カスタマーサポートの価値・事例は?LTV最大化に重要な伴走支援の新しいCS

カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとは、企業が提供する製品やサービスを購入、これから検討している見込み顧客の疑問や不満を解決する企業活動です。BtoC企業に限らずBtoB企業でもサポート部門を設置し、問い合わせ対応や製品・サービスに関する情報提供を行うことで顧客満足度の向上につなげています。
これまではコストセンターとして扱われることが多く、収益に直結しないため注力していなかった企業も多いのではないでしょうか。また、クレーム処理が辛い、キャリアステップが描きづらいなど職種に対するネガティブな印象があることも、注力されない理由かもしれません。
近年はチャットボット・AIなどのテクノロジーの発達で、顧客データの分析に加えて、顧客満足度の向上によるリピート・紹介など収益化の面で、カスタマーサポートがあらためて注目されています。
本記事では顧客サポートに対する新しい考え方を紹介するとともに、事例を解説しながら最新のサポートツールも紹介します。
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- カスタマーサポートとは
- テクニカルサポート、ヘルプデスクとの違い
- 実はマーケ側面もある?潜在ニーズも汲み取るカスタマーサポート
- カスタマーサポートが社内で注力されづらい理由
- カスタマーサポートはネガティブ印象が強い
- 限定的な業務範囲とキャリアステップ
- 役割が不明確、利益貢献が見えづらい「コストセンター」
- あらためて注目されるカスタマーサポートの価値と必要性
- 顧客離れの約70%はサポート不足が原因
- 売上維持だけではない、二次収益につながるサポート
- 顧客の声をフィードバックで製品開発・改善
- 事例から見るカスタマーサポートの最前線!
- 先回りでCS対応ゼロへ、自動化でストレスを軽減:トレタ
- 通話時間の短縮による付加価値の提供:さくらインターネット
- 成長企業のカスタマーサポートを支えるツール
- Growwwing
- クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)|Qualtrics
- KiZUKAI
- pottos
- CustomerCore
- ヘルピング・クライアンツ・サクシード
- 問い合わせを削減&自動化 | チャットボット・FAQシステム
- 問い合わせの一元管理で対応漏れを防止 | メール共有システム
- これからのカスタマーサポートは、マーケ視点と併走支援
- マーケティング視点でプロダクト改善
- サポートを超える「伴走支援」カスタマーサクセス
- BOXILとは
テクニカルサポート、ヘルプデスクとの違い
日常的によく耳にするカスタマーサポートという言葉ですが、テクニカルサポート(ユーザーサポート)やヘルプデスクとの違いって何だろう?と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。類似ワードを比較することで、役割について理解を深めましょう。
カスタマーサポート | テクニカルサポート | ヘルプデスク | |
---|---|---|---|
対象製品・サービス | すべてのサービス・製品 | IT機器・製品 | IT製品・機器(PC・業務ツール) |
対象顧客 | BtoB・BtoC | BtoB・BtoC | BtoB・BtoC |
役割 | 製品の購入 検討顧客のサポート |
製品の故障対応 操作方法の案内 |
操作方法の案内 社内システムの対応 |
テクニカルサポート(ユーザーサポート)はIT機器・製品を提供している企業での顧客サポートに使われる言葉です。実際にgoogleで検索すると、ITメーカーやサーバー・ネットワークインフラを提供する業界の企業の求人がヒットします。
ヘルプデスクの場合は、顧客だけでなく社内で利用している業務システムやPCに関するサポートも対象に含まれます。社内ヘルプデスクという言葉もありますが、この場合は情シス部門の業務ということになりますね。
実はマーケ側面もある?潜在ニーズも汲み取るカスタマーサポート
問い合わせが来る場面を思い出してみるとわかりやすいかもしれませんが、実はカスタマーサポートは、マーケティングの側面もあります。
企業のホームページに、ユーザーが困らないようFAQや問い合わせフォーム・電話番号などを設置していると、製品やサービスを利用している企業からだけでなく、これから検討している見込み顧客からの連絡が来ることもありますよね。
顧客が「どんな情報を求めているか」「どこで情報を探しているか」を理解しているのは、顧客に接する機会が一番多いサポート部門といえます。マーケティング部門との連携強化で見込み顧客獲得を検討してみましょう。
カスタマーサポートが社内で注力されづらい理由
では、カスタマーサポートがあまり注力されず社内での優先度が高まらない理由はどこにあるのでしょうか。
カスタマーサポートはネガティブ印象が強い
「サポート部門が絶対必要」という方は多くないのが実際のところではないでしょうか。というのもまず、カスタマーサポートに関するイメージがあまり良くないことが挙げられるためです。
上記の図はWeb上での月間検索回数がどれくらいあるのかを表しています。やはり、サポートセンターに関連する業務はクレーム処理が多く、ストレスを感じやすいといったネガティブな印象を持っている人が多いようです。
限定的な業務範囲とキャリアステップ
(1)マニュアルによる限定的な業務
筆者自身もコールセンターでの業務経験があるのですが、サポートセンターの業務内容はある程度マニュアルが整備されているため、効率という点では非常に「仕組み化」がされているといえます。
一方で顧客に対してOne to Oneのコミュニケーションという点では少し見劣りしてしまいます。
(2)イメージしづらいキャリア
コールセンターでは、センター長・SV(スーパーバイザー)・オペレーターといったピラミッド型の組織構造となります。また、先ほど紹介したようにサポートセンターに関する印象は良いとは言えないため、離職率も高いことが想定されます。
そうなると、組織の中に顧客に合わせたオリジナルコミュニケーションのノウハウは蓄積されないという負のスパイラルに陥りがちです。
上記のような状況にならないためには、カスタマーサポートにおける「明確なビジョン」と「キャリアステップ」を示せるリーダーの存在が重要なのかもしれません。
役割が不明確、利益貢献が見えづらい「コストセンター」
カスタマーサポート部門というと営業部門とは違い、売上に貢献する数字が見えづらい点も注力に踏み切れない理由の1つかもしれません。
社内での収益貢献が見えづらいと、経営判断としてはコスト削減の対象となってしまいます。カスタマーサポート職に関する平均年収は300〜400万円前後。「社内でのコスト削減」→「薄まる価値提供」→「給与水準の低下」といった具合に、こちらも負のスパイラルに陥ってしまっていると考えられます。
あらためて注目されるカスタマーサポートの価値と必要性
しかし近年、SaaS・サブスクリプションモデルの普及により「顧客にいかに継続してもらうか」という観点から、あらためてカスタマーサポートの役割や価値が見直されています。
ここからは、カスタマーサポートの必要性やメリットについて紹介します。
顧客離れの約70%はサポート不足が原因
既存顧客が自社から離れていく理由は何でしょうか。サービス・プロダクト品質への不満が多いかと思いきや、実は一番の理由はサポート不足という調査結果があります。
引用:[調査結果]顧客が離れる理由と対処法5つ | ザ・レスポンスより
上記のグラフは、マーケティング情報をまとめているザ・レスポンスにて紹介されているロックフェラー・コーポレーション社の調査結果です。
顧客が離れる一番の理由は、サービスではなく人です。営業部門やサポート部門の方はもしかするとこういった経験もあるのではないでしょうか。実際、筆者も社内外で「なぜサービスを利用してくれているのか」という問いに、「品質は劣る部分があるが、営業担当が気にかけてくれるから」という声を何度か聞いたことがあります。
2018年のSaaS業界レポートではサブスクリプションモデルの平均成長率は10%を越えており、今後さらに継続課金型のサービスも増えることが予想されるため、長期的にサービスを利用してもらえる状況をつくることだけでも会社の売上に貢献しているといえます。
売上維持だけではない、二次収益につながるサポート
顧客・売上維持というと守りの要素が少し強いかもしれませんが、カスタマーサポートの収益貢献はそれだけではありません。
たとえばECサイトや店舗などのBtoC領域では、顧客をファン化することでリピーターにつなげています。また、できる営業はアフターフォローがうまいといいますが、既存顧客からのアップセル・クロスセルや紹介をもらうことも収益貢献の1つです。
顧客の声をフィードバックで製品開発・改善
顧客との距離が一番近いのがカスタマーサポート部門です。既存顧客とのコミュニケーションの中では製品に関する不満・改善の要望などをもらう機会は少なくないでしょう。
製品開発部門へ顧客の声をフィードバックすることで、より良い製品・サービスに育てていくこともカスタマーサポートの価値といえます。
下記の記事ではカスタマーサポートの重要性と組織構築について解説しています。

事例から見るカスタマーサポートの最前線!
ここからは、顧客との伴走支援を軸にしたカスタマーサポートを実践する企業の事例を紹介します。
先回りでCS対応ゼロへ、自動化でストレスを軽減:トレタ
飲食店向け予約管理システムを提供するトレタ社では、問い合わせ数を減らすことが顧客満足度につながるという視点で工数削減に取り組んでいます。
たしかに思い返してみると問い合わせが発生するということは、現状のWebサイトの内容では疑問が解決されていないということになります。
また問い合わせやクレームを未然に防ぐという点では、先回りした情報発信や利用開始2〜3週間前後にフォローコールを実施するアクティブサポートも行っています。場合によっては、利用担当者向けに製品説明会+フォローコールをすることもあるようです。
ユーザー数は増えても問い合わせ数は増えないというから驚きですね。
参考:問い合わせが来てからでは遅い?先回りのカスタマーサポート|トレタ 関根響 | キャリハック より
通話時間の短縮による付加価値の提供:さくらインターネット
さくらインターネット社では、CSの価値を「お客さま自体の成長」と「自身の感動体験を伝播してもらう」の2つに置いています。
また通常のコールセンターなどでは1件あたりの通話時間を短くすることが目標に設定されることが多いですが、同社は顧客の成長をサポートしていくという点に注力しているため通話時間のKPIは設けてないようです。
オペレーターの一人ひとりが顧客の行動に変化を促し、顧客成長のサポートする姿勢は、さまざまな業界でも手本にできるのではないでしょうか。
参考:年収1,000万円のカスタマーサポート?|さくらインターネット 榎本秀行 |キャリハックより
成長企業のカスタマーサポートを支えるツール
先ほど紹介したトレタ社の事例でも問い合わせを削減するという取り組みがあり、CS領域の製品もさまざまなサービスがリリースされ、自動化・効率化が進んでいます。次はカスタマーサポートを支援するツールについても紹介します。
- カスタマーサクセスに必須級の機能を網羅
- 顧客情報の効果的な管理運用を実現
- サービス改善のループを回し、解約率を軽減
Growwwing(グローウィング)は、サブスプリクションビジネスの成長を加速し、収益を最大化するカスタマーサクセス管理ツールです。
利用状況や行動履歴などの顧客情報収集やヘルスコアチェック、プレイバック管理、顧客Q&A対応、改善要望の蓄積、レポーティングといった、カスタマーサクセスに必要な機能を網羅。顧客情報を効果的に管理し、サービス改善のOODAループ(ウーダ・ループ)を回すことで、解約率を抑えます。
クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)|Qualtrics - クアルトリクス合同会社
- アンケートをもとに顧客体験を改善
- チャネルやデバイスを問わないアンケート
- データ分析で顧客体験価値を向上
クアルトリクス カスタマーエクスペリエンス(CX)は、顧客体験を改善するためにアンケート配信やデータ分析のできるシステムです。
回答するチャネルやデバイスを問わないアンケートにて回答率を向上。より多くのデータから顧客のインサイトを発見し対処できます。ほかツールと連携して顧客へより良い体験を提供できるよう設計しましょう。
- 顧客分析をリアルタイムに可視化
- LTVや解約率など重要なKPIを自動で算出
- 顧客をステージ別で管理して、顧客の動きを可視化
KiZUKAIは、サブスクリプションを提供している企業に向けた顧客ロイヤリティー改善ツールです。各所に散らばる大量の顧客データを、データ連携やトラッキングコードにより集約してデータベース化。データベースの構築や改良にかかる工数を削減します。AIにより解約リスクを予測分析して、フォローが必要な顧客をリスト抽出します。解約要因を把握することで、適切な改善アクション取りやすくなるでしょう。
- 顧客へのアプローチから担当者の業務管理まで豊富な機能を搭載
- ヘルススコアに応じた顧客へのアプローチの自動化
- BI機能搭載で、カスタマーサクセスのPDCAがpottosで完結
pottosは、カスタマーサクセス担当者の業務を支援する、BtoBに特化したカスタマーサクセスオートメーションツールです。
効率的にカスタマーサクセス業務を行えるよう、顧客の利用状況やヘルス状況に応じて、顧客へのアプローチやカスタマーサクセス担当者への通知、タスク生成を自動的に実施。利用状況に応じた自動セグメントやヘルススコア、顧客への「ポップアップ通知」や「メール配信」カスタマーサクセス担当者のタスク生成やPlaybook機能など、カスタマーサクセス担当者の業務を支援する複数の機能を搭載。顧客状況の把握や解約の防止、対応の属人化解消といったカスタマーサクセス担当者によくある課題を解決します。
CustomerCore - 株式会社リンク
- チームで顧客の課題やタスクを共有し、属人化を防止
- 顧客の状態変化をアラートを通知
- 顧客ごとでコミュニケーション履歴を一元管理
CustomerCoreは、顧客に関するデータを集約、分析し、顧客の状態をリアルタイムで把握できるシステムです。基幹システムやCRM、SFA、メールから顧客に関するデータを集約。連携したデータをシステムが自動巡回することで顧客の状態を適宜把握できます。優先的に対応を必要とする顧客を明確にできるため、適切なタイミングでアプローチが行えるでしょう。
ヘルピング・クライアンツ・サクシード - フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社
- 顧客から信頼される営業を育成
- 顧客のパートナーとして、深い関係性を構築
- 現場での実践をサポートする豊富なツール
ヘルピング・クライアンツ・サクシードは、顧客から信頼される営業プロセスを体系化した研修プログラムです。営業と顧客の間で信頼関係が構築されていれば、顧客は心を開いて抱えている課題について相談してくれるので、営業はより少ない労力で顧客に最適なソリューションを提案できます。
営業チームの全員にスキルを身につけることで、営業成績の差が少ない組織を目指せます。研修で学んだことを実践しやすいよう、マニュアルやワークシートといったサポートツールも充実しており、すぐに実務で活かせます。
問い合わせを削減&自動化 | チャットボット・FAQシステム
Webサイトの右側にチャット窓口があるのを見たことがある方もいるのではないでしょうか。チャットボット・チャットサポートツールは、顧客が疑問に感じたことをその場で解決できます。
また、チャットボットの場合は、あらかじめ想定される課題などを設置し、自動応答させることも可能です。

またFAQシステムを活用することで、顧客からよくある質問を整理・分析することでカスタマーサポートの効率化が実現できるでしょう。

問い合わせの一元管理で対応漏れを防止 | メール共有システム
メール共有・問い合わせ管理システムは、カスタマーサポート部門で利用される一元管理のシステムです。複数のメールアドレスを所有している場合に、別の担当者と共有できず二重に対応してしまう、対応が漏れてしまっているといった課題を解決してくれます。

これからのカスタマーサポートは、マーケ視点と併走支援
マーケティング視点でプロダクト改善
紹介してきたように、カスタマーサポートの領域でもテクノロジーの発達によって問い合わせ対応の自動化が徐々に可能となり、サポートにかかるコストの削減が予想されます。チャットボットのように問い合わせの自動化が進めば、顧客の行動や課題を集計し分析できるようになるはずです。
今後はさまざまなデータと向き合いながら、顧客がどんな情報求めているのか、どこで求めているのかを考えるマーケティング視点とそれを発信していくサービス改善スキルが必要になるでしょう。
サポートを超える「伴走支援」カスタマーサクセス
また、サブスクリプション型のサービスモデルも浸透してきており、いかに顧客と接点を持ちサービスを継続してもらえる状態を作れるかが鍵となります。最近ではSaaS業界を中心に顧客の成功を支援する「カスタマーサクセス」が注目されています。
サービスを継続して利用してもらうには、サービス解約のアラートが出てからでは動き出しが遅くなってしまいます。トレタ・さくらインターネット両社ßが実施するような、積極的なサポートで顧客に気づきを与える・伴走することがポイントになるのではないでしょうか。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」、Q&Aサイト「BOXIL SaaS質問箱」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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