人事評価DXの進め方は？DX化の課題とメリット、役立つ人事評価システム5選
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人事評価DXとは
人事評価DXとは、人事評価にデジタル技術を用いることで、業務効率化や客観的な評価につなげる方法です。人事評価では、従業員の成果や日々の行動、仕事に対する態度などに点数をつけます。
しかし、これらを「紙」や「Excel」で行うのには手間と時間がかかります。従来の評価手法をデジタルツールに置き換えることで、評価業務を効率化可能です。
人事評価DXの取り組み内容
人事評価DXの具体的な取り組み内容として、次のものがあげられます。
- デジタルツールを導入する
- 評価面談をオンライン化させる
- データ分析によって傾向を把握する
デジタルツールを導入する
人事評価DXの代表的な取り組みとして、デジタルツールの導入があげられます。具体的には、「人事評価システム」や「タレントマネジメントシステム」の導入です。
これらのシステムでは、従業員の目標設定やスキル管理、評価シートの自動作成、フィードバックなどを行えます。あらゆる人事評価業務をオンラインで完結可能です。
評価面談をオンライン化させる
オンラインで評価面談を行うのも、人事評価DXの取り組みの1つです。これまで会議室で行っていた評価面談を、Zoomなどのツールに置き換えることで、場所や時間に縛られずに面談ができます。
オンライン面談によって、遠隔地にいる従業員とも容易にコミュニケーションを取れます。移動時間を削減できるため、1日に実施できる面談回数が増え、人事評価におけるPDCAサイクルが効率化されるでしょう。
データ分析によって傾向を把握する
人事評価DXでデジタルツールを活用すれば、データ分析も容易に行えます。一人ひとりの評価履歴や、チーム全体の評価データが蓄積されるため、傾向や課題を見つけやすくなります。
従業員のエンゲージメントも把握でき、仕事に対する意欲低下が見られた場合、すばやく対策を打てるでしょう。また評価データは、最適な人材配置やリスキリングにも活用可能です。
人事評価DXの課題
DX化によって人事評価プロセスを効率化できますが、人事評価DXが思うように進んでいない企業も多いです。人事評価DXの課題として、次のものがあげられます。
- 人事評価に関するデータが散在している
- システムを導入するだけで終わってしまう
- DX化を推進する人材が不足している
人事評価に関するデータが散在している
人事評価データを部署や拠点ごとに異なるフォーマットで管理している場合、データが分散して管理が非効率になります。ひと口に「人事評価データ」といっても、従業員の基本情報から目標や評価のシート、1on1の記録などさまざまです。
実際にBOXILが行った人事評価制度・システムに関する調査では、人事評価システムを新規導入した当時の課題1位は「評価データの保管場所を統一したかった」であり、多くの企業がデータ管理に問題を抱えていることがうかがえます。
人事評価データが散在していると、組織全体の評価傾向が見えにくく、評価の公平性の担保が難しくなります。必要なデータを探し出すのにも時間がかかるため、スピーディーな意思決定の妨げとなるでしょう。
システムを導入するだけで終わってしまう
人事評価システムは「どのように活用するか」が最重要ですが、導入だけで満足してしまい、DXの効果を得られないケースも少なくありません。
本当の意味でのDXは、テクノロジーの導入だけでなく、組織全体の文化や業務プロセスの変革を伴います。つまり、システムを導入しても、紙やExcelによる旧態依然な管理手法から抜け出さなければDX化は進まない、といったことです。大きな変革を伴うため、従業員への周知も不可欠といえます。
そのため、システムを導入すると同時に、従来の方法を見直したり、社内周知や研修を行ったりすることが大切です。
DX化を推進する人材が不足している
人事評価DXにはデジタル技術やデータ分析のスキルが必要ですが、そもそもDXを推進できる人材がいないといった企業も多いです。せっかく人事評価システムを導入しても、それを使いこなせる人材がいなければDXの効果を得られません。
DX人材を確保するためには、技術をもつ新たな人材を採用するか、既存社員を教育するかの2択です。しかし、DX人材は希少であり、すぐに採用できるものではないため、既存社員のデジタルスキルを向上させるのが現実的といえます。
各システムはそれぞれの目的に最適化されている一方でデータが分断されます。さらに、人事部門だけでなく各部署が独自にスキルや研修履歴、キャリアプランなどの情報をExcelで管理するため、データの二重管理や情報の不一致が生じてしまいます。このような状況を解決するためには、データの一元管理と活用体制の構築が不可欠です。
複数のシステムや部署に分散したデータを統合する手段として、タレントマネジメントシステムは極めて有効です。この取り組みでは、データの項目統一や運用プロセスの標準化も同時に進める必要があります。散在した人事データの統合に取り組むことが、戦略的な人材活用の第一歩となります。
人事評価DXのメリット
人事評価領域でDXを進めるメリットは次のとおりです。
- 人事評価に関するデータを一元管理できる
- 評価承認フローを標準化できる
- 多角的な評価分析ができる
人事評価に関するデータを一元管理できる
人事評価DXによって、評価データの一元管理が可能です。従来の紙ベースやExcelファイルによる管理では、データが散在したり、入力ミスのリスクが高くなったりするなど、全体像の把握が困難になります。
人事評価DXによって、評価シートや面談記録、業績データなどを1つのシステムで管理すれば、情報の正確性が向上するほか、必要なデータへ迅速にアクセスできます。
データの一元管理により、人事部門の業務効率は大幅に向上し、戦略的な人材マネジメントが実現できるでしょう。
評価承認フローを標準化できる
評価承認フローを標準化できることも、人事評価DXのメリットです。従来の評価プロセスでは、部署や評価者によってフローが異なることが多く、公平性や一貫性を確保しにくい課題がありました。
DXを推進すれば、評価システム上で統一された承認フローの設定が可能になります。全社で一貫した評価プロセスを実現できるほか、評価の公平性と透明性を高められるでしょう。
また、システムでは承認の進捗状況をリアルタイムで把握可能です。遅延や漏れを防止できることに加えて、自動リマインド機能などを活用することで、評価期限の遵守率が向上したり、人事部門の負担が軽減されたりします。
多角的な評価分析ができる
人事評価DXの推進によって、多角的な評価分析ができるのもメリットです。従来の評価方法では、単一の視点からの評価や、限られたデータに基づく分析しかできませんでした。
DXによって、さまざまな角度からの従業員のパフォーマンスの分析が可能です。たとえば、360度評価やスキル評価など複数の評価軸を組み合わせた総合的な分析ができるほか、過去のデータとの比較や、部署間、職種間の比較もできます。
また、AIやマシンラーニングを活用することで、評価の傾向分析や将来予測が可能です。多角的な分析と結果によって、公平で客観的な人材評価ができ、適材適所の人材配置や効果的な育成計画の立案に活用できるでしょう。
人事評価DXの進め方
人事評価DXの進め方は次のとおりです。
- 既存の評価業務フローや人事データを棚卸しして、課題を把握する
- DX化によるゴールを明確にする
- デジタル化する業務範囲を決める
- 課題解決できるITツールを検討する
- ITツールの導入効果を測定する
既存の評価業務フローや人事データを棚卸しして、課題を把握する
人事評価DXを進めるために、まずは現状の評価業務フローと人事データの棚卸しを行います。既存のプロセスにおける非効率性やデータの散在具合、不整合などの問題点を明確にするためです。
たとえば、紙ベースの評価シートや部署ごとに異なるフォーマットの使用、手動でのデータ入力などの課題を把握できるでしょう。また、評価基準の曖昧さや評価者間のばらつきも把握できます。
これらの課題を可視化すれば、DXによって解決すべき具体的な課題や目標が明確になります。また、現時点での人事データの質や量、管理方法を精査すれば、将来的なデータ活用の可能性も見えてくるはずです。
DX化によるゴールを明確にする
次に、DX化によるゴールを明確化しましょう。大切なことは、単純なデジタル化ではなく、具体的で測定可能な目標を設定することです。
たとえば、「評価プロセスにかかる時間を50%削減する」「評価の公平性スコアを20%向上させる」など、具体的な数値目標を掲げるとよいでしょう。
また、短期的な目標と長期的なビジョンの両立も重要です。短期的には業務効率化やコスト削減を目指し、長期的には戦略的な人材マネジメントの実現を視野に入れるといった段階的なゴールを設定するのがおすすめです。
設定したゴールは、経営層や人事部門、現場の管理職など、関係者全員で共有し、合意を得ておきましょう。
デジタル化する業務範囲を決める
次のステップは、デジタル化する業務範囲を決定することです。ただし、すべての業務を一度にデジタル化しようとすると混乱や挫折を招く恐れがあるため、優先順位をつけて段階的に進めることをおすすめします。
まずは、効果が高いと思われる領域や、現状で非効率な部分から着手するのがよいでしょう。評価シートのデジタル化や評価結果の集計・分析、フィードバック面談の管理など、できるだけ小さく始めることがポイントです。
また、業務範囲を決める際は、目標管理、人材育成、報酬制度など、関連する人事プロセスとの連携も考慮しましょう。
課題解決できるITツールを検討する
デジタル化する業務範囲が明確になったら、人事領域の課題を解決できるITツールの導入を検討します。適切なITツールの選択は、人事評価DXの成否を左右する重要なポイントです。
市場にはさまざまな人事評価システムが存在するため、自社の課題やニーズに適したツールを慎重に選定しなければなりません。
とくに、次にあげるポイントは慎重に検討すべきでしょう。
- 使いやすさ
- カスタマイズ性
- 他システムとの連携性
- セキュリティ機能
- 分析・レポート機能
- クラウドベースかオンプレミスか
- ベンダーのサポート体制
ツールの選定プロセスでは、デモンストレーションやトライアルを利用して実際に使用してみて、自社の業務フローとの適合性を確認することが重要です。コスト面だけでなく、長期的な運用を見据えて、総合的に判断しましょう。
人事評価システムの選び方や人気製品は、人事評価システムまとめ記事で詳しく紹介しています。
ITツールの導入効果を測定する
ITツールを導入したら、必ず効果測定を行いましょう。効果測定では、当初設定したゴールを見ながら、実際にどのような効果があったのかを検証します。
たとえば、評価プロセスにかかる時間の削減率や評価の一貫性や公平性の向上度、従業員や評価者の満足度の変化などを定量的に測定します。
また、定性的な効果として、評価フィードバックの質の向上や、戦略的な人材配置の実現度などもチェックしましょう。
効果測定は導入直後だけでなく定期的に行い、継続的な改善点の洗い出しと、システムや運用方法の最適化を図ることが大切です。加えて、測定結果を経営層や従業員に適切にフィードバックすることで、DX推進への理解と支持を得られるでしょう。
1. 課題と目的の明確化: 業務の非効率性や人材に関する課題（例：生産性向上、エンゲージメント強化など）を特定し、目的を明確にします。
2. データ活用基盤の構築: 課題解決に適した人事評価システムを導入し、業務のデジタル化と効率化を図ります。これにより、人事評価時に必要な人材情報を集約し、蓄積されたデータに基づいた人事評価を可能にします。
3. 制度・業務改善に活用：評価実施後に人事評価業務における振り返りを従業員の評価に対する納得感などのデータから行い、人事制度や評価業務の改善に活用します。
実施した戦略や施策の効果を検証し、課題があれば見直しと改善を繰り返す、このプロセスを通じて、貴社の人事評価業務は戦略的な段階へと進化します。
人事評価DXにおすすめ人事評価システム4選
- 4,000社以上※が導入するタレントマネジメントシステム
- あらゆる人事評価業務をクラウドに置き換えられる
- MBOやコンピテンシー、OKRなど評価手法のテンプレートも豊富
カオナビは、「個人の力を最大化し、組織をもっと強くする」をコンセプトとするタレントマネジメントシステムです。4,000社以上※が導入し、人材データベースを軸に労務管理やスキル管理、人事評価などさまざまな業務に対応しています。
同システムでは、人事評価業務のクラウドへの置き換えが可能です。現在運用している評価シートをそのままクラウドに再現できるうえ、シートの編集や評価点数の自動集計なども行えます。MBO（目標管理制度）やコンピテンシー評価、OKRなど評価手法のテンプレートも豊富です。
スマートフォンにも対応しているため、パソコンがない環境でも上司と部下それぞれが評価を入力、閲覧できます。企業におけるスピーディーな人事評価を実現可能です。
※出典：カオナビ「カオナビ｜【シェアNo.1】社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム」（2025年10月17日閲覧）
- 人材データの一元管理によって組織力アップを図れるシステム
- 人事評価シートの配布から集計までをワンストップで行える
- シート内の評価項目や閲覧権限なども自由にカスタマイズ可能
HRBrainは、人材データの一元管理によって組織力アップを図れるシステムです。タレントマネジメントや人事評価、組織診断サーベイ、労務管理の4つのサービスを提供しています。
人事評価では、評価データの一元管理と評価基準のプロセス可視化が可能です。人事評価シートの配布から集計までをワンストップで行えるほか、閲覧権限の設定や入力が遅れている社員に対する一括催促もできます。
MBOやOKR、1on1ミーティングなど、評価制度のテンプレートも豊富です。シート内の評価項目や閲覧権限なども自由にカスタマイズできます。
SmartHRタレントマネジメント - 株式会社SmartHR
- 初期費用0円が魅力
- 評価シートの作成から回収、集計までを完結
- 公平な評価で従業員の納得感を向上
SmartHRタレントマネジメントは、人事評価業務の効率化から活躍人材の特定・育成までを一気通貫で支援するタレントマネジメントシステムです。
人事評価機能では、職種や雇用形態に応じた複数の評価テンプレート作成や、評価項目の自動計算・評語への自動変換が可能で、360度評価、MBO、OKR、コンピテンシー評価など多様な評価制度に対応しています。
評価内容一覧画面で評価の偏りをスムーズに確認でき、公平性と納得感のある評価を支援します。評価シートやワークフロー、権限設定もシンプルで使いやすいUI/UXが特徴で、SmartHR労務管理などと連携し、最新の従業員データを人事評価に活用できます。
ジンジャー人事評価 - jinjer株式会社
- シリーズ累計18,000社※の導入実績をもつ人事評価システム
- ITツールに不慣れでも扱いやすいインターフェースが特徴
- 給与計算や人事労務など各種シリーズとシームレスに連携できる
ジンジャー人事評価は、人事労務や給与計算、ワークフローなどバックオフィス業務を支援する「ジンジャーシリーズ」の人事評価版です。シリーズ累計18,000社※の導入実績をもち、評価を含むあらゆる人事情報をデータベースに集約できます。
アイコンやボタンが大きかったり、スマホアプリからも簡単に操作できるなど、シンプルなインターフェースが特徴です。四則演算はもちろん、IF関数やAVERAGE関数など、表計算ソフトで利用する各種関数にも対応しています。
また同システムでは、ジンジャーの各種シリーズとのシームレスな連携が可能です。たとえば、システム内で評価内容を給与に反映させるといった使い方ができます。
※出典：jinjer「クラウド型人事評価システム『ジンジャー人事評価』｜jinjer株式会社」（2025年10月17日閲覧）
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人事評価ナビゲーターは、月額5,500円（税込）から利用できる中小企業向けの人事評価システムです。運営元である「株式会社日本経営」は、企業における人事評価のコンサルティング経験を豊富にもちます。
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人事評価システムを活用してDX化を推進しよう
人事評価業務でのDXを進めることで、業務にかかる工数や時間を大幅に削減できます。また、人事評価の公平性や透明性を確立できるほか、戦略的な人事戦略の立案にも活用可能です。
DXを進めるためには、自社のニーズに合った人事評価システムの構築や導入が重要になります。本記事を参考に、人事評価システムを活用したDXの推進を進めましょう。
