3つのエンゲージメントデータ分析方法!おすすめ分析サーベイツール5選
従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイ、モチベーション管理・診断が可能なおすすめツールを厳選。各サービスの料金プランや機能、特徴がまとまった資料を無料で資料請求可能です。ぜひ従業員サーベイ・社内アンケートツールを比較する際や稟議を作成する際にご利用ください。
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エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、ビジネスや人事領域においてよく使われる言葉です。端的にいえば「従業員の意欲」や「企業に対する愛社精神」を指します。
従業員が自社のビジョンに共感し、意欲的に仕事に取り組んでいる場合、それはエンゲージメントの高い状態です。エンゲージメントの高い従業員が多いほど定着率が高まり、組織やチームの生産性アップが期待できます。
ただしエンゲージメントは、従業員の「満足度」や「忠誠心」とはニュアンスが異なり、企業理念や目標に対する共感、貢献意欲などの意味合いが強いのが特徴です。
従業員のエンゲージメントスコアを算出するツールについては、次の記事で詳しく解説しています。
エンゲージメントサーベイとは
エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを数値化することで、経営改善に役立てるための調査方法です。わかりやすい例では「社内アンケート」があり、従業員が自社や働き方などに対して、どのような感情を抱いているのか、どのくらいの愛着があるのかを調査します。
サーベイの実施によって、従業員やチームのエンゲージメントが高いのか、あるいは低いのかを把握できます。
エンゲージメントサーベイの目的
企業によってエンゲージメントサーベイを行う目的は異なりますが、大きな目的として「組織課題の見える化」があります。
エンゲージメントサーベイでは、仕事に対する意欲のほか職場環境や人間関係、キャリア形成などさまざまな観点から質問をし、回答を集めます。サーベイで収集した回答にはパターンや傾向があることも多いです。パターンや傾向から組織課題が浮かび上がり、それが経営改善につながります。
エンゲージメントサーベイに用いる指標
エンゲージメント分析では、サーベイを実施することで従業員の状態を分析します。エンゲージメントサーベイで用いられる指標は次のとおりです。
- 仕事に対する意欲
- 業務内容
- 主体性
- リーダーシップ
- チームとの協調性
- 人間関係やコミュニケーション
- 評価と報酬
- キャリア形成
- ワークライフバランス
仕事に対する姿勢はもちろん、人間関係やキャリア形成、ワークライフバランスなどさまざまな項目を調査し、エンゲージメントを測定します。測定結果が良好な場合、従業員の会社に対するエンゲージメントは高く、生産性向上や離職率低下につながります。
エンゲージメントサーベイの質問例
エンゲージメントサーベイには、質問の項目や内容に決まりがなく、各企業が自由に設定可能です。しかし、項目によっては質問が難しいものもあります。たとえば、「主体性」の場合、質問だけでは、何をもって主体性があるといえるのかの判断が難しいため、熟考する必要があるでしょう。
エンゲージメントサーベイの参考として、経済産業省とマーサージャパン株式会社による質問例を紹介します。
・経営陣は、事業の方向性について健全な意思決定をしている
・自分の会社はよい職場だと他の人にも勧めたい
・自分の会社で働くことに誇りをもっている
・自分の仕事について、給与や福利厚生など公正に報酬を得ていると思う
※引用:経済産業省 経済産業政策局 産業人材政策室 マーサー ジャパン株式会社「経済産業省主催 経営競争力強化に向けた人材マネジメント研究会」(2024年11月10日閲覧)
上記はすべて、従業員がイエスorノーで答えられる「クローズドクエスチョン」です。一方で、自由記述で回答してもらう「オープンクエスチョン」もあります。従業員が答えやすいクローズドクエスチョン、より正確な回答を得られるオープンクエスチョン、両方のバランスを考慮してサーベイを設計しましょう。
エンゲージメントサーベイの分析方法
エンゲージメントサーベイでは、得た回答をどのように分析するかが重要です。正確に分析することで具体的な改善策を導き出せます。エンゲージメントサーベイの分析方法は次のとおりです。
- 属性ごとの傾向分析
- 経年分析(過去との比較分析)
- 相関分析(他データとの比較分析)
属性ごとの傾向分析
エンゲージメントサーベイの回答データを、部門や役職、年齢、性別などの「属性」ごとに分析する方法です。属性に分けることで、属性特有のエンゲージメント課題が見えやすくなります。
- サーベイの結果、経理部門の主体性が低いことが判明した。その原因として業務内容に変化がないことが考えられる
- サーベイの結果、20代前半の若手従業員がワークライフバランスについて悩んでいる傾向にあった。社内教育や福利厚生などに問題があるのではないだろうか
組織全体では平均値でも、「経理部門」や「20代前半の若手」など属性を絞ると、実はエンゲージメントスコアが偏っている場合が多いです。それぞれの属性の特性やニーズを理解し、それに基づいた対策を行うことで、エンゲージメント向上につながります。
経年分析(過去との比較分析)
エンゲージメントサーベイでは、経年分析(過去との比較分析)も用いられます。一度のサーベイだけでは、現時点でのエンゲージメントしか把握できません。過去と比較すれば、スコアが上がっているのか、下がっているのかを確認でき、講じるべき対策も見えやすくなります。
スコアをA・B・Cの3段階に分けた際の、経年分析表の例を紹介します。
項目 | 2023年スコア | 2024年スコア | スコア変化率 |
---|---|---|---|
エンゲージメント(総合) | 65(C) | 75(B) | 15.3%増 |
仕事内容 | 70(B) | 72(B) | 2.8%増 |
人間関係・コミュニケーション | 60(D) | 70(B) | 16.6%増 |
キャリア | 70(B) | 73(B) | 4.2%増 |
データが蓄積されているのであれば、数年分をまとめて分析するのがおすすめです。企業によって項目数や項目内容は異なるので、自社向けにアレンジしてみてください。
相関分析(他データとの比較分析)
エンゲージメントサーベイで得たデータと、他システムで得たデータを比較する手法です。相関分析を行うことで、エンゲージメントとそれ以外の要因との関係性が明確になり、組織の課題や改善点の特定につながります。相関分析の例は次のとおりです。
- 勤怠管理データと比較した結果、エンゲージメントの低い従業員ほど長時間労働の傾向があった
- SFA(営業支援システム)データと比較した結果、エンゲージメントの高い従業員ほど成約確率が高いことがわかった
サーベイの結果は、勤怠管理データや人事評価データ、顧客満足度データ、離職率データなど、さまざまなデータと比較できます。他データと相関が見られる場合、労働時間や評価方法などの見直しが必要なケースもあるでしょう。
なお、相関分析を行う際は、相関関係と因果関係を区別することが重要です。相関が見られた場合でも、それが直接的な因果関係を示すものではないケースがあります。
エンゲージメント分析のポイント
エンゲージメント分析を行う際には、次のポイントに注意しましょう。
- データを構造化する
- 組織・属性の傾向を見極める
- ツールを活用し効率化する
データを構造化する
データの構造化とは、サーベイで収集したデータを整理して、関連性や階層構造を明確にすることです。
構造化によって、エンゲージメントに影響を与える要因を体系的に理解し、効果的な改善策を立案できます。具体的には、エンゲージメントや組織コミットメントといった、エンゲージメントの目的指標に対する直接的な影響指標を特定し、要因を階層的に分析します。
たとえば、上司との関係性が目的指標に影響を与えているとすれば、背後にあるコミュニケーションの頻度やフィードバックの質などの要因を特定することが必要です。
データを階層的に構造化すれば、漠然とした課題を具体的な改善ポイントに落とし込めます。エンゲージメント向上のための戦略立案において、より精緻で効果的なアプローチが可能になるでしょう。
組織・属性の傾向を見極める
エンゲージメント分析では、組織や属性ごとの傾向を見極めましょう。これは部門や職種、年齢層によってエンゲージメントの要因や課題が異なる場合があるためです。
たとえば、経理や総務、人事といった管理系組織と、商品開発や技術職といった開発系組織では、エンゲージメントに影響を与える要因が異なることがあります。
管理系組織では、業務分担の明確さや風通しのよさが要因となりやすく、開発系組織では、新しい取り組みへの挑戦機会やスキル向上の機会が要因になりやすいです。
また、年齢層や勤続年数によっても傾向は異なり、若手従業員は成長機会を重視する一方で、ベテラン従業員は仕事の意義や社会貢献度を重視する傾向にあります。
組織や属性ごとの傾向を分析することで、効果的で的確な改善施策の立案が可能です。一律の施策ではなく、各組織や属性の特性に合わせたきめ細かな対応をすることで、エンゲージメント向上の効果を最大化できます。
ツールを活用し効率化する
エンゲージメント分析を行う場合、集計や分析にかかる手間と正確にデータを利用する知識が必要です。しかし、人手不足に悩む企業では、そうしたリソースを確保することは困難でしょう。
そこで、エンゲージメントサーベイツールの活用が欠かせません。近年ではAIや機械学習を活用した高度なツールが提供されており、分析の精度向上と時間短縮を同時に実現できます。
たとえば、自然言語処理技術を用いたエンゲージメントサーベイツールを活用することで、自由記述回答から従業員の感情や意見の定量的な分析ができ、数値データだけでは捉えきれない本音や潜在的な課題の抽出が可能です。
エンゲージメントサーベイツールを活用する場合は、自社の規模や業種、分析ニーズに合った適切なツールを選択するほか、効果的に活用するためのスキル育成や体制づくりもあわせて行うことが重要です。
エンゲージメント分析を自動化できるサーベイ製品5選
続いて、エンゲージメント分析を自動できるサーベイ製品を5つ紹介します。
- 導入企業のうち56.7%※が上場企業のエンゲージメントサーベイ
- 企業理念やキャリアなど16領域からの設問から「期待値」と「実感値」を把握
- サーベイに応じて「実名」と「匿名」を設定できる
HRBrainは、導入企業のうち上場企業が56.7%※を占めるサービスです。企業理念や人事評価、キャリアなど16領域からの設問によって、満足度やストレスチェックでは見えない、従業員の「期待値」を把握できます。期待値と実感値のギャップを見える化することで、課題の優先順位づけが可能です。
役職や部署、性別などの属性ごとのエンゲージメント分析にも対応しています。テンプレート設問から選べたり、オリジナル作成できたりと、設問のカスタマイズ性も高いです。また、サーベイに応じて「実名」と「匿名」を設定できます。匿名に設定すれば、従業員の本音も引き出しやすいでしょう。
※出典:HRBrain「HRBrain 組織診断サーベイ | EX Intelligence | 【大企業満足度 No.1】 | HRBrain」(2024年11月9日閲覧)
SmartHRタレントマネジメント - 株式会社SmartHR
- サーベイから人材育成、人事評価など一気通貫で行えるタレントマネジメントシステム
- カテゴリー別に簡単にサーベイを作成できる「プリセットサーベイ」を用意
- サーベイはシステムに蓄積された従業員データをもとに一斉配信できる
SmartHRタレントマネジメントは、従業員データベースをもとに、サーベイから人員配置、人材育成、人事評価などをワンストップで行えるタレントマネジメントシステムです。主要機能のひとつである「従業員サーベイ」では、設問作成から回答分析まで一連のプロセスを円滑に実行できます。
組織改善や入社・退社、キャリアなどカテゴリー別の「プリセットサーベイ」が用意されており、設問や選択肢は自社好みにカスタマイズ可能です。作成したサーベイは、システムに蓄積された従業員データをもとに一斉配信できます。作成者と回答者ともにストレスなくサーベイを実施可能です。
- 従業員エンゲージメントから企業リスク、eNPSなども分析できる
- 大学や精神科医、AIのプロフェッショナルと設問を共同開発している
- 専任担当者によるサポート体制も手厚い
ラフールサーベイは、従業員のエンゲージメントはもちろん、メンタルやフィジカルのデータ、企業リスク、eNPS(従業員ロイヤルティ)などを分析できるシステムです。設問は大学の心理学部や精神科医、AIのプロフェッショナルなどと協働開発されているため、通常のサーベイでは見えにくい課題も特定できます。
加えて、スコアや偏差値、ランク表示など集計データも見やすいです。同システムには、専任担当者によるサポートも付帯しています。企業ごとに適切な目標を設定し、分析から次回アクションの提案まで伴走してくれます。
- 研究の第一人者が監修したエンゲージメントサーベイを実施できる
- 組織カルチャーサーベイやオリジナルサーベイも作成できる
- AIを用いたサポート機能も充実している
Wevox(ウィボックス)は、従業員やチームの状態を見える化し、組織改善に役立られるプラットフォームです。エンゲージメントサーベイをはじめ、組織カルチャーを把握できるサーベイ、オリジナルサーベイの作成まで多岐にわたります。エンゲーメントサーベイは同研究の第一人者である慶應義塾大学の教授が監修しており、わずか3分※で粒度の高いエンゲージメントを測定可能です。
また、AIによるサポート機能も充実しています。たとえば、エンゲージメント向上を妨げている事象の分析や、従業員の心理状態やアクションに対する助言などが可能です。
※出典:アトラエ「Wevox | 組織力向上プラットフォーム」(2024年11月9日閲覧)
A&Iエンゲージメント標準調査 - アジャイルHR
- 東京大学との協働で作られた理論モデルに基づいたサーベイを実施
- サーベイは33の設問※に厳選されているので従業員の負担が少ない
- スピーディーかつ精密なサーベイを実施できる
A&Iエンゲージメント標準調査は、株式会社アジャイルHRが運営するエンゲージメントサーベイ製品です。同製品では、東京大学との共同研究によって作られた理論モデルをベースとしたエンゲージメントサーベイを行えます。
サーベイは33の設問※に厳選されているため、従業員の回答負担も少ないです。スピーディーで精密なサーベイの実施に加えて、課題の判定基準が示されているため、結果分析もしやすいといえます。オプションメニューとして、伴走支援プランも選択可能です。同社がサーベイ結果と向き合い、最適なアクションプランを提案してくれます。
※出典:アジャイルHR「A&Iエンゲージメントサーベイ標準調査|アジャイルHRとインテージが開発したエンゲージメントサーベイの最終結論」(2024年11月9日閲覧)
エンゲージメントサーベイ分析結果の活用方法
エンゲージメントサーベイ分析結果の活用方法は次のとおりです。
- 課題を特定し、優先順位をつける
- アクションプランを策定・実行する
- アクションの効果検証を行う
課題を特定し、優先順位をつける
エンゲージメントサーベイ分析結果の活用方法のひとつが、組織の課題を明確に特定し、優先順位をつけることです。明確になった問題点や改善が必要な領域を洗い出し、それぞれの重要度と緊急度を評価します。
優先順位をつける際は、エンゲージメントスコアの低い項目や、自由記述回答で多く言及されている問題に注目することが重要です。また、部門や職層ごとの分析結果を比較し、特定のグループで顕著な課題がないかも確認します。
優先順位の設定によって、限られたリソースを効果的に活用できる課題に集中できます。
アクションプランを策定・実行する
優先順位を決めたら、アクションプランを策定し実行に移します。アクションプランは具体的で実行可能なプランを策定しなければなりません。たとえば、キャリア支援の強化といった課題に対しては、メンタリングプログラムの導入やスキル開発研修の実施などの具体策を計画します。
アクションプランの策定には、人事部門だけではなく、各部門の管理職や従業員代表にも参加してもらい立案することで、現場のニーズに即した実効性の高い施策を立案できます。
また、アクションプランの実行にあたっては、責任者と期限を明確にし、進捗を定期的に確認する仕組みを設けることが大切です。
アクションの効果検証を行う
アクションプランの実行後は、効果を検証することが重要です。効果検証は、次のエンゲージメントサーベイによる検証の前に、短期的な指標を活用して行います。
特定の施策に関する小規模なアンケートや1on1ミーティングでのフィードバック収集などを通じて、リアルタイムに近い形で効果を把握しましょう。
また、エンゲージメントスコアの変化や離職率の推移といった定量的な指標と、従業員の声や行動の変化といった定性的な指標の両方を組み合わせ、総合的に評価することが大切です。
効果検証の結果、成果が得られていない場合は、アクションプランの見直しや新たな施策の検討を行いましょう。効果検証と改善のサイクルを回すことで、エンゲージメント向上のための取り組みを前進させられます。
エンゲージメントサーベイ分析で組織改善につなげよう
エンゲージメント分析を行うことで、個人や組織の状態を把握でき、エンゲージメントの向上や組織改善につなげられます。分析には、データの構造化や組織・属性の傾向の見極めが重要になるほか、専用ツールを活用して分析業務を効率化することが大切です。
エンゲージメントサーベイツールは次の記事で詳しく紹介しています。
従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイ、モチベーション管理・診断が可能なおすすめツールを厳選。各サービスの料金プランや機能、特徴がまとまった資料を無料で資料請求可能です。ぜひ従業員サーベイ・社内アンケートツールを比較する際や稟議を作成する際にご利用ください。