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クロスセルとは?顧客満足度を高めLTV最大化する営業手法と注意点

最終更新日:(記事の情報は現在から162日前のものです)
クロスセルとは、顧客が自社の商品を購入した際に他の商品をあわせて買ってもらうことです。クロスセスが身につけば顧客満足度を高めLTVを最大化に大きく貢献してくれますが、難しく考えてしまいがちです。そこで、クロスセルとは何かや類似手法であるアップセルと比較しながら丁寧に説明します。

クロスセルとは

クロスセルとは、簡単にいえば顧客が商品を購入した際に、他の商品を合わせて買ってもらうことをいいます。

顧客単価を上げるために有効な手法として、マーケティングの世界では有名です。とくに、Webサイトから商品を注文した際に、「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」といった表示によって、販売促進を促す手法が代表的です。

顧客数を増やすことなく売上アップが可能になるため、ECサイトを中心に商品の分野を問わず広く使われはじめています。

クロスセルが注目される背景

日本のビジネスシーンでクロスセルが注目される背景としては、少子高齢化による人口減少や競合他社の増加により、新規顧客の獲得が業種を問わず難しくなっていることが挙げられるでしょう。

もともと売上の80%は2割程度の優良顧客によるリピート購入だといわれますが、人口減少や競合他社などの社会的な背景も後押しして、ますます既存客による購入が重要になっているわけです。

新規顧客を増やそうとし続けるよりも、一度購入を決断した顧客に対して即座に別の商品を薦めた方が成功率は圧倒的に高くなります。そのためクロスセルは、既存顧客を大事にしてLTV(生涯価値)を高めるといった考えのもと、顧客単価を増やすために非常に有効な方法として商品ジャンルを問わず注目されています。

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ECサイトのクロスセル

クロスセルが頻繁に使われているのがECサイトです。顧客のこれまでの購買履歴や、サイト閲覧履歴などをもとに、商品を注文時に注文別の商品をレコメンドする手法がよく使われています。

よく知られているのが、Amazonで購入した際に表示される「よく一緒に購入されている商品」や「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といった表示でしょう。この表示の有無によって、売上に大きな違いが出ることは多くのECサイトが証明しています。

アップセルとの違い

クロスセルに似た手法に「アップセル」があります。

商品購入後、または購入の意志を固めたタイミングの顧客に対するアプローチがクロスセルであるのに対し、アップセルは商品の購入を検討している段階の顧客に行うものです。

たとえば、Apple StoreではMacbookといった製品を注文しようとすると、製品のカスタマイズを薦める表示が出ます。表示をクリックすると、製品スペックをグレードアップや付属のアプリの追加といったカスタマイズが可能になります。

これによって、当初の予定よりも高額な値段でカスタマイズした製品を買う人は少なくありません。これが典型的なアップセルの手法です。

クロスセルのメリット

クロスセルを導入するメリットとして、次の3つがあります。

  • 顧客単価が向上する
  • 営業効率がアップする
  • 売りにくい商品を購入してもらいやすくなる

顧客単価が向上する

クロスセルは、本来販売したい商品に関連した商品を提案して追加で購入してもらう手法のため、一度の機会で販売できる商品数が増え、顧客単価を上げられます。顧客単価が上がれば、当然売上アップにもつながります。

クロスセルはコストがほとんどかからないため、利益率が高いこともメリットです。同じ売上アップを目指す場合でも、新規顧客を獲得するには宣伝が必要となり、コストや手間がかかります。しかし、クロスセルなら広告宣伝費がかからず、新規顧客獲得と比べ高い利益の獲得が可能です。

近年では人口減少やサービスの増加などの影響もあり、新規顧客の獲得は難易度が高いことを踏まえても、新規顧客獲得に注力するよりクロスセルで顧客単価の向上を目指す方が利益向上につながります。

営業効率がアップする

一度に複数の商材を提案して購入してもらうことで営業効率がアップすることも、クロスセルのメリットです。

新規顧客の開拓をせず、クロスセルを行うことで「商材ごとに個別で営業する」「新規顧客獲得のためのアポイントを取る」などの手間を省き、売上アップを実現できます。たとえ断られた場合でも、提案した商品を顧客に認知してもらえるため、将来的に購入につながる可能性もあるでしょう。

また、クロスセルによって関連商品を提案することにより、顧客満足度が向上する効果も期待できます。提案した関連商品が顧客にとって価値があるものならば、ブランドイメージや信頼度の向上につながる可能性が高いです。結果として、リピート利用や継続購入につながり、効率的に売上アップが期待できます。

売りにくい商品を購入してもらいやすくなる

クロスセルを活用すれば、単体では売れにくい商品を購入してもらいやすくなります。

単体では売りにくい商品でも、メインの商品と関連性の高い商品をセットで販売すれば、必要性を感じて売れやすくなります。たとえば、一眼レフカメラのレンズやメモリーカード、ケースなどは、カメラ本体と一緒に購入を薦めることで購入してもらえる可能性が高いでしょう。

クロスセルによって関連性や必要性の高い製品・サービスを提案できれば、顧客満足度も向上します。そのため、売りにくい商品は単体よりも、関連商品としての販売に力を入れることで利益の向上につながります。

クロスセルを行うステップ

クロスセルを行う際には、ただ関連商品を進めるだけではなく、次のステップで戦略的に行うことで成果につなげられます。

  • 顧客情報の収集・分析を行う
  • 戦略設計を行う
  • クロスセルを実行する
  • 効果検証を行う

顧客情報の収集・分析を行う

クロスセルの商品設計する前に、顧客が抱えているニーズや課題、購入の傾向などについて、情報収集や分析を行います。

クロスセルの成功には、顧客ニーズや商品ごとの関連性の分析が重要です。そのため、既存のデータから、どのような顧客がどのような商品を購入しているのか、どのような商品の組み合わせが適しているのかなどを分析します。

具体的には、次のデータを分析します。

  • 顧客属性
  • 購買履歴
  • 問い合わせ内容
  • Webサイトへのアクセス履歴

CRM(顧客管理システム)を活用して購入履歴や嗜好などを記録し分析することで、商品やサービスを選定しやすくなるでしょう。

商品設計を行う

顧客情報の分析結果から、提案する商品や提案する方法やタイミングを決め、商品設計を行います。

たとえば、「Aを購入した顧客はBも同時に購入する」といったように、特定の商品と同時に購入されている製品のパターンを見つけ出し、関連性の高い商品を明確にすることが重要です。提案する製品は関連性があり、同時購入により顧客の利便性向上につながるものである必要があります。

提案方法やタイミングは、提案する商品や業態によりさまざまですが、たとえばECサイトの場合なら、購入時にポップアップでおすすめ表示を行うといった仕組みが有効です。

クロスセルを実行する

提案する商品や顧客が決まったら、実際にクロスセルを実施します。

ただし、クロスセルは、ただ既存の営業活動の延長で行っても成果につながりません。実際に導入する前に、適切な準備を行いましょう。たとえば、訪問営業なら、クロスセルの提案方法をまとめたマニュアルやトークスクリプトを作成するといった準備を進めます。

ECサイトの場合は、関連商品をおすすめ表示する仕組みの構築を行いましょう。

効果検証を行う

クロスセルは、導入したら完了ではありません。効果の最大化に向けて効果検証を行い、改善を繰り返しましょう。

クロスセルの導入で実際に売上が増えたかどうかを確認し、提案する商品やタイミングの見直しを行います。たとえば、検証の結果、別の関連性の高い製品・サービスが見つかったり、逆に効果の出ていない組み合わせがわかったりすることもあります。

ただし、効果的な方法が見つかっても、PDCAサイクルを繰り返し、継続的な効果検証を行うことが大切です。データをもとに継続的に効果検証を行い、改善することで長期的に成果につなげられるでしょう。

クロスセルの成功事例

次に、クロスセルの成功事例を紹介します。

  • Amazon
  • Salesforce

Amazon

クロスセルに成功した企業として、もっとも知られているのがAmazonです。Amazonでは、顧客の購買履歴や閲覧データを活用したレコメンド機能により、顧客単価の拡大につなげています。

たとえば、商品購入の際に「よく一緒に購入されている商品」「この商品を買った人はこんな商品も買っています」などの表示で関連商品を紹介する方法で、クロスセルの提案を行っています。また、関連商品の紹介はページ下部に表示するといった工夫がされており、押し売りにならないように配慮しているのも特徴です。

Salesforce

Salesforceはクラウドベースの顧客管理システム(CRM)を提供する会社です。しかし、関連サービスとして、SFA(営業支援システム)やMAツール(マーケティングオートメーションツール)も提供しています。

CRMで蓄積した顧客情報を活用して、マーケティングの自動化や営業活動の効率化を行いたい場合もあるでしょう。そのため、Salesforceでは、CRMだけではなくMAやSFAなどのツールを提供し、必要に応じて組み合わせて利用できます。

Salesforceのように、1つの商品で顧客との関係を構築し、さらに必要な機能を追加で提供するといったことも、クロスセルの方法として有効です。

クロスセルの注意点

クロスセルの概要について説明したところで、実際にクロスセルを行う際に注意すべきポイントについて説明します。まずクロスセルの本質は何かを理解し、適切なタイミングで仕掛けることが重要です。

クロスセルの本質は顧客満足

クロスセルは単なる顧客単価のアップが目的なのではなく、最終的には顧客満足度を向上させるためのものであることを忘れてはいけません。

単価アップばかりに目を向けて押し売りのようなアプローチばかりをしていると、かえって顧客離れにつながってしまう可能性があります。

あくまでも「レコメンド(推薦)」のかたちで他の商品の購入を促し、それによって顧客により高い価値を提供するスタンスから外れないようにしましょう。
顧客が気づいていない価値や、新しいメリットを生み出せるような、的確なレコメンドを行うことで、満足度の向上につなげられます。

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顧客視点で行動するには

顧客視点で行動し、的確なレコメンドを行うには、顧客の基本的な思考を理解する必要があります。

顧客がどのようなことに価値を見出し、どのようなメリットを得たいと考えているのかを調査・分析し、適切な商品提案を行って顧客エンゲージメントを高めるための視点が欠かせません。

それを踏まえて、関連商品によるメリットをわかりやすく提示しましょう。このようなプロセスを経て、クロスセルの成功率は劇的に上がります。

つまり、しっかりとしたマーケティング戦略のもとで顧客ナーチャリングを行いつつ、最適なタイミングでクロスセルを仕掛けることが重要です。

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クロスセルを成功させるポイント

それでは、クロスセルを成功させるために、具体的にどのような点に注意を向ければよいのでしょうか。大きく分けて、ポイントは次の3つです。

顧客情報の蓄積と分析

まず何よりも、顧客の情報をしっかりと収集・分析する必要があります。

顧客の購買履歴や行動履歴などを蓄積し、的確な分析を行うことで、リピーターになりうる顧客層を抽出しましょう。

この層をさらに深く分析し、どのようなメリットを求めているのか、どのような問題を抱えているのかを把握します。そして、解決できるような商品をレコメンドすることで、クロスセルの成功率を上げられます。

ナーチャリングで顧客を優良化

逆に満足度の低い顧客に対しては、闇雲にクロスセルを仕掛けるのではなく、しっかりとナーチャリングを行うことによって優良顧客になってもらうことを優先すべきでしょう。
信頼関係の構築が第一であり、押し売りを感じさせるアプローチは禁物です。

まずは有益な情報や無料のサービスを提供して信頼感や満足度を高めたうえで、クロスセルやアップセルを仕掛けることがリピート率向上につながります。

また、顧客ナーチャリングの際には、積極的にCRM / MAツールなどを活用した方が、成果が出やすくなります。ただし、ノウハウやリソースが足りない場合は、下記で説明するコンサルティングサービスを活用も視野に入れてみましょう。

CRM / MAツールに関しては、下記の記事を参考にしてください。

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企業成長のカギは顧客単価向上

ECサイトの顧客単価の向上に寄与するクロスセルの基本的な説明とアップセルとの違い、そしてクロスセルを実施するうえで注意すべきポイントについて解説してきました。

いかなる企業でも、売上の大半は新規顧客からではなく、既存客のリピート購入によってもたらされます。
既存客の購買単価を上げる施策こそ売上に貢献できることは、多くのマーケターが知っておくべきことです。

ただし、盲目的にクロスセルやアップセルを仕掛けても、相手に押し売りだと思われてしまっては逆効果になりかねません。
まずは顧客との間にしっかりとした信頼関係が構築できているかどうかを確認し、積極的に顧客満足度を高めながら、商品を適切なタイミングでレコメンドする仕組みを作りましょう。

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