コピー完了

記事TOP

成果主義とは | メリット・デメリットや失敗しない導入方法を徹底解説

最終更新日:(記事の情報は現在から71日前のものです)
成果主義とは、個人が達成した業務成果に応じ、給与や待遇を決定する人事方針です。年功序列が主流の日本でも採用が進む成果主義、その理由はなぜなのかを解説し、メリット・デメリットとともに失敗しない導入方法を紹介します。

人事評価システムを導入しようと思っても、種類がたくさんあってどうやって選べばいいの?と迷いますよね。そんな声にお応えして「SaaS導入推進者が選ぶサイト第1位」のBOXILがおすすめ人事評価システムを厳選。チェックしたいサービスの紹介資料をまとめてダウンロードできます。
【特典比較表つき】人事評価システムの資料ダウンロードはこちら(無料)

※2020年9月実施 株式会社ショッパーズアイ「SaaS比較メディアに関するイメージ調査」より

近年、多くの企業で年功序列型ではなく、成果主義タイプの人事評価制度が導入され始めています。有名な大企業でも採用が増え、いまや成果主義こそが当たり前との認識すら芽生え始めているといえます。

しかし、実際はなかなか制度として定着せず、頭を悩ませている人事担当者もいるのではないでしょうか?

この記事では成果主義のメリットやデメリット、失敗しない導入方法についてわかりやすく紹介します。

成果主義とは

成果主義とは、従業員の仕事の成果にもとづいて評価を行い、報酬や昇進を決定する人事制度です。

成果主義では、年齢や学歴、勤続年数に関係なく、実際に達成した成果が評価の基準となります。つまり、成果を上げた者が正当に評価されるため、従業員のモチベーション向上や生産性の向上が期待されます。

成果主義の対義語は年功序列制度

成果主義の対義語として年功序列制度があります。従来の年功序列制度では、勤続年数や年齢を基準に昇給や昇格が決まるため、努力や成果が即座に報酬に反映されにくい問題点がありました。

また、年功序列制度では、社員が長期間にわたり安定して働くことが期待される一方で、若手のモチベーションが低下する可能性があります。

一方、成果主義では、短期的な成果が評価されるため、とくに若手社員や高い目標を掲げる従業員にとって魅力的です。

日本においても、競争が激しい現代において、企業の競争力を高めるために、従年功序列制度から成果主義への移行が進んでいます。

成果主義と能力主義の違い

能力主義は、従業員のスキルや専門知識に焦点を当てる評価制度です。たとえば、あるプロジェクトにおいて、どの程度の専門知識を持ち、計画を遂行する能力があるかが評価の対象となります。

一方、成果主義は、最終的に達成された結果そのものに焦点を当てます。そのため、能力主義がプロセスを重視するのに対し、成果主義はアウトプットを基準に評価するのが違いです。

この違いは、人材育成方針にも影響を与えます。能力主義の企業ではスキル向上を重視する傾向がある一方、成果主義の企業では成果をいかに効率的に達成するかに重点を置くのが特徴です。

また成果主義は、短期的な業績向上を目指すために設計されており、能力主義は従業員の成長を促進し、長期的な視点での人材育成に寄与します。

成果主義と実力主義、結果主義の違い

成果主義は、実際の成果にもとづいて評価を行う制度ですが、実力主義や結果主義とは異なる点があります。

実力主義は、従業員が持つポテンシャルやスキルを評価するものであり、必ずしも成果に直結するわけではありません。

結果主義は、成果そのものに限定して評価を行い、過程や努力を考慮しない特徴があります。一方で成果主義は、結果だけでなく、その過程や努力を一定程度考慮するため、よりバランスの取れた評価制度といえるでしょう。

成果主義の普及の背景

日本における成果主義の普及の背景については、次のような社会的・経済的要因が関係しています。

バブル崩壊による業績悪化

日本で成果主義が広まった背景には、1990年代のバブル崩壊の影響があります。この時期、企業の業績が悪化し、従来の年功序列制度では人件費の高騰が問題視されるようになりました。

企業はコスト削減を迫られ、業績にもとづく評価制度が導入されることで、成果に応じた報酬体系が求められるようになったのです。

グローバル競争の激化

グローバル化の進展により、日本企業は国際市場での競争力を求められるようになりました。欧米企業ではすでに成果主義が普及しており、日本企業もこれにならう形で成果主義を取り入れることで、競争力と効率性を向上させようとしました。

また、外資系企業の日本市場進出に伴い、その成果主義的な人事制度が注目された背景もあります。

労働市場の多様化

リーマンショック後のリストラや非正規雇用の増加により、日本の労働市場は多様化しました。非正規労働者の増加は、終身雇用や年功序列にもとづく賃金制度を困難にし、職務内容や成果にもとづく人事評価が取り入れられる傾向が強まりました。

日本の労働者の価値観にも変化が生じ、若年層を中心に「年齢や勤続年数ではなく、自分の実力や成果を正当に評価されたい」という意識が高まっています。また、働き方改革の流れの中で、個人のパフォーマンスを重視する風潮も強まっています。

成果主義に向いている人や企業

それでは、成果主義に向いている人および企業の特徴はどのようなものなのか、わかりやすく解説しましょう。

成果主義に向いている人

成果主義は、自己管理能力が高く、目標達成に向けて積極的に取り組む姿勢を持つ人に適しています。たとえば、自分の努力が具体的な形で報酬や評価に反映される環境を好む傾向のある人です。

また、成果が明確に測定される職種に従事する人、たとえば営業職やコンサルタントなども成果主義に適しています。これらの職種では、成果が具体的な数字や達成目標として評価されることが一般的なためです。

成果主義に適した企業

成果主義は、業績が明確に測定可能な業種や職種を抱える企業に適しています。営業やプロジェクト型の業務が中心の企業では、目標設定が容易であり、成果を客観的に評価しやすい環境が整っているからです。

さらに、競争を促進し、成長志向の企業文化を持つ組織にも成果主義は適しています。とくに新興企業や成長著しい業界では、成果主義が社員のパフォーマンスを引き出す手段として活用されています。

成果主義のメリット

日本における成果主義導入のメリットについて解説します。

モチベーションの向上

成果主義は、従業員のモチベーションを大きく向上させる効果があります。成果が報酬に直結することで、従業員は自分の努力が正当に評価されていると感じ、さらなる意欲を持って仕事に取り組むはずです。仕事で成果を上げることが給与アップや昇進のきっかけとなるため、若い世代の労働意欲の向上に寄与する制度であることは間違いありません。

また、目標達成への具体的な道筋が明確になるため、業務に集中しやすくなります。このような効果により、組織全体の生産性向上が期待されます。

業務効率の改善

成果主義は、業務の効率化を促進する仕組みでもあります。具体的な目標が設定されることで、従業員は自分の役割や優先順位を明確に把握可能です。

その結果、無駄な作業を省き、重要な業務に集中する状況を生み出します。この効率化は、企業全体の競争力向上にも寄与します。

年功序列を脱却できる

上述のように、これまでの日本の人事評価制度は年功序列がメインでした。

この制度では、周囲に比べて成果を出せない社員がいても、相対的に勤続年数が長いだけで昇進する可能性があります。

これは、成果を出している有能な若手社員にとっては不満の原因です。事実、年功序列を是としている企業から優秀な社員が流出し、成果主義を採用している企業に流れていく、というケースが少なくありません。

このため、優秀な人材を確保するために、旧来の年功序列のシステムから脱却し、成果主義へとシフトする企業が増えています。

人件費のムダを削減できる

多くの企業が、年功序列から成果主義に切り替えた大きな理由として、人件費の無駄をなくせるメリットがあります。

年功序列型では、社員の勤続年数が長くなれば、昇給させなければなりません。業績の上がらない社員に対しても勤務時間に対して相応の給与を払う必要がありました。

一方の成果主義では、実際に成果を上げている社員には、その評価としての昇給を、逆に成果を出さない社員には減給も可能です。

それによって、人件費の適正な配分が実現できます。

これらに関連して、組織内の人材が能力の限界まで昇進すると、無能化してしまうという「ピーターの法則」が挙げられます。現在の職場の人事にお悩みの方は、こちらの記事も参考に組織改革を進めてみてください。

ピーターの法則とは?組織内人材の無能化を防ぐ対抗策を紹介
ピーターの法則とは、組織内で人が能力の限界まで昇進すると無能化してしまうというもので、放っておくと組織の崩壊に繋が...
詳細を見る

成果主義のデメリット・問題点

次に成果主義のデメリットや問題点について解説しましょう。

間接部門の評価が難しい

成果主義は、企業の利益に貢献している社員に対して、積極的に賃金ほかの待遇改善を行うシステムです。

しかし、企業にはさまざまな部署があり、なかには客観的な評価基準の設定が難しい場合もあります。

たとえば、営業部門は成果が数字で明確に出てくるため評価がしやすくなりますが、研究部門や事務・法務などの部門では、成果を定量的に把握することが困難です。

適正な人事評価を行うための方法はこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。

人事考課とは?人事考課制度の目的と方法・運用のポイント
人事考課とは、社員の能力や業務成績、勤務態度などを一定の基準にもとづいて査定し、報酬や等級に反映させる制度です。人...
詳細を見る

中長期的な目標がおろそかになる

成果主義のデメリットの一つが短期志向のリスクです。短期的な成果ばかりを重視するあまり、長期的な成長や持続可能性が軽視される可能性があります。

とくに、研究開発や新規事業のように成果が見えにくい分野では、短期的な評価基準が逆効果を生む場合があります。

個人プレーが起きやすい

成果が待遇に直結する成果主義では、社員個人がチームや部署全体の実績よりも、自分自身の成果を強調するあまり、チームワークが損なわれるリスクも無視できません。それによって、組織全体のパフォーマンスが低下する可能性もあるでしょう。

同じ部署内で顧客を奪い合う、見込みのある若手社員を教育しないなど、身内で足の引っ張り合いをしてしまうと、結局は企業全体にマイナスの影響を与えてしまいます。

成果主義導入の失敗例

成果主義を導入したものの、運用がうまくいかずに撤廃した例も少なくありません。成果主義導入の失敗例をいくつか紹介します。

評価基準の曖昧さ

成果主義の導入が失敗するケースとして、評価基準が曖昧である場合が挙げられます。具体的な基準がないと、従業員は自分の努力が正当に評価されているのか疑問を持ち、不満を感じます。

たとえば、ある企業では成果の基準が統一されておらず、部署ごとに評価が異なる状況が生じました。この結果、社員間での公平感が失われ、モチベーション低下を招いてしまったとのことです。

長期的な目標の軽視

成果主義の設計が短期的な結果を強調しすぎると、社員が長期的な視点での業務遂行を避けるようになります。研究開発や新規事業への投資が減り、目先の成果だけを追い求める姿勢が強化された例が見受けられます。

これにより、長期的な競争力の低下やイノベーションの停滞を招いた事例がありました。とくに製造業や技術開発系の企業では、新製品開発の失敗や市場シェアの減少につながったケースが少なくありません。

成果主義の精神的負担

成果主義の導入により、個々の社員が過度なストレスを感じる場合もあります。常に成果を求められるプレッシャーが大きく、メンタルヘルスの問題を抱える社員が増加したケースがあります。

ある企業では、成果主義の導入後に、長時間労働や過労による健康問題が深刻化し、社員の離職や生産性低下を招いたとのことです。

成果主義を導入するときのポイント

成果主義を導入する場合には、これまで説明してきたようなメリットとデメリットを念頭に置いたうえで、次に述べるようなポイントに配慮する必要があります。

評価者の研修を行う

成果主義を徹底させるためには、評価する側が明確なルールにもとづいて適切に評価することが重要になります。

そのために、適正な判断とフィードバックができる人材を育成することが求められるでしょう。

たとえ、明確な基準が設けられていても、評価する側が未熟だと、偏った判断や不当な評価をしてしまう可能性もあります。

評価者に対しても十分な研修を行い、厳格なマニュアルを定めるなどして評価の方向性を統一しておく必要があります。

完全な成果主義にこだわらない

日本で成果主義が定着しづらい理由として、社員の人物評価に重きを置く企業文化や、組織に対する貢献・個人技能を重視する傾向などが指摘されています。

事実、完全な成果主義を導入した企業の業績が、伸び悩んでいるケースも少なくありません。

最近では、チーム単位での成果やプロセスも評価するなど、成果主義制度の見直しを進めている企業も増えているようです。

また、一部では、成果主義を取り入れつつも、従業員の能力の代わりに目に見える行動を評価する「ハイブリッド型人事評価制度」を採用する企業もあります。ハイブリッド型人事評価制度は、職務等級型と職能等級型の良い点を取り入れた人事評価制度で、「役割等級制度」とも呼ばれます。

いきなり完全な成果主義の導入にこだわるよりも、これまでのやり方に調和させ、徐々に成果志向にシフトするといった配慮も必要かもしれません。

自社の方針と評価基準を明示する

成果主義を導入するにあたっては、評価基準をすべての従業員に明示することが重要です。

何を基準に評価されるのか、昇進の条件は何かといった基準は、明確であるに越したことはありません。評価プロセスの透明性を確保することで、従業員の納得感を高められます。

また、従業員側の理解を得られないまま導入しても、年功序列のシステムに慣れている古株の社員から反発を招いてしまうかもしれません。

企業の論理だけを振りかざさずに、従業員が納得するような説明をしていく必要があります。

バランスのいい成果主義を導入しよう

企業の人事評価制度である、成果主義のメリットとデメリット、導入のポイントについて説明してきました。

近年は、日本でも多くの企業が成果主義を取り入れ始めていますが、うまくいっている企業もあれば、なかなか定着しない企業もあるようです。

重要なのは、やみくもに成果主義を導入するのではなく、既存の評価システムとのバランスをとることです。

極端すぎる成果主義は弊害をもたらしますが、本記事で述べたようなデメリットを払拭し、適切に導入していけば企業に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。

そのためには、自社の状況を客観的に把握し、独自の方法を模索しながらじっくりと腰を据えて取り組んでいく必要があります。

BOXILとは

BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。

BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。

  • BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
  • 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
  • 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!

BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。

BOXIL SaaSへ掲載しませんか?

  • リード獲得に強い法人向けSaaS比較・検索サイトNo.1
  • リードの従量課金で、安定的に新規顧客との接点を提供
  • 累計1,200社以上の掲載実績があり、初めての比較サイト掲載でも安心

※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査

237_新選び方ガイド:人事評価システム導入ガイド_20241119.pptx.pdf
人事評価システム
選び方ガイド
この記事が良かったら、いいね!をしてください!最新情報をお届けします!
貴社のサービスを
BOXIL SaaSに掲載しませんか?
累計掲載実績1,200社超
BOXIL会員数200,000人超
※ 2024年3月時点
編集部のおすすめ記事
人事評価システムの最近更新された記事