文書管理とワークフローの違いとは?課題や解決法もあわせて紹介
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文書管理とワークフローの違い
文書管理とワークフローの違いは行う業務です。文書管理とはその名のとおり文書の発生から保存、破棄までの一連の流れを管理することです。一方で、ワークフローとは業務を遂行する際の一連の流れであり、狭義では担当者がルールに従って行う申請業務のことを指す場合が多いでしょう。
目的や手順、実際に行われる業務内容に違いがあるため、それぞれについて詳しく確認します。
文書管理とは?
文書管理は、文書をライフサイクルにあわせて管理し必要に応じて適切に利用できる状態にすることが目的です。作成から破棄・保存に至るまで文書のライフサイクルにのっとった手順で文書業務が進められます。
自社と取引先との文書のやり取りにより文書は発生し、双方の社内で文書は伝達されたのちに活用・保管され、最終的に保存・破棄されます。このようなライフサイクルにあわせて文書を適切に処理することが広い意味での文書管理です。
ワークフローとは
ワークフローは、業務の透明性の確保・承認業務の効率化などを目的とし、複数人で進める業務の一連の流れを効率化・管理することをいいます。ワークフローの中でもわかりやすいものが稟議や申請業務で、多くの企業で書類の申請から承認まで決められたルールに従って承認作業が行われているものです。
承認プロセスを経ることで業務の正当性や妥当性を確保し、会社に認められたものとして経費を使ったり他社と契約の締結ができたりします。このように狭義での申請業務としてのワークフローを通すことで、担当だけで業務が完結せずに透明性が確保され、あらかじめ定まったルートで承認が行われるため業務が効率化されています。
文書管理とワークフローの課題
文書管理とワークフローにはそれぞれ課題があります。文書業務とワークフローそれぞれの課題について確認しましょう。
文書管理の課題
文書管理業務の課題は、紙ベースで業務を行う場合には費用的・工数的に非効率化しやすいことです。
たとえば、契約書を取引先に紙で送る場合を例に考えてみましょう。紙を印刷し郵送する場合、印刷費・インク代・郵送費が費用としてかかります。場合によっては収入印紙も必要です。
工数としても文書を印刷する手間、文書と送付状を封筒に封入する手間、郵便局まで書類を運搬する手間などがかかっています。
このように、費用的にも工数的にも非効率化しやすいことが、紙ベースでの文書管理業務の課題です。
ワークフローの課題
紙ベースで申請・承認を行う場合にはワークフローにも課題が生じます。ワークフローの課題としては生産性の低さがよく問題として取り上げられます。
稟議書を紙で作成し、上長が押印によって承認するようなワークフローを採用している企業を例に考えてみましょう。まず、申請者は紙に印刷して回覧する手間があります。申請書を作成して提出しても、上長が休暇や出張などでしばらく帰社予定がないときに申請業務は滞ってしまいます。
また、直属の上長承認を受けられたとしても、その後なかなか承認がおりない場合には、ワークフローで承認を受けるべき各上長まで承認状況を確認しなければなりません。途中で差し戻しになった場合には、また紙の申請書の印刷からやり直す必要があります。
このように、ワークフローも紙ベースで申請業務を行うことで多くの課題が発生しています。
文書管理とワークフローの課題の解決方法
文書管理とワークフローの課題をまとめると、ムダなコストや手間が発生していることでした。これらの課題を解決する方法を確認しましょう。
文書管理とワークフローを両立するシステムを導入する
文書管理とワークフローを両立するシステムを導入することで、それぞれの業務の課題を解決できる可能性は高いです。
文書管理もワークフローも課題が発生している原因は紙ベースで業務を行っていることです。システムを導入して電子データによって業務を行えば多くの課題を解決できる可能性が高まります。文書管理とワークフローを紙で行っており、課題があると感じている人は、システムの導入も視野に入れて検討しましょう。
文書管理とワークフローシステムを連携する
すでにシステムを導入していてもそれぞれの業務で問題が発生している場合には、システム同士の連携も考えましょう。
文書管理システムで作成した文書をワークフローシステムで回覧し、ワークフローシステムで承認がおりた文書を文書管理システムで保管する仕組みなら、効率よく文書管理とワークフローを行えます。システム同士を連携することで紙による作業や手動の作業が大幅に削減されるため、業務効率は大きく向上するでしょう。
文書管理システムやワークフローシステムを導入するメリット
文書管理業務でもワークフロー業務でも、システムを導入することで次のようなメリットがあります。
- コストを削減できる
- リモートワークに対応できる
- 内部統制が強化される
- 業務が効率化される
- セキュリティを強化できる
コストを削減できる
システム導入の最も大きなメリットは、直接的にコストを削減できることです。
文書管理や申請業務時には紙代・印刷代・収入印紙代がかかり、郵送時や伝達時には封筒代・郵送費がかかります。契約締結後の文書の管理・保存の段階では、ファイル代・保存スペースのための費用などがかかることも忘れてはいけません。破棄する段階では業者に破棄してもらうための費用・ゴミ袋代などもかかります。
これらのコストはシステム導入によりほぼすべて削減可能です。直接的なコスト削減につながるため、システム導入の費用と相殺になる場合や、システム導入のほうが結果的にコストが低くなる企業も多いでしょう。
>文書管理システムの導入事例
>ワークフローシステムの導入事例
リモートワークに対応できる
システムを導入すればリモートワークにも対応できます。文書の作成からワークフロー回覧、最終的な保存までをオンラインのシステム上でできるためです。
紙による作業が残っている企業では、リモートワークに対応できない点が課題になります。リモートワークが流行する社会情勢の中、紙文書のためだけに出社しなければならない従業員は生産性が下がり、本人にも不満が溜まります。結果として、従業員満足度の低下、離職リスクの上昇などを招きかねません。
システムを導入していればこのような問題が発生しにくいため、企業としては導入のメリットは大きいです。
内部統制が強化される
システムを導入すると内部統制が強化されます。システムによるセキュリティがあるため、誤った手順での承認や不正が発生しにくいためです。
たとえば、紙で文書を作成した場合、簡単に社外に持ち出せてしまうため誤って紛失してしまうことや、盗難に遭ってしまうことも考えられます。また、悪意のある人が上長の印鑑を勝手に持ち出して承認印を押してしまう可能性を排除できません。
しかし、システムであれば社外に文書を持ち出すことは不可能で、IDやパスワードで個人のログイン情報を管理していれば申請者が勝手な押印処理はできません。
このように、内部統制が強化されることで社内のセキュリティが向上し、文書流出のリスクや不正のリスクを下げられることがシステム導入のメリットの1つです。
業務が効率化される
システム導入によって、業務効率化による間接的なコスト削減につながることも忘れてはならないメリットです。
紙で業務を行っている場合、多くの業務にムダが生じています。たとえば、次のようなムダがさまざまな部署で発生していることが多いです。
- 膨大な数の文書を封入するために大きな手間がかかっている
- 過去の文書を探すためにムダな時間が発生している
- 利益にならないシュレッダーゴミの片付け業務が発生している
これらの業務はできる限り削減して企業利益になる業務に集中したほうが生産性が上がります。人件費は目に見えないコストであり、できるだけ利益につながる業務にリソースを投下できることが望ましいです。
システムの導入でムダを削減し、業務を効率化することで間接的にコスト削減につながることも覚えておきましょう。
文書管理やワークフローのシステム導入のポイント
文書管理やワークフローのシステムを導入するためには、抑えるべきポイントがいくつかあります。ポイントや導入の流れを次のようにまとめています。
- 文書のライフサイクルを理解する
- 課題や目的を明確化する
- 対象文書やワークフローを洗い出す
- 文書の閲覧や承認権限の設計
- 導入システムの検討
- システムの社内周知と運用
文書のライフサイクルを理解する
前提として文書にはライフサイクルがあることを理解しましょう。文書のライフサイクルとは文書が発生し破棄、もしくは保存されるまでの流れを6つのステップに分けたサイクルです。6つのステップはそれぞれ次のとおりです。
- 発生:文書の作成や受領すること
- 伝達:社内・社外へ共有して承認・締結すること
- 活用:文書が検索や加工されること
- 保管:文書を一時的に保管すること
- 保存:文書を長期に渡って保存すること
- 破棄:定められた保管期間を過ぎた際に破棄すること
このような文書のライフサイクルがあることを理解しておけば、どのステップに課題があるか切り分けて考えやすくなるでしょう。
課題や目的を明確化する
システムを導入する際には、解決すべき課題や目的が存在しなければなりません。ただ漠然とシステムを導入するだけでは、問題は解決せず余計なコストが発生するだけになってしまう場合もあるためです。
抱える課題を文書のライフサイクルに沿って切り分け、どのステップに課題を抱えているのか、何を目的としてシステムを導入するのかを考えておくことで、検討対象とすべきシステムの選定も行いやすくなるでしょう。
対象文書やワークフローを洗い出す
システムによって管理するべき対象の文書やワークフローの洗い出しを行うことも重要です。文書の数や利用人数によってシステム利用料が変わる場合もあり、課題や目的に応じてシステム化するべき文書やワークフローが変わるためです。
文書の処理量が多いが規模は小さい事務の手続きのみシステム化する場合と、全社的な処理をすべてシステム化する場合では、コストや選定対象となるシステムに大きな違いが出るでしょう。
解決したい課題や目的、今後の拡張性を考慮に入れるためにも、システム化して対応したい文書やワークフロー処理の洗い出しをすることは重要です。
文書の閲覧や承認権限の設計
システム化する文書の洗い出しが完了したら、文書を閲覧できる人や承認権限の設計も見直すことをおすすめします。これまで紙で業務を行っていた場合、文書の管理室に入れる人ならば誰でも多くの文書を閲覧できる状態だったでしょう。しかし、セキュリティリスクを考えると、重要書類を誰もが閲覧できる状態は望ましくありません。
システムを導入すれば文書の閲覧・編集・ダウンロードなどについて制限をかけられるため、誰に制限をかけるか設計が必要です。また、ワークフローにおいても、これまで1つのルートでしか承認できなかったものを複数ルートで回覧可能にすることや、複数人で承認権限を共有も可能です。
システムならではの柔軟性を活用するためにも、閲覧や承認の権限を丁寧に見直しましょう。
導入システムの検討
文書管理やワークフローの見直しができたら、ようやく導入システムの検討に入ります。ここまでのステップをおろそかにしていると、数多く存在するシステムの中から自社に合うものを選ぶことは難しいため、社内の文書やワークフロー運用は丁寧に見直しましょう。
各企業がサービスとして提供しているシステムは、それぞれ得意なことが異なります。費用が少し高いが機能が網羅的で1つのシステムで業務を完了できるものや、機能がやや限定的だが費用が安くコストパフォーマンスに優れるものなどが存在します。
どのようなシステムを選ぶかは企業が解決すべき課題や導入の目的によって異なるため、目的や過去の運用状況から考えて最適なものを検討しましょう。
システムの社内周知と運用
システムが導入できたら、あとは社内周知と運用です。新しいシステムを導入した際は、新システムが社内に浸透するまでに多くの工数がかかります。また、企業によっては一部から反発が発生してしまう懸念もあるでしょう。
しかし、システム導入が完了すればこれまで行ってきたムダな業務が削減できること、従業員にもメリットがあることなどを伝えれば導入から浸透までもスムーズに進むでしょう。
導入部署だけではなく、利用する従業医にもメリットがあることを正しく伝えて、全社的な協力を得ながら社内周知と運用を進めましょう。
違いを理解して適切な課題解決を
多くの企業ではまだまだ文書管理とワークフローに課題を抱えています。この課題は紙ベースで文書やワークフローの業務を行っていることが原因である場合が多いです。
この紙ベースの業務を改善するためにシステムの導入を検討しましょう。システムを導入すれば印刷代や郵送費などの直接的コスト削減につながるほか、従業員満足度向上や離職リスク低減につながるなどのリスク低下にも役立ちます。
紙ベースでの業務を行っていて業務を今以上に効率化したい人は、ぜひシステムの導入による業務効率化を検討してみましょう。