顧客の幅広い情報を把握できるようになりました。また顧客の入会・退会状況や月次の売上推移の分析が容易にできるようになり、経営の可視化にも成功しました。

※出典：Zoho CRM「株式会社グローアップマーケティング」（2024年8月21日閲覧）

合同会社高知カンパーニュブルワリー

クラフトビールの製造・販売を行う高知カンパーニュブルワリーは、顧客管理システムの導入によりECサイトに注力し、BtoCにも進出できるようになりました。高知カンパーニュブルワリーは、卸売販売をメインとしていましたが、コロナ禍になりECに注力せざるを得なくなりました。

デザインの一新を行った結果ECサイトでの売上はアップしたものの、顧客の人数や購入頻度、優良顧客といった情報が一切見えない状況だったため、これを可視化するためにCRMを導入。ECサイトとの連携で顧客情報を蓄積できるようになり、今後マーケティング施策を打っていく際に活用できる体制の構築に成功しました。

また今後はポイントカードの作成やPOS連携なども見据えており、より幅広いデータの分析や活用をできるようにしたい、とのことです。

※出典：Zoho CRM「合同会社高知カンパーニュブルワリー」（2024年8月21日閲覧）

ポジウィル株式会社

オンライン・キャリアコーチングサービスを提供するポジウィルは、顧客管理システムの導入で工数の削減と顧客情報の可視化を実現しました。ポジウィルでは、メールマーケティングの効果測定が十分にできていませんでした。そこで顧客管理を整備するため、CRMを導入。

これまで流入チャネルごとにバラバラに管理していた顧客情報をシステムに集客したことで、メールマーケティングの実施リスト作成にかかる時間を削減し、効果測定までの流れがスムーズになりました。

また作業を自動化したことで時間の余裕が生まれ、この時間をデータ分析や戦略設計にまわせるようになりました。システムのデータ分析機能が充実していたこともあって、ユーザーそれぞれの行動を追跡し、ユーザーに寄り添った施策を考える土壌と、これらを活用できる体制が構築できたそうです。

※出典：HubSpot「ポジウィル株式会社」（2024年8月10日閲覧）

小規模事業者や個人事業主がCRMを導入する際のポイント

小規模事業者や個人事業主がCRMを導入する際のポイントについてチェックしておきましょう。

使いたい機能をチェックする

CRMツールは顧客情報を管理するシステムですが、情報管理・販売促進・分析など、さまざまな機能が搭載されています。機能が充実するほど高価ですが、実際に機能をすべて使うとは限りません。まずは現状の課題を改善するためには、どのような機能が必要なのか、現在の業務状況を振り返るところから始めましょう。

コストパフォーマンス

使いたい機能がリストアップできたら、コストパフォーマンスのよいCRMツールを選びましょう。CRMツールにはインストールする必要があるオンプレミス型と、オンラインから利用するクラウド版があり、クラウド版の方が初期費用と月々のランニングコストを抑えられます。

小規模事業者や個人事業主ならアカウントも少なく済み、費用を抑えられるので、どの程度のランニングコストになるかシミュレーションしましょう。

ソフトが使いやすいか

顧客管理ソフトが直感的に使いやすいかどうかも重要です。システムの使いやすさはそのまま業務効率に直結するため、スムーズにパソコンの画面を操作できるか確認してください。顧客管理ソフトの多くは、デモ画面や無料トライアルを提供しているため、これらをうまく活用しましょう。

また顧客管理ソフトはアプリが利用できるものもあり、アプリの操作性はとくに各社で大きくことなるため、しっかり使いやすさを確認するのが重要です。

サポートの充実度

もしITツールの導入や扱いに慣れていない場合は、顧客管理システムの提供ベンダーのサポート体制についてもチェックしましょう。顧客データ管理ソフトに限らず、ITツールは導入からしばらくはトラブルや操作の不明点などが出やすいため、これにスムーズに対応できるかが重要です。

導入支援や導入後の活用サポートといったサポートの範囲や対応時間、対応方法（電話やチャットまで対応しているか）などを確認してください。

【無料】Fullfree

株式会社フリースタイルが提供する無料顧客管理システムです。

顧客管理項目を使いやすく独自仕様にカスタマイズが行えます。クラウドで複数台のパソコンでの情報共有できるといった、フリーソフトながらできることが多く、有料システムと比較しても機能が充実しています。

さらに、有料版にアップグレードすることで、過去のデータベースをダウンロードしてスタンドアロンで動かすといった拡張した使い方が可能です。

Fullfreeの機能（できること）

Fullfreeの主な機能は次のとおりです。

自由自在な顧客情報管理

顧客情報のすべての項目を変更でき、カスタマイズすることで美容院や歯科、サロンなど業界を問わず幅広い業種で利用できます。

さらに、データベースの使いわけができるため、店舗ごとに情報をわけて管理可能です。また、1つのセルに複数の値が入れられ電話番号の種類が増えても簡単に管理できるといった、Excelと似た使い心地ながら自由で幅広い使い方ができます。

CTIシステム

着信電話番号から顧客情報を検索し自動で表示するCTI機能を利用可能です。業者に依頼しなくても電話とパソコンを連動できるため、CTI導入のために追加で高額な費用が発生することはありません。

またシステムはすべての項目でカスタマイズが可能で、独自のシステムを作成できます。電話に出る前に顧客の名前や住所、担当者などがわかるようになり、電話応対時の効率アップや顧客満足度向上につながるでしょう。

まとめ

ある程度集客数があり、顧客情報をマーケティングに活かしたいのであればやよい顧客管理、予算を抑えながら複数台のパソコンで顧客管理をしたい場合は、無料のFullfreeがおすすです。目的によって導入するシステムを変えましょう。

これまでなかなか顧客管理システムの導入に踏み切れなかった小規模店舗や個人事業主も、今回紹介したどちらかのシステムであれば、導入も利用もスムーズに実現可能です。ぜひこの機会に顧客管理ソフトの導入に挑戦しましょう。

下記の記事では無料で利用できるCRMサービスのみならず、クラウド型顧客管理システムを幅広く集め紹介しています。

また、こちらの記事ではCRMツールについて価格や機能について比較しています。

注目のCRM、サービス資料まとめ

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