医療業界向け文書管理システムおすすめ比較！解決できる課題と事例

医療業界で活用できる文書管理システムの機能

文書管理システムは、社内文書を一元的に管理できるシステムです。文書保管機能や検索機能を中心に、アクセス権限の付与機能なども備えています。さらに、外部システムと連携できる製品も多いので、文書まわりの作業効率化に加えて、社員の業務生産性の向上にも役立つでしょう。

医療業界では、医療DXの推進によりペーパーレス化を目指すところが増えています。デジタル化の遅れを問題視する向きもあり、ITによるスタッフの業務負担の軽減を目指す医療機関も少なくありません。

文書管理システムは紙の文書をデジタル化し、安全に管理できる機能を備えています。スタッフ間での情報の共有もしやすくなるため、DXの一環として積極的な導入を進めるとよいでしょう。

なお、文書管理システムの機能をさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご確認ください。

医療業界における文書管理における課題

医療業界では、医療文書の作成・管理に関する課題や、スタッフの業務負担に関する問題などを抱えています。普段の業務において、解決すべき課題は何か確認してみましょう。

医療文書の作成・管理に手間がかかる

医療業界では、医療文書の作成・管理に手間がかかっている組織が多く、スキャンデータの取り扱いに難儀している医療機関もあります。文書の種類にもよるものの、作成に数十分の時間を要する場合もあり、WordやExcelでの作業ではスタッフに負担がかかるケースも少なくありません。

行政に提出する書面もあり、期限が決まっているものも多いため、書類の作成業務だけで多くの時間を取られる場面もあります。記入ミスや記入漏れで戻り工数が発生する可能性もあるので、できる限り文書作成にかかる手間を削減し、効率的に管理する仕組みが必要です。

ペーパーレス化の遅れも目立つ

医療業界では、DXによる業務効率化が遅れている組織も少なくありません。紙のカルテでの診療がメインの医療機関が多く、Excel・Wordなどでも文書を管理しており統一されていないところもあります。

取り扱う書類もさまざまで、カルテや問診票・備品の購入に関するものまで多岐にわたるため、上記のように書類の作成に、スタッフの多くの時間が取られているケースが珍しくありません。しかし、いまだに紙ベースのアナログ的な文書管理を続けている医療機関が多く、医療スタッフの業務効率の悪化を招いています。

煩雑な管理業務によるスタッフの負担の増大

紙による複雑な文書管理により、多くの医療機関ではスタッフの負担が増大しています。もともと長時間労働になりがちな業界であるのに加えて、文書管理による手間がかさみ、記入漏れや記入ミスが発生しがちな医療現場も少なくありません。

スタッフの情報共有に時間がかかっているところも多く、医師や看護師・ソーシャルワーカーなどの連携がうまくとれず、問題が起こるケースもあります。医療文書のデジタル化による手間の削減と、スタッフ間の情報共有をスムーズにできる体制の構築が求められます。

医療業界の課題を文書管理システムで解決できる理由

医療業界では、文書の作成・管理に関するさまざまな課題がありますが、文書管理システムを使えば、多くの問題を解決できる可能性があります。その理由を、文書管理システムの特徴や機能とともにみていきましょう。

医療文書のデジタル化により管理が容易に

文書管理システムを導入することで、さまざまな医療文書をスムーズに電子化できるので、文書の作成・管理が容易になります。

紙ベースの文書管理では、印刷や保管場所の確保・書類整理などの手間がかかりますが、電子化によりシステム上で管理できるようになれば業務効率を大幅に改善できます。保管場所を確保する必要もなく、必要な情報をすぐに確認できる体制の構築が可能です。

さらに文書管理システムの中には、ワークフロー機能を有する製品やサービスも多いので、うまく活用すればスタッフの業務生産性も向上するでしょう。業務プロセス全体の改善にもつながります。

文書管理をきっかけにペーパーレス化・DXを促進できる

文書管理システムの導入をきっかけに、組織内のペーパーレス化を促進できます。紙ベースでカルテや問診票などの作成をしている医療機関は多くありますが、積極的にペーパーレス化を推し進め、医療文書をシステム上で管理する体制にシフトする組織も増えてきました。

また、医療DXの皮切りとして、文書の電子化に取り組む医療機関も多くあります。電子化の流れは、今後さらに医療業界全体に広まることは間違いありません。医療機関も一般的な企業と同様、市場競争にさらされているので、医療DXにより利用者の利便性を高め、市場での競争優位の確立を目指すことが大事です。

文書管理にかかる手間が削減できる

医療文書の電子化により、スタッフが必要な書類を探す手間を削減でき、情報共有もスムーズになります。高度な検索機能を備えている文書管理システムが多く、システム上で書類データを簡単にやりとりできるため、管理者による書類の確認・承認もスムーズになるでしょう。

文書管理にかかるスタッフの手間を軽くできるので、長時間労働の是正にもつながります。文書管理の煩雑さにより、既存のスタッフに大きな負担がかかっている医療機関ほど、システムの導入効果は大きいといえるでしょう。書類関連のトラブルも未然に防げるようになります。

医療業界における文書管理システムの導入事例

医療業界における文書管理システムの導入例について、業務改善の事例とともに紹介します。文書管理システムの導入によって、ほかの医療機関がどのような成果を上げているか、ここで確認しておきましょう。

九州大学病院

九州大学病院では、これまで紙の資料をスキャンして活用していましたが、原本として書類を残さなければならず、管理コストが増大していました。さらに、スタッフが内容を確認したいタイミングで、該当する書類を探すのに時間がかかっており、業務効率の低下も招いていたようです。

そこで、医療機関向けの文書管理システムである「Medoc」を導入し、医療文書の電子化を積極的に進めたところ、院内の情報共有が格段にスムーズになりました。e-文書法にのっとった運用により、紙文書が破棄できるようになったため、コストの削減につながっています。

※出典：富士通株式会社「導入事例（国立大学法人 九州大学病院様）｜Medoc」（2024年6月27日閲覧）

国立病院機構名古屋医療センター

独立行政法人の国立病院機構名古屋医療センターでは、2018年から業務支援システムを導入していましたが、サービスの提供廃止が決まったことにより、後継となるシステムを探していました。

複数の製品・サービスを検討した結果、操作の自由度が高く、運用をスタートしやすい「Agatha」の導入を決めています。契約の締結から運用開始まで2か月程度の短期間であったものの、院内の電磁化体制を継続でき、手順書の作成もスムーズになりました。

運用体制に合わせて管理画面をカスタマイズしたことで、スタッフの業務負担も軽減できたようです。今後は、さらに紙の資料を減らす取り組みを継続するとしています。

※出典：アガサ株式会社「一度たりとも紙に戻さない！！約2ヶ月間でのシステム移行をどう乗り越えたのか｜アガサ株式会社」（2024年6月27日閲覧）

医療業界向け文書管理システムの比較

楽々Document Plusは、すべての社内文書を1つの製品で管理できる、文書管理・情報共有システムです。幅広い管理業務やドキュメントに対応しており、ベンダーが顧客アンケートをもとに管理画面や機能の改善を積み重ねているので、年々使いやすさが増しているのが魅力です。

組織の体制や規模に合わせて導入形態を選択可能かつ、デモ画面で実際の画面を確認できるので、まずは基本的な機能や使い方をチェックしてみましょう。

Denhoは、社内の紙帳票やPDFをいつでも検索・閲覧できるようにする電子帳簿保存クラウドサービスです。紙の文書をスキャンしたり、スマートフォンで撮影してアップロードしたりすることで、AI（人工知能）が内容を認識して保存します。

画像を含めた全文検索が可能で、ファイル名がわからなくてもキーワードで必要な文書を探せるのが特徴です。大手企業での導入実績が多く、さまざまな業界・業種で活用されており、医療機関のペーパーレス化と業務効率化にも役立ちます。

Medoc（メドック） - 富士通株式会社

Medoc（メドック）は、e-文書法に対応した、医療機関向けの文書管理システムです。院内で使用されている紙の文書と、電子文書をまとめて管理できるので、これから医療DXを始める医療機関にもおすすめです。

高速な検索機能により、膨大なデータから必要な情報をすぐに参照できます。さらに、電子カルテシステムとの連携も可能なので、医療文書をシステム上で作成・管理できる体制を構築すれば、業務負担を大きく軽減できるでしょう。院内で蓄積してきた知識・ノウハウを、存分に活かした運用ができるサービスです。

Agatha - アガサ株式会社

Agathaは、医療・ライフサイエンス業界向けのクラウド型文書管理システムです。日米欧の法規制に対応しており、シンプルで使いやすく、忙しい医療現場でもスムーズに運用できます。

GxP対象の文書管理に必要な機能が実装されており、導入にあたっては、経験豊富な専任のコンサルタントが並走してくれるので、初めて管理システムを導入する企業も安心です。無料トライアル版もあるので、まずは操作性を確認してみましょう。動画による操作トレーニングも可能です。

HITQUAA - 株式会社 日立産業制御ソリューションズ

HITQUAAは、FDA「21 CFR Part11」やER/ES指針（電子署名/監査証跡）に準拠した、製薬・医療機器メーカー向けの文書管理システムです。文書改廃作業の自動化・効率化に役立つ機能が実装されており、文書改ざんの防止や発行・配付記録の管理が可能です。

文書にひも付けた教育計画の立案にも活用できるのが特徴で、柔軟な教育カリキュラムの作成や、教育漏れの防止にも役立ちます。外部システムとの連携により、最新のSOPや試験手順書の閲覧も可能になります。

ARTERIA AXIA - 株式会社WorkVision

ARTERIA AXIAは、大病院向けのIT化ソリューションで、PDF文書機能から問診機能・Web予約機能などに幅広く利用できるシステムです。院内のあらゆる文章をiPad上に表示でき、手書きのサインを入れたものをPDFで保存できます。

さらにiPad上でバイタルの入力や閲覧も可能で、問診機能やWeb予約機能により、日常業務の効率化も可能です。わかりやすく見やすい画面構成で、誰でも簡単に操作できるため、ITツールに不慣れでもスムーズに使えるようになるでしょう。業務改善に活用できる、データ集計・分析機能も充実しています。

intra-mart Accel Documents - 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

intra-mart Accel Documentsは、組織の業務ルールに応じて、文書処理を効率的にサポートする文書管理システムです。バージョン管理や検索機能・ワークフロー連携機能を備えています。

ペーパーレス化による保管コストの削減や、権限管理によるガバナンス強化が可能で、文書データを一元管理したい医療機関におすすめです。オンプレミス版でのトライアルを利用できるので、まずは気軽に問い合わせをしてみましょう。動作確認用の製品デモも用意されています。

Ennov Doc - 株式会社ディジタルメディアシステム

Ennov Docは、文書のライフサイクルを厳密に管理できる電子文書システムです。文書が改訂された時点で下書きとして作成され、自動で保管してくれるのが特徴です。承認のワークフローも詳細に設定でき、文書の種類に合わせて適用できます。

ダッシュボードによるステータスの見える化ができるので、院内の状況に応じた優先処理が可能です。さまざまな業界で導入されており、医療機関のペーパーレス化にも役立ちます。

医療業界向け文書管理システムで医療文書をデジタル化

文書管理システムはペーパーレス化のきっかけになるのに加えて、文書保管機能や検索機能により、スタッフの業務負担の軽減と生産性の向上に役立ちます。医療機関は紙ベースでの文書管理が残っている組織も多いので、紙の管理から脱却し、医療DXを進めるきっかけとして、導入を検討するのもよいでしょう。

導入するシステムを選ぶ際には、必要な機能が網羅されているか確認するとともに、管理画面の見やすさや操作性にも注目しましょう。ベンダーによるサポート体制も重要な選択基準です。トライアル版が利用できる製品も多いので、まずは使い勝手を確認することが大事です。

なお、医療業界では文書管理システムに関連して、次のようなサービスも導入されています。あわせて利用を検討してみましょう。

• 医療業界向け採用管理システム
• 医療業界向けワークフローシステム