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労務管理の3つの課題とは?人的資本経営のための改善策

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労務管理の3つの課題とは、雇用形態の複雑化、労働時間の適正管理、テレワークへの対応です。この記事では、労務管理の課題と改善策を解説し、複雑な労務管理業務を効率化できるシステムについて紹介します。

労務管理の3つの課題とは、「雇用形態の複雑化」、「労働時間の適正管理」、「テレワークへの対応」です。働き方改革や従業員のメンタルヘルス対策に適正に対応し、従業員エンゲージメントを向上させることが、労務管理の役割となります。

この記事では、労務管理の課題と改善策を解説し、複雑な労務管理業務を効率化できるシステムについて紹介します。

労務管理とは

労務管理とは、従業員の労働条件や労働環境の整備を管理する業務のことです。従業員の雇用契約や就業規則、勤怠管理や給与精算、社会保険や労働保険などの手続き、健康診断や労使協定の実施といった、企業の「ヒト」という経営資源に関わる業務が該当します。

安全衛生の確保や労働環境の改善など、働きやすい職場を実現することも、労務管理の大切な役割です。労務「管理」と言われるとおり、従業員の勤怠情報、就業規則、多様な情報を適切に管理・運用することが求められます。

労務管理の目的や仕事内容といった基礎知識は、次の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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労務管理の重要なポイント

労務管理を行ううえで、重要となるのがさまざまな労働関連法規です。近年では、働き方改革の推進にともない、より多くの労働者にとって柔軟で働きやすい環境を整えるため、法令に多くの改正が加えられています。労務管理担当者はそういった変更点を的確に理解し、社内に適用させなければなりません。

しかし一方で、人手不足や人件費節約といった理由により、労働基準法の順守を怠り、労働環境を改善しないまま放置すると、「ブラック企業」とのレッテルを張られてしまい、社会的信用を失い、従業員の離職や採用難に陥ってしまうことも考えられます。

自社がコンプライアンス上問題のない労務管理ができているか、客観的な目線で評価し、必要に応じて是正・改善することが社会的に求められているのです。

労務管理の3つの課題

労務管理には大きく分けて次の3つの課題があります。

  • 雇用形態の多様化
  • 労働時間の適正管理
  • テレワークへの対応

それぞれの課題について説明します。

雇用形態の多様化

雇用形態の多様化とは、さまざまな働き方が社会で認められるようになったことです。従来の正社員以外のパート・アルバイトや派遣社員といった非正規雇用に加えて、フリーランスや社外の専門人材との業務委託契約といった雇用形態も増えています。

労務管理は、この多様化した雇用形態に対して、法令やコンプライアンスに則って対応する必要があります。

たとえば、個人事業主やフリーランスとの業務委託にあたっては、下請法(下請代金支払遅延等防止法)に違反しないように注意する必要があります。具体的には、下請法では、発注者側の不当な支払額の減額や遅延、成果物の受取拒否といった行為が禁止されています。

また、2021年4月からは、国内のすべての企業に「同一労働同一賃金」が適用されています。労務管理では、雇用形態にかかわらず、同じ仕事をする従業員は同じ賃金を得ることを保証する必要があります。正規雇用と非正規雇用の従業員の間で、同じ仕事内容で賃金の格差を設けることは認められません。報酬だけでなく、職場環境や労働条件に関しても不平等にならないような社内体制を整える必要があります。

また、労務管理は、従業員のより自由な働き方を認める社会的な動向にも目を向ける必要があります。副業やハイブリッドワークを認めることで、離職防止や雇用の安定につなげようとする企業が増えているからです。

労働時間の適正管理

近年、働き方改革や過労死防止が企業に強く求められるようになり、労務管理で従業員の労働時間の厳正な管理を行う必要があります。

時間外労働への対策

働き方改革関連法では、2020年4月1日から中小企業に対しても時間外労働の上限が定められました。時間外労働は原則として月に45時間、1年で360時間以内に収めることとされています。

外食産業や物流をはじめとする人手不足が深刻な業種では、複雑な人員配置やシフト管理を迅速に行いながら、時間外労働や長時間労働を適正にコントロールするという難しい課題に直面しています。また、多くの企業でもテレワークにおいて従業員の勤怠管理をいかに正確に行うかは、労務管理上の新しい課題です。

有給休暇の取得

働き方改革関連法では、従業員の有給休暇の取得も推奨されています。具体的には、年10日以上有給休暇の権利がある従業員について、最低でも5日以上は有給休暇を与えることが義務付けられています。

また、産休や育休についても育児休業制度で奨励されており、該当する従業員が希望すれば、短時間勤務の措置や時間外労働の制限に対応する必要があります。

テレワーク対応

テレワークや働き方改革の推進により、在宅勤務やオフィスとのハイブリッドワークが一般化しました。労務管理は、このような新しい時代の勤務形態に対応する必要があります。

テレワークの就業規則への適応

テレワークを導入する際に、就業規則の変更が必要となる場合は、テレワーク勤務にかかる定めを就業規則に盛り込むか、新しく「テレワーク就業規則」を作成します。

※参考:厚生労働省「テレワークモデル就業規則

テレワーク就業規則には、テレワーク勤務の対象者、テレワーク用の労働時間、通信費の負担に関する規定を記載します。

テレワーク勤務の対象者は、正規雇用や非正規雇用といった雇用形態の違いを理由としてテレワーク対象者から除外することは、法律違反となる可能性があるので注意しましょう。

テレワーク用の労働時間として「フレックスタイム制」を導入する場合、その労働時間に関する規定を明記します。

フレックスタイム制の場合、コアタイムやフレキシブルタイムを設ける場合には、それぞれの時間帯の記載、「清算期間」(3か月以内)と清算期間における総労働時間を記載します。清算期間が1か月を超える場合には、労使協定の労働基準監督署への届け出が必要になります。

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テレワークの時間外労働の精算

フレックスタイム制を適用したテレワークの場合、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて働いても、ただちに時間外労働とはなりません。清算期間における実際の労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

テレワークにおける時間外労働の精算を行うためには、人事労務担当者は各従業員のテレワークでの労働時間を正確に把握する必要があります。

この課題を解決するには、クラウド勤怠管理システムを導入するのがよいでしょう。クラウド勤怠管理システムでは、スマートフォンでの勤怠打刻や、PCログによる実働把握が可能なため、テレワークでの勤怠管理を格段に効率化できます。

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テレワークの情報セキュリティ対策

企業や組織へのサイバー攻撃や情報漏えいが増加している今日、テレワークでの情報セキュリティ対策が強く求められています。企業は、管理職やIT部門、セキュリティチーム、人事労務と協力して「情報セキュリティポリシー」を策定する必要があります。

企業における情報漏えいの多くは、従業員の紛失・置き忘れや誤操作、内部不正行為によるものです。労務管理のセキュリティ対策の課題は、テレワークにおいて従業員のセキュリティ意識を高く維持することにあります。

労務管理担当者は、IT管理者と協力して、一般的な情報セキュリティ対策の教育を実施するほか、よくあるフィッシングメールの特徴や、最近起こった標的型攻撃の事例を従業員と共有するのもよいでしょう。

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労務管理に求められる今日的役割

労務管理の重要な役割として、従業員一人ひとりの仕事への意欲やエンゲージメントを高める職場環境を整えることが挙げられます。

従業員のメンタルヘルス対策

企業では近年、メンタルヘルスが原因で心身の不調を訴える従業員が増加しています。

厚生労働省が、2021年に行った労働安全衛生調査によれば、「仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じることがある」と回答した労働者は全体の53.3%でした。また、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者や退職した労働者がいた事業所の割合は10.1%です。

※参照:厚生労働省「 令和3年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概況

テレワークにおける孤独感や仕事のモチベーション維持の難しさ、人手不足による過重労働やプレッシャーは、従業員のメンタルヘルス不調の原因となります。

管理職と協力して従業員のメンタルヘルス対策を促進することは、労務管理の重要な役割です。

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従業員エンゲージメントの向上

従業員の働き方やエンゲージメントを可視化し、職場の問題や人事評価の不満に対応することも労務管理の重要な役割です。

人事労務担当者が、従業員エンゲージメントを向上させるためのさまざまな施策を積極的に提案することは、離職率が減り、企業の持続的な成長につながっていきます。

従業員エンゲージメントについて詳しく知りたい方は、ぜひ次の記事も参考にしてください。

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ダイバーシティの許容

国内の労働力不足を補うために、さまざまな業種や企業で外国人の雇用が増加することが予測されています。労務管理では、マニュアルやツールの多言語対応、機械翻訳システムの活用のほか、外国人従業員の宗教や習慣を考慮に入れた勤怠管理や福利厚生が必要です。

さらに労務管理の役割として、職場で人種差別やハラスメントが起こらないよう、ダイバーシティを許容する組織文化を育んでいくことも求められます。

労務管理の課題の解決策

日本国内における少子高齢化は、さまざまな業種や企業に深刻な労働力不足をもたらしています。そのため労務管理には、社内の人手不足やリソース不足の問題に対応しながら、企業の生産性を高める取り組みが求められています。

ITツールの導入と定着

企業は、限られた人員で経営効率を上げるために、ITツールの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。紙ベースの書類のやりとりや手間のかかる手作業をなくすことで、従業員が価値のある仕事に集中できる職場環境を実現できます。

労務管理担当者は、IT管理者と協力して、最も業務の省力化と自動化に役立つITツールを選定し、マニュアルや研修を通して社内に定着を図る役割を担うことになります。

たとえば、新たに経費精算システムを導入すれば、テレワークの従業員や営業担当者が出社することなく、経費や交通費を精算できるように効率化できます。

従業員間での、ITツールの効果的な使い方やベストプラクティスの共有を促進させ、しっかりと定着を図っていくことも、労務管理の新たな役割の一つになるでしょう。

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業務委託・アウトソーシング

社内の人手不足の課題の解決策としては、外部への業務委託やアウトソーシングがあります。

それに伴い、労務管理は、リモート雇用にまつわる雇用契約とコンプライアンスの確保に対応する必要があります。具体的には、フリーランスや業務委託先に対する「電子契約」の締結・管理業務が発生します。

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労務管理システムの活用

労務管理システムや勤怠管理システムを導入することで、テレワークや多拠点における従業員の労働時間や勤怠状況の正確な把握が可能になります。

飲食や物流業界などでは、シフト管理システムを導入して、迅速にシフト作成を行うことで、人員の過不足なく業務を回せるようになります。

労務管理の負担が低減されることで、人事労務担当者は、人材育成や能力開発、人事評価制度の改善といった、人的資本経営のための業務に積極的に取り組んでいけます。

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労務管理の課題解決におすすめのシステム

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労務担当者のスキルアップに「労務管理士」

労務管理を担当するうえで、「社会保険労務士」と「労務管理士」の2つの資格があります。

社会保険労務士(社労士)は、労働問題と社会保険制度の専門家です。資格を得るためには、国家試験に合格しなければなりません。社会保険労務士の資格を取得した人は、社内の労務管理担当として優遇されるだけでなく、資格を生かして独立・開業をすることも少なくありません。

労務管理士は、労務管理の民間資格(運営は一般社団法人日本人材育成協会・一般社団法人日本経営管理協会)になります。主に、社内人事制度の改善といった専門知識を有していることを示すものです。社内でのキャリアアップや成長を狙う人には、取得をおすすめする資格です。ただ、社会保険労務士とはできる仕事の領域が異なり、独立に結びつけるまでは難しいかもしれません。

上記2つの資格はいずれも、取得すれば確実に労務管理担当者のスキルアップにつながります。

労務管理の課題を改善して競争力のある人的資本経営を

労務管理の3つの課題とは、雇用形態の複雑化、労働時間の適正管理、テレワークへの対応です。働き方改革や従業員のメンタルヘルス対策に適正に対応し、従業員エンゲージメントを向上させることが、労務管理の今日的役割となります。

労務管理の課題や問題点を改善して、人材の価値を最大化し、競争力のある人的資本経営を目指しましょう。

労務管理を行ううえでは、クラウドサービスを活用することで業務効率を大幅に上げられます。業務改善のためには、ITツールの導入も積極的に検討しましょう。

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