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領収書の印刷保存、2年間はOKに 錯綜する電子帳簿保存法の情報を整理

記事の情報は2021-12-22時点のものです。
2022年1月に施行される改正・電子帳簿保存法に関して、さまざまな情報が錯綜しています。請求書や領収書は、電子データとして保存しなければならないのでしょうか。紙の書類で扱っていると、青色申告できなくなるのでしょうか。情報を整理します。

「電子帳簿保存法」聞いたことありますか?

このところ「電子帳簿保存法(電帳法)」という名称の法律を報道でよく目にします。企業の経理担当者でもなければ聞いたことすらないかもしれませんが、急に注目されるようになりました。

というのも、同法は2022年1月に改正され、領収書などの電子保存要件が大きく変わり、電帳法対応企業だけでなく、個人事業主を含む税務処理に関わる人全員が大きな影響を受けるためです。

改正の大きな目的は、商取引のペーパーレス化推進です。請求書や領収書といった税務に関わる書類の電子化を容易に行えるようにすることで、紙から電子データへの移行を促しています。さらにペーパーレス化を進めようと、ある条件では電子保存を義務化し、印刷した紙の書類は認めない、というルールも設けられました。

この電子保存の義務化と紙保存の禁止が問題視された結果、電帳法の改正が話題に上り、頻繁に報道され始めたのです。

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改正・電帳法のポイント

まず、1月から施行される改正・電帳法のポイントを、次の2点にわけて整理します。

  1. 電子保存要件の緩和
  2. 電子保存の義務化および紙保存の廃止

1.電子保存要件の緩和

紙の請求書をスキャンして電子的に保存(電磁的記録)したり、メールで受け取ったPDFファイルのまま請求書を電子保存したりしようとすると、これまでは厳しい条件を満たす必要がありました。それが、今回の改正によって容易になります。

主な改正内容は以下のとおりです。

(1)適切な会計システムを使っていれば、税務署長からの承認を得ることなく、そのまま書類の電子保存が可能になります。事前承認は必要ありません。紙の書類をスキャナーで読み取る場合も、受領者などの署名は不要です。

(2)電子保存した日時を証明するタイムスタンプの付与期限も、書類の受領から最長約2カ月、おおむね7営業日以内へと長期化されます。ちなみに現在の期限は3日以内と厳しいものです。電子保存したデータに対する操作ログを記録できる会計システムなら、タイムスタンプ付与すら省略できます。

(3)保存した電子データを検索する機能についても、要件が緩和され、高度な検索機能を備える会計システムでなくても対応しやすくなります。

こうした改正により、書類の電子保存は以前より楽になります。それならば電帳法にのっとり、請求書や領収書を紙から電子データに切り替えよう、と考える企業も出るでしょう。

2.電子保存の義務化および紙保存の廃止

改正で電子保存が容易になる一方、厳しくなるところもあります。それは、電子データで受け取った書類は必ず電子保存しなければならない、という要件です。

たとえば、メールで送付されたPDFファイルなどを印刷した紙の書類は、税務処理に使えなくなります。あくまでも、電子データは電子保存しなければなりません。現時点では、メールで届いた領収書や請求書は、印刷して処理したり保存したりできます。ところが、元々電子データだった書類は電子保存しないと正式なものと認められなくなるのです。

この要件は、実質的な紙保存の廃止といえます。電子保存やペーパーレス化を推進する、政府の姿勢が強く表れた部分です。

改正を不安視する声が相次ぐ

電帳法の改正に対しては、否定的な意見や不安視する声が出ています。

ペーパーレス化の逆風になる?

経理や税務などの作業にコストや時間をかけることの難しい中小企業や個人事業主にとって、電子保存の義務化と紙保存の廃止は、高いハードルです。しかし、取引先から請求書や領収書を電子データで発行するよう求められたら、従わないわけにいかず、必然的に電子保存へ対応しなければなりません。これは、大きな負担になります。

逆に、電子保存を嫌う取引先だと、せっかく電子化してあった書類を紙に戻す、ということもあるでしょう。ペーパーレスを目指したはずの改正なのに、これでは逆効果になってしまいます。

紙保存だと税金が増えかねない

電子保存の義務化と紙保存の廃止には、もう1つ大きな問題があります。国税庁が7月に公開した「電子帳簿保存法一問一答」の「問42」によると、正しく電子保存せず紙に印刷した書類を保存している場合は、青色申告の対象外になる可能性があるというのです。

青色申告が認められないと、控除金額が大幅に少ない白色申告を行うことになり、納税額が上昇します。小規模な事業者にとっては大きな痛手です。

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認知度の低さも問題

最近になって問題とみなされ始めた要因としては、電帳法自体や改正に関する認知度の低さもあります。

freeeが11月下旬に実施した調査結果(※1)では、施行が約1カ月後に迫っているにもかかわらず、電帳法を聞いたことすらない人が56.9%もいます。改正まで理解している人は以下のとおり少数派です。

理解度・認知度 回答率
詳しく理解している 5.6%
詳しくないが
ある程度知っている
16.2%
改正はあるのを入っているが
詳しく知らない
14.5%
知らない 6.7%
電子帳簿保存法と言う言葉を
聞いたことがない
56.9%

出典:freee / 電子帳簿保存法改正とペーパーレスに関する調査結果を公開

このような状態なので、改正への対応も不十分でした。

改正内容を「詳しく理解している」「詳しくないがある程度知っている」と答えた人が勤める企業に限っても、対応できているのは54.5%と半数強です。企業の規模別では、大企業ですら67.4%にとどまり、中堅企業では48.0%、小規模事業者では42.1%と下がっていきます。全体からみると、対応できている企業の割合は相当小さいはずです。

出典:freee / 電子帳簿保存法改正とペーパーレスに関する調査結果を公開

電子データで受け取った書類の紙保存ができなくなることについても、「詳しく理解している」は7.1%、「詳しくはないがある程度知っている」は20.5%と、認知度は高くありません。大企業でも「詳しく理解している」は9.2%、「詳しくはないがある程度知っている」は21.7%に過ぎず、理解している人は極めて少ないといえます。

出典:freee / 電子帳簿保存法改正とペーパーレスに関する調査結果を公開

※1 freee『電子帳簿保存法改正とペーパーレスに関する調査結果を公開』,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000764.000006428.html

国税庁が制度を見直し

この状況で紙保存廃止を強行すると、大混乱が起きかねません。そこで国税庁は、紙保存の対応を見直しました。

紙保存が容認される

国税庁は先日「お問い合わせの多いご質問(令和3年11月)」という資料を公開し、新たな見解を示しました。

それによると、正しく電子保存できていない場合でも、適切に記帳などされていれば紙保存を容認するそうです。つまり、青色申告の承認がすぐ取り消される、という心配は取りあえずなくなりました。

電子保存義務化は2年先送りに

そして、電子保存の義務化は、正式に2年先送りされました。令和6年(2024年)1月より適用される見込みです。

自由民主党と公明党の「令和4年度税制改正大綱」において、90ページ「(8)電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存への円滑な移行のための宥恕措置の整備」で、令和4年(2022年)1月1日から令和5年(2023年)12月31日までの電子取引については、電子的な請求書や領収書を印刷保存しても正式な記録と認めるとしています。国税庁が先日公開した見解を、政府全体として追認した形です。

2年間あれば、会計システムの対応が進み、認知度も高まり、スムーズな移行が可能かもしれません。

今後、ペーパーレス化は間違いなく進みます。2023年10月に始まるインボイス制度で電子インボイスも普及していくでしょうから、紙の書類を減らし、電子データを増やす流れは止まりません。

いずれ、全面的に電子データを扱える環境を整えるべきでしょう。改正・電帳法は、その良い切っ掛けになります。

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