CRMはなぜ必要?必要性を検討するための判断基準も
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CRMとは
CRM(Customer Relationship Management:カスタマーリレーションシップマネジメント)とは、日本語訳すると「顧客関係管理」となり、顧客との良好な関係を構築・維持・発展させるための手法や戦略、ソフトウェアのことを指します。企業が顧客一人ひとりとの関係を大切にし、顧客満足度を高めることで、長期的な収益の最大化を目指すビジネス手法および、施策の実施ができるシステムです。
CRM自体は、広義には顧客とのより良い関係を築くための戦略やプラクティスを指しますが、狭義にはこれをサポートするためのソフトウェアやシステムを指すことが一般的です。
CRMの目的
CRMの主な目的は、次の3つにまとめられます。
- 1. 顧客満足度の向上
- 2. 顧客の長期的な維持・ロイヤリティの確保
- 3. 企業の収益最大化
CRMを導入することで、顧客一人ひとりのニーズに応えるきめ細かい対応が可能になり、良好な顧客関係の構築につながるでしょう。それにより、リピート購入や口コミによる新規顧客の獲得が期待でき、結果的に企業の収益最大化に貢献します。
近年は誰もがインターネット・SNSなどに触れる機会が増え、さまざまな情報を得るようになりました。そのため、顧客管理によって一人ひとりにあった対応を行うことが、企業活動を行ううえで重要と考えられるようになりつつあります。
MAとの違い
MAとは、マーケティング・オートメーション(Marketing Automation)の略称です。MAツールは、リードの獲得から成約に至るまでの一連のマーケティング活動を自動化・効率化するためのシステムです。
CRMが主に現存顧客との関係性を重視するのに対して、MAは新規リードの獲得とリードのナーチャリングに焦点を当てています。つまり、MAとCRMはマーケティングの異なる局面をそれぞれ担うツールだといえるでしょう。
一般的には、MAツールによって獲得したリードをCRMに取り込み、以降の顧客フォローをCRMで行うことが多くなっています。MAツールとCRMを連携させることで、よりシームレスな顧客対応が可能になります。
SFAとの違い
SFA(Sales Force Automation)は、営業活動の自動化・効率化を目的とするシステムです。顧客情報の一元管理や商談履歴の記録、案件の進捗管理、売り上げ予測などの機能を備えています。
一方のCRMは、営業活動だけでなく顧客との接点をもつすべての部門をカバーする広範なシステムです。たんなる営業支援ツールではなく、マーケティングやカスタマーサポートなども含めた顧客関係全般を包括的に管理する点がCRMの特徴です。
ただし、SFAとCRMの境界線は必ずしも明確でなく、CRMにSFAの機能が統合されていたり、逆にSFAにCRMの機能が含まれていたりと製品によって違いがあります。
ERPとの違い
ERPとは、企業資源計画(Enterprise Resource Planning)のことで、企業におけるすべての業務プロセスを一元的に管理するためのシステムです。生産管理や在庫管理、人事・会計など、企業運営に関わるさまざまな機能を統合しているのが特徴です。
一方、CRMの中核は顧客管理機能であり、内部プロセス管理を主目的とするERPとは異なります。ただし、顧客情報と在庫や生産情報などを連携させることで、より最適な販売活動が可能になるため、ERPとCRMの連携は重要視されています。
CRMとERPを包括的に導入することで、内部プロセスと顧客対応をシームレスに統合でき、業務の最適化と顧客満足度の向上を同時に実現できる点が大きなメリットです。
CRMに注目が集まる背景
近年、さまざまな社会・経済的な変化や、企業を取り巻く環境の変化があり、CRMへの注目がとくに高まってきています。次に、CRMが注目されるようになった背景と理由について紹介します。
新規集客よりリピート対策の重要性が増しているため
マーケティング・セールスにおいては、新規集客よりもリピート対策の重要性が増加しています。
人口の頭打ちや少子高齢化により市場規模が頭打ちになりつつあるうえに、消費者が自身で情報を手軽に得られる時代に変化したことで、新規顧客獲得が年々難しくなっています。そのため新規集客よりも既存顧客からのリピート獲得を狙った方が、コストをかけずに売り上げ拡大につなげられるといった考え方です。
リピート対策のためには顧客一人ひとりにあわせたマーケティング活動が必要であり、そのためには正確な顧客管理がまず必要です。
顧客のニーズが多様化しているため
ライフスタイルの変化や価値観の多様化により、顧客のニーズが多岐にわたるようになってきました。そのため、画一的なアプローチでは、顧客のニーズに応えることが難しくなっています。そうしたなかでCRMを活用することによって、顧客の属性やニーズにあわせたきめ細かい対応が可能になります。
たとえば、顧客の年齢や性別、購買履歴などのデータを分析することでニーズを推測し、最適な商品やサービスを提案できるでしょう。また、顧客からの問い合わせ履歴を分析することで潜在的な不満や要望を把握し、サービス改善につなげることも可能です。
根拠ある営業・経営を実行するため
顧客管理を行うと、根拠づけて営業・経営が行えるようになり、確実性・再現性が期待できます。
再現性の高い営業・経営を実行するためには、誰に何を販売するのかを明確にしなければなりません。顧客管理を行えば「誰に」の部分は明確ですし、購買履歴や顧客プロフィールからどのような商品が販売できるかの予想もできます。また、CRMを通じてどのような施策が有効だったのかもあとから振り返ることも簡単です。
新規集客に依存したビジネスモデルは顧客獲得コストにばらつきがあるうえに、どの商品がヒットするか読みにくいといったように不確定要素が多くなるデメリットも克服できるでしょう。
失敗した理由の原因を突き止め今後につなげるため
営業やマーケティングにおける失敗の原因を究明し、次の施策に生かすことは重要です。CRMを活用することで、失敗案件の分析や、顧客離反の原因究明が容易になるでしょう。
たとえば、商談が成立しなかった案件について、顧客とのやり取りや商談の経緯を詳細に分析することで、失敗の原因を特定できます。それを踏まえて営業プロセスを見直したり、営業担当者のスキル向上を図ったりすることで、次の商談成功率を高めることにつながるでしょう。
事業活動を効率化するため
顧客管理を行えば、次のような効果が期待できます。
- リピートの方が新規獲得よりも効率的に売り上げが創出できる
- 顧客に依頼して商品のモニタリングを実施できる
- アンバサダーマーケティングによってサービスの認知度を高められる
顧客を深く理解し、協力してもらうことでこれらのようなマーケティング施策が可能となります。結果として、新規顧客の開拓と比較して事業活動の効率化にもつながります。
システムが安価になり導入しやすくなったため
経営において顧客管理の必要性は年々増加しています。昔は顧客管理を行うためにシステムを開発するにも費用がかかり、紙の台帳では十分な顧客分析ができないので一部企業でしか取り組めませんでした。
しかし、近年はコンピューターの処理速度の向上、安価な顧客管理のためのシステムも開発されているため、事業規模に問わずにさまざまな企業が顧客管理に取り組める環境が整っています。
また、クラウドサービスの普及により、CRMシステムの導入におけるハードルも下がってきました。初期投資や工数を抑えられるようになったことで、中小企業でも導入しやすくなっています。
CRMシステムの操作性も向上しており、専門的な知識がなくても使いこなせるようになってきた点も、多くの企業でCRMの導入が進み注目を浴びるようになった理由といえます。
企業ブランディングの重要性が増したため
企業イメージや顧客体験の向上がブランド価値を高めるため、企業ブランディングの重要性が増しているのも、CRMが注目される理由です。CRMにより、一貫したブランド体験の提供や、顧客とのエンゲージメント向上が可能になります。
テクノロジーの進歩によって、商品やサービスの差別化が難しくなり、コモディティ化が進んでいます。そういった状況下では、商品やサービス自体の価値だけでなく、顧客との関係性やブランド価値が競争力の源泉になるでしょう。CRMを活用し、顧客との良好な関係を構築・維持することが、コモディティ化への対抗手段として重要になってきています。
たとえば、CRMでの顧客分析の結果を生かし、カスタマージャーニーをデザインすることで顧客体験の最適化を図れます。顧客とコミュニケーション履歴を統合管理することで、チャネルを越えたシームレスな対応もできるようになり、良好なブランド体験の提供につながるでしょう。
CRMの主な機能とできること
CRMにはさまざまな機能があり、顧客管理から営業支援、マーケティング活動まで幅広い業務をサポートします。次に、CRMの主な機能と、それによって実現できることについて解説します。
顧客情報の一元管理
CRMの中核となる機能が、顧客情報の一元管理です。顧客の属性情報や購買履歴、問い合わせ履歴、コミュニケーション履歴などを一つのデータベースで管理することで、顧客の全体像を把握できます。
これにより、営業担当者は顧客の特性を理解したうえで、パーソナライズされたアプローチを取れます。また、部門間での情報共有もスムーズになり、連携した顧客対応が可能になるでしょう。
営業活動の管理と自動化
CRMには、営業活動を管理・支援する機能があります。商談の進捗管理や営業担当者のスケジュール管理、見積書の作成などを行えます。
また、定型的な業務を自動化することで営業担当者の工数を減らし、生産性を高めることも可能です。たとえば、指定した条件に合致する顧客に対して、自動的にメールを送信するといった施策が行えます。
カスタマーサポートの効率化
CRMには、カスタマーサポートを効率化する機能もあります。問い合わせ内容や対応履歴を一元管理することで、迅速かつ的確な顧客対応が可能になるでしょう。
また、チャットボットやFAQシステムと連携することで、定型的な問い合わせへの自動応答も可能です。これにより、カスタマーサポートの工数を削減しつつ、顧客満足度を高めることにつながるでしょう。
顧客分析とレポーティング
CRMには、顧客データを分析してレポートを作成する機能があります。顧客の属性や行動を分析することで、セグメンテーションやターゲティングが実施できます。
また、売り上げ予測や顧客生涯価値の算出なども可能です。これらの分析結果を活用することで、データドリブンな意思決定を行い、事業戦略の最適化を図れるでしょう。
CRMの活用によるメリット
次に、CRMを活用によって授受できる主なメリットについて紹介します。
顧客情報が可視化され管理しやすい
CRMを導入することで、顧客情報を一元的に管理できるようになることは大きなメリットです。従来、顧客情報は営業担当者の手帳やExcelファイルなどに分散して管理されていることが多く、情報の共有や活用が難しいといった課題がありました。そこにCRMを導入することで、これらの情報を一つのデータベースに集約できます。
顧客情報を一元管理することで、情報の重複や不整合を防ぐことにもつながります。
顧客満足度の向上につながる
CRMを活用することで、顧客一人ひとりのニーズにあわせたきめ細かい対応が可能になり、顧客満足度の向上につながります。顧客満足度が高まれば、リピート率の向上や新規顧客の獲得にもつながるでしょう。
CRMでは、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴などを分析することで、嗜好やニーズを深く理解できます。たとえば、ある顧客が過去に特定のブランドの商品を頻繁に購入していたといった情報があれば、興味のあるブランドの新商品をおすすめするといったパーソナライズされたアプローチが可能になります。
また、問い合わせ履歴を分析することで、よくある質問や問題点を把握したうえでの対応も可能です。たとえば、ある商品に関する問い合わせが集中していれば、商品の説明を充実させたり使い方のガイドを作成したりするなどの対応が可能になります。
さらに、CRMを活用して顧客の声を収集・分析することで、商品やサービスの改善につなげられるでしょう。アンケートやレビューなどから得られた顧客の意見を分析し、商品開発やサービス改善に活かすことで、顧客のニーズにより適合した商品・サービスを提供できるようになります。
他部署との連携がしやすくなる
CRMを導入することで営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、顧客と接点をもつさまざまな部門が同じ顧客情報を共有できるようになります。これにより、部門間の連携がスムーズになり、顧客対応の質が向上するでしょう。
たとえば、ある顧客から製品についての問い合わせがカスタマーサポートにあったとします。そうした際、CRMを確認すると、顧客が先日営業担当者と商談を行っていたことがわかります。商談内容を踏まえて適切な対応ができれば、顧客の満足度は高まるでしょう。
業務効率化になる
CRMには、さまざまな業務を効率化・自動化する機能が備わっています。これらの機能を活用することで、業務の効率化を図れるでしょう。
たとえば、営業部門での業務効率化が期待できます。CRMを導入することでリード管理や商談進捗管理、見積書作成、契約書発行などの一連の営業プロセスを一元的に管理できるようになります。これにより、営業担当者は煩雑な事務作業に振り回されることなく、本来の営業活動に集中できるでしょう。
また、マーケティング部門の業務効率化にも役立ちます。CRMに付随するMA機能を活用することで、メールマーケティングやSNSマーケティングなどの施策を自動化できます。ターゲットとなる顧客セグメントを抽出し、適切なタイミングで自動的にメッセージを配信できるため、マーケティング担当者の工数を大幅に削減できるでしょう。
アップセルやクロスセルにつなげられる
CRMを活用すれば、既存顧客に対するアップセルやクロスセルの機会が増えることもメリットです。
顧客の購買履歴や属性情報を分析することで、顧客が次に必要とする商品やサービスを予測できるでしょう。たとえば、ある商品を購入した顧客に、関連する高価格帯の商品をおすすめするアップセルが可能です。また、ある商品を購入した顧客に、相性が良い別カテゴリーの商品をおすすめするクロスセルも実現します。
CRMを用いれば、こうしたアップセルやクロスセルの提案を効率化できます。顧客の行動や属性にもとづいて、最適なタイミングで最適な商品を提案すれば、販売機会の最大化につながるでしょう。
CRMでの顧客管理が必要になるケース
簡単な顧客管理であれば、Excel・スプレッドシートを活用した顧客管理も可能です。しかし、次のようなケースではCRMの導入を検討するべきです。CRMを導入することにより、Excel・スプレッドシートでは実現できない効率的な顧客管理が可能になります。
- Excel・スプレッドシートの限界が来ている
- One to Oneマーケティングを実現したい
- 大量の顧客データを管理しなければならない
- リモートワーク可能な営業体制を構築したい
- 部門間の連携を強化したい
Excel・スプレッドシートの限界
Excel・スプレッドシートによる顧客管理には限界があります。
Excelもスプレッドシートも顧客管理のためのシステムではないので、複雑な顧客管理には対応できません。また、スマートフォンやタブレットでの操作性や情報漏えい防止のためのセキュリティ機能などもCRMには劣ります。
顧客管理を本格的に実施して、データを分析することにより効率的なマーケティング活動を行いたい場合はCRMの導入を検討してください。
One to Oneマーケティングを実現したい
CRMはMA(マーケティングオートメーション)ツールと呼ばれるシステムと連携できることが多いです。
MAツールとはユーザーのWebサイトでの行動、販売履歴などのさまざまな情報をシステムが自動的に取得し、統合的にデータを管理・分析して顧客一人ひとりに適したマーケティング活動が可能になるツールです。
MAツールを導入してOne to Oneマーケティングを実施しようと考えているのであれば、CRMの導入が前提として必要になります。
大量の顧客データを管理しなければならない
大量の顧客データやさまざまなパラメーターを管理する場合は、CRMを導入すべきです。
紙の顧客台帳は見返し、分析するのに大量の時間が必要になります。また、Excel・スプレッドシートで管理しても顧客データが増えるほど動作が重くなり、データの管理や共有も難しくなります。
CRMは顧客管理のために最適化されているため、大量の顧客データを管理している場合でも快適な動作環境で顧客情報のチェックや分析が可能です。
リモートワーク可能な営業体制を構築したい
リモートワーク可能な営業体制を構築しようとすればCRMを導入した方が業務効率は高く、セキュリティ面でも安全です。
紙の顧客台帳をもち歩くのは大変かつ情報流出の危険があり、Excelやスプレッドシートはユーザーインターフェースの都合上、スマートフォンやタブレットでは顧客管理をしづらい傾向にあります。
よって、リモートワーク体制を構築しようとしている場合は、CRMを導入した方がスムーズに進むでしょう。
部門間の連携を強化したい
複数の部門が顧客対応に関わる場合や部門間の情報共有が課題を感じている場合は、CRMの導入がおすすめです。顧客情報を一元管理でき、部門間の連携がスムーズになります。これにより、顧客対応の質の向上が期待できます。
CRMの必要性を検討するための判断基準
CRMの導入にあたっては、次の4つのポイントが重要です。それぞれのポイントについて詳しく説明します。
- Excel・スプレッドシートの動作が重い
- SFA・MAなど他のツールと連携させて使用したい
- 権限管理・ログ監査などのセキュリティ機能が欲しい
- コストが許容範囲内である
Excel・スプレッドシートの動作が重い
すでにExcel・スプレッドシートで顧客管理は実施しているものの、動作が重くて情報の更新が反映されていない、見落としが発生して業務に支障をきたしているといった場合は、CRMへの切り替えが必要でしょう。
コストに関しても、多様なCRMが開発・提供されており無料やきわめて安価なシステムも存在するので、これらのシステムを利用すればコストを抑えて導入が可能です。
SFA・MAなど他のツールと連携させて使用したい
CRMはさまざまな部署・業務で活用する「顧客情報」を管理するため、他のツールと連携することにより会社全体の業務効率化に貢献します。
CRMと連携する代表的なツールは営業管理のためのSFAとマーケティングを効果的に行うためのMAツールです。CRM・MA・SFAを連携させることにより、新規顧客創出から育成、営業から契約完了までをシームレスに管理できます。
導入するCRMの仕様によっては、その他にも請求書発行システム、受発注管理、電子契約など、さまざまなシステムと連携して業務を効率化できます。
権限管理・ログ監査などのセキュリティ機能が欲しい
有料のCRMには情報セキュリティのISOを取得したり、プライバシーマークを取得していたりと、厳格なセキュリティ管理をされていることがほとんどです。
また、顧客データを扱う性質上、これらのセキュリティ機能も搭載しているサービスがあります。
- ログイン時の二段階認証
- 情報へのアクセス権限の設定
- データの暗号化
- ログ監査により、どの情報に誰がアクセスしたか管理者が調べられる機能
情報管理について業界ルールや社内ガイドラインが存在する場合は、基準に適合したCRMなのかを確認してください。
有料で機能もしっかりしているおすすめCRMはこちらの記事で紹介しています。
CRM導入の注意点
CRMを導入する際は、メリットだけでなく、注意点についても理解しておく必要があります。CRMを導入する際には、次のような点に留意しましょう。
導入と運用にはコストがかかる
CRMの導入には、システムの購入や構築、カスタマイズなどにコストがかかります。また運用段階では、データの維持管理やユーザートレーニング、システムのアップグレードなどに継続的なコストが発生します。CRM導入による効果とコストを見極め、費用対効果を検討することが重要です。
短期的な成果を求める施策ではない
CRMは、長期的な顧客との関係構築を目的とするものであり、短期的な売り上げ増加を目的とした施策ではありません。CRMの効果を発揮するためには継続的なデータの蓄積と分析と、そしてデータにもとづく施策の実行が必要です。長期的な視点をもって腰を据えて取り組むことが求められます。
データを読み解くリテラシーが必要
CRMで収集した顧客データは、データのままでは価値を生み出しません。データを分析して顧客理解を深め、適切な施策に結び付けるためにはデータリテラシーが必要不可欠です。社内のデータ分析スキルの向上や外部の専門家との連携などにより、データ活用力を高めていくことが重要でしょう。
全社的な取り組みが必要
CRMは、特定の部門だけで活用するものではありません。営業やマーケティング、カスタマーサポートなど、顧客と接点をもつすべての部門が連携して顧客情報を共有・活用することで初めて効果を発揮します。CRM導入には全社的な体制づくりと意識改革が必要です。
セキュリティ対策が重要
CRMでは顧客の個人情報を大量に扱うため、セキュリティ対策はきわめて重要です。情報漏えいは顧客の信頼を失うだけでなく、法的な問題にも発展しかねません。厳格なアクセス管理やデータの暗号化、定期的なセキュリティ監査などにより、顧客情報が守れる体制を整えておきましょう。
CRMの活用で効果を出すためのポイント
CRMを導入しただけでは効果を十分に発揮できません。CRMの活用で真の効果を出すためには、次のようなポイントに注目しましょう。
導入自体が目的化しないように気を付ける
CRMの導入は、あくまでも顧客との関係構築や業務効率化のための手段であり、導入自体が目的ではありません。CRMを導入することが目的化してしまうと、形骸化したシステムになってしまう危険性があります。常に本来の目的を見失わないようにすることが重要です。
中長期的な観点で運用する
CRMの効果は、短期間で劇的に現れるものではありません。顧客データの蓄積や分析、施策の実行と改善など、地道な努力の積み重ねが必要不可欠です。中長期的な視点をもち、忍耐強く取り組むことが求められます。
目的や指標を明確にする
CRMを活用するうえで、目的や指標を明確にすることはきわめて重要です。漠然とCRMを導入しても、効果的な活用は望めないでしょう。顧客満足度の向上、売り上げの増加、業務効率の改善など、具体的な目的を設定し、達成度が測れる指標を定義しておきましょう。
現場の声を反映させる
CRMを実際に使うのは、営業担当者やカスタマーサポート担当者など、現場のスタッフです。現場の声を反映させることで、より使いやすく、効果的なシステムになります。定期的に現場の意見を吸い上げ、システムの改善に活かすことが大切でしょう。
データ品質を高める
CRMの効果は、蓄積されたデータの品質に大きく左右されます。入力漏れや重複、誤りなどがあると、正確な分析ができません。データ入力のルールを明確にし、定期的なデータクレンジングを行うことで、データ品質を高めていきましょう。
段階的に拡張していく
CRMの機能は多岐にわたるため、一度にすべての機能を導入しようとすると、現場に大きな負荷がかかります。まずは最も重要な機能から導入し、徐々に拡張していくのが賢明です。段階的な導入により、スムーズな定着を図れるでしょう。
導入の必要性が高まるCRM
CRM導入コストが安価であること、既存顧客の情報を活かしたセールス・マーケティングの必要性が増していることもあり、CRMを導入する企業が増えています。
単純な顧客管理であればExcel・スプレッドシートでも対応可能ですが、大量のデータを取り扱いたい、厳格なセキュリティ基準が存在する、他システムとの連携したい、本格的な顧客情報の管理・活用が必要といった場合はCRMの導入も検討してください。
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