社判とは?社印との違いや角印・丸印・ゴム印の用途について
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社判とは
社判(しゃばん)とは、会社で使う「社印」「実印」「丸印」「角印」「銀行印」「ゴム印」などの印鑑の総称です。会社印や法人印とも呼ばれます。
どの企業でも設立時に作成した社判をもっているはずです。ただし、データによるやり取りが増えた現代では、物理的な印鑑(社印)を印刷した用紙に押印し、PDF化するといった使い方をするケースもあるでしょう。
また、テレワークやペーパーレス化の推進により、現物の印鑑の代わりに電子印鑑を用いる企業も増えています。電子印鑑とは、PNGやGIF、JPGなどの画像ファイルで作成された印影のことです。デジタルファイルに直接捺印が可能なため、紙文書を印刷しなくても押印が可能です。これらは実物の角印や社印のように、認印として使用されます。
社判と社印の違い
社判は会社で使う印鑑全般を意味します。一方で、社印は会社名や個人事業主の屋号名が入った四角の印鑑(角印)を指します。つまり、社印は社判の一種だと考えるとわかりやすいでしょう。
社判の種類
社判は大きくわけて4つの種類に分類できます。ゴム印を印鑑として認めず、社判に含めない会社もあります。
- 角印(社印・認印)
- 丸印(代表者印・実印)
- 銀行印
- ゴム印(住所印)
角印(社印)・丸印・銀行印・ゴム印の違い
角印(社印・認印)
形が四角い社判を、「角印」と言います。「社印」と呼ばれることもある印鑑です。
角印・社印は、「会社名だけが彫られている」のが特徴として挙げられます。印影は「●●株式会社印」または「●●株式会社之印」とされていることが多いです。形状としては、1cm~3cmに収まる正方形とされています。
角印・社印は、見積書や請求書、注文書などに「この内容を会社として認めます」といった意味をもって押印されます。そのため、一般的には押印できる人が限られていて、管理職以外は触れないのが基本です。押印が必要な際は、確認を取るか権限者に依頼するようにしましょう。
なお、角印・社印は公的に登録されている社判ではないので、押印に法的効力はありません。あくまで「認印」としての位置づけです。
とはいえ、角印・社印は会社が認めた証明になるものなので、取り扱いには十分注意しましょう。
丸印(代表者印・実印)
印面が丸い社判のことを「丸印」と言います。これは、「会社実印」や「代表者印」とも呼ばれます。
丸印は、法人印として法務局に印鑑登録するため、会社にとってもっとも重要な印鑑です。個人実印の法人バージョンと考えれば、イメージしやすいのではないでしょうか。
丸印の形は決まっていて、内枠と外枠に文字が彫られている印鑑です。外枠にはぐるっと円形に会社名が書かれており、内側には「代表取締役印」に類する文言が彫られています。
丸印のサイズは18mm以上にするのが一般的です。角印と比べると印影が複雑な印象を受けますが、これには重要な会社実印が複製されにくいようにする意味合いもあります。
丸印は、企業同士の契約書や不動産の賃貸契約など、会社にとって重要な取引に押印されるほか、銀行口座を取り扱うときにも用いられます。
銀行印
銀行印は、銀行口座を開設するときの届出印として使用する社判です。一般的に丸型のものを使用します。実印として使用する丸印を、銀行印としても使用できますが、丸印とは分けて作成されるのが一般的です。
ゴム印(住所印)
ゴム印は、日常業務でよく使われるハンコです。長方形のものが多く、スタンプ面がゴムで作られているのも特徴です。細かい印字も可能で、社名だけでなく住所印としても使用されることもあります。
ゴム印は、書類への記入代わりや、郵便物への押印など、業務効率化の目的で気軽に利用が可能です。
ゴム印の他に、住所印としてシヤチハタ印(シャチハタ)を利用する場合もあります。シヤチハタ印は、インクが内蔵され朱肉不要で使えるスタンプ型のハンコのことです。
請求書や封筒などの宛名書きに、書類に応じて会社名・住所・電話番号などを組み合わせて、住所印としてスタンプで押印できるようにしておくと、朱肉なしで押印でき便利です。ただし、ビジネスの利用においては不可とされている場合もある点に注意しましょう。
社判の用途
丸印と角印は、「法的効力の高い書類や重要な手続き」に使用するか、もしくは「日常業務で使用する書類」に使用するかで使い分けが可能です。
丸印は、企業間の合意を示す契約書に多く使用されます。丸印は法務局によって所有者が証明されている社判なので、会社にとって重要な文書に押印されます。
角印・社印は、見積書・請求書・領収書・発注書などの書類に、会社として正式に認めた通達であることを示すために押印される印鑑です。
代表社印のように法務局に届け出る必要がなく法的効力をもたないため、丸印とは異なり、領収書のような社外文書や社内文書など、日常業務において使用されます。新聞購読のような契約書に用いられるケースもありますが、契約金額の大きい重要な契約には用いられません。
社判を押印する人
角印・社印は、認印の扱いになるため、社員全員が押印できます。一般的には、「管理職のみ」のように押印できる権限のある人を限定している企業がほとんどです。角印・社印の押印が必要な際は、権限者に依頼するか、きちんと委任を取るようにしましょう。
丸印・代表者印は、基本的には法人の代表者である社長が押印を行います。
社判の押し方
角印・社印は、書類の会社名や住所の右横に押します。偽造防止のために、文字の右側に重なるように押印することが一般的です。
丸印・代表者印の場合は、印影がはっきりと見えるように、名前や他の文字に重ならないように押印します。押印のほか、場合によっては印鑑証明書の添付が必要です。
契約書の割印の押し方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
社判のサイズ
法務局での登録が必要な丸印・代表者印にはサイズの規定があります。「10.0mm以上30.0mm以内の正方形に収まるサイズ」とされています。
角印・社印には、規定はありませんが、一般的には20.0mm〜30.0mmで作成されることが多いです。
銀行印にもサイズの規定はありません。ただ、他の社判と見分けやすくするため、社印や代表者印と比較して小さなサイズで作るのが一般的です。
社判の素材
長期的な使用が見込まれる社判には、耐久性に優れた素材を選びましょう。社判によく使われる素材には、黒水牛・チタン・木材(柘)があります。
チタンの特徴
近年では、頑丈で摩耗に強く重厚感のある金属素材のチタンが、社判の素材として人気を集めています。水洗い可能で手入れがしやすいため、長期的に使用するならおすすめの素材です。
ただし、チタンは頑丈ゆえに手彫りができません。複製が可能なため防犯面では懸念があります。他の印材と比較して、価格が高めな点もデメリットと言えるでしょう。
黒水牛の特徴
高級感や威厳がある黒水牛も、社判に用いられる従来人気の素材です。朱肉がなじみやすく、きれいな印影を残せることも魅力です。
柘(つげ)の特徴
社判の価格を抑えたいなら柘(つげ)がおすすめです。木材とは言え、割れに強い特徴があります。ただ経年劣化や摩耗をしやすいため、長期間の使用には彫り直しが必要になることを考慮しておきましょう。
社判の管理・押印における注意点
社判は、企業の意思決定に関わるもののため、一般的に部門長のような管理職以上の人が管理します。
ただし、実務においては一般社員が委任されて押印するケースも多いです。そのため、社判の管理や押印を行う際には、次の点に注意が必要です。
代表者印の押印と管理
代表者印の押印を委任する際には、代表者である社長が承認し、押印の履歴を残しておくようにしましょう。
代表者印は、代表者の意思決定を証明するものとして、実印としての役割をもちます。そのため、代表者である社長が管理し、押印を行う印鑑です。
しかし、実際的には、毎回社長に押印してもらうのは現実的でないため、権限を委任された社員が押印するといったケースが多いでしょう。一般的には、総務部長が管理を行い、権限を委任された社員が押印作業を行うケースが多くあります。
ただし、代表者印は重要な書類に押印するため、社長が押印の承認を行い、さらに誰がいつ押印したか履歴を残して管理することで安全性を高めるようにするとよいでしょう。
銀行印の押印と管理
銀行印は代表者印と併用して使用できますが、紛失すると金融機関との取引ができなくなるため、リスクを考慮して代表印と銀行印はわけて作成し、別々に管理するようにしましょう。
銀行印は、預金の払い戻しや小切手の振出など金銭的な重要度の高い取引に利用されるため、経理部長によって管理されるのが一般的です。重要性が高いため誰でも押印できる印鑑ではなく、押印の権限も経理部長に与えられます。
ただし、代表者印のように、実務面から経理部の担当者に権限を委任しているケースが多く、この場合は経理部長から委任を受けた人が押印できます。
社印(角印)の押印と管理
社印(角印)の押印には、利用範囲を定め、不要な押印は避けるようにしましょう。
社印は社内文書のほか、発注書や見積書などの社外文書に用いられる使用頻度が多い印鑑で認印としての役割をもちます。社内に複数存在し各部門の所属長が管理していたり、管理部門が一括で管理していたりなど、企業により管理方法はさまざまですが、基本的には誰でも押印できます。
ただし、社印には企業名が入っており、正式な意思表明として用いられる印鑑です。内容の証明としての効力があるため、適当に管理するのは避けるべきです。どのような書類に使用するか利用範囲やルールを設けたり、社印を押印する際には承認を得たりするなどして、不要な押印は避けるようにしましょう。
押印を委任する場合の責任者
押印を社員に委任する際、押印作業は委任された人が行ったとしても、責任は管理者にある点に注意が必要です。
社判は部門長により管理されるのが一般的とは言え、上述したように、実務の面からすべての押印に部門長が対応するのは現実的でなく、権限を委任された社員が押印を行うことも多いのが実情です。
ただし、押印を委任したとしても、押印に対する責任は管理者にあります。たとえば、代表者印を契約書に押印した場合、代表者の意思決定として内容を承認したことになるため、代表者が責任を負うことになります。そのため、委任にはリスクがあることを理解し、適切に管理や運用を行うようにしましょう。
社判と社印、角印・丸印・ゴム印の違いを正しく理解しよう
社判には多くの種類があり、どれが正しい呼び方なのか混乱しがちです。社判を間違って押印してしまうと、信用を傷つけかねません。
社判と社印、角印・丸印・ゴム印の違いを正しく理解して、社判の押印を頼まれたら、どの社判なのかをしっかり確認しておくようにしましょう。また、これから法人設立をする方も、社判の種類や扱いを理解しておくようにしましょう。
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