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顧客ロイヤルティとは?満足度向上実現のマーケティング戦略を解説

最終更新日:(記事の情報は現在から481日前のものです)
顧客ロイヤルティ(顧客ロイヤリティ)とは、顧客満足(CS)を超えた企業に対する信頼や愛着、高い忠誠心です。顧客ロイヤルティを高めるメリットと方法について、顧客満足度や売上を向上させるマーケティング戦略を紹介します。

企業の売上と利益向上を目指すには、顧客ロイヤルティ(顧客ロイヤリティ)は欠かせません。インターネットの普及により、顧客はさまざまな手段で情報を入手し、商品・サービスを購入する手段も多様化しています。

情報や商品・サービスの購入手段が多様化する中で顧客の解約を防ぎ、新規顧客を増やしていくには、顧客満足度だけでなく、顧客ロイヤルティを高めることも重要です。

顧客ロイヤルティの必要性やメリット、マーケティング戦略について紹介します。

顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティ(カスタマーロイヤルティ)とは、顧客が特定のブランドや企業に対して感じている、「信頼」や「愛着」の度合いのことです。商品やサービスへの満足度ではなく、ブランドや企業そのものへの評価が重要で、強い信頼や愛着をもつ顧客はロイヤル顧客と呼ばれます。

ロイヤルティ(ロイヤリティ)とは英語の「Loyalty」のことで、もともとは忠誠心を表す言葉です。顧客ロイヤルティが高まることにより、商品・サービスが継続して購入され、売上と利益が向上します。またロイヤル顧客は、商品・サービスを友人や知人に勧め、集客やマーケティングにも積極的に協力してくれます。

顧客ロイヤルティを高め、戦略的に経営に活かすことは、企業活動にとって重要な要因のひとつです。無印良品・楽天・マクドナルドなど、さまざまな企業が企業ロイヤルティに着目しており、マーケティング戦略を行っています。

顧客ロイヤルティが重視される理由

顧客ロイヤルティが重視される理由の一つには、顧客獲得にかかるコストが高い点が挙げられます。「企業の売上の65%は既存顧客がもたらし、新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するコストの5倍かかる」といったデータもあるほどです。

もちろん新規顧客開拓も重要ではありますが、既存顧客をおろそかにすると顧客が離れ、結果的に大きな損失につながります。そのため既存顧客の信頼や愛着を高め、「感情的」な関係性を強化することは、企業の損失を防ぐためにも重要です。

とくに、継続利用を見込んでいるサブスクリプションモデルのサービスにおいては、継続期間が長いほど収益も上がるため、顧客ロイヤルティの重要性は非常に高いと言えるでしょう。

また、ロイヤルティの高い顧客は利用頻度や購入単価が高く、同じ商品を何度も購入する傾向にあります。利益向上につながりやすいことも、顧客ロイヤルティが重視される理由の一つです。

顧客ロイヤルティと顧客満足度との違い

顧客ロイヤルティは、「商品・サービスや企業への信頼や愛着・忠誠心」を表すことに対して、顧客満足度は「製品やサービスへの満足度」を表す指標です。顧客満足度は過去の行動への評価であり、顧客満足度が高い顧客が将来も継続的に購入・利用してくれるとは限りません。

しかし、顧客ロイヤルティの高い顧客は、現在進行形で企業やブランド自体に愛着や信頼を寄せているため、将来的かつ長期的な利用が見込めます。また、口コミやSNSでの拡散など、積極的によい評判を広めてくれるといった行動面での傾向も、顧客満足度が高い顧客と異なります。

顧客ロイヤルティを高めるメリット

顧客ロイヤルティを高めるメリットは次のとおりです。

  • リピート率の向上・解約率の低下
  • 顧客単価アップ
  • 口コミでの拡散
  • 新規サービスの展開

企業ロイヤルティを高める個々のメリットについて詳しく解説していきます。

リピート率の向上・解約率の低下

顧客ロイヤルティの向上はリピート率を高め、解約率を下げるメリットがあります。顧客ロイヤルティの調査結果でまず共通することは、「ロイヤルティが低い顧客の購入回数よりも、ロイヤルティが高い顧客の購入回数の方が高い」点です。

またロイヤル顧客は、同じ商品・サービスの継続利用にくわえ、「あの企業・ブランドなら安心できる」と同じ企業の別商品・サービスも購入しやすい傾向にあります。サブスクリプションモデルのサービスであれば、ロイヤルティ向上は解約率低下にもつながるでしょう。

企業としても、リピート率が高まれば、新規顧客を開拓する労力を顧客の維持に回せるようになります。効率的な経営につながることも、顧客ロイヤルティ向上の大きなメリットです。

顧客単価アップ

顧客ロイヤルティの向上は顧客単価が上がることもメリットです。ロイヤルティが高い顧客はロイヤルティが低い顧客に比べ、1.3倍の購入金額が高くなる調査結果もあり、年間平均購入金額にも大きな影響が出ます。顧客ロイヤルティを高めれば、少ない顧客で売上向上も期待できるでしょう。

少子高齢化もあり、今後新規顧客の獲得は難しくなると考えられます。しかし、顧客ロイヤルティを重視した販売戦略を取れば、顧客ごとの単価がアップでき、効率的な企業活動が実現できます。

口コミでの拡散

顧客ロイヤルティの向上は口コミによる拡散のメリットがあります。ロイヤルティが高い顧客は、使用している商品・サービスの満足度も高いため、積極的に周囲にすすめることも少なくありません。近年では、ロイヤルティが高い顧客を集め、ソーシャルメディアを活用して口コミ拡散を行うケースもあります。このように顧客ロイヤルティを高めていくことは、新規顧客獲得にもつながります。

新規サービスの展開

顧客ロイヤルティの向上は新商品・サービス展開へのメリットもあります。ロイヤルティが高い顧客は、商品・サービスに愛着があるからこそ、建設的な意見を提出してくれます。こういった顧客の意見を参考にすれば、新商品・サービスや新規事業開発をよりよいものにできるでしょう。また、ロイヤルティが高い顧客に対し、意見交換会やモニター会を開催すれば、発売前から見込客の獲得も可能です。

顧客目線での商品開発は、需要の高い商品につながるので、マーケティング戦略のヒントにもなります。顧客との関係性を重視することが、今後の企業活動にとってのポイントといえます。

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顧客ロイヤリティで重要となる指標

顧客ロイヤルティにおいて重要な指標には、次のものが挙げられます。どれも顧客ロイヤルティを図るうえでの基準となる指標です。

  • NPS(ネットプロモータースコア)
  • 顧客満足度
  • 継続利用意向
  • LTV(ライフ・タイムバリュー)

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSはアンケートを活用して、「サービスや製品を友人や家族にすすめたいと思うか」を0〜10点の11段階で回答をもらい、顧客ロイヤルティを数値化する指標です。顧客がブランドに対してどの程度の信頼や愛着があるかを、わかりやすく数値化できます。

またNPSの数値が向上していれば、製品やサービスを他社にすすめたい人が増えていると考えられるため、収益性の予測にも役立ちます。

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顧客満足度(CS)

顧客満足度(Customer Satisfaction/CS)は、顧客がどの程度製品やサービスに満足しているかを数値化した指標です。サービス購入前の期待値と、実際の満足度の差で算出できます。

ただし、顧客満足度の数値が高くても、顧客ロイヤルティが高いとは限りません。たとえば、価格メリットだけを理由にサービスを利用している顧客は、現状に満足していたとしても、他によい製品やサービスがあれば乗り換える可能性もあります。

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継続利用意向

継続利用意向は、今後もサービスや商品を利用し続けようと考えているかを調査する指標です。継続利用意向が高ければ、商品へのブランドへの愛着や忠誠心が高く、ロイヤリティが高いと判断できます。

調査方法はアンケートで、将来も同じ製品やサービスを利用したいかを0〜10の11段階で評価します。そのほかリピート率といったデータも、継続利用意向の目安として活用できるでしょう。

LTV(ライフ・タイムバリュー)

LTVは「顧客生涯価値」のことを言い、一人の顧客から取引開始から終了までの間に、顧客が企業にもたらす価値のことです。リピート率や購買頻度をもとに算出するため、顧客ロイヤリティの指標として利用されます。

LTVの分析により、利用期間や金額、利用頻度など、行動面におけるロイヤルティの把握が可能です。ただし、LTVが高い場合でも、製品やサービスに愛着のない顧客も含まれている可能性があります。LTVが高いとしても、必ずしも顧客ロイヤルティが高いとは言えません。

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顧客ロイヤルティを高める方法

顧客ロイヤルティを高める方法としては、次の手順(1)~(4)があります。中でも手順(1)の顧客の声収集と顧客DB(リスト)の構築、手順(3)のプロモーションの実施と効果評価(レイティング)が重要と言われています。

1. 顧客の声収集と顧客DB(リスト)の構築

まず重要なのは顧客の声に耳を傾け、現状を正確に把握することです。ユーザー心理を調査するため、定性的な調査になりがちですが、正確に状況を把握するためには定量的な調査が必要です。前述した「NPS(ネットプロモータースコア)」や、感動指数などの指標を用いて、数値でデータを収集しましょう。

また作成するアンケートは、極力設問を少なくシンプルにして、オンラインから手軽に提出できるといった配慮も必要です。ユーザーが回答しやすい状況をつくり、なるべく多くの声を集められるようにしてください。

また顧客データベース・顧客リストを構築し、更新管理をすることも大切です。収集したデータと顧客データを紐づけられれば、より正確な分析ができ、顧客対応もしやすくなります。

顧客データベースの構築と更新管理は、「クラウド、モバイル、ビッグデータ、ソーシャル」を利用して、すばやい構築や柔軟な機能拡張、コストの抑制を実現させるケースもあります。こうしたツールを利用する方法については、次の記事を参考にしてください。

2. 顧客の分類とプロモーション施策の検討

収集したデータをもとに、顧客を収益性やNPSでランクにわけ、ランクごとにプロモーションを考えます。プロモーション施策を考えるうえでは、サービスにおけるどの要素が、ロイヤルティに影響しているかを分析することが重要です。

ユーザーが利用している商品・サービスの違いや、顧客の年齢や性別といった属性による違いなど、さまざまな視点から分析を行いましょう。ロイヤルティが低い原因がわかれば、おのずと必要なプロモーション施策も見えてきます。

3. プロモーション施策の実施と効果の測定

プロモーションを実施して、実施前と実施後で効果を評価しましょう。たとえば、収益性は高いがロイヤルティは低い顧客に対しては、イベント・特典の充実した会員制システムやポイントプログラムの導入で特別感やお得感を演出します。

また実施するだけでなく、プロモーションの評価を数値データで行い、売上額と使用比率(シェア)を中心に効果評価(レイティング)を行います。効果評価がいい顧客と悪い顧客それぞれに対して、改善点を明確にすることが重要です。

4. プロモーション施策の評価・実施・改善

顧客ランクごとに次のプロモーションを策定・実施します。そして実施後の問題点や課題を洗い出し、次のプロモーションを考える、これを繰り返します。得られた情報は各担当者や関係者にフィードバックし、商品開発といった業務で活用しましょう。

こちらの記事では、顧客満足度を向上させる施策や仕組みについて解説しています。気になる方はぜひ参考にしてください。

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顧客ロイヤルティ向上の成功事例

最後に、顧客ロイヤルティ向上のプロモーションや戦略を考えるうえで参考になるよう、2つの成功事例を紹介します。このほかにも、顧客ロイヤルティ管理の成功事例としては、東京ディズニーランドの圧倒的な集客力・リピート率といったものも挙げられます。

東京地下鉄株式会社(東京メトロ)

東京の地下を走る「東京メトロ」では、民営化をきっかけに、自社の取り組みを知ってもらうため駅に並べるパンフレットを作成。またパンフレット内に、パンフレットを評価するためのアンケートを掲載し、利用者の声を集めました。

しかし、初期のころはごく簡単なアンケートにフリーコメントがあるだけの仕様だったため、データの分析が難しく改善活動に生かせる部分はわずかでした。そこでアンケートを、NPSを活用したものに刷新したところ、顧客のロイヤルティとロイヤルティを左右する要因の可視化に成功。

また、改善されたパンフレットの効果もアンケートで確認できるため、PDCAを回しやすくなりました。そして、最終的にパンフレット作成の目的である、「ロマンスカーの利用訴求を通じて路線の価値を向上させること」を達成しました。

事例詳細:東京メトロは顧客の声で進化する!オフラインでもできる、NPSを利用したサービス改善

株式会社コナカ

「紳士服のコナカ」を中心に、紳士服・スーツの販売を専門に行う株式会社コナカでは、新事業としてオーダースーツ専門店「DIFFERENCE」を立ち上げました。オーダースーツは、テイラーと顧客とのコミュニケーションが重要であり、2人の間でロイヤルティが高まると高いリピート率につながります。

また、1度スーツを購入すると、次に購入するまで2年程度の期間が空くため、次も購入してもらうために2年間しっかりコミュニケーションをとる必要がありました。そこで、オーダースーツの購入顧客に対して、テイラーからメールを配信するシナリオを作成。

さらに、購入後1年間は無料でスーツを再調整するサービスを付加しました。結果、メールの開封率は60%以上となり、顧客からも返信が多く寄せられて、顧客とのエンゲージメント確立につながりました。

事例詳細:コナカ事例:店舗とオンラインをまたいでシームレスな顧客体験を提供する”DIFFERENCE”

顧客ロイヤルティで企業への信頼を得よう

顧客ロイヤルティは、提供された商品・サービスに対し顧客が期待以上の体験や価値を感じたときに向上します。ロイヤルティが向上すれば、顧客単価がアップしリピート率も向上するため、効率的な経営が実現できます。

少子高齢化が進む現代の日本では、どのように顧客ロイヤルティを向上できるかが、今後ますます重要なポイントとなるでしょう。

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