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雇用契約は電子契約可能?企業側のメリットや導入時の注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から5日前のものです)
雇用契約は電子契約でも対応が可能で、労働条件通知書や雇用契約書を電子ファイルで作成・交付できます。ただし、電子化に対する事前合意が必要で、電子化する際にはいくつか注意すべきポイントも存在します。本記事では、雇用契約を電子契約するメリットやデメリット、電子化するパターンなどを解説します。

雇用契約は電子契約できる?

労働基準法施行規則が改正されたことで、2019年4月1日から労働条件を明示する際の電子化が解禁され、雇用契約は電子契約できるようになりました。デジタル上での雇用契約の締結だけでなく、PDFをはじめとする電子ファイルで労働条件通知書を作成し、メールやSNS、FAXなどでの方法で送付が可能です。

電子契約や契約書の電子化を進めることで、業務効率化や契約期間の短縮といった効果が見込めます。契約のために出社する必要もなくなるため、企業と労働者の双方にとって恩恵をもたらします。

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雇用契約を電子化するパターン

雇用契約を電子化する場合、次の3つのパターンが想定されます。それぞれ電子化する方法やポイントを解説します。

  • 労働条件通知書のみ電子化
  • 労働条件通知書と雇用契約書を電子化
  • 労働条件通知書兼雇用契約書を電子化

労働条件通知書のみ電子化

電子契約で雇用契約を結ぶ場合、実は労働条件通知書を交付するだけでも問題ありません。労働基準法では労働条件通知書の交付が義務化されていますが、雇用契約書の交付は義務ではありません。

労働条件通知書を電子化するには、PDFで電子ファイルを作成するか、電子契約システムを使って契約を締結するかの二つのケースが考えられます。電子契約システムは無料で導入できるものもありますが、初期設定や導入にやや手間がかかるため、企業によっては電子ファイルをメールやSNSでやり取りするほうがハードルが低いでしょう。

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労働条件通知書と雇用契約書を電子化

雇用契約書の交付は法律で義務化されていないものの、契約書がなければ労働者側が不安に感じます。そのため、労働条件通知書とともに雇用契約書を電子化し、労働者へ同時に交付するのも方法の一つです。

雇用契約書が存在することで、当事者同士の合意の事実が客観的に証明されます。契約後に起こりがちな「いった・いわない」のトラブルを避けられるため、労働条件通知書と雇用契約書はセットで電子化するのが理想です。

労働条件通知書兼雇用契約書を電子化

労働条件通知書と雇用契約書は、形式としては別々の文書として扱われますが、それぞれ記載する内容に大きな差はありません。そのため、労働条件通知書兼雇用契約書として両方の文書を統合して扱うケースも珍しくありません。

しかし、企業側から一方的に通知される労働条件通知書とは異なり、当事者同士の合意が必要な雇用契約書は署名捺印が必要です。そのため、両方の性質を兼ね備えた労働条件通知書兼雇用契約書を電子化する際は、デジタル上で署名捺印の役割を果たす電子署名を付与する必要があります。

雇用契約を電子化するメリット

雇用契約にかかわらず、書面契約から電子契約に切り替えると次のようなメリットが生まれます。

  • 印刷や発送などの業務が不要になり、契約業務の効率化につながる
  • 印刷代や発送費などのコストを削減できる
  • 紙の書類の紛失や盗難のリスクを回避できるため、コンプライアンス強化につながる
  • ペーパーレス化によって書類の保管スペースを削減できる

雇用契約を電子化する場合、上記とともに次のようなメリットも加わります。

採用管理の合理化が進む

採用業務全般で見た場合、電子化できるのは労働条件通知書や雇用契約書だけではありません。ほかにも、入社時誓約書や個人情報の取り扱いに関する同意書なども電子化が可能です。

業務にかかわる幅広い書類を契約管理システム電子契約システム上で一元管理することで、煩雑化しやすい契約管理の無駄がなくなります。紙の書類管理で起こりやすい情報の更新漏れや、記入ミス・漏れといったヒューマンエラーを防げるのがメリットです。

契約締結までの期間短縮につながる

雇用契約を電子契約化することで、契約締結までの期間を短縮できるのもメリットです。

雇用契約を紙の契約書で結ぶ場合、契約締結のために労働者側が企業に訪問したり書類の発送を企業と労働者で往復したりと、手間や時間がかかります。採用業務をやりつつ対応しなければならないため、記載ミスがあった際の連絡の工数もかかりがちです。

一方、雇用契約を電子契約で行う場合、企業への訪問や書類の発送は不要です。メールやSNS、電子契約システムを活用すれば、スマートフォンでも労働条件通知書や雇用契約書のやり取りを行えます。採用に至るプロセスが簡略化されることで、契約締結までの期間短縮が可能です。

雇用契約を電子化するデメリット

デメリットに関してもメリットと同様、電子契約の一般的なデメリットと、雇用契約ならではのデメリットが存在します。まずは電子契約の一般的なデメリットを見てみましょう。

  • 電子契約システムや契約管理システムなどを導入する費用がかかる
  • 導入したシステムに慣れるまでに時間がかかる

一方、雇用契約を電子契約した場合のデメリットは次のとおりです。

労働者に対する丁寧な説明が求められる

電子契約で雇用契約を進める場合、労働者に対する丁寧な説明が必要です。雇用契約の電子契約は比較的新しい取り組みなので、慣れていない労働者も多く、説明がなければ契約後にトラブルへと発展する恐れがあります。

雇用契約は、給与や勤務時間、休日などの雇用条件をまとめたものなので紛争が起きやすい契約の一つです。労働者が不安を感じないよう、雇用条件はもちろん、電子化の目的や電子契約の証拠力などの説明が求められます。

雇用契約を電子契約する際の注意点

雇用契約を電子契約する際は、次の2つのポイントに注意しましょう。

  • 労働条件通知書を電子化するための合意を得る
  • 受領や保存の事実を確認する

労働条件通知書を電子化するための合意を得る

電子契約によって労働条件通知書を交付する際は、労働者側の電子化に関する合意が必要です。

労働条件通知書は雇用契約書を異なり、企業側から一方的に通知するものなので、基本的に契約に合意した事実を証明する必要はありません。しかし、書面を電子化する行為に関しては、「労働条件通知書を電磁的方法で交付しても良いか」といった事前合意を得る必要があります。

また、労働条件通知書の交付方法にも注意が必要です。電子化された労働条件通知書は、労働者が後で印刷できる形で交付しなければなりません。共有方法によってはデータの保存期間が定められていることもあるため、必要に応じてメールやシステムでの交付に切り替えるのも良いでしょう。

受領や保存の事実を確認する

労働条件通知書を労働者に交付したあとは、受領や保存の事実をチェックしましょう。確認作業が漏れた場合、契約後のトラブルに発展する恐れがあります。

たとえば、メールで労働条件通知書を交付する場合は迷惑メール機能が働き、相手がメールを見落とすことも考えられます。そのため、労働条件通知書の交付後に「間違いなく内容を確認したか」を確認することが大切です。また、受領した労働条件通知書を保存するよう促すことも忘れてはなりません。

電子契約の仕組みを理解して雇用契約を効率化しよう

労働条件通知書や雇用契約書は電子化が可能です。書面を電子ファイルで作成したり、デジタル上で交付したりすることで、業務効率化や契約期間の短縮といったメリットが生まれます。

雇用契約を電子化するには、電子契約の仕組みをしっかりと理解することが重要です。電子化に対する事前合意が必要な点や、労働者に対する丁寧な説明が求められる点に関しては、とくに注意が必要です。企業と労働者の双方が電子契約のメリットを受けられるよう、入念に体制を整えましょう。

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