CMSでサイト作成するメリット・デメリットまとめ | 比較・導入のポイント
Webサイト作成を内製化している企業をはじめ、多くのシーンで活用されているCMS、みなさんはメリット・デメリットをしっかりと把握できていますか?
CMSの導入を検討している企業では、CMSのメリットだけでなく、デメリットについてもあらかじめよく理解しておく必要があります。
この記事では、CMSとは何か、機能と種類、メリット・デメリット、CMSを搭載しているシステムについてまとめました。
CMSのメリット・デメリットだけではなく、CMS全般については次の記事で詳しく紹介しているのでぜひ参考にしてください。
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CMSとは
CMSとは、「Contents Management System:コンテンツマネジメントシステム」の略称で、HTMLの専門知識がなくても、Webサイトやデジタルコンテンツの作成や編集ができるシステムのことです。CMSは、コンテンツの作成、編集、公開、管理を容易にするために設計されています。
CDNとは
CMSと関わりが深く似た用語にCDNがあります。
CDNとは、「Content Delivery Network」の略称で、Webコンテンツを効率的に配信するためのネットワークのことです。
CDNは、複数のサーバーにコンテンツを分散配置することで、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信します。また、コンテンツをキャッシュすることで、ユーザーが同じコンテンツを何度もリクエストした場合でも、キャッシュからコンテンツをスピーディーに配信可能です。
CDNは、大容量コンテンツの配信やアクセスの増加・集中が見込まれる場合、国外からのアクセスがある場合にとくに有効です。CMSを利用している場合も、CDNの利用が推奨されます。
CMSの主な機能
CMSの主な機能は次のとおりです。
コンテンツの作成と編集
CMSを使用すると、テキスト、画像、動画を含むコンテンツを作成し、簡単に編集できます。通常、ユーザーはWebブラウザを介してコンテンツを作成・編集します。
コンテンツの整理と管理
CMSには、コンテンツを階層化し、カテゴリーに分類し、タグ付けして整理する機能があります。これにより、大量のコンテンツを効率的に管理可能です。
バージョン管理
CMSは通常、コンテンツの変更履歴を追跡して、過去のバージョンに戻せるバージョン管理機能があります。誤ってコンテンツを削除したり、間違った変更を行ったりした場合でも、以前のバージョンに簡単に復元できます。
ワークフロー管理
大規模な組織やチームでのWebサイト運営では、複数のユーザーがコンテンツ管理に関与するでしょう。CMSは、コンテンツの承認プロセスやワークフロー機能により、適切な権限を持つユーザーがコンテンツを承認・公開できるようにします。指定した日時にページを公開できる予約投稿機能もあります。
Webサイトのデザインとテーマ管理
多くのCMSは、テーマやテンプレートを使用してWebサイトのデザインをカスタマイズする機能があります。これにより、デザイナーや開発者が簡単にWebサイトの外観を変更できます。
CMSの種類
CMSの種類を、それぞれの特徴とメリット・デメリットとともに紹介します。CMSには主に次のような種類があります。
- オープンソース型CMS
- パッケージ型CMS
- クラウド型CMS
- ヘッドレスCMS
オープンソース型CMS
オープンソース型CMSは、ソースコードが公開され、だれでも無料で使用・改変・配布できるCMSです。開発者コミュニティによってサポートされ、拡張性やカスタマイズ性に優れています。
代表的なオープンソース型CMSには、WordPress、Drupal、Joomla!などがあります。
【メリット】
- 無料で利用可能
- ソースコードにアクセスできるため、カスタマイズの自由度が高い
- 大規模な開発者コミュニティが存在し、情報共有やプラグイン、テーマが豊富
【デメリット】
- セキュリティリスクが発生しやすく、定期的な更新とパッチ適用が必要
- 公式のサポートが限られており、問題解決はコミュニティに依存することが多い
- カスタマイズや管理には一定の技術的知識が必要になる場合がある
パッケージ型CMS
パッケージ型CMSは、ソフトウェアベンダーが開発・販売しているCMSです。あらかじめ決められた機能やデザインを持つCMSで、購入後に主に自社サーバーで運用します。セキュリティや機能追加はベンダーから提供され、安定した運用が可能です。
代表的なパッケージ型CMSには、Adobe Experience Manager、Movable Type、CMS ALAYAなどがあります。
【メリット】
- 定期的なアップデートやサポートがあるため、安定した運用が期待できる
- 既存のシステムやデータベースと統合しやすい
【デメリット】
- 初期費用やライセンス料、継続的なサポート費用が発生する
- ソースコードへのアクセスが限られているため、カスタマイズの自由度が低いことがある
- ベンダーロックインに陥りやすく、将来的に他のシステムへの移行が難しくなる可能性がある
クラウド型CMS
クラウド型CMSは、インターネット上で利用できるCMSです。サーバーの用意や管理が不要で、迅速に導入でき、運用が容易です。
代表的なクラウド型CMSには、Wix、Squarespace、Shopifyなどがあります。
【メリット】
- サーバーの用意や管理が不要で、すぐに使用を開始できる
- 初期投資が少なく、使用した分だけの支払いで済む
- 料金プランがわかりやすい
【デメリット】
- 自由に変更やカスタマイズができない
- セキュリティ面で懸念がある
- ランニングコストがかかる
ヘッドレスCMS
ヘッドレスCMSは、従来のCMSとは異なり、コンテンツ管理と表示機能を分離したCMSです。フロントエンド(ヘッド)がなく、APIを通してコンテンツを配信する仕組みです。そのため、Webサイトだけでなく、スマートフォンアプリやIoT機器など、さまざまなデバイスに柔軟にコンテンツを提供できます。
代表的なヘッドレスCMSには、Contentful、microCMS、Kurocoなどがあります。
【メリット】
- フロントエンドがバックエンドから独立しているため、開発者は任意の技術やフレームワークを使用してユーザーインターフェースを自由に設計可能
- Webサイトだけでなく、スマートフォンアプリやIoT機器など、多様なデバイスに対応
- フロントエンドとバックエンドの分離により、ページの読み込み速度やセキュリティが向上
【デメリット】
- 従来のCMSに比べて導入コストが高い
- フロントエンドとバックエンドの両方に関する専門知識が必要
- システム全体の運用と管理が複雑
CMSでWebサイトを作成するメリット
CMSでWebサイトを作成するメリットについてまとめてみました。主なCMSのメリットは次のとおりです。
- 低コストで導入できる
- デザイン変更が容易
- コンテンツ一元管理
- Webサイトに統一感が出る
- スマートフォン対応が容易
- 拡張性とカスタマイズ性
- SEO対策になる
- 運営を分担できる
- 複数ドメインの管理
- 場所とデバイスを選ばない
低コストで導入できる
CMSの種類は、オープンソース型、パッケージ型、クラウド型、ヘッドレスCMSに分類されますが、この内クラウド型CMSとオープンソース型CMSは低コスト導入できます。
クラウド型CMSの導入にかかるコストは、初期費用や初月利用料で数万~十数万円程度。数十~数百万円の導入コストがかかるパッケージ型CMSと比較すれば圧倒的に安価で導入できます。
オープンソース型CMSにいたっては、システム自体は無料で、導入にかかるコストはサーバー費用のみ。クラウド型CMSとオープンソース型CMSならコストをかけずに導入可能です。
デザイン変更が容易
CMSでは多くのテンプレートが提供されているのでWebデザインを簡単に行えます。
テーマやスキンを切り替えることで、デザインを簡単に変更でき、リニューアルや季節ごとのデザイン変更もスムーズに可能です。
コンテンツ一元管理
CMSの最大のメリットといえばコンテンツの一元管理です。テキストや画像、動画などのコンテンツを追加・編集・削除するための直感的なインターフェースを提供します。これにより、専門的な技術知識がなくても、だれでもコンテンツを更新可能です。
企業のWebサイトを内製し管理できるため、外部のWebデザイナーやエンジニアに依存しなくても済むようになります。管理画面でユーザーが簡単にコンテンツを編集できるため、更新頻度を高めることにもつながります。
Webサイトに統一感が出る
CMSのテンプレートやスタイルシートを使用することで、Webサイト全体のデザインを統一できます。ブランドイメージを一貫して表現できるため、プロフェッショナルな印象を与えられるでしょう。
また、サイトデザインに統一感があると、ユーザーは欲しい情報へアクセスしやすくなり、使いやすいサイトとして認識してもらえるようになります。リピーター獲得のためには大切なポイントといえます。
スマートフォン対応が容易
多くのCMSはレスポンシブデザインに対応しています。レスポンシブデザインは、スマートフォンやタブレットなどの異なるデバイスに適した表示を自動的に行う機能です。スマートフォン用のサイトを別に用意する必要がなくなり、モバイルファーストが簡単に実現できます。
ヘッドレスCMSの場合、フロントエンドがバックエンドから独立しているため、Webサイトだけでなく、スマートフォンアプリやIoT機器など、多様なデバイスに対応できるメリットがあります。
拡張性とカスタマイズ性
多くのCMSは、プラグインや拡張機能を介して拡張性を提供しています。そのため、特定の機能やニーズに合わせてWebサイトやアプリケーションをカスタマイズ可能です。
また、オープンソース型CMSでは、コミュニティが開発やカスタマイズに参加し、新しい機能や改善を継続的に提供しています。
SEO対策になる
CMSは、SEO(検索エンジン最適化)対策に役立つ機能を備えています。
CMSでは、メタタグの設定やURL最適化、サイトマップの生成などが管理画面から簡単に可能なため、SEO対策が容易に実施でき、検索結果のランキング向上が可能です。
ヘッドレスCMSの場合、フロントエンドとバックエンドの分離により、クリーンで構造化されたコードとページの読み込み速度の向上により、検索結果ランキングに良い影響を与えると考えられます。
運営を分担できる
CMSは、複数人で管理可能なので運営業務の分担が行えます。たとえば、Webデザイン、コンテンツ作成、コンテンツ管理、コンテンツ承認などの業務を分担できるため、ワークフローを用いて運営できます。ユーザー管理機能により、権限を設定して共同編集を行うのも可能です。
複数ドメインの管理
CMSによっては、静的サイトでは難しい複数ドメインの管理が可能です。すなわち、複数のサイトを同じCMSで一元的に管理できるわけです。
これまで別々のサーバーで管理していたドメインを一元管理することで、サイトカラーに統一感を持たせることも可能となります。これはブランディングを重視する企業の場合は、大きなメリットといえます。
場所とデバイスを選ばない
インターネット経由でシステムを利用するクラウド型CMSや、レンタルサーバーにインストールして利用するオープンソース型CMSなどは、システムを利用する場所もデバイスも選びません。
インターネットを介してシステムにログインするので、いつでもどのデバイスからでも利用できます。
CMSでWebサイトを作成するデメリット
CMSを利用することにはメリットだけでなくデメリットもあります。次のようなCMSのデメリットについても十分理解しておきましょう。
- セキュリティリスク
- カスタマイズやデザインの制限
- バージョンアップとメンテナンスの手間
- ランディングページ(LP)には不向き
セキュリティリスク
CMSの最も大きなデメリットは、セキュリティリスクがあることです。
近年ではCMSを使用しているWebサイトを標的としたサイバー攻撃が頻発しています。とくにWordPressをはじめとしたオープンソース型CMSは、ぜい弱性が発見されやすく標的になることが多いので注意が必要です。
クラウド型CMSはベンダーのセキュリティ体制に依存するので、常に注意を怠らないでください。
デメリットに対する解決策
プラグインや拡張機能をなるべく使わないようにする。
CMSベンダーやオープンソースコミュニティのぜい弱性アナウンスに常に注意を払う。
セキュリティの高いクラウド型CMSや、フロントエンドとバックエンドを分離したヘッドレスCMSに移行する。
カスタマイズやデザインの制限
CMSは、テンプレートやプラグインを使用することが一般的ですが、カスタマイズや自由なデザインが難しいデメリットがあります。
フルスクラッチの静的Webサイトでは容易に実現できるデザインも、CMSシステムの制限により不可能なことも少なくありません。とくにクラウド型CMSの場合は、ソースコードにはタッチできないため、オープンソース型CMSやパッケージ型CMSと比べてカスタマイズが困難なことは、あらかじめ理解しておく必要があります。
デメリットに対する解決策
オープンソース型CMSや、フロントエンドとバックエンドを分離したヘッドレスCMSに移行する。
CSSのほか、JavaScriptやPHPといったプログラミング言語を学ぶ。
バージョンアップとメンテナンスの手間
CMSを最新の状態に保つには、定期的なバージョンアップとアップデートが必要です。これには、コアシステムだけでなく、インストールされたプラグインやテーマも含まれます。
これらのメンテナンス作業は時間がかかることがあり、一時的にCMSやWebサイトの機能やレイアウトに問題を引き起こすことも。トラブルシューティングには専門的な知識やスキルが必要な場合もあり、運営上の大きなストレスとなる可能性があります。
デメリットに対する解決策
- プラグインや拡張機能をなるべく使わないようにする
- テーマやテンプレートをなるべくカスタマイズしないようにする
- JavaScriptやPHPといったプログラム言語を学ぶ
- フロントエンドとバックエンドを分離したヘッドレスCMSに移行する
ランディングページ(LP)には不向き
ランディングページ(LP)は、普段運営しているWebサイトとまったく違ったデザインで公開することが多いので、CMSでの作成は不向きです。CMSはあくまでコンテンツの一元管理が目的なので、変則的なレイアウトやビジュアルデザインには対応していません。
デメリットに対する解決策
- サブドメインでテーマやテンプレートを使わずに画像メインで制作する
- CSSやPHPを学ぶ
CMSを搭載しているシステム
CMSは、独立したWebサイトのコンテンツ管理システム以外にも、さまざまなシステムに組み込まれています。CMSを搭載しているシステムにはどのようなものがあるか紹介します。
- グループウェア
- 顧客管理システム(CRM)
- MAツール
- 採用管理システム(ATS)
- LMS(学習管理システム)
グループウェア
グループウェアは、社内のコミュニケーションと共同作業を活性化し、業務の効率化を実現するためのシステムです。
グループウェアの中には、社内ポータルサイトを構築するためのCMSが搭載されているものがあります。社内ポータルサイトは、社内の情報共有やコミュニケーションを促進するためのシステムです。
顧客管理システム(CRM)
顧客管理システム(CRM)は、顧客の情報を管理して見込み顧客や既存顧客との関係を深めることを目的としたシステムです。
CRMの中には、マーケティングや見込み顧客へのアプローチのためにCMSが搭載されているシステムがあります。
MAツール
MAツールは、見込み客の情報を分析・活用し、効果的なマーケティングを行うためのシステムです。
MAツールでは、CMSを使って、マーケティングキャンペーンに使用するランディングページ(LP)や、メールコンテンツなどを作成・管理します。また、ユーザーの行動や興味にもとづいて、パーソナライズされたコンテンツの提供も可能です。
採用管理システム(ATS)
採用管理システム(ATS)は、採用に関する業務をまとめて管理するシステムです。応募者が採用のどの段階にいて、どのような評価を受けているかを追跡できます。
ATSの中には、採用サイトや求人ページの作成と管理のためにCMSが搭載されているシステムがあります。
LMS(学習管理システム)
LMS(学習管理システム)は、eラーニングのベースとなるシステムです。eラーニングコースの受講者の管理や学習教材の配信、学習状況の把握ができます。
LMSには、学習コンテンツの作成・更新・管理のためにCMSが搭載されています。
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