データマイニングとは?分析手法・事例 - ツールの機能・料金比較

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データマイニングとは?
データマイニング(Data mining)とは、企業が収集した大量のデータを統計学、パターン認識、人工知能などの解析方法を用いて、有用なパターンやルールを発見し、マーケティング活動を促進する技術です。
データマイニングが注目されたのは1990年代。データウェアハウス(DWH)へのデータ蓄積とともに、蓄積したデータを活用するデータマイニングに期待が集まりました。データマイニングは、その時期に登場した「データベースからの知識を発見する学問(knowledge discovery in databases, KDD)」が元になっています。
2000年代には、多くの企業がデータマイニングの手法をサービス化したことで、マーケティングの手段として広く普及しました。
ビッグデータとの違い
ビッグデータとは、種類を問わず日々蓄積されていく膨大かつ経営戦略に有用なデータのことです。
ビッグデータは各企業により対象が異なり、またデータ量に関しても明確な定義はありません。たとえば、小売店であれば、POS(Point of Sales)に蓄積されたデータはビックデータです。また、Webサイト運営者からすればユーザーのアクセスログもビックデータと言えます。このように、データの内容に関わらず、蓄積されるすべてのデータのことをビックデータと呼びます。
「データマイニング=分析手法」「ビッグデータ=膨大なデータ」と覚えておきましょう。
BI(ビジネスインテリジェンス)との違い
BI(ビジネスインテリジェンス)とは、企業の内外における日々の情報を、蓄積・分類・抽出・分析・加工し、ビジネス上の意思決定を支援するための手法です。
一方、データマイニングは直訳するとデータの採掘という意味になり、鉱山のような大量のデータの中から価値のあるデータ(発見)を取り出すイメージです。
つまり、ビジネスインテリジェンスはデータマイニングを包括した分析手法といえます。そのため、データマイニングはビジネスインテリジェンスの一種と捉えて問題ありません。
ビッグデータを用いたデータ活用のためのツールについては、ビジネスインテリジェンス(BI)の分野とも深く関わってくるので、詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

データマイニングの分析手法
データマイニングの分析手法には、クラスター分析(クラスタリング)、ロジスティク回帰分析、マーケット・バスケット分析があります。それぞれの分析方法について詳しく解説します。
クラスター分析|データの整理・分類
クラスター分析(クラスタリング)は、データを類似性に基づいて分類するための手法です。たとえば、商品に興味がある人とない人を分類したり、興味がある人を特徴別にグループ分けしたり、条件による整理や分類によって、データを視覚化できます。
購買データから顧客をグループ化し、グループごとに異なるマーケティング施策を実施したい場合に役立ちます。
ロジスティック回帰分析|購入や受注の予測
ロジスティック回帰分析では、データと事象の関連性を発見し、特定の結果を予測可能です。たとえば、キャンペーン実施時に、DMを送付した顧客が商品を購入するかどうかを予測したり、購入可能性の高いユーザー層や繁盛期、売れそうな商品を予測したりできます。
このようにロジスティック回帰分析によって、蓄積された商品データと顧客の個人データを分析することで、結果予想をマーケティングに活かせます。とくに「Yes」「No」を明確に定義できるものを分析する場合に有効です。
マーケット・バスケット分析|データの関連性を発見
データの関連性を発見するために活用されるのがマーケット・バスケット分析です。マーケット・バスケット分析では、関連性がないようで実は同時に購入されることの多い商品や、逆に関連商品のように思えても同時に購入されることが少ない商品を明確にしたいときに役立ちます。
たとえば、小売店の販売データを分析すれば同時に購入されることの多い商品を見つけられるため、効果的な売り場づくりに活用できます。その他にも、今まで気づかなかった関連性を発見し、ビジネスに有効活用できる可能性は十分にあると言えるでしょう。
データ整理や分析に使えるツールは、目的に応じてさまざまな種類があります。分析に使えるツールを把握し、適切にデータマイニングを行いましょう。おすすめの分析ツールはこちらの記事で紹介しているので、あわせてご覧ください。

データマイニングの実施方法
データマイニングにおける代表的な2つの実施方法を紹介します。データマイニングにはさまざまな方法があるので、用途に合わせて実施方法を変えましょう。
手法1:機械学習・AIマイニング
まず代表的なのが機械学習といったAI(人工知能)を活用したマイニングです。
機械学習では仮説を立てずに、コンピューターが学習をしながらデータ間の関連性を見つけます。想像もできなかった発見やデータの相関を見逃さないので、既存ビジネスの改善に役立つでしょう。
機械学習の欠点としては、人の判断が必要になることです。たとえば、「AがあるとBが起こる」という結果が明らかになった場合、Bが起きる理由については、人が検討・判断しないといけません。そのため、機械学習でのデータマイニングでは、人の判断が重要になります。
機械学習に関連して、さまざまなデータをコンピュータに学習させ、結果予測を可能にするための技術「ディープラーニング」についてはこちらの記事で紹介しています。

手法2:統計分析
統計分析は、データマイニングで統計学や確率論を活用し、仮説が正しいか判断する方法です。
統計分析は、検証したい仮説が明確な場合に向いています。一方、仮説の立証がゴールなので、機械学習のように想定外の結果が出ることはありません。
また、最初にたてた仮説が正しいとは限らないので、統計分析による仮説の検証を繰り返し行う必要があります。
手法3:その他のデータマイニング
他にもテキストマイニングやイメージマイニング、パターンマイニングなど、マイニングの対象ごとに呼び名が変わって利用されることも多くあります。

データマイニングをするときの注意点
データマイニングの注意点は、100%売上げ向上につながるデータを発見できるわけではない点です。この前提を誤解したままデータマイニングを行うと、失敗につながる可能性もあります。
他にも注意すべきこととして収集したデータの質に注意しましょう。データの質が悪いと、妥当性の低い結果が出る可能性が高まります。データの質を保つには、欠損が少ない、異常値が少ない、項目にダブルミーニングがないという3つの原則を意識しましょう。
データマイニングツールを選ぶときの注意点と比較ポイント
また、データマイニングのツールを選ぶときは、次の3つのポイントを抑えておく必要があります。
- 利用目的を明確にしておく
- 分析対象と分析方法を明確にしておく
- 分析担当者が操作しやすいツールを選ぶ
これら3つを十分に検討しないままツールを選んでしまった結果、導入コストに見合う結果が得られないことも少なくありません。そのため、データマイニングを実施したい場合は、この3つのポイントをおさえてツールを選ぶようにしましょう。
利用目的の明確化
データマイニングツールを選ぶときは、まず最初に利用目的を明確にしておきましょう。
たとえば、「現在行っている業務の効率化」や「新しいビジネスチャンスの発見」など、データマイニングの目的によって選ぶべきツールは異なります。
データマイニングを行うにあたって、利用目的を明確化することは最も大切です。「他社が行っているため」や「遅れないため」といった動機でツールを導入すると、期待する成果が手に入らないこともあります。
そのため、データマイニングの実施を検討する場合は、最初に確固たる目的を決めておきましょう。
分析対象と分析方法の明確化
目的の次に大切になるのは、分析対象と分析方法の明確化です。
「ECサイトの売上を伸ばす」という目的を設定したとしても、分析対象に選んだデータによって得られる結果は異なります。
たとえば、「ユーザーが同時購入しやすい商品を明確化」するためには、商品を分析対象に設定します。一方、「スムーズに購入を促すことによる売上アップ」を狙う場合、購買に至るまでのユーザーの行動が分析対象になります。
このように、なにを、どのように分析するかによって得られる結果の有効性は異なるため、目的と合わせて事前に決めておきましょう。
分析担当者が操作しやすいか
最後に、分析担当者が操作しやすいこともツールを選ぶときに検討すべき重要なポイントです。
データマイニングのツールを導入する目的は、業務改善にあります。操作しにくいツールを選んでしまうと、かえって業務効率が落ちてしまったり、データマイニング自体を諦めてしまったり、本末転倒の結果に陥ってしまうこともあります。
そのため、ツールを選ぶときは分析担当者が操作しやすいことも判断基準として検討するようにしましょう。
おすすめデータマイニングツール8選
ビジネスで使える、データマイニングツールを8選紹介します。分析やダッシュボード機能といった他の機能もあわせて提供されていることが多いので、データの活用目的に合ったツールを選びましょう。
MotionBoard Cloud - ウイングアーク1st株式会社
- 刻一刻と変わるビジネスの状況をリアルタイムに
- データを次のアクションにつなげる情報へ
- 場所やネットワーク環境の制約を低減
MotionBoardは、企業をとりまくさまざまなデータを価値ある情報に変える、表現力と分析力を兼ね備えた情報活用ダッシュボードツールです。専門の知識なく直感的操作ができる点、タブレットでデータを見れる点が特徴的です。
地図機能や3Dマップなど、従来のBIにとどまらない多種多様なビジュアライズも可能なことから、豊富な表現をノンプログラミングで⾃由⾃在に設定できます。
見える化エンジン - 株式会社プラスアルファ・コンサルティング
- データの収集と分析が可能
- 業界最大級でブログカバーNo.1※
- 直感的なビジュアルで誰でも簡単に操作可能
見える化エンジンは、1,600社※が導入しており、10年連続国内シェアNo.1※のテキストマイニングツールです。顧客の声から仮説を検証するために必要な分析機能が備わっています。ランキング形式での表示や、気になった単語を選択し、分析対象の話題がどのような内容で構成されているかをマップにより表現可能です。
※出典:プラスアルファ・コンサルティング「見える化エンジン」(2022年1月14日閲覧)に記載の富士キメラ総研のデータより
Tableau - Tableau, A Salesforce Company
- 全世界での導入実績
- ドラッグ&ドロップ操作で簡単にデータ分析
- タブレットからでもデータを参照・分析
Tableauは、簡単に操作が可能で、データも非常にわかりやすくグラフ化されるのが特徴のツールです。ドラッグ&ドロップで操作が完了するため、操作に不安がある方でも簡単に利用できます。
専門知識不要で操作できるため、誰でも安心して扱えます。さらに、無料トライアルがあるので、体験してから導入を検討できるのも魅力的です。
TextVoice - マイボイスコム株式会社
- 事前設定の手間なくすぐにテキストデータの分析が可能
- CSVファイルをアップロードするだけで分析開始
- 視覚的にわかりやすいアウトプット
TextVoice(テキストボイス)は、簡単操作ですぐに分析結果を得られるSaaS型のデータマイニングツールです。
従来のツールでは分析をする前に、類義語辞書を手動で作成する必要がありました。しかし、TextVoiceは類義語辞書が内蔵されているため、辞書の整備にかかる手間を省けます。
多くのテキストマイニングツールでは2語の係り受けですが、TextVoiceは最大6語まで結びつけられるため、より詳細にテキストが持つ意味を把握できます。データをCSV形式でアップロードするだけで、誰でも簡単に定性データの分析が可能です。
カスタマーリングス - 株式会社プラスアルファ・コンサルティング
- 顧客・購買データから顧客を見える化
- あらゆる条件での演算処理でさまざまな側面から分析可能
- PDCAを加速する構造
カスタマーリングス では、在庫やデータに評価をつけ(ABC分析)によって売れ筋商品を把握します。また、購買傾向分析し顧客の購入パターンを視覚化できます。
さらに、あらゆるデータをノンカスタマイズで統合でき、データ量やファイル数の制限はありません。多数のECカート、アプリ、サービス連携しているため環境構築を容易に行えます。
Visual Mining Studio
- 汎用データマイニングツール
- ビジュアルプログラミング環境
- 豊富な機能
Visual Mining Studioは、ブラウザで簡単にデータマイニングを行えます。複雑な操作は不要で、初めてデータマイニングを行う方でもすぐに利用できる点が特徴です。
データの前処理から、マイニング処理、他アプリケーションとの連係機能を備え、結果をグラフィカルに表現できます。さらに、データの欠損値の補完からフィルタリングなど、分析を行う前の加工をスムーズに行うための各種機能を搭載しています。
IBM SPSS Modeler
- データの事前準備を自動化可能
- 複数人のプロジェクトに対応
- 視覚的にわかりやすいインターフェース
IBM SPSS Modelerは、日本アイ・ビー・エム株式会社が提供するデータマイニングソフトウェア。データの事前準備をクリック操作によって自動化することで、データの質を担保できるのが特徴です。さらに、インタフェースが直感的でわかりやすく、データマイニングの初心者でも使いこなせます。
とくに顧客分析や需要予測に強く、SNSや位置情報などのリアルタイム情報の分析にも長けています。
MarketAnalyzer
- 多彩な標準搭載機能
- 豊富なオプション機能
- 高度な統計解析が可能なオプション機能
MarketAnalyzer™は、マーケティング用高速GIS(地理情報システムマップ)エンジン「TacticianOne®」を搭載しているサービスです。エリアを重視したツールになっており、地域別の情報を整理した場合に活用されます。
また、「人口」「年収」「想定ターゲットに合う客層の数」「駅前立地」などの多角的な条件で候補地をリストアップできます。売上予測モデルを作成する高度な統計解析機能や第三者のデータを、分析レベルに合わせて段階的に拡張・追加可能です。
データマイニングツールを利用するメリットとデメリット
データマイニングをするためにツールの導入は必要不可欠です。では、ツールを導入することでメリット、デメリットは何があるのでしょうか。
データマイニングツールのメリット
データマイニングツールを導入するメリットとして、誰でも簡単にデータマイニングを行えることがあります。統計学といった専門知識不要で、専門家レベルの分析が可能です。
また、膨大なデータの中からビジネスにつながるきっかけを判断する材料にもなるでしょう。データが多ければ多いほど、それを自身で分析するのは困難です。ツールを用いることでデータの整理も行え、課題解決の糸口を探せるのは大きなメリットと言えます。
データマイニングツールのデメリット・問題点
データマイニングツールの注意点として、あくまで分析ツールである点が挙げられます。データマイニングにより分析結果を閲覧でますが、活用方法については判断してくれません。この点をデメリットと感じるかもしれません。
また、分析するためには大量のデータが必要なわけではありません。データが多すぎると分析が困難になる可能性もあります。
データマイニングを活用する手順・活用法
データマイニングをただ行うだけではなく、活用するための手順や活用法について、データマイニングとは何かおさらいしつつ解説します。
データマイニングに必要な4つの知識
データマイニングをすることで、自社が持つデータベースの有効活用が可能になります。データマイニングをする際に、覚えておきたい単語と意味は次のとおりです。
- データ(Data):整理されていない数値のこと
- 情報(Information):「データ」を整理・カテゴライズしたもの
- 知識(Knowledge):「情報」から得られる傾向・知見
- 知恵(Wisdom):「知識」を利用して人が判断する力
データマイニング活用の手順
データマイニングを行うためには、事前にデータの収集とデータの加工を行っておく必要があります。
元となるデータは10万を目安に集めましょう。
また、データマイニングは主にシステム上で行うため、決まった形式のデータでななければ読み込んでくれません。そのため、収集したデータを分析の用途に合わせて加工する必要があります。たとえば、数値で分析するのであれば、データ数値に揃えるといった作業が必要です。このように分析するデータの形式を揃えておきましょう。
事前準備を終えるといよいよデータマイニングを実施します。データマイニングの手法は、AIによる機械学習と統計分析の2つ。新たな発見を求める場合は機械学習、仮説の立証が目的の場合は統計分析を選びましょう。データマイニングによってどのような課題を解決したいのかによって、取るべき手法が異なるので注意してください。
データの表記揺れに対応するデータクレンジングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

データマイニングの活用法
データマイニングの活用法について、小売業、製造業、教育業の観点から紹介します。
小売業
小売業では、顧客のデータベースを活用することで、より効果的なキャンペーンの実施や顧客に対して効果的なアプローチができるでしょう。
製造業
製造業では、生産設備の老朽化を把握することや、設備の保守・整備を適切なタイミングで実施することにデータマイニングが役立ちます。
教育業
教育では、学生の学習の進捗状況データから学生の理解度を予測可能です。この情報により、教員が生徒に合わせた最適な指導を行えます。
データマイニングの事例
米国のOsco drugと呼ばれるスーパーでは、毎日のPOSデータから紙おむつと缶ビールを同時に購入する顧客が多いということに気がつきました。調査の結果、父親が紙おむつの購入を頼まれた際、缶ビールをついでに購入していることが多いためと判明。
そこで、Osco drugは紙おむつと缶ビールの陳列棚を隣にすることで売上げ向上につながりました。
これはデータマイニングにより、発掘した膨大なデータの中から2つの項目間の相関関係を見つけ、経営戦略に役立てた有名な事例です。
データマイニングを活用することで、情報の整理、予測、関連性の発見ができます。それらの情報をどのように利用するかは、各個人に委ねられます。データマイニングをマーケティング戦略に活用しましょう。
データマイニングによってビジネスチャンスが広がる
データマイニングとは、データ解析によってビジネスチャンスを発掘するマーケティング技術です。
データの分類や結果の予測など、用途に合わせて多種多様な分析が可能。正しく活用できれば、ビジネスを成長させられます。
ツールを選ぶ際は、利用目的と分析方法をしっかりと定義することが大切です。また、分析担当者が操作しやすいツールを選びましょう。
BOXILとは
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