労務管理の課題とは?企業が抱える問題と適切な労務管理で得られる効果

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労務管理とは
労務管理とは、企業において従業員が円滑に働くための環境整備をすることです。従業員の勤怠管理や給与精算、社会保険や労働保険などの手続き、健康診断の企画、労働組合の対策といった、会社の裏方を担う部署が行っていることが該当します。
労務「管理」と言われるとおり、従業員の情報、社内ルールの情報、多様な情報を適切に管理・運用することが求められます。
労務管理の注意点
労務管理を行う上で、重要となるのがさまざまな労働関連法規です。2015年の10月に「一億総活躍社会」と首相官邸から声明が出されてから、より多くの人が活躍しやすい環境を整えるため、多くの変更が加えられています。労務管理担当者はそういった変更点を的確に理解し、社内に適用させなければなりません。
しかしその一方で、労働基準法を順守していては今までどおり会社を運営するのは難しい…という状態の企業もあるかもしれません。労働環境を是正しないままであると、その結果「ブラック企業」とのレッテルを張られてしまい、社会的信用も失い、従業員の離職や採用の難航に陥ってしまうことも考えられます。
自社がコンプライアンス上問題のない運営ができているか労務管理者の目線で把握し、必要に応じて改善案を出し、常に訂正することが求められるのです。
労務管理で防げるリスク
過重労働
長時間労働は健康はもちろん、メンタルヘルスにも大きな影響を及ぼし、過労死や自殺を招く原因になるといわれています。労働基準法によって労働時間は1日8時間以内、1週間で40時間以内と規制されています。労務管理によって、労働時間を管理すれば、過重労働のリスクを減らせるようになります。
給料や残業代の不払い
サービス残業は、労務管理で大きな問題のひとつといえます。労務基準監督署からの勧告・訴訟などのリスクはもちろんですが、健全な労働環境が整っていないことの証拠でもあります。
労務管理によるメリット
労務管理によるメリットは次のとおりです。
- 社員のモチベーション維持
- テレワークなど新しい働き方への対応
それぞれのメリットについて説明します。
社員のモチベーション維持
労務管理は、単に従業員を雇用する上での手続を行うだけではありません。適切に社内の環境を整えることで、社内風紀の維持や、従業員の生産性を向上させる役割もあります。
労務管理をする部署がしっかりとした社内ルールを作り、それを徹底することにより、社内全体の風紀・モラルが高まります。社内ルールを制定する際には、現場の声を元に社員にとって働きやすいものにすることも大切です。もちろん、作ったルールが形骸化しないよう、運用しながら改善していくようにしましょう。
法制度に基づいたルールが運用されれば、社員のモチベーションが上がることが期待されます。モチベーションが上がれば、社員は業務に意欲を持って望み、生産性が向上するようになるでしょう。
テレワークなど新しい働き方への対応
また、近年はテレワークが進み、在宅勤務を行う社員も増えてきました。労働時間や作業環境など、テレワークに対応した労務管理を行えば、さらに働きやすい環境の整備が進みます。
「長時間労働こそ美徳」という風潮は、今はもう過去のもの。適切な労働時間で成果を出し、それを十分に評価するような労務管理体制を構築することが、会社にとっても従業員にとっても重要な事なのです。
労務管理におすすめのツール
労務手続きを効率的に行えるシステムや環境を整備し健康経営をサポートするツールについて紹介します。
本記事で掲載している労務管理システムや、今回紹介しきれなかったツールの機能・価格をもっと詳しく比較したい方はこちらからご覧になれます。ぜひツール選定の参考にしてみてください。
ジョブカン労務HR - 株式会社DONUTS
- 書類の自動作成
- 申請手続きがオンラインでできる
- 従業員の情報に柔軟に対応
ジョブカン労務HRは、社員の入社から退社までに必要となるさまざまな手続きを自動化してくれるクラウド型の労務管理サービスです。電子申請に対応しており、役所への申請もパソコンから簡単に行えます。煩雑な作業の多い労務まわりの業務時間を軽減し、組織の生産性を向上させます。
オフィスステーション 労務 - 株式会社エフアンドエム
- 手続きに必要な情報を自動入力
- シンプルな画面構造と便利で簡単な機能
- マイナンバーに完全対応
オフィスステーション労務は、社会保険や労務保険の手続き業務を効率的に行えるクラウド型労務手続きシステムです。便利で簡単な機能を搭載し、シンプルな画面構造なので誰でも簡単に使えます。登録データから手続きに必要な情報を自動入力でき、データが変更された際にも自動で更新してくれます。また、マイナンバーやe-Gov電子申請APIに完全対応しているので、業務工数を削減することに役立ちます。
オフィスステーション 年末調整 - 株式会社エフアンドエム
- スマートフォンとパソコンへ対応し申請者の入力を楽に
- 証明書のファイルを添付しペーパーレス化
- タスク通知や書類回収、内容確認を一元管理
オフィスステーション 年末調整は、年末調整をペーパーレス化し書類の回収やチェックを効率化するシステムです。本記事で紹介しているオフィスステーション労務と連携すれば、さらに便利に利用できます。
パソコンはもちろん、スマートフォンにも対応しているため、申請者は移動中や業務の合間にデータを入力可能。証明書をオンラインにて添付すれば、システムにて申請を完結でき紙の申告書が不要になります。進捗状況は自動で集計されるため、書類の回収やチェック、未回収者への連絡といった負担を軽減。利用料金は従業員数による従量課金であり、費用対効果が高いシステムです。
freee人事労務 - freee株式会社
- いつでもどこでも勤怠管理
- 従業員情報を一元管理、自動更新
- 過重労働がないか自動でチェック
人事労務 freeeは、クラウド型の勤怠管理システムです。マルチデバイス対応で、勤怠情報の入力と管理を場所にとらわれずに行えます。入力された勤務データと社内規定や各種法令を自動で照らし合わせ、違反の有無をチェック。過重労働や法令違反を確認する負担を軽減します。
また、従業員情報の一元管理も可能です。情報更新の予定がある場合、事前に予約できます。連携している給与システムや社会保険手続きなど、共通する情報の入力は1回で完了するため、業務の効率化と転記ミスの防止を実現します。
マネーフォワード クラウド社会保険 - 株式会社マネーフォワード
- 従業員ごとの申請や対応状況を可視化して漏れを防止
- 書類のレイアウト変更や算定月変の改定にも自動でアップデート
- 書類はPDF形式で出力できるため紙での申請にも対応
マネーフォワード クラウド社会保険は、社会保険の手続きや申請を効率化するシステムです。 マネーフォワードクラウド給与とデータ連携して、従業員の給与や基本情報を取得でき、社会保険の書類を簡単に作成できます。電子申請とペーパーレス化により、労務担当者の負担を減らせるでしょう。
クラウドハウス労務 - 株式会社Techouse
- 入社手続きや雇用契約の情報をオンラインで入力
- マイナンバーなどの重要情報は暗号化
- 専属の電話やメールサポート
クラウドハウス労務は、従業員のデータを一元管理し、入退社手続きや雇用契約、年末調整業務を効率化する業務支援サービスです。従業員データや年末調整の申請がシステム上で完結するため、ペーパーレス化および管理コストの削減に貢献。従業員と労務管理担当者の負担が減るだけでなく、従業員が本業に集中しやすくなり生産性向上に期待できるでしょう。
SmartHR - 株式会社SmartHR
- 人事情報を簡単に収集して各種書類を自動作成
- 手続きをすべてペーパーレスに
- 従業員情報を一元管理
SmartHRは、人事・労務の手続きを簡単にするクラウド労務管理システムです。人事情報は従業員に直接入力を依頼・収集でき、それをもとに各種書類が自動で作成されるので、担当者の作業の大幅な削減につながります。すべての手続きがWeb上で完結するので、紙の配布や管理をゼロへ。従業員情報を一元管理することで、煩雑なエクセルでの管理やペーパーワークが不要になります。
ARROW - 株式会社S&A
- 給与計算に連動したタイムカード打刻アプリ
- クラウド型なので法令改訂も自動で対応
- 各種書類への自動転記で作業負担が大幅軽減
ARROWは、シフト勤怠管理から給与の自動計算、各種書類への自動転記機能を兼ね備えた労務管理システムです。ICカードのタイムカード打刻と給与計算が連動しており、日々の勤務履歴から給与計算書の作成まで完全に自動化できます。クラウド型のサービスであることから法令改訂なども自動で反映されるため、ユーザーがアップデートしなくても常に最新の状態で利用できます。複雑な年末調整も質問に回答していくだけでスピーディに完了できるので、年末の煩わしいタスクの一つから解放されます。
BeeMyNo - 株式会社ファーストステップ
- 二重ログインと二重暗号化で安心のセキュリティ
- 申請書はマイナンバー記載済み
- 閲覧ログの自動作成とダウンロードが可能
BeeMyNo「法的帳票出力」は、申請書や帳票にマイナンバーを記入済みで出力してくれるシステムです。法的な書類の多くはマイナンバーを確認する必要があるものが多く、それらの手間を一気に省いてくれるシステムです。便利さに加えて、情報漏えいが心配な個人情報も二重ログインと二重暗号化で保護しているためセキュリティの側面でも安心です。
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こちらの記事では、労務管理システムをはじめとする労務管理に役立つサービスを紹介しています。気になるかたはぜひご覧ください。

労務担当者のスキルアップに「労務管理士」
労務管理を担う上で、「社会保険労務士」と「労務管理士」という2つの資格があります。
「社会保険労務士」は社会保険や給与計算、資金調達などのスペシャリスト。資格を得るためには、国家試験に合格しなければなりません。社会保険労務士の資格を取得した人は、社内の労務管理担当として優遇されるだけでなく、資格を活かして独立・開業をすることも少なくありません。
「労務管理士」は民間資格になります(運営は一般社団法人日本人材育成協会・一般社団法人日本経営管理協会)。主に、社内人事制度の改善などの専門知識を有していることを示すものです。社内でのキャリアアップや成長を狙う人には、取得をおすすめする資格です。ただ、社会保険労務士とはできる仕事の領域が異なり、独立に結びつけるまでは難しいかもしれません。
上記2つの資格はいずれも、取得すれば確実にスキルアップにつながります。
労務管理担当者になったら
労務管理を行う上で、それぞれの手続について専門性を高めたり、なにか改善できることはないか周囲に気を配ったり姿勢も大切ですが、定期的に発生する業務には「効率化」という目線からも切り込んでみましょう。
たとえば、勤怠管理や書類提出スケジュールなどは、クラウドサービスを活用することで業務効率を大幅に上げられます(具体的なサービスについては、以下の記事で紹介しています)。

労務管理は、地味ながら会社にとって無くてはならない存在。今一度その存在意義を見直してみましょう。
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