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人事考課とは?意味と目的、方法、人事評価との違い

最終更新日:(記事の情報は現在から250日前のものです)
人事考課とは社員に対する評価制度です。人事考課と人事評価との違い、人事考課の意味と目的、評価方法、導入と運用のポイント・注意点について解説します。

人事考課とは

人事考課とは、社員の能力や業務成績、勤務態度に対する評価制度のことです。人事考課は、次のようなことに利用されます。

  • 賃金の決定
  • 昇進や昇給の決定
  • 配置転換
  • 能力開発・研修

人事考課は定期的に行うことが一般的で、半年または一年に一回のペースで実施する企業が多いです。

人事考課と人事評価の違い

人事考課と人事評価の意味には大きな違いはなく、両方を区別せずに使用している企業も多数あります。人事評価は、人事考課よりも大きな概念で、人事評価の中に人事考課が含まれているという見方もできます。

人事考課は、社員の昇給・昇格といった処遇を行うための人事制度を指し、特に査定のレーティングに対して使われることもあります。

人事評価制度についての詳細は、次の記事で解説しています。

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人事考課の目的

人事考課の目的としては、次のようなものが挙げられます。

社員のモチベーション向上

人事考課には、社員のモチベーション向上を図り、企業の成長にプラスの影響を与えるという目的があります。

社員ごとに目標があれば、日々の仕事に意義を感じ、目標達成のためにモチベーション向上につながります。さらに人事考課の評価が上がると、社員の自信になり、会社への貢献度の向上も期待できます。

社員の能力・スキル向上

人事考課により、個人の不足しているスキル・資格を把握して、適切な社員教育や能力開発が実施できるようになります。社員の能力を上げることにより、生産性や業績の向上につなげることができます。

人材配置の最適化

人事考課で、個人の適性を正しく判断できれば、より成果や生産性が見込める配置転換や人事異動が可能になります。結果個人のモチベーションアップにつながり、退職リスクを減らすことができます。

人材配置の最適化により、個人のやりがいやパフォーマンスが上がれば、企業の業績向上につながります。

人事考課の評価項目

人事考課の評価項目は、大きく分けて業績考課・能力効果・情意考課の3点あります。

業績考課

業績考課とは、個人の目標達成度(MBO)をもとに個人の業務成績を査定することです。個人単位の目標達成率が向上することで、チーム・企業全体への成果へと反映されていくことを目標としています。

業績考課では、目標がどの程度達成できたかによって評価が決まります。業績までの過程も評価対象に入るため、最終目標だけでなく、目標達成に向けたパフォーマンスの動向も人事考課表に書く必要があります。

能力考課

能力考課は難易度の高い仕事の達成度や、業務課題への対応方法や結果により評価される項目です。社員の保有能力、発揮能力、潜在能力の3つから総合的に評価します。

必要とされる能力は担当する職務によって異なります。客観的な評価を行うためには、社内で職能に対する規定をしっかりと定め、それに則した評価をする必要があります。

また、潜在能力については社員の将来性を表すものではあるものの、評価するには不確かな点もあるため、評価に加えない企業もあるため注意が必要です。

情意考課

情意考課は、評価対象の社員がどの程度意欲をもって勤務しているか、どの程度会社のビジョンに沿った行動をしているかを評価するものです。

規律性、積極性、責任性、協調性などの要素から総合的に判断します。会社の理念を遂行するには社員の協力が欠かせません。これを評価対象にすることで、社員の経営理念、ビジョンに賛同する姿勢を養います。

人事考課の実施手順

次に、人事考課の実施手順について解説します。

(1)社員の目標設定

まず人事考課の期間内で達成すべき目標を社員が設定します。明確な目標ほど自己評価・上司による評価が客観的になり、人事考課の信頼性が増します。

(2)自己評価

社員が自身の目標の達成度や目標達成までに何をしたかを評価します。自分の成長を客観視し、過大評価・過小評価せずに評価することが求められます。

(3)上長評価

社員の目標と実際の実力を踏まえ、上司が最終的に評価を下し、人事考課表にコメントします。

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(4)フィードバック

上長が、達成できた点と不足点を社員にフィードバックします。人事考課でフィードバックをする目的は次の2点です。

  • 新しい目標を設定するため
  • 社員のモチベーションを維持・高めるため

これらの目的を達成するために、フィードバックは重要なプロセスです。

人事考課制度の策定ポイント

人事考課制度を作る際には、何を評価するのか、どのように評価するのか、評価をどのように反映させるかという、3つの軸があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

何を評価するのか

人事考課の対象は、「成果の実現度(どれくらい目標を達成したか)」「発揮能力(どのような能力を発揮したか)」「服務態度(まじめに取り組んでいたか)」に分解できます。もちろん、実際にはよりわかりやすい目標に落とし込まなければなりません。

「成果の実現度」「発揮能力」については、各社員で個別に決めた方がよいでしょう。「服務態度」については、人事で一律に決めても問題ないと思われます。

どのように評価するのか

人事考課の評価方法は「人事評価・査定」にあたります。主観が入ると人事考課エラーになりがちなので、客観的に評価できる仕組み作りが重要です。

評価をどのように反映させるか

人事考課の反映方法には、「賃金」「賞与」「配置転換」「教育訓練」が考えられます。特に賃金・賞与・配置転換は、評価基準を明確にしましょう。社員のモチベーションに大きく関わるからです。


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人事考課で起きがちな評価エラー

評価エラーとは、評価者の主観や感情による評価のぶれが起きることです。人事考課は定性評価も含むので、同じ従業員に対してでも、上司によっては評価が変わる可能性があります。社会的身分や労働組合など、法律上禁止された差別や、極度にバランスを欠いた評価は違法だと認定されることもあるので十分注意しましょう。

意識的なエラー

意識的な評価エラーとしてまず考えられるのが、上司の好き嫌いによって意図的に評価を変えているエラーです。客観的な人事考課を妨げるので、防止する必要があります。

無意識的なエラー

意図的に評価を上下しなくても、無意識的に人事考課エラーを発生させる場合があります。典型的な無意識の評価エラーは次のとおりです。

ハロー効果

ハロー効果とは、被考課者の特徴に引きずられて、評価を歪める傾向のことです。たとえば、1つの優れた能力や経歴によって、他の能力も高めに評価してしまうケースです。

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寛大化傾向

部下思いの上司は、評価を甘めにつける傾向があります。これを寛大化傾向と呼びます。評価基準が曖昧なときに発生しがちです。

中心化傾向

中心化傾向とは、良し悪しの評価をせずに、平均的な評価をする傾向です。考課者が評価対象をよく知らなかったり、評価に自信がなかったりすると起こります。

厳格化傾向

寛大化傾向と反対の厳しめに評価する傾向を、厳格化傾向と呼びます。寛大化傾向と同様、評価基準が曖昧なときに発生しがちです。

対比誤差

人事考課は絶対評価ですが、自分自身や他の部下と比較して評価をするエラーのことです。絶対評価なのについ相対評価してしまうことを、対比誤差と呼びます。

論理的誤謬(ごびゅう)

評価者が評価項目について理解しておらず、独自解釈して、評価を歪める評価エラーを論理的誤謬と呼びます。

人事考課制度を行う際のポイント

このような人事考課エラーを防いで適切に運用するためには、どうしたらよいのでしょうか。

評価基準の明確化

一番重要なのは、評価基準の明確化です。評価基準を明確にすれば、寛大化傾向や厳格化傾向といった評価エラーを防止できます。

評価根拠の目各課

根拠のある評価も重要です。部下を観察していない上司が、人事考課するとハロー効果や中心化傾向、対比誤差が頻繁に発生します。評価に根拠を求めれば、これらの評価エラーを防止できます。

個人のバイアスを防ぐ試み

さらに、考課を行う側も自分がどのような評価をしがちなのか、どのような価値観で評価しているのか俯瞰しながら人事考課を行いましょう。複数人で評価基準を共有して、個人のバイアスをなくすことが有効です。

複数の評価者による「360度評価(多面評価)」の実施や、1on1ミーティングの実施も効果的です。

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最適な人事考課制度で社員と会社の成長を

人事考課制度には、目標設定、自己評価、上司の評価、フィードバックの流れがあります。業務考課、能力考課、情意考課の3点が評価のポイントになります。

人事考課で、評価を部下に報告する際には、言葉選びには気をつけましょう。もちろん、足りない要素をしっかり伝えることは大切ですが、それが部下のモチベーション向上につながるかどうかを判断する必要があります。最適な人事考課制度を正しく運用し、社員と会社を成長させましょう。

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