人事評価DXの進め方は？DX化のメリット・役立つ人事評価システム

人事評価DXの課題

人事評価に関するDXの推進には、次に挙げる課題があります。

• 人事評価に関するデータが散在している
• システムを導入するだけで終わってしまう
• DX化を推進する人材の不足

人事評価に関するデータが散在している

人事評価DXを推進するうえでの課題の1つが、評価データが散在していることです。多くの企業では、従業員のデータや評価シート、目標の進捗、1on1の面談記録、業績データ、給与情報といった人事データが、部署ごとに異なるフォーマットで管理されています。

このような状況では、全社的な人材評価の傾向分析や、公平性の担保は難しいほか、データの統合や分析に膨大な時間とコストがかかり、迅速な意思決定の妨げとなるでしょう。

人事評価DXを成功させるためには、散在するデータを一元管理できるシステムの構築が必要です。

システムを導入するだけで終わってしまう

人事評価DXにおいて、多くの企業が陥りがちな点が、最新のシステムを導入すれば自動的にDXが進むと考えていることです。

本当の意味でのDXは、テクノロジーの導入だけでなく、組織全体の文化や業務プロセスの変革を伴います。たとえば、人事評価システムを導入したにもかかわらず、従来の紙ベースの評価方法を並行して続けていたり、新システムの機能を十分に活用できていなかったりすることがあります。

効果的な人事評価DXの実現には、システム導入と同時に、評価プロセスの見直しや従業員への適切な研修、継続的な改善サイクルの確立が必要です。

DX化を推進する人材の不足

人事評価DXを成功させるうえでの課題の1つが、DX推進人材が不足していることです。人事部門においては、デジタル技術やデータ分析のスキルが不足していることが多い傾向があります。

DXを効果的に推進するためには、人的資本領域に加えて、IT領域にも精通した人材が欠かせません。しかし、このようなスキルセットを持つ人材は希少であり、欲しいときにすぐに採用できるものではありません。

そのため、既存の人事スタッフのデジタルスキル向上を図るための教育や投資、外部専門家との連携・協業、IT部門との連携強化などが有効な手段となります。

人事評価DXのメリット

人事評価領域でDXを進めるメリットは次のとおりです。

• 人事評価に関するデータを一元管理できる
• 評価承認フローを標準化できる
• 多角的な評価分析ができる

人事評価に関するデータを一元管理できる

人事評価DXのメリットの1つが、評価データの一元管理が可能になることです。従来の紙ベースやExcelファイルによる管理では、データが散在したり、入力ミスのリスクが高くなったりするなど、全体像の把握が困難になります。

人事評価DXを行い、評価シートや面談記録、業績データなどを1つのプラットフォームで一元管理することで、情報の正確性が向上するほか、必要なデータへのアクセスが簡単に行えます。

データの一元管理により、人事部門の業務効率は大幅に向上するほか、戦略的な人材マネジメントが実現できるでしょう。

評価承認フローを標準化できる

人事評価DXのメリットとして、評価承認フローを標準化できることが挙げられます。従来の評価プロセスでは、部署や評価者によってフローが異なることが多く、公平性や一貫性を確保しにくい課題がありました。

DXを推進すれば、評価システム上で統一された承認フローの設定が可能になります。全社で一貫した評価プロセスを実現できるほか、評価の公平性と透明性を高められるでしょう。

また、システム化によって承認の進捗状況がリアルタイムで把握でき、遅延や漏れを防止できることに加えて、自動リマインド機能などを活用することで、評価期限の遵守率が向上したり、人事部門の負担が軽減されたりします。

多角的な評価分析ができる

人事評価DXの推進によって、多角的な評価分析ができるのもメリットです。従来の評価方法では、単一の視点からの評価や、限られたデータに基づく分析しかできませんでした。

DXによって、さまざまな角度からの従業員のパフォーマンスの分析が可能になります。たとえば、360度評価や目標達成度、スキル評価、行動評価といった、複数の評価軸を組み合わせた総合的な分析ができるほか、過去のデータとの比較や、部署間、職種間の比較なども可能です。

また、AIやマシンラーニングを活用することで、評価の傾向分析や将来予測ができるケースもあります。多角的な分析と結果によって、公平で客観的な人材評価ができ、適材適所の人材配置や効果的な育成計画の立案に活用できるでしょう。

人事評価DXの進め方

人事評価領域のDXの進め方は次のとおりです。

• 既存の評価業務フローや人事データを棚卸しして、課題を把握する
• DX化によるゴールを明確にする
• デジタル化する業務範囲を決める
• 課題解決できるITツールを検討する
• ITツールの導入効果を測定する

既存の評価業務フローや人事データを棚卸しして、課題を把握する

人事評価DXを進めるために、まずは現状の評価業務フローと人事データの棚卸しを行います。既存のプロセスにおける非効率性やデータの散在具合、不整合などの問題点を明確にするためです。

たとえば、紙ベースの評価シートや部署ごとに異なるフォーマットの使用、手動でのデータ入力などの課題を把握できるでしょう。また、評価基準の曖昧さや評価者間のばらつきも把握できます。

これらの課題を可視化すれば、DXによって解決すべき具体的な課題や目標が明確になります。また、現時点での人事データの質や量、管理方法を精査すれば、将来的なデータ活用の可能性も見えてくるはずです。

DX化によるゴールを明確にする

次に行うのは、DX化による明確なゴールの設定です。大切なことは、単純なデジタル化ではなく、具体的で測定可能な目標を設定することです。

たとえば、「評価プロセスにかかる時間を50%削減する」「評価の公平性スコアを20%向上させる」「従業員満足度を30%上げる」など、具体的な数値目標を掲げるといいでしょう。

また、短期的な目標と長期的なビジョンの両立も重要です。短期的には業務効率化やコスト削減を目指し、長期的には戦略的な人材マネジメントの実現を視野に入れるといった段階的なゴールを設定するのがおすすめです。

設定したゴールは、経営層や人事部門、現場の管理職など、関係者全員で共有し、合意を得ておきましょう。

デジタル化する業務範囲を決める

次のステップは、デジタル化する業務範囲を決定することです。ただし、すべての業務を一度にデジタル化しようとすると混乱や挫折を招く恐れがあるため、優先順位をつけて段階的に進めることをおすすめします。

まずは、効果が高いと思われる領域や、現状で非効率な部分から着手するのが良いでしょう。評価シートのデジタル化や評価結果の集計・分析、フィードバック面談の管理など、できるだけ小さく始めることがポイントです。

また、業務範囲を決める際は、目標管理、人材育成、報酬制度など、関連する人事プロセスとの連携も考慮したほうがいいでしょう。

課題解決できるITツールを検討する

デジタル化する業務範囲が明確になったら、人事領域の課題を解決できるITツールの導入を検討します。適切なITツールの選択は、人事評価DXの成否を左右する重要なポイントです。

市場にはさまざまな人事評価システムが存在するため、自社の課題やニーズに適したツールを慎重に選定しなければなりません。

特に、次に挙げるポイントは慎重に検討すべきでしょう。

• 使いやすさ
• カスタマイズ性
• 他システムとの連携性
• セキュリティ機能
• 分析・レポート機能
• クラウドベースかオンプレミスか
• ベンダーのサポート体制

ツールの選定プロセスでは、デモンストレーションやトライアルを利用して実際に使用してみて、自社の業務フローとの適合性を確認することが重要です。コスト面だけでなく、長期的な運用を見据えて、総合的に判断しましょう。

ITツールの導入効果を測定する

ITツールを導入したら、必ず効果測定を行ってください。効果測定は、当初設定したゴールに基づいて行い、実際にどのような効果があったのか検証しましょう。

たとえば、評価プロセスにかかる時間の削減率や評価の一貫性や公平性の向上度、従業員や評価者の満足度の変化などを定量的に測定します。

また、定性的な効果として、評価フィードバックの質の向上や、戦略的な人材配置の実現度などもチェックしましょう。

効果測定は導入直後だけでなく定期的に行い、継続的な改善点の洗い出しと、システムや運用方法の最適化を図ることが大切です。加えて、測定結果を経営層や従業員に適切にフィードバックすることで、DX推進への理解と支持を得られるでしょう。

人事評価DXにおすすめ人事評価システム5選

カオナビは、社員の個性や才能を発掘して戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステムです。1on1運用や評価シートの作成・配布・回収・承認、360度評価、独自の評価シート作成など、人事評価に関するさまざまな機能を搭載。また、評価データの分布の確認やフィードバック、評価結果の蓄積といった長期的な視点で人事評価データを活用できる機能があります。

加えて、従業員のスキルデータの収集やキャリア分析、キャリアプランの形成や成長の推移など、タレントマネジメント機能にも優れています。

あしたのクラウドHRは簡単かつシンプルな評価業務を実現できる人事評価クラウドシステムです。余計な機能がなく、従業員の情報管理と評価業務に特化しているほか、カスタマイズ性の高さが特徴です。

評価データの集計や期日管理、給与通知など、人事や評価に関する業務を自動化できるため、評価業務の負担を軽減できます。また、人事評価制度の構築支援や運用支援にも長けており、人事評価に関するさまざまな課題解決をサポートします。

HRBrainは人事評価のほか、タレントマネジメントや組織診断サーベイ、労務管理など一元的に管理できるシステムです。人事評価の運用効率化からデータ活用まで利用できる人事評価システムでは、評価シートの配布からデータの集計までワンストップで行えるため、人事担当者や従業員の作業工数を大幅に削減できます。

制度や目的に合わせた評価シートのテンプレートが豊富に用意されていることに加え、評価項目や承認フローは自由に設定可能です。任意の項目で人事・評価データを自動集計できるといったさまざまな機能が搭載されています。

ジンジャー人事評価は、人事評価のシステム化によって業務効率化を実現できるクラウド型人事評価システムです。ドラッグ&ドロップでの評価シート作成や評価者の自動設定、状況確認や対応に時間がリマインドを一括設定できる機能など、人事評価業務を効率化できる機能が豊富に搭載されています。

また、ジンジャーシリーズのほかのシステムと連携して使用できるため、人事データベースの統合が可能。入社や異動に伴う人事情報の更新作業工数を大幅に削減できます。

人事評価ナビゲーターは、低コストで人事関連業務の圧倒的な効率化が可能な人事評価システムです。人事コンサルティング実績がある企業が提供する人事評価システムで、適切な評価を実施するための機能を豊富に搭載。フィードバック面談や行動観察のメモ機能、経営者向けの報告書の自動作成機能、部署や等級ごとの評価のばらつきをデータで可視化できる機能などがあります。

システム導入時には、運用会社による導入レクチャーが実施されるほか、システム運用中でも電話やオンラインでのサポートを受けられたり、評価制度の無料診断サービスを利用できたりします。

人事評価システムを活用してDX化を推進しよう

人事評価業務でのDXを進めることで、業務にかかる工数や時間を大幅に削減できます。また、人事評価の公平性や透明性を確立できるほか、戦略的な人事戦略の立案にも活用可能です。

DXを進めるためには、自社のニーズに合った人事評価システムの構築や導入が重要になります。本記事を参考に、人事評価システムを活用したDXの推進を進めましょう。

人事評価システムは、次の記事でも詳しく紹介しています。